瀬文茶のヒートシンクグラフィック

XIGMATEK「Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition」
~TDP 160W対応のセラミックコーティング採用サイドフロー



 今年(2012年)4月に発売され、CPUクーラーとしては珍しい黒色のセラミックコーティングを施したヒートシンクが話題となったXIGMATEKの「Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition」を紹介する。今回の購入金額は3,980円×2だった。

●ステルス戦闘機を彷彿とさせるマットブラックな外観が特徴的

 XIGMATEK Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition(以下SD1283 Night Hawk Edition)は、接地面を除くヒートシンク全面に施されたマットブラックなセラミックコーティングが特徴的なサイドフロー型CPUクーラーである。製品名に付与された「Night Hawk Edition」とは、ステルス攻撃機として知名度の高いF-117の愛称に由来する。なるほど確かに、SD1283 Night Hawk Editionに施されたマットブラックなセラミックコーティングは、表面塗装が真っ黒なF-117によって紐づけられたステルスという言葉のイメージに合致するような気がする。

 SD1283 Night Hawk Editionのヒートシンク自体は、ヒートパイプが直接接地するヒートパイプダイレクトタッチ式のベースユニットと、3本の8mm径ヒートパイプ、52枚の放熱フィンによって構成されたオーソドックスなサイドフロー型CPUクーラーだ。ちなみに、2009年11月発売の「Balder SD1283」と、2010年9月発売の「Gaia SD1283」には、SD1283 Night Hawk Editionと同形状で表面塗装の異なるヒートシンクが採用されており、SD1283 Night Hawk Editionのヒートシンクに、セラミックコーティング以外に外観上で目新しい要素は見当たらない。

 XIGMATEKが、表面積の増加(=放熱面積の増加)により、放熱性能を向上させる効果があると謳うセラミックコーティングを、目に見えるほとんどの部分に施したSD1283 Night Hawk Editionだが、ヒートパイプと放熱フィンやベースユニットのスキマを見ると、銅色のヒートパイプが見えている。これは、セラミックコーティングがヒートシンクの組立後に施されたものであることを示すと同時に、ヒートパイプと放熱フィンの間にろう付けが施されていないことも示している。総じて丁寧に作られているSD1283 Night Hawk Editionではあるのだが、このあたりはミドルレンジ相応といった印象である。

 標準ファンには、半透明のフレームに白色LEDを4基搭載したXIGMATEKブランドの120mm角ファンを1基採用している。このファンは、PWM制御により回転数を1,000rpmから2,200rpmの広範囲に渡って調整可能で、専用のゴムブッシュを使ってヒートシンクに取り付ける。SD1283 Night Hawk Editionには、ファン取り付け用のゴムブッシュが8つ同梱されており、市販のリブ無しタイプの120mm角ファンを用意すれば、最大で2基のファンを搭載できる。


XIGMATEK Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition パッケージ
XIGMATEK Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition 本体
付属品一覧
標準ファン。クリアフレームに白色LEDを4基搭載している。
左から「Balder SD1283」、「Gaia SD1283」、「Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition」
メモリとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE)

 最近のハイエンドCPUクーラーは、その巨大さ故に周辺パーツとの干渉問題が発生する製品が多いが、SD1283 Night Hawk Editionはサイドフロー型CPUクーラーの中でも細身のヒートシンクを採用しているため、メモリや拡張スロットなどとの干渉問題は起こりにくい。実際、今回テストに用いたASUS MAXIMUS V GENEとの組み合わせでは、メモリや拡張スロットの上空にヒートシンクやファンが被ることは無かった。


●冷却性能テスト結果

 それでは冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、付属ファンをフル回転(約2,160rpm)させた際の温度と、PWM制御を20%に設定(約1,130rpm)した際の温度をそれぞれ取得した。なお、今回から4.6GHzオーバークロック動作時のテスト結果を追加している。

テスト結果

 テストの結果を見てみると、3.4GHz動作時のCPU温度はフル回転時で58℃、20%制御時で61℃を記録し、CPU付属クーラーより24~27℃低い優秀な結果を記録した。SD1283 Night Hawk Editionは、オーバークロック時にも優秀な結果を記録しており、4.4GHz動作時にはフル回転時67℃、20%制御時75℃。CPU電圧に1.370Vを加えた4.6GHz動作時にも、フル回転時で78℃、20%制御時でも86℃に抑えている。これまで紹介したヒートシンクに比べ、ファンの回転数が高めである点は考慮すべきだが、8mm径ヒートパイプ3本構成のミドルレンジ製品としては文句のつけようがない優秀な結果である。

 動作音については、2,000rpmを超えるフル回転時は大きな風切り音が発生している。フル回転時の冷却性能は魅力的だが、この動作音と天秤に掛けるには少々厳しい。一方、PWM制御で20%に設定した際の約1,130rpmの動作音は、多少気になりはするものの、ケースに収めれば十分静音と言えるレベルの動作音だった。欲を言えば、もう少し低速側に調整したいところではあるが、SD1283 Night Hawk Editionのファンは、ミドルレンジ製品の付属ファンとして十分及第だ。

●コストパフォーマンスに優れたミドルレンジサイドフロー

 実売価格が4,000円以下のミドルレンジ製品であるSD1283 Night Hawk Editionだが、冷却性能についてはいい意味で予想を裏切られた。使い勝手についても、専用ゴムブッシュによるファンの取り付けが多少難儀なことを除けば、ヒートシンク自体もコンパクトにまとまっており、実に扱いやすいCPUクーラーである。とにかく冷却性能を追求するというのでないなら、コストパフォーマンスに優れたSD1283 Night Hawk Editionは多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となり得るだろう。

 セラミックコーティングを施された真っ黒なヒートシンクは、派手さは無いが独特な魅力を湛えている。これから夏に向けてCPUの冷却強化を検討するのであれば、SD1283 Night Hawk Editionを候補の1つに加えてみてはいかがだろうか。

【表】XIGMATEK「Dark Knight SD1283 Night Hawk Edition」製品スペック
メーカーXIGMATEK
フロータイプサイドフロー型
ヒートパイプ8mm径×3本
放熱フィン52枚
サイズ120×50×159mm(幅×奥行き×高さ)
重量406g(ヒートシンクのみ)
付属ファン120mm角ファン ×1
電源:4pin
回転数:1,000~2,200rpm
風量:89.45CFM(最大)
ノイズ:30.1dBA(最大)
サイズ:120×120×25mm
対応ソケットIntel:LGA 775/1155/1156/1366/2011
AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1