西川和久の不定期コラム
トリニティ「NuAns NEO」
~組み合わせ可能な本体一体型カバーと、現時点で唯一Continuumに対応したWindows 10 Mobileスマホ
(2016/3/24 06:00)
ここ数カ月、国内においてWindows 10 Mobile搭載スマートフォンが賑やかだ。そう言う筆者もKATANA01/02、MADOSMAを所有。そして2月1日にNuAns NEOも購入した。既に1月半ほど経っていることもあり、いつものレビューとは少し趣を変え、1カ月以上メインのスマートフォンとして使い、気づいた点や使いこなしなどを織り交ぜご紹介したい。
Snapdragon 617/2GB/16GB、5型HD、Windows 10 Mobile搭載のミドルレンジ
筆者は去年の11月30日に行なわれた製品発表会にも足を運んでいるが、他社とは違うざっくばらんな雰囲気でなかなか楽しめる内容だった。
もともと同社はiPhoneのケースなど、アクセサリーメーカーだが、自ら欲しいスマートフォンを考えた時、該当するものがなく、開発に至った……という話があった。確かに世の中(Windows 10 Mobile搭載スマートフォンが増えたとは言え)iPhoneかその他大勢のAndroid搭載機。Android搭載機も多くはiPhoneのフォロワーだ。それが合わなければ作るしかない。
このような経緯で開発されたNuAns NEOはいろいろな特徴を持っている。まず面白いところは、先に挙げたiPhoneのフォロワーを止めたことだろう。現在各社から多くのスマートフォンが出荷されてるものの、特にミドルレンジ以上は、iPhoneに追いつけ追い越せで、できるだけ薄く、そしてアルミニウムボディでカッコよく……と言った流れで、結果似たり寄ったりしている。
筐体の素材はともかくとして、薄型化に関しては、実使用で曲がってしまったりすることが多く、そのため保護用のケースを付けて合わせるとそれなりの厚みになったりと、極端に薄くなってもマイナス面が目立つことが多い。本製品はその流れに逆らう形となる。
COREと呼ばれるベースの部分に、本来後付けで装着するカバーを本体に融合。TWOTONEは上下交換可能にし、素材も異なる8×8、計64種類の組み合わせを、色や質感など好みに応じて選ぶことができる。FLIPは一体型のケースだ。
さらにある程度の厚みを持たせ、持った時のバランスを配慮。厚くなった分、大容量バッテリを搭載し、余った空間にSuicaなどのICカードを内蔵可能にした(NFCと後述するアプリで容易にデータを読み出せる)。
本体と融合するカバーに、厚みを持たせた上で得られるメリットを最大限に活かす……確かにこれまでなかったコンセプトだ。主な仕様は以下の通り。
【表】トリニティ「NuAns NEO」の仕様 | |
---|---|
SoC | Snapdragon 617/MSM8952(8×A53/1.5GHzオクタコア) |
メモリ | 2GB |
ストレージ | 16GB/eMMC |
OS | Windows 10 Mobile |
ディスプレイ | 5型IPS式HD/1,280×720ドット(295ppi)、防指紋フッ素コーティング |
ネットワーク | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1、NFC(Type A/B/F) |
インターフェイス | USB Type-C(USB 2.0/OTG、Quick Charge 2.0サポート)、microSD(最大128GB対応/UHS-I)、4極ヘッドセットジャック、スピーカー×1、マイク×2 |
センサー | 3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸地磁気センサー、近接センサー、環境光センサー、ホールセンサー |
SIMカード | Micro SIM×1 |
対応バンド | 2G(Quad band) 3G(Band 1/6/8/9/19 42Mbps/5.76Mbps) 4G LTE(Band 1/3/8/19/28 Cat.4、最大150Mbps) |
カメラ | 背面カメラ:1,300万画素、F値/2.0、裏面照射型センサー、AF、28mm広角レンズ 前面カメラ:500万画素、F値/2.4、裏面照射型センサー、AF、24mm広角レンズ |
バッテリ駆動時間 | 連続通話時間:960分以上、連続待受時間:400時間以上 |
バッテリ容量 | 3,350mAh |
付属品 | USB 2.0 A-Cケーブル1m、Nano SIMアダプター |
