西川和久の不定期コラム
ドスパラ「Diginnos DG-D08IW2」
~Cherry Trail搭載8型タブレット
(2016/5/30 13:03)
ドスパラは5月20日にAtom x5-8300を搭載した8型Windowsタブレット「Diginnos DG-D08IW2」を発表した。前モデルに相当するDG-D08IWが2014年10月だったので、約1年半ぶりの新機種となる。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
Cherry Trailへと世代交代した8型タブレット
冒頭で触れた前モデルに相当するDG-D08IWも筆者がレビューしたが、その原稿の一部にこう書いた。「late 2014版8型タブレットは価格が下がり死角なし」。つまりそれ以前の8型前後のタブレットは、安い機種はHDMI出力がなかったり、GPSがなかったり……。全て揃っているのは高価な機種だった。
そこに登場したのが、全部入りで19,980円の「DG-D08IW」。以降他社の追従もあり、8型のタブレットがはやった記憶がある。
それから約1年半が経ち、Bay Trail/Atom Z3735FからCherry Trail/Atom x5-8300へ、OSをWindows 10に変更したのが、今回紹介する「Diginnos DG-D08IW2」となる。主な仕様は以下の通り。
【表】ドスパラ「Diginnos DG-D08IW2」の仕様 | |
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SoC | Atom x5-8300(4コア4スレッド、クロック 1.44GHz/バーストクロック1.84GHz、キャッシュ 2MB、SDP 2W) |
メモリ | 2GB(DDR3L-RS 1600) |
ストレージ | eMMC 32GB |
OS | Windows 10 Home(32bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、Micro HDMI出力(HDMI変換ケーブル付き) |
ディスプレイ | 8型1,280×800(光沢あり)、10点タッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | Micro USB×1、microSDカードスロット、前面/背面200万画素Webカメ、マイク、音声出力 |
センサー | 加速度、GPS |
サイズ/重量 | 約214×128×9.1mm(幅×奥行き×高さ)/約376g |
バッテリ駆動時間 | 約6時間 |
価格 | 19,224円 |
SoCはCherry TrailのIntel Atom x5-8300。4コア4スレッド、クロックは1.44GHzから最大1.84GHz。キャッシュは2MB、SDPは2W。Cherry Trailは14nmプロセスで、主にグラフィックス性能が向上している。メモリは2GB/DDR3L-RS 1600、ストレージはeMMCの32GB。前モデルと比較して容量が倍になっている。OSは32bit版のWindows 10 Homeを搭載。
【お詫びと訂正】初出時に、8型のWindowsタブレットでAtom x5-8300を搭載したのは本製品が国内初、としておりましたが、すでに他社から搭載製品が発売済みでした。お詫びして訂正させていただきます。
ディスプレイは、光沢ありの8型1,280×800ドット。10点タッチ対応だ。出力用としてMicro HDMIを備え、HDMI変換ケーブルも付属する。グラフィックスは実行ユニットが12となりパワーアップしたSoC内蔵Intel HD Graphics。
ネットワークは有線LANはなく、無線LANにIEEE 802.11a/b/g/n/ac。IEEE 802.11acが増えている。Bluetooth 4.0にも対応。そのほかのインターフェイスは、Micro USB×1、microSDカードスロット、200万画素Webカメラ×2、マイク、音声出力。センサーは加速度とGPSを搭載する。
Micro USBは充電も兼ねているため、このままでは充電中にUSBデバイスを接続できないが、オプションで「USB機器給電端子付Yケーブル」が用意され、これを使えば充電しつつUSBデバイスを使用可能となる。超薄型デスクトップ化も容易だ。
サイズは約214×128×9.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約376g。バッテリ駆動時間は最大約6時間。価格は19,224円と、少し安くなった。また、オプションで、「Bluetoothキーボード一体型保護ケース」もある。
このように、SoC、OS、IEEE 802.11acの3点、加えてeMMC容量倍増が主な変更箇所であり、今時の8型Windowsタブレットにスペックアップした新型が「Diginnos DG-D08IW2」だ。
筐体は基本ブラックでまとめられ、ツヤありとツヤなしを要所要所で使い分け、チープな感じはない。ただ重量は約376gでPCとしては軽量級だが、片手で持ち続けるのは少し辛いかもしれない。加えて扉の写真からも分かるように、手で握るには(個人差もあるだろうが)ギリギリの大きさだ。
サイズ比較として、5型/NuAns NEO、7型/Nexus 7(2013)、8型/DG-D08IW2、10.1型/ASUS Flip C100PAを順に重ねた写真を掲載した。2型違うと結構サイズが変わるのが分かる。また7型と8型でも思ってた以上に差が出ている。
余談になるが、つい先日、Windows 10とWindows 10 Mobileの画面サイズに関するシステム要件が変更された。これまで8型未満はWindows 10 Mobile、8型以上はWindows 10と、明確に分かれていたが、今後、Windows 10 Mobileは9型未満、Windows 10は7型以上と、7型から9型未満に関しては両OSが被る形となった。これまでにはなかったサイズのデバイスの登場に期待したい。
