PC使いこなし塾
Microsoft Office 2016をこれから使うあなたへ【第9回】
~PowerPoint中級編。知らないと損! 画面録画など便利な新機能
2016年6月17日 06:00
PowerPointは、言わずと知れたプレゼンテーションソフトです。その機能は、バージョンを重ねるごとに進化してきました。最新版のPowerPoint 2016では、プレゼン資料の作成機能はもちろん、プレゼン以外に役立ちそうな機能も搭載されています。本記事では、PowerPoint 2016の便利な新機能にスポットを当てて紹介していきます。
知らないと損! パワポの隠れた便利技
PowerPointに「画面録画」という機能があるのをご存知でしょうか。パソコンの操作画面を録画して、動画を作成する機能です。録画した操作は、プレゼンファイルとは切り離して、動画ファイルとして保存できます。業務用アプリの使い方を録画しておけば、担当者の急な異動にも安心です。また、実家から「写真の印刷方法を教えて」なんて電話が掛かってきたときも、操作の動画を送れば、受話器越しの説明より手っ取り早く済むでしょう。
「画面録画」機能を利用するには、あらかじめPowerPointと、操作を録画するアプリケーションの2つを開いておきます。その際、アプリケーション側は、録画を開始する直前の状態にしておくと、余分な操作を記録せずに済みます。
PowerPointの「挿入」タブから「画面録画の挿入」をクリックすると、PowerPointが非表示になり、「コントロールドック」と呼ばれるツールバーが表示されます。このツールバーには画面録画用の機能が集められており、マウスポインターの動きを記録するかどうか、画面と一緒にマイクからの音声を記録するかどうか、などを設定できます。
画面上を斜めにドラッグして、録画対象の領域を指定したら、準備完了です。コントロールドックの「録画」ボタンをクリックして、録画したい操作を実行しましょう。指定した領域の画面の動きがそのまま録画されます。
録画したい操作を実行したら、最後に「Windows」+「Shift」+「Q」キーを押します。すると、録画が終了し、スライドに動画が挿入されます。挿入された動画は、スライド上で再生したり、トリミングしたりと、通常の動画と同様に編集できます。メールに添付する場合などは、ファイルサイズが小さくなるように、不要な部分をトリミングするといいでしょう。
このままスライドを保存した場合、動画を見るのにPowerPointを起動しなければならなくなります。動画を単独で見るには、動画をスライドから切り離して、単独のファイルとして保存しましょう。動画を右クリックし、「メディアに名前を付けて保存」を選ぶと、動画をMP4形式のファイルとして保存できます。
「画面録画」機能は、PowerPoint 2016では標準で使用できます。また、PowerPoint 2013でも、2015年2月16日の更新プログラムをインストールすれば使用できます。動画記録用の専用アプリを用意することなく、PowerPointの標準機能だけで録画から編集まで行なえてしまうのは便利ですね。
パワポの本領発揮! 写真入りのスライドをカッコいいデザインに
次に、最新のPowerPointに搭載されている「PowerPointデザイナー」を紹介しましょう。2015年11月の更新で、Office 365サブスクリプション版のPowerPoint 2016に追加された機能です。
PowerPointデザイナーは、スライドに配置した画像のデザインアイデアを提案してくれる、頼もしい「デザイナー」です。オンラインに繋がっている環境で使用できます。スライドに挿入した画像を、どうやったら見栄えよくレイアウトできるか考えるのは、素人には難しいもの。仮に考え付いたとしても、それを実現するにはPowerPointの詳しい知識が必要です。しかし、PowerPointデザイナーを使えば、提案してくれる中から好みのものを選ぶだけで、いつものスライドが瞬く間に洗練されたデザインに変身します。
使い方は簡単。画像入りのスライドを表示した状態で、「デザイン」タブの「デザインアイデア」ボタンをクリックします。すると、画面右に「デザインアイデア」作業ウィンドウが開きます。この機能を初めて使う場合は確認メッセージが表示され、「始めましょう」ボタンをクリックする必要があります。
すると、「デザインアイデア」作業ウィンドウに、さまざまなデザイン候補が表示されます。いずれも、スライドに適用されているテーマに合ったデザインで、他のスライドとの統一感もバッチリ保たれます。候補の中から選ぶだけで、スライドにデザインを適用できます。わずか数クリックで劇的に見栄えのよいデザインに変わるので、ぜひ試してみてください。
なお、画像のサイズが200×200ピクセル以下の場合、デザインアイデアは使用できません。また、ユーザー設定のテーマを適用している場合や、「白紙」のスライドに画像を挿入した場合も、デザインアイデアを使用できません。
デザイナー機能の詳しい操作手順はできるネットの記事(PowerPoint 2016の新機能「デザイナー」の使い方。写真からスライドのデザインを自動作成!)で紹介しています。
効果抜群の画面切り替え「変形」を利用する
最後にもう1つ、最新のPowerPointの機能である画面切り替え効果「変形」を紹介します。これも、2015年11月の更新で、Office 365サブスクリプション版のPowerPoint 2016に追加された機能です。
そもそも「画面切り替え」とは、スライドショーで次のスライドに移動するときに表示される、アニメーションのような効果のことです。現在のスライドがじわじわと消えて次のスライドが浮かび上がったり、現在のスライドの上に次のスライドが滑り込むように登場したりと、今までもさまざまな効果が用意されていました。しかし、新機能の「変形」は、そんな既存の画面切り替えとは一線を画する、全く新しい機能です。スライド上の文字や画像に対して、移動させたり、サイズを変えたりするなどのアニメーション効果を付けられます。
具体例で見てみましょう。まず、変形効果の実行前の状態のスライドを用意します。ここでは、2枚の写真を配置したスライドを用意しました。一方の写真を大きく、もう一方の写真を小さくしてあります。また、写真に添えた文字も、それぞれサイズと色を変えてあります。
このスライドを次のスライドの位置にコピーし、コピーしたスライドの写真のサイズや配置などを変えます。ここでは、大きい写真を小さく、小さい写真を大きく変えました。これが、変形効果実行後の状態となります。あとは、コピーした方のスライドを表示した状態で、「画面切り替え」タブの一覧から「変形」を選択すれば、設定完了です。
スライドショーを実行すると、小さいほうの写真は徐々に大きく、大きいほうの写真は徐々に小さくなりながら、画面が切り替わります。
Office 365サブスクリプション版には、次々と新機能が追加されています。今後も、PowerPointをはじめとするOffice 2016の進化に要注目です。
製作協力:日本マイクロソフト