サイズ/重量(CORE部分) | 約141×74.2×11.3mm(縦×横×厚さ)、約150g |
価格 | 39,800円/COREのみ(税別) |
SoCはSnapdragon 617。このタイミングでの採用は世界初だ。1.5GHzオクタコアで、下位の210/410とは性能がかなり異なる。メモリは2GB。これはHD解像度でContinuum対応する時のシステム要件となる(フルHDでは3GB必要)。ストレージはeMMCの16GB。128GB対応/UHS-IのmicroSDカードスロットがあるので、アプリやデータなどを逃がすことができる。
ディスプレイは5型IPS式HD/1,280×720ドット(295ppi)。強化ガラスを採用し、防指紋フッ素コーティングが施されている。5型であればフルHDが欲しいところだが、コストとメモリとの兼ね合いで仕方ないところ。とは言え295ppiあるので、文字のジャギーなどはほとんど分からないレベルだ。
ネットワークはIEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1、NFC(Type A/B/F)。ただしNFC Type Fに関してはセキュア領域が無いため、おサイフケータイには対応できず、リーダー的な使い方となる。
インターフェイスは、USB Type-C(USB 2.0/OTG、Quick Charge 2.0サポート)、4極ヘッドセットジャック、スピーカー×1、マイク×2。USBに関しては2.0であるものの、Type-Cのコネクタを採用し、OTG(ホスト接続)にも対応。Quick Charge 2.0は1時間程度で80%程度充電可能。またデュアルマイクを使ったノイズキャンセル機能でクリアな通話ができる。
仕様には載っていないが、国内に準拠したFMラジオも搭載している。イヤフォンのケーブルがアンテナになり、内蔵スピーカーに音声を切り替えることも可能だ。
センサーは、3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸地磁気センサー、近接センサー、環境光センサー、ホールセンサーを搭載。
対応バンドは、2G(Quad band)、3G(Band 1/6/8/9/19 42Mbps/5.76Mbps)、4G LTE(Band 1/3/8/19/28 Cat.4、最大150Mbps)。VoLTEやキャリアアグリゲーションには対応していないものの、普段使いとして十分だろう。
背面カメラは1,300万画素、前面カメラで500万画素。どちらも裏面照射型センサーで画質に期待できる上、28mm/24mmと広角寄りのレンズを搭載している。特に前面カメラの24mmは写る範囲が広くなるので自撮りもしやすくなる。
バッテリ容量は3,350mAh。5型としてはかなり大容量だ。バッテリ駆動時間は、連続通話時間:960分以上、連続待受時間:400時間以上。COREのサイズは約141×74.2×11.3mm(縦×横×厚さ)、重量約150g。
価格はCOREと呼ばれる本体が39,800円(税別)。これに加えTWOTONEだと1,500円×2(上下)、もしくはFLIPで2,750円が必要となる。
今回筆者はTWOTONEの「Top Cover Smooth Black」、 「Bottom Cover Smooth Saffron」と、「Bottom Cover Dark Wood」を選択した(Dark Woodは後日購入)。Smooth BlackとSmooth Saffronは「クラリーノ」、Dark Woodは「テナージュ」と呼ばれる素材が使われ、それぞれ質感が違う。またもう一つ「ウルトラスエード」があり、文字通り「天然スエードと同じような構造の人工皮革」の質感を持つ素材を使ったカバーもある。
一般的にスマートフォンは冷たい感触なので、この手触りは他では味わえない雰囲気だ。更に8×8の計64通りの組合せが楽しめ、新たに1つ追加すれば、まるでスマートフォン本体を機種変したような感覚が味わえる。
重量はCOREとTWOTONEの上下合わせて実測で約171g。iPhone 6 Plusの172gとほぼ同じだ。厚みも11.3mmと今時のスマートフォンとしては厚いが、持った時のバランスが良く、素材の質感も加わり、手に馴染む。
右側面に音量±ボタンと電源ボタン。下側面に3.5mmジャック、マイク、USB Type-C、スピーカー用スリット、ストラップホールを配置。上側面と左側面には何もない。
