メルコグループ、利益重視でシェア失うもアーベルの買収で大幅増益
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メルコホールディングス 取締役管理本部長 松尾民男氏 |
4月25日 開催
株式会社メルコホールディングスは24日、平成20年3月期の決算短信を発表した。
これによると、2008年通期の売上高は1,395億7,100万円、営業利益は52億3,200万円、経常利益は54億3,900万円、純利益は36億1,500万円だった。前年比で売上高は3.7%増と微増だったが、純利益が32.5%と大幅に向上した。純利益の大幅な向上は、買収したアーベルの売上が反映されたため。
四半期ベースでは、6期連続で増収を達成。同時に過去最高の純利益を記録した。アーベル買収による流通在庫の整理が第2四半期にピークを迎え、利益率が悪化したものの第3四半期には正常化した。
2008年通期の決算 | 第2四半期に流通在庫の整理が終了し、利益率を正常化 |
●主要分野でシェアを奪われ猛反省
25日には都内で説明会を開催し、同社 取締役管理本部長 松尾民男氏が説明した。
メルコグループは、バッファローを中核に、玄人志向ブランドを展開するCFD販売、アクセサリ/サプライを扱うバッファロー・コクヨ・サプライなどからなるPC周辺機器の総合メーカー。北米や欧州にも展開し、海外での売上比率は18%になる。チャネルレベルでは、コンシューマ向けが65%、法人向けが35%。
主力な製品分野は、メモリ製品、HDD/NASなどのストレージ、ネットワーク機器の3つと、そのほかのサプライ。国内では12分野でシェア1位を獲得。海外ではNASが好調で、ワールドワイドでシェア1位を獲得したという(NPD調べ)。
しかし、国内でメモリとHDDのシェアをアイ・オー・データ機器に奪われる結果となった。同氏は「増収増益だったが、主要分野でシェアを奪われ猛反省している」と語った。
BCNランキングでは12分野で首位を獲得 | 製品別売上の推移 |
製品別では、メモリがDRAMのスポット価格の下落を受け販売量は増加したものの売上高は12.1%減となった。ストレージは特にNASが好調で、全体で19.6%増。ストレージの売上高591億6,800万円のうち、140億程度をNASが占める。ネットワーク機器はほぼ横ばい。デジタルホームは、好調だったワンセグチューナが平穏化したことをうけ20.4%減となった。
ストレージ出荷数は、マーケット全体で20%の成長だったが、シェアよりも利益重視だったため11%増と伸び悩んだ。これが理由で、他社にシェアを奪われることになったという。
海外では、欧州で無線LAN機器が好調なほか、NASに追従して外付けHDDの売上が増加した。これまで赤字覚悟で販促費用を投入してブランドの浸透を図ってきたが、それが実を結んできたという。コストダウンの施策なども合わせ、2009年第1四半期はほぼイーブンの実績が出ており、通期での黒字化を目指す。
ストレージは利益回復を優先してシェアがダウン | DRAMは下期に販売価格が下げ止まった | 海外子会社の売上推移 |
2009年は、前年比11.8%増の売上高1,560億円、10.7%増の純利益40億円を予算とする。その前提条件として、PCの出荷台数が前年並み、フラッシュの値戻し、為替が1ドル105円を挙げる。DRAMについては、春に底を打った感があり、夏場から緩やかな上昇傾向を予想する。
同氏は「デジタルホームの普及に伴い、(アフターマーケット用の)PC用地デジチューナが解禁されるなど、2009年は市場環境が大きく前進する。PC用地デジチューナは量販店から大きく引き合いをいただいており、予算にはそれほど盛り込んでいなかったが、大きく売れる可能性もでてきた」と期待を述べた。
□メルコホールディングスのホームページ
http://www.melco-hd.jp/
□決算短信(PDF)
http://melco-hd.jp/news/2008/0803tanshin.pdf
□関連記事
【2007年10月25日】メルコ、2007年上半期は純利益半減
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/1025/melco.htm
【2007年4月27日】メルコ、DRAMの乱高下で増収減益
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0427/melco.htm
(2008年4月25日)
[Reported by matuyama@impress.co.jp]