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ロボットが相手の脳血流量を読んで話題を選択する新手法

~対話ロボットを用いて脳の活性化、プレゼン能力の向上にも

 内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として、株式会社国際電気通信基礎技術研究所の石黒浩氏、住岡英信氏らの研究グループは3日、ロボットとの会話の難易度を定量化する新たな脳解析手法を発表した。

 このプロジェクトは、脳情報と対話ロボットを組み合わせることで、脳の健康を維持・促進可能にするというもの。近赤外線分光法装置(NIRS)で脳血流量を計ると、聞く側の脳血流量が上がれば話題が難しいと評価できる。これにより、対話ロボットがユーザーが難しいと感じている話題を選択でき、会話をすることで脳の健康を支援できる対話ロボットの実現の可能性があるとする。

 この方法は、ほかの方法に比べて計算量が少なく、設計者が設定するパラメータがほとんどないというのが特徴。実際に実験では、対話に必要なワーキングメモリ(ある情報を一時的に心の中に保持しながら同時に別の作業を行なうこと)に注目し、能力を測る代表的な「n-back課題(現在提示されている刺激がn回前の刺激と同じかどうかを判定する)」を28名の被験者に与えたところ、約75%精度を達成。ほかの手法では最高でも約67%と、本手法の優位性を示したという。さらに、脳血流量は男女で違いがあり、男女別に評価した場合は精度が80%超に達した。

 今後は提案手法を拡張し、人が実際にロボットから聞いている話を難しく考えているかどうかを評価することを目指す。また、応用として、講演などで聴衆がどれだけ話に興味を持っていたかを判定可能としており、日本人が苦手とするプレゼン能力を高める支援にも繋がるとしている。