TWOTONEのカバー上側を外すとMicro SIMカードスロットとmicroSDカードスロットにアクセスできる。どちらも上からカードを入れ金具で固定するタイプだ。Nano SIM用のアダプタと併用してもカードが引っかかて出ないなどのトラブルもなく安心して使用できる。
下側のカバーを外すと、ICカードポケットになっており、カードの出し入れが可能だ。出荷時はカード型クリーナーが収められているが、Suicaなどを入れることを想定している。なお、バッテリは内蔵で着脱はできない。唯一個人的に残念な部分だ。
ディスプレイはIPS式5型で1,280×720ドット。最大輝度は十分明るく、コントラストや視野角も良好。発色は気持ち青っぽいが許容範囲だ。防指紋フッ素コーティングで指紋跡も然程目立たない。1点気になるのは、細かいスクロールが少しガタつく。これに関しては同社も認識しているのでファームウェアのアップデートに期待したい。サウンドやカメラに付いては別途記載しているので参考にして欲しい。
インターフェイスは(USB 2.0は惜しいが)全部入り。デュアルマイクやNFC Type F、USB Type-Cなどこだわりの部分もあり、ハードウェアとしての魅力も十分備えている。価格も内容を考慮するとリーズナブルだ。それに加え独自のCOREコンセプト……非常にユニークなWindows 10 Mobile搭載スマートフォンに仕上がっている。
まずまず実用的な1,300万画素背面カメラ
カメラは1,300万画素で4:3時に4,160×3,120ピクセル。レンズはF値/2.0、35mm換算で28mm。手ぶれ補正機能はない。
カメラアプリはWindows 10 Mobile標準のものだ。自動モードとProモードがあり、Proモードでは、ホワイトバランス:Auto、曇り、晴れ、蛍光灯、白熱灯、ISO:100/200/400/800/1600/3200、シャッター速度:1/16,000~0.3秒、露出補正:-2.0~+2.0とフォーカスの調整ができ、顔認識AFも備えている。機能的に豊富ではないが必要十分(秒単位のスローシャッターが欲しいところか)。また加工やエフェクトなどに対応したアプリはかなりの数ある。
ただiPhoneなど、ハイエンドと比較して、一番のストレスとなるのはおそらくカメラだろう。AFは速くなく、ホワイトバランスも微妙。特にマクロは本体を固定して、じっくりフォーカスが合うのを待たないと、多くのケースでピンボケになる。また何故かAFが合わないシーンはとことん合わない。この辺りは流石に10万円前後の価格になるデバイスと比較にならないのは仕方ないところ。
とは言え、扱い方さえ間違わなければ、マクロもけっこう寄れ(桜のアップ)、発色はご覧のように十分綺麗だ。個人的にカメラで撮った画像の多くは、Instagramのフィルタをかけ、同時にFacebookへアップするパターンが多いため、画質に関してはこれだけあれば十分。少なくともKATANA01/02、MADOSMAなど、ローエンドと比較すると雲泥の差がある。現在国内で入手可能なWindows 10 Mobile搭載機としては最上位の画質だろう。
USB 2.0 Type-CのOTGとサウンド
NuAns NEOは、USB 2.0でType-Cのコネクタを備え、OTG(ホスト接続)によって、キーボードやマウスなどのHIDデバイス(無線のドングルも含む)、USBメモリやSDカードなどストレージ系、USB Audio/マイクと言ったデバイスを接続できる。USB Hubも利用可能だ。
現在のファームウェアでは軽いバグがあり、OTG接続するとバッテリステータスが充電中のアイコンに変わり、OTGを止めてもそのままの状態になり、再起動するまで元に戻らない。次の(4月?)ファームウェアアップデートでLINEやSkypeで通話ができないなど、他も含め修正されているとのこと。
ファームウェアに関しては、MicrosoftのLumiaなどで採用され、こなれているSnapdragon 210/410とは違い、Snapdragon 617は現時点でNuAns NEOのみ。ある意味開発途上で少々のバグは仕方ないところ。世界初の冠を得た替りのリスクとなる。
試してダメだったのは、USB/Ethernetアダプタ、別途ドライバが必要なUSB Audio(Chord Mojo)。少し深刻なのは別途ドライバが必要なUSB Audioだ。多くのケースではハイレゾ対応のDACやポタアンになるだろうか。
と言うのも、Windows 10 Mobileは、そのOSの構造から、後からユーザーがドライバをインストールする手段がない。Windows 10 Mobileの標準ドライバで抱えるか、端末メーカーのインストールイメージに含める必要がある。いずれにしても固有のデバイス対応としては非現実的だ。
