理研、次世代スパコンをNECの製造不参加によりスカラ型単独に
~CPUはSPARC64 VIIIfx、目標10PFLOPSは変更なし

次世代スーパーコンピュータ施設(完成予想図)

7月17日 発表



 独立行政法人 理化学研究所(理研)は17日、次世代スーパーコンピュータの新システムの構成をスカラ型単独に決定したと発表した。

 新システムは文部科学省が推進する「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの一環として開発を進めている。当初はスカラ型とベクトル型を組み合わせた複合システムを予定していたが、ベクトル担当のNECが製造段階に参加しないことで実現が困難になり、スカラ型単独の構成にしたという。

 新システムは、分散メモリ型並列計算機に分類される。分散メモリ型は別ノードのメモリを参照できないため、ネットワーク接続をスイッチなどを挟まない直接結合網とした。直接結合網の構造は3次元トーラスネットワークを採用し、直方体に配置した各ノードから上下左右前後の6方向で結合し、各次元がリング状に結合されている。

 CPUは富士通の「SPARC64 VIIIfx」(コードネーム:Venus)を採用。1CPUの浮動小数点性能は128GFLOPSで、汎用CPUとして現時点で世界最速を誇る。製造プロセスは45nm。理研は当初の目標通り、10PFLOPS達成を目指す。

直接結合網 3次元トーラスネットワーク(概念図)富士通「SPARC64 VIIIfx」

 ベクトル型が適しているアプリケーションについては、登録施設利用促進機関(スパコンの利用支援、選定をする機関)が行なう利用者支援業務のあり方を文部科学省で検討しており、理研は関係機関と協力してベクトル型ユーザーへの支援も提供するとしている。

 新システムは2010年度末に一部が稼働、2012年に完成・共用を開始する予定。

(2009年 7月 17日)

[Reported by 山田 幸治]