西川和久の不定期コラム
マウスコンピューター「m-Book K シリーズ MB-K620S」
~MaxwellアーキテクチャGPU搭載15.6型ノートPC!
(2014/3/26 06:00)
マウスコンピューターは3月13日、NVIDIA MaxwellアーキテクチャのGPU「GeForce GTX 850M」搭載のノートPCを発表、出荷開始した。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けする。筆者としてもMaxwellアーキテクチャのGPUを扱うのは初なので、そのパフォーマンスが気になるところだ。
MaxwellアーキテクチャNVIDIA GeForce GTX 850M(2GB)を搭載
マウスコンピューターのサイトには、「m-Book K」シリーズとして、「MB-K620S」、「MB-K620X-SH」の2モデルが掲載されている。特徴は、Core i7-4700MQと、MaxwellアーキテクチャのGeForce GTX 850Mを搭載していることだ。
メモリ/液晶パネル/光学ドライブといった、基本ユニットは同じで、前者がHDD搭載、後者がSSD+HDDの違いとなる。今回手元に届いたのは下位モデルの「MB-K620S」。主な仕様は以下の通り。
マウスコンピューター「m-Book K シリーズ MB-K620S」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-4700MQ(4コア/8スレッド、クロック 2.4GHz/Turbo Boost 3.4GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W) |
チップセット | Intel HM86 Express |
メモリ | 8GB/PC3-12800 DDR3L SO-DIMM×2(空き0/最大16GB) |
ストレージ | HDD 500GB(5,400rpm)、期間限定で1TB(5,400rpm)に無償アップグレード |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1 (64bit) |
ディスプレイ | 15.6型フルHD(非光沢)、1,920×1,080ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600、NVIDIA GeForce GTX 850M(2GB)/HDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE |
その他 | USB 3.0×3(内1つはeSATA兼用)、USB 2.0×1、マルチカードリーダ、200万画素Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 最大6時間 |
サイズ/重量 | 374×252×31.4mm(幅×奥行き×高さ)/約2.5kg |
価格 | 99,800円 |
プロセッサはCore i7-4700MQ。4コア8スレッドでクロックは2.4GHz。Turbo Boost時に3.4GHzまで上昇する。キャッシュは6MB、TDPは47W。TDPが15WタイプのSKUよりハイパフォーマンスのプロセッサだ。チップセットはIntel HM86 Express。
メモリは4GB×2のPC3-12800 DDR3L SO-DIMMを搭載し計8GB(スロットの空きは0)。最大16GBまで搭載可能だ。OSは64bit版のWindows 8.1。
ストレージは5,400rpmの500GB HDH。現在、期間限定で1TB(5,400rpm)に無償アップグレード中だ。DVDスーパーマルチドライブも搭載している。上位モデルの「MB-K620X-SH」は、ストレージがmSATA 128GBとHDD 500GBで、メモリは標準で8GB×2の計16GBとなっている。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600と、GeForce GTX 850M(2GB)。外部出力はHDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1の2種類。
GeForce GTX 850Mは、Maxwellアーキテクチャを採用したメインストリーム向けのGPUだ。Maxwellアーキテクチャの詳細は関連記事を参照して頂きたいが、従来NVIDIAは新アーキテクチャに関してまずハイエンドから市場投入してきた。しかし今回はメインストリーム向けからMaxwellアーキテクチャのGPUを投入した。
これはKeplerより「消費電力あたりのパフォーマンスをさらに向上させた」ことにより、小型デスクトップやノートPCに向いているためだと思われる。気になるパフォーマンスについては、後半のベンチマークテストで検証してみたい。
液晶ディスプレイは、15.6型の非光沢タイプで、解像度はフルHD/1,920×1,080ドット。ただしタッチには非対応だ。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEにも対応。その他のインターフェイスは、USB 3.0×3、USB 2.0×1、マルチカードリーダ、200万画素Webカメラ、音声入出力。USB 3.0の内1つはeSATA兼用だ。IEEE 802.11acが無い程度でひと通り揃っている。
サイズは374×252×31.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.5kg。バッテリ駆動時間は最大6時間だ。価格は今回の構成で99,800円。カスタマイズでは、OS/プロセッサ/メモリ/ストレージなど、かなり幅広く選択可能となっている。