Chord Mojoに限っては、iOSやOS Xでは、OS標準のUSBドライバでそのままハイレゾまで含め対応可能になっており、できればこれと同じもの(USB Audio Class 2)をWindows 10 Mobileにも組み込んで欲しいところ。ポタアンやハイレゾはそれなりに市場があり、これが使えないと言う理由でWindows 10 Mobileが候補に挙がらないのは悲しい限り。
ただ朗報もあり、Windows 10 TH2(デスクトップ版/Mobile版共)では、BluetoothのaptXにOSで標準対応し、SBCコーディックより高品位なサウンドを得ることができる(aptX LL/Low Latencyにも対応していると聞いているが資料が見当たらない)。この点については(部分的に対応している機種もあるが)AndroidやiOSより優位となる。
余談になるが、内蔵スピーカーは言うまでもなく、3.5mmコネクタからのサウンド出力もハイエンドのそれと比べるとさすがに劣る。コスト的に仕方ない部分であり、先のaptX経由でそれなりのイヤフォン/ヘッドフォンやスピーカーを接続するのがクオリティーアップの一番容易な解決方法だろう。
ただそれでは手持ちのChord Mojoが使えないため、考えたのが、Optical/Coaxialデジタル出力があり、PCM2704などWindows 10 Mobileが認識できるUSB Audioを経由する方法だ。NuAns NEO/OTG→USB DAC(PCM2704など)/デジタル出力→Chrod Mojo/デジタル入力の経路となる。これならハイレゾはNGだが、44.1/48KHzの16bitであればChrod Mojoをドライブすることが可能だ。
テストは手持ちの関係で大掛かりになっているが、PCM2704に同軸デジタル出力を付けるだけならかなり小型化できるので(キーボードの中央下付近にある剥き出しの基板の約1/3程度になる)、ちょっと作ってみようかと思っている。ここまでして鳴らす人はまれだと思うが参考まで。
Snapdragon 210/410とは異なる性能
初期設定はWindows 10 Mobile標準なので、今回は省略したい。興味のある方は以前の記事を参考にして欲しい。
NuAns NEO独自のアプリがないため、初期起動時のホーム画面は、Windows 10 Mobile標準のままだ。タイルの並びや色の設定などもカスタマイズされていない。唯一、画面キャプチャを掲載したロック画面用の画像が入っているだけとなる。
余談になるが、ソフトウェア式ボタン(ナビゲーションバー)は、下から上にスワイプすれば消すことができる。ただしWindows Phone 8.1アプリ起動中は消すことができない。これを逆手にとってUWPアプリ(=消える)かWindows Phone 8.1アプリ(=消えない)かを調べることが可能だ。
できればストアでUWPアプリ/Windows Phone 8.1アプリ/Continuum対応などの情報を分かりやすいアイコンなどで掲載して欲しいところだが、現在のところ見分ける方法はない(説明欄に書かれていることはある)。
標準搭載のアプリは、「アラーム&クロック」、「ウォレット」、「エクスプローラー」、「カメラ」、「サポートに問い合わせる」、「ストア」、「ストレージ」、「ニュース」、「フォト」、「ボイスレコーダー」、「ボッドキャスト」、「マップ」、「メッセージング×2」、「映画&テレビ」、「設定」、「天気」、「電卓」、「電話×2」、「Cortana」、「Excel」、「Facebook」、「FMラジオ」、「Get Started」、「Grooveミュージック」、「Microsoft Edge」、「OneDrive」、「OneNote」、「Outlookカレンダー」、「Outlookメール」、「People」、「PowerPoint」、「Skype」、「Skypeビデオ」、「Windowsフィードバック」、「Word」、「Xbox」……と、デスクトップ版のWindows 10でもお馴染みのものばかりで、NuAns NEO独自のものは無い。
ベンチマークテストはAnTuTu BenchmarkとGoogle Octane 2.0を使用した。AnTuTu Benchmarkのスコアは45755。ランキングを見るとiPhone 5sの約70%ほどの性能で、iOSやAndroid搭載のスマートフォンまで視野に入れてしまうと、ミドルレンジのSnapdragon 617とは言え、正直あまり速くない。Google Octane 2.0は4026。Bay Trail世代のAtomと同程度だろうか。
