■西川和久の不定期コラム■
株式会社Project Whiteは29日、TSUKUMOでゲーミングブランドのG-GEARシリーズ最上位モデルとして「G-GEAR neo」と言う新しいハイエンドPCを発表した。4タイプある中、Radeon HD 7870搭載機が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けする。
●Ivy BridgeとディスクリートGPU搭載のハイエンド機従来の「G-GEARシリーズ」は、IntelもしくはAMDの上位プロセッサと、GeForceまたはRadeon HDを搭載可能なゲーミングPCで、BTOにも対応し柔軟な構成が特徴的なシリーズだ。
今回発表された「G-GEAR neo」は、さらに上のスペックを行く最上位モデル。構成内容は、Core i7-3770KとGeForce GTX 560 Tiを搭載した「GA7J-K42/ZS」、Core i7-3770KとRadeon HD 7870を搭載した「GA7J-L42/ZS」、Core i7-3770KとSLI接続のGeForce GTX560 Ti×2を搭載した「GA7J-M42/XS」、そしてCore i7-3960XとSLI接続のGeForce GTX 680×2を搭載した「GA9J-N42/XS」の4ラインナップとなる。
下3つのモデルは、プロセッサが同じでディスクリートGPUが異なり、メモリは8GB、HDDが2TBの構成。最上位の「GA9J-N42/XS」は、チップセットやプロセッサ、そしてメモリ16GBに加え、SSD 120GB+HDD 2TB、BDドライブと、全く別の構成となっている(SLI対応モデルは電源も異なる)。編集部から送られてきたのは中位のGA7J-L42/ZS。主な仕様は以下の通りだ。
CPU | Core i7-3770K(4コア/8スレッド、クロック3.50GHz/Turbo Boost 3.9GHz、キャッシュ8MB、TDP77W) |
チップセット | Intel Z77 Express |
メモリ | 8GB/PC3-12800 DDR3(4スロット/空き2、最大32GB) |
HDD | 2TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit SP1) |
グラフィックス | Radeon HD 7870(2GB)/DVI-I、HDMI出力、miniDisplayPort×2 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet |
その他 | USB 2.0 上面×2/背面×2、USB 3.0上面×2/背面×4、PS/2×2、音声入出力(上面/背面:光デジタル出力あり) |
拡張スロット | PCI Express x16×2、PCI Express x16(x4として作動)、PCI Express x1×2、PCI×2 |
拡張ベイ | 5インチ×4(空き3)、3.5インチシャドウ×6(空き5) |
電源 | 550W(80PLUS BRONZE認証) |
サイズ・重量 | 214.5×528.8×496mm(幅×奥行き×高さ)/約14kg |
価格 | 134,980円 |
プロセッサはIntel Core i7-3770K。4コア8スレッドで、クロックは3.50GHz。Turbo Boost時3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDPは77W。型番からも分かるように、オーバークロックにも対応している。
チップセットは、Intel Z77 Express。マザーボードの型番が明記され、ATXタイプの「ASUS P8Z77-V LK」が使われている。
このほかにもG-GEAR neoシリーズは、自作市場で定評あるパーツを採用しているもの特徴だ。
メモリスロットは4つあり、4GB×2の計8GBが搭載済みで空き2つ。最大32GBまで対応する。評価機のOSは64bit版のWindows 7 Professional SP1。ただし、標準構成では64bit版Windows 7 Home Premium SP1となり、BTOで32bit版も選択可能だ。ストレージはHDDが2TB、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ。
グラフィックスは、もともとIntel Z77 Expressを採用したマザーボードと言うこともあり、リアパネルにミニD-Sub15ピン、DVI-I、HDMI出力、DisplayPortがあるものの、ディスクリートGPUのRadeon HD 7870(2GB)を搭載しているので、DVI-I、HDMI出力、miniDisplayPort×2となる。
このRadeon HD 7870は、3月に発表されたミドルレンジGPUで、28nmプロセス、コアアーキテクチャ「Graphic Core Next」を採用。SP数は1,280基で、PCI Express 3.0やDirectX 11.1に対応し、Radeon HD 6870を置き換えるモデルだ。
その他のインターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 2.0 上面×2/背面×2、USB 3.0上面×2/背面×4、PS/2×2、音声入出力(上面/背面:光デジタル出力あり)。拡張スロットは2×PCI Express x16、1×PCI Express x16(x4として作動)、2×PCI Express x1、2×PCI。拡張ベイは5インチ×4(空き3)、3.5インチシャドウ×6(空き5)。Radeon HD 7870(2GB)が2スロット占有するためPCI Express x16×は使用済みだ。ミドルタワーの筐体だけあって拡張性は高いと言えよう。