前面はパネルの中央上に200万画素Webカメラ、中央下にWindowsボタン。背面右上に200万画素Webカメラ。左と下側面には何もなく、右側面に電源ボタンと音量±ボタン、そしてカバー付きのmicroSDカードスロット。上側面にスピーカー、Micro HDMI出力、Micro USB×1、音声出力を配置。ケーブル類は全て上側になるので、外部ディスプレイを接続して、超薄型デスクトップPCとして使う場合もスッキリまとめることが可能だ。
付属のACアダプタはサイズ約37×35×35mm(同)、重量51g。5V/2A出力のUSBタイプとなる。プラグの部分が折り畳めコンパクトに収納できる。
ディスプレイは8型で1,280×800ドットと言うこともあり、文字が小さくて見辛い手前で収まっている。サイズ的にはフルHDのパネルも考えられるが、コストと見やすさを考慮し、この解像度に落ち着いた感がある。明るさコントラスト、発色も良好で、同社のサイトにはIPS式と書いていないが、視野角も結構広い。タッチもスムーズに反応する。
駆動部品がないので振動やノイズは皆無。発熱もベンチマークテストでCPUの温度が上がっている割には気にならないレベルだ。
サウンドはこのクラスとしては出ている方だろう。縦置きの時にはWindowsボタンが上になってしまうが、スピーカーのある上側面を下にしスタンドなどで固定、机で音を反射されるといい感じに聴こえる。横向きの場合は手で壁を作ればよい。
と、ここまで書いて「DG-D08IW」の記事を読み直したところ、書き方は違えど内容的にはまったく同じだった(笑)。つまり、見える部分はそのまま内部だけ変更した新型と考えるのが自然だろう。
ベンチマークテストは前モデルより若干向上
OSは32bit版のWindows 10 Home。メモリが2GBで増設もできないため、あえて64bit版にする理由もない。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は標準のまま。デスクトップは左にマカフィーインターネットセキュリティのショートカットのみ追加している。
久々にこのクラスを触ったところ、eMMCなのでアプリの起動などはあまり速くないが、EdgeでのWebアクセスは割とストレスなくアクセスできる。ただベンチマークテストから分かるようにJavaScriptは速くなく、JavaScriptを多用する今時のサイトは表示するまで一呼吸かかる。この点はSoCの主なパワーアップがグラフィックスということもあり、あまり前から変わっていない。
ストレージはeMMC/32GBの「Toshiba 032G72」。実質C:ドライブのみの1パーティションで約28.57GBが割り当てられ空き21GB。容量が倍になっている分、ある程度の余裕ができた(以前は空き6.53GBだった)。また「DG-D08IW」ではBitLockerで暗号化されていたが、「DG-D08IW2」ではBitLockerは使われていない。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
初回起動直後にストアアプリアップデートと、Windowsアップデートを行なったところ、空きが20GBを切ってしまった。容量が増えたとは言え、データはmicroSDカードへ逃がし、基本C:ドライブはアプリ用で運用した方が無難だろう。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリはなし、デスクトップアプリも「マカフィーインターネットセキュリティ」とIntel製のドライバのみ。C:ドライブの空きを優先した格好だ。コントロールパネルからインストール済み のソフトウェアを確認しても何も入っていない。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBenchの結果を見たい。参考までにGoogle Octane 2.0とCrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 3.9。プロセッサ 6.1、メモリ 5.5、グラフィックス 3.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.95。PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1272。Google Octane 2.0は5982。CrystalMarkは、ALU 21237、FPU 18020、MEM 18411、HDD 17257、GDI 3861、D2D n/a、OGL 2758。
Cherry Trail世代で速くなったとは言え、AtomはAtom。過度な期待は禁物。また同じAtomでも上位のSKU、Atom x7-Z8700を搭載したSurface 3と比較すると結構性能は劣る。今後、x7系を搭載したタブレットにも期待したいところ。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残2%で31,024秒/8.6時間。通常の残5%で8.3時間。仕様上は約6時間なので2時間ほど長く作動した。パネルの明るさ0%でもそれなりに輝度があり、暗い室内なら十分扱えると思われ、実使用に近い値ではないだろうか。
比較のため、前モデルの「DG-D08IW」/Atom Z3735F(クロック1.33GHz/最大1.83GHz)のスコアは、winsat formalは、総合 4。プロセッサ 5.9、メモリ 5.5、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 4、プライマリハードディスク 6.95。Google Octane(デスクトップ版IE)は3421、BBenchは5%で9.2時間だった。た だし、OSが32bit版Windows 8.1 with Bingなので同等ではなく、参考まで。
Diginnos DG-D08IW2は、気になる画面の品質も問題なし。試用中、特にマイナスポイントとなる部分も見当たらず、さすがにこなれている感がある。2万円未満でWindows 10搭載の小型タブレットを探しているユーザーにお勧めできる逸品と言えよう。