天板とパームレストはブラウンがかったシルバー、他はブラックと落ち着いた感じのするデザインだ。15.6型なのでそれなりにフットプリントは大きいものの、思っていたほどは厚みもなく、ちょうど良いバランスに仕上がっている。重量約2.5kgなので、持ち歩くのは少し辛い感じか。ACアダプタのサイズは約140×74×25mm(同)、重量466gと大きめだ。
手前の左側に各種ステータスLEDと、その下にマルチカードリーダ、左側面にミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、USB 3.0/eSATA、USB 2.0、USB 3.0、右側面にロックポート、USB 3.0、USB 2.0、音声入出力を配置している。
裏はネジ2本を外し、パネルをスライドさせれば簡単に内部にアクセスできる。このためmSATA、HDD、メモリの交換も手間はかからず、メンテナンス性は高い。
15.6型フルHDの液晶パネルは、非光沢と言うこともあり、映り込みが少なく眼が疲れにくい。IPS式でないため、視野角は狭いものの、正面から見る限り許容範囲無いに収まっている。明るさ・コントラストも良好だ。
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプだ。キーピッチは実測で約19mm。若干たわむものの、気にならない範囲だろう。パームレストとタッチパッドは十分広く、ボタンが物理的に2つあるため(個人差もあるだろうが)操作しやすい。
ノイズ・振動、発熱に関しては、試用した範囲では問題無いレベルだった。サウンドはパワーがあり、レンジも広いがかなり中域に集中した音となっている。またSound Blaster CinemaをOFFにすると極度に痩せたサウンドになるため、常時ONをお勧めしたい。
Intel HD Graphics 4600よりもかなり速いGeForce GTX 850M
OSは64bit版Windows 8.1。メインストレージがHDDなのでSSD搭載機と比較した場合、いろいろな部分で遅いものの、Core i7とメモリ8GBと言うこともありストレスは少ない。
初期起動時のスタート画面は1画面。じゃらん以降がプリインストールとなる。デスクトップは、同社お馴染みの壁紙に変更され、左サイドにCyberLink系とシステム・ツール系のショートカットが並んでいる。
HDDは1TBに無償アップグレード済のWesternDigital製。実際は「WD10JPVX-22JC3T0」(キャッシュ8MB)が使われていた。C:ドライブのみの1パーティションで約916GBが割り当てられ空きは883GB。
光学ドライブは「松下DVD-RAM UJ8C0」。Gigabit EthernetとWi-Fi、BluetoothはRealtek製だ。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVITIME」、「R25 for Windows 8」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」など。ここのところ同社の定番になっているアプリが並ぶ。
デスクトップアプリは、「Sound Blaster Cinema」、「CyberLink Media Suite」、「CyberLink PhotoDirector 4」、「ファイナルパソコンデータ引越し9 plus」、そしてIntel、NVIDIAなどのシステム・ツール系となる。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2と、GeForce GTX 850M搭載と言うこともあり3DMarkの結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるため参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 5.6。プロセッサ 8.1、メモリ 8.1、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.6、プライマリHDD 5.9。PCMark 8 バージョン2は2851。3DMarkはFire Strike/Cloud Gate/Ice Stormの順に2793/13748/96884。CrystalMarkは、ALU 72582、FPU 65092、MEM 60910、HDD 14068、GDI 19623、D2D n/a、OGL 39699。ストレージがHDDなので、全体の足を引っ張っているものの、それ以外のスコアはさすがと言ったところか。
参考までに以前掲載したZOTAC「ZBOX IQ01」(Core i7-4770T/Intel HD Graphics 4600)の3DMarkは、順に770/6661/60726。GeForce GTX 850Mと比較するとかなり低いことが分かる。
BBenchは、省電力、キーボードも含めバックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で21,181秒/5.9時間。仕様上最大6時間なのでほぼ同じだ。またバックライト最小でもそれなりに明るく、暗めの場所なら問題無く作業できる。
以上のようにマウスコンピューター「m-Book K シリーズ MB-K620S」は、Core i7-4700MQとGeForce GTX 850Mを搭載したハイパフォーマンスな15.6型2スピンドルノートPCだ。下位モデルは、ストレージがHDDなので全体の足を引っ張っているものの、後から簡単にmSATAタイプのSSDを搭載可能になっているので、必要に応じて増設すれば良い。
特に気になる部分も無く、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphicsでは物足りないユーザーにお勧めしたいスタンダードノートPCと言えよう。