電源は80PLUS BRONZE認証に対応した550W(定格500W)。本体サイズは214.5×528.8×496mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約14kg。価格は134,980円となる。参考までにGA7J-K42/ZSは119,980円、GA7J-M42/XSは149,980円、GA9J-N42/XSは339,980円だ。
本体色はブラック。ミドルタワーの筐体は、なかなか迫力がある。フロントパネルは多くの部分がメッシュになっており、通気性が良さそうだ。なお、筐体は「G-GEAR」と製造元の「CoolerMaster」とのダブルネームになるとのこと。
上面にはUSB 2.0×2と音声入出力、USB 3.0×2を配置。その後ろにちょっとしたスペースがあり、ここへiPhoneなど、USB接続/充電するデバイスを置くことができる。加えてフロントファン照明スイッチをONにすると、ご覧のようになかなか雰囲気のあるブルーのイルミネーションが点灯する。
内部へは、ネジ2本を外し、側面パネルをスライドさせればOK(右サイドも同様)。建てつけも良く、ミドルタワーだけあって、非SLI構成だと広々としている。5インチや3.5インチのシャドウベイへのアクセスも容易だ。
筐体にファンが前面/背面/上面の計3つ(120mm角)、そしてRadeon HD 7870に2つあるので、それなりに煩いかと思ったが、予想外に静かだった。通常使用時、そして3DMark 11測定時も耳を近づけると、低い音はするものの、それでも少し離れればもう気にならないレベルに収まっている。
全体的にカッコよく、そしてシンプルにまとめられており、価格も最上位以外は、15万円未満。一昔前、ハイエンドゲーミングPCと聞くと結構高価な印象を持ったが、構成している各コンポーネントのコストパフォーマンスが飛躍的に上がり、結果、リーズナブルになっているのが嬉しいポイントだ。
●HDD以外は7.7越えの高スコア評価機のOSはWindows 7 Professional SP1。8GBが実装済み。ディスクリートGPUと言うこともあり、メインメモリを圧迫することなく、通常使用なら十分な容量だろう。初期起動時のデスクトップはショートカット2つと、いたってシンプル。筆者など玄人受けする構成だ。
HDDは2TB/SATA 6Gbps/キャッシュ64MBの「WD20EARX-00PASb0」。C:ドライブのみの1パーティションで約1.8GBが使用済みで、約1.78TBの空きがある。光学ドライブは「GH24NS90」を搭載。
デバイスマネージャーには特殊なデバイスは見当たらず、Ivy Bridge機としては一般的な構成だが、USB 3.0に関しては、6ポート中、4ポートに「Intel USB 3.0 eXtensibleホストコントローラ」、2ポートに「ASMedia USB 3.0コントローラー」が使われている。
起動時のデスクトップ。CyberLink Media SuiteとeX.Backup2のショートカットのみとシンプル | デバイスマネージャー。HDDは「WD20EARX-00PASb0」。2TB、SATA 6Gb/s、キャッシュ64MB。光学ドライブは「GH24NS90」 | HDDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティション。約1.8TBが割当てられている |
プリインストール済みのソフトウェアは、「eX.Backup2」、「CyberLink Media Suite」、「マカフィー・インターネットセキュリティ(90日版)」、そして各種ドライバなど、ほとんど素のWindows 7に近い。
eX.Backup2 | CyberLink Media Suite | AMD Catalyst Control Center |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。参考までに3DMark 11の結果も掲載した。3DMark 11のテスト中、内容にもよるが、16~42FPSの値となっていて、多くのテスト表示がスムーズに行なわれていた。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.7、メモリ 7.8、グラフィックス 7.9、ゲーム用グラフィックス 7.9、プライマリハードディスク 5.9。HDD以外は7.7越えの高スコア。こうなるとSSDを搭載し、全体のバランスを取りたくなる。
CrystalMarkは、ALU 84149、FPU 69324、MEM 65950、HDD 13834、GDI 20641、D2D 4893、OGL 58180。OGLはさすがの値。やはりHDDだけ平凡で遅いのが目立ってしまう。それでもこれだけ速ければ、ゲームだけでなく、画像処理やエンコードなどクリエイティブな処理も楽々こなせる。
Windows エクスペリエンス インデックス。総合 5.9。プロセッサ 7.7、メモリ 7.8、グラフィックス 7.9、ゲーム用グラフィックス 7.9、プライマリハードディスク 5.9 |
CrystalMark。ALU 84149、FPU 69324、MEM 65950、HDD 13834、GDI 20641、D2D 4893、OGL 58180 |
3DMark 11。P6561 3DMarks |
以上のようにG-GEAR neoシリーズは、ハイエンドゲーミングPCとして、またハイエンドPCとして十分な性能を備えている。自作市場で定評あるパーツを採用しているのも安心感がある。
全体のバランスを考えると、プライマリードライブはSSDにしたいところだが、交換も容易なので、後でのお楽しみとする手もあるだろう。リーズナブルな価格でハイスペックのPCを求めているユーザーにお勧めのシリーズだ。