ただWindows 10 Mobile自体が軽いので、実際使うと、そこまで遅い感じはなく、ストレスなく普通に操作可能だ。欲を言えばGoogle Octaneのスコアからも分かるように、Webのレンダリングだけはもう少し速いといいのだが……。
バッテリに関しては、普段の動画連続再生ではなく、実際筆者が使っているデータを掲載する。使用したアプリは「Battery Widget」。この手のアプリは数多くでているが、これが一番機能(直近の4時間や曜日別の集計など)も多くまた使い易い。
2月1日に実機を入手し、いろいろ試したが、まず、素のセットアップ状態でアプリを追加せず待機のまま放置すると1週間ほど持つ。3,350mAhのバッテリは伊達じゃない。またmicroSDカードの種類、メールアカウントの数などによって結構消費電力が変わる。
現在は、メールアカウント2つ、Facebook/Messenger、Twitter、Instagramなど、それなりにバックグラウンドでも作動するアプリを入れた状態で普通に使いギリギリ2日持つ。とは言え、2日目で外出する予定があったりすると、残50%前後では不安なので、結局充電することになるのだが……。
アプリなどをインストールした状態でおおよその目安は、待機で約1%/h、アプリ使用時約3%/h、Continuum使用時約5%/h、バッテリが減っていく感じだ。
少し気になるのは最新buildの10586.164は、待機時のバッテリ消費は以前より若干減ったが、アプリ作動時の消費電力は増えたような気がする(複数の機種で確認)。ただアプリ側もそれなりにアップデートがかかっているので、その違いによるものかも知れない。
アプリとContinuum
アプリはAndroidやiOSと比較すると圧倒的に少なく、個人向けとしては少々厳しい状況だ。逆にビジネス向けには遊びの要素が少ないのでいいかも知れない。またChromeやYouTubeなど、Google純正アプリが全滅なのも痛い。
とは言え、Facebook/Messenger、Twitter、LINE、Instagramは純正アプリとして(ベータ版だったり機能不足はあるが)用意されており、TwitterとInstagramに関しては互換アプリも豊富だ。これに加え、Outlook(メール/スケジュール)、Edge、Microsoft Office Mobile、OneDriveが使えるので、筆者のように、とりあえずこれだけあればOK的な使い方であれば特に困ることはない。
またNuAns NEOの特徴の1つであるNFC Type A/B/Fを搭載した上、本体カバー内にICカードを内蔵できる仕掛けを使ったカードリーダアプリ「Kumalica」があり、これはこれでほかにはないキラーアプリになっている。
AndroidやiOSにはない機能としてContinuumが挙げられる。これは外部ディスプレイを接続することにより、ミラーリングではなく(Continuum非対応機はミラーリング)、スマートフォン側の画面と外部ディスプレイ側の画面が独立して動き(2ディスプレイ相当になる)、全画面表示のみだが、まるでWindows 10のデスクトップのように操作することが可能になる仕掛けだ。
まだまだシステムもアプリも荒削りで、Win32アプリは動かず、UWPでContinuum対応アプリのみと、デスクトップ版のWindows 10と比較して限定的な用途にはなるものの、現在のハイエンドSoCが安価になり、アプリが揃い、せめてSplitView対応になれば、これだけで趣味や仕事に使う人も増えるのではないだろうか。
筆者のように計10台以上のPCやタブレット、そしてスマートフォンを所有しているのはまれだろうが、できれば1台で済ましたいところ。用途にもよるだろうが、環境さえ整えば1台にまとめることができる。以前、筆者が書いた、Windows 10 Mobileがシェアを伸ばせる可能性のある必殺技となる。
余談になるがiOSはOS Xとの差別化もあり当面同種の機能は対応しないと思われるが、Androidの次バージョン、Android Nは、マルチウィンドシステムが搭載されていることが判明した(出荷時に表に出るかは別問題だが)。これをスマートフォン側と2画面にすればContinuum相当になるため、Windows 10 Mobileもうかうかしてられない状況になった。
参考までに筆者がインストールしているアプリは、
