ニュース

17機のロボットが羽田空港で実証実験

~「Haneda Robotics Lab」開始

 羽田空港を管理・運営する日本空港ビルデング株式会社は、「Haneda Robotics Lab(ハネダ ロボティクス ラボ)」を設置し、技術検証を目的とした複数のロボットの実証実験を 12月15日~2017年2月13日の日程で行なうと発表した。場所は第2ターミナル6番時計台近く。清掃、移動支援、案内の3種類のロボット自体の安全性や公共空間での対人安全性、そして業務活用での導入効果の実証を行なう。

 日本空港ビルデング株式会社では、政府が進める「改革2020」プロジェクトの実現に向けた取り組みの1つとして、国土交通省および経済産業省との連携のもと、オール羽田の取り組みとして、空港にロボットの実験導入を行なう「羽田空港ロボット実験プロジェクト 2016」において、2016年9月から実験を行なうロボットを公募して来た。今回、第1期参加事業者17社が決定した。

 ロボットの内訳と実験スケジュールは以下の通り。実験はカテゴリー別に行なわれる。実施時間帯は10時~16時で、それぞれのロボットの特性に合わせて清掃や実際の運搬業務の支援、安全性の検証などを行なう。搭乗型ロボットの一部は、空港スタッフのほか、一般利用者の搭乗も試す予定とのことだ。なお、第2ターミナルではロボットの解説展示ゾーンが設けられている。

移動支援ロボットは搭乗型と荷物搬送型の2種類
清掃ロボット4種類
案内ロボット

 12月14日には実験現場のプレスプレビューが開催され、実験に参加する移動支援、案内、清掃等の業務に携わる17機のうち、15機のロボットと関係者が揃ってデモンストレーションを行なった。

清掃ロボット(4社) 12月15日~22日

  • フィグラ株式会社「F.ROBOCLEAN」
  • 中西金属工業株式会社「ROBO Cleaper」
  • アマノ株式会社「SE-500iX II」
  • NGP-FOTEC株式会社「Windowmate」
フィグラ株式会社「F.ROBOCLEAN」
中西金属工業株式会社「ROBO Cleaper」
アマノ株式会社「SE-500iX II」
NGP-FOTEC株式会社「Windowmate」。窓拭き掃除を行なう

移動支援ロボット(5社) 2017年1月10日~23日

  • 株式会社ZMP「CarriRo」
  • 株式会社A.M.Y.クリエイティブ「INMOTION R1EX」
  • 株式会社匠「TUG」
  • 本田技研工業株式会社「UNI-CUB β」
  • WHILL株式会社「WHILL NEXT」
株式会社ZMP「CarriRo」
株式会社A.M.Y.クリエイティブ「INMOTION R1EX」
本田技研工業株式会社「UNI-CUB β」
WHILL株式会社「WHILL NEXT」

案内ロボット(8社) 2017年1月24日~2月13日

  • 株式会社インディ・アソシエイツ「Airport Concierge CAIBA」
  • BRULE Inc.「Double2」
  • 株式会社日立製作所「EMIEW3」
  • 株式会社Nextremer「MINARAI」
  • ソフトバンクロボティクス株式会社「Pepper」
  • SEQSENSE株式会社「SQ-1H」
  • ALSOK綜合警備保障株式会社「Reborg-X」
  • シャープ株式会社「RoBoHoN」
株式会社インディ・アソシエイツ「Airport Concierge CAIBA」
BRULE Inc.「Double2」
株式会社日立製作所「EMIEW3」
株式会社Nextremer「MINARAI」
ソフトバンクロボティクス株式会社「Pepper」
SEQSENSE株式会社「SQ-1H」
シャープ株式会社「RoBoHoN」
Pepperは3カ国語と人間による案内を行なう
シャープのRoBoHoNはタブレットと連携した案内を実施

 残念ながら、都合によりALSOK綜合警備保障株式会社と株式会社匠の2社だけ実物の展示がなかった。

株式会社匠「TUG」
ALSOK綜合警備保障株式会社「Reborg-X」

プレスプレビュー&デモンストレーション

15台のロボットがそろった

 日本空港ビルデング株式会社 代表取締役社長の横田信秋氏は、「これまでも各種実証実験に取り組んできた。優れたロボットの導入を加速するために広く公募を行なった。空港内という利用環境での検証データを基に、より実効性の高いロボット開発に活かすための環境整備にも寄与したいと考えた」と述べた。「今回の活用事例が羽田から世界に発信されることも期待している」という。

 プロジェクトの詳細は、Haneda Robotics Lab事務局、日本空港ビルデング株式会社事業企画部の志水潤一氏、倉富裕氏が解説した。旅客需要、サービスニーズ、生産年齢人口減の3つの背景があり、ハネダロボティクスラボを立ち上げたという。また、ロボット市場の伸びについても触れ、「まもなくサービスロボットが普通に見られる環境が整ってきていると考えている」と述べた。

 目的は3つ。日本の情報の発信、高品質サービスの提供、従業員の労働環境の改善である。新しい空港運営の未来像を作っていきたいと語った。目標は2つで、まずは実証実験を通して、ロボットが有効活用できる領域、人が作業した方が良い領域を見分ける。2つ目は将来的な目標で、人を再教育・再雇用するためのコスト削減に、ロボットが有効かどうか見極めたいという。

 これまでにも羽田空港では、お掃除ロボットや、腰を補助するアシストスーツ、店舗へのPepperの導入、日立EMIEW3の実験などを進めて来たが、これからも積極的に取り組んでいくという。空港の大空間の中で、ロボットと来客が普通に共存する様子を2020年までに実現したいと述べ、「世界でもっとも選ばれる空港を目指す」と語った。

日本空港ビルデング株式会社 代表取締役社長 横田信秋氏
Haneda Robotics Lab事務局、日本空港ビルデング株式会社事業企画部 志水潤一氏、倉富裕氏
2020年のロボットと人が共存する羽田空港のイメージ
2020年までの活動計画