・Windows Phone 8.1
6tag(Instagram互換)、Battery Widget、Evernote、Messenger(通話未対応)、Phonly(Feedly互換)、Smart Player(DLNAクライアント)
・UWP/Continuum非対応
Adobe Acrobat Reader、Instagram (Beta)
・UWP/Continuum対応
Dropbox、Facebook、LINE、Scyphoz Notepad、Perfect Tube、Remote Desktop Preview、TimeMe、Tweet It!、Twitter、WeatherJP、Windows Central
と言った感じだ。もちろん標準アプリはほとんどが(レベルもあるが)Continuum対応となっている(ポッドキャスト、FMラジオ、Skype、Xboxを除く)。
なお、InstagramはBETAと(Beta)の2種類ある。前者はWindows Phone 8.1で随分昔からβ版のままだ。UWP版が出てきたのでもう完成することはないだろう。
こうして並べると意外とUWP/Continuum対応が多くなってきた(3月に入って急激に増えた)。特にPerfect TubeとTweet It!の完成度は素晴らしく、Continuum時にまるでデスクトップ版のように振る舞う(もちろんライセンスそのままデスクトップ版Windows 10でも利用可能)。この辺りは広い画面を使い切れていない純正のFacebookやTwitterアプリは見習って欲しいところ。
またFacebookに関してはContinuum時、EdgeでWebからアクセスしてもアプリを使っても、書き込んだ文字が二重に表示されたり、変換候補ウィンドウが文字を入力するたび位置がパタパタ変わったり……IME関連で問題があり、入力できない状態になる。至急修正して欲しいポイントだ。
日頃筆者が使うアプリでジャンル的に抜けているradiko.jpとDTCP-IP対応のDLNAクライアントがないのが残念な部分。さらにMessengerが通話非対応なのも不満だ。この辺りが何とかなれば嬉しいのだが。
面白い(?)情報としては、Instagram(Beta)は、「Windows Bridge for iOS」を使い移植されている。「Windows Bridge for Android」は中止になったようだが、このクラスのiOSアプリが容易に移植できるとなれば、今後対応アプリも増えるだろう。ただし、「Windows Bridge for iOS」の制限(バグ?)なのか、現状ではソフトウェア式ボタン(ナビゲーションバー)を消すとその部分がブランクで残ったり、Continuum時、画面に表示されなかったりする。
Microsoftの資料によると現在Continuumに対応しているSoCは、Snapdragon 808/810/820と、NuAns NEOの搭載しているSnapdragon 617。ただ前者と後者で大きな違いがあり、前者はSoCがUSB 3.0に対応しているので有線(USB 3.0→DisplayPortやHDMI)によるディスプレイ接続、後者はSoCがUSB 2.0対応止まりなのでMiracast/Wi-Fiを使った無線による接続となる。
NuAns NEOのContinuum時の解像度はスマートフォン側720×1,280ドット、ディスプレイ側1,366×768ドット。若干違うがHD出力だ。
もうすぐ出てくる「VAIO Phone Biz」、マウスの6型/新MADOSMAも同じSoCなのでMiracastのみの対応(ただしこの2機種はフルHD)。残念ながら有線接続ができるSnapdragon 8xx系を搭載したスマートフォンは現時点で国内にはなく、先日発表のあった「HP Elite x3」まで待たなければならないかも知れない(夏頃出荷予定)。これについては、Dock、ノートPC型Dockも含め購入予定。もしかすると、2016年を振り返る的な記事は、この環境で書くことになるかも知れない(笑)。
Miracastアダプタはいろいろ種類が出ているものの、同社の推奨は「ScreenBeam Mini2」となっている。アダプタによって大幅に性能が変わるので要注意。特に5GHz非対応モデルは実用的に使えないと思って欲しい。
最近「Screen Beam Mini2 Continuum」が出荷されたが、違いは付属するケーブルだけでハードウェア/ソフトウェア的には同じだ。「ScreenBeam Mini2」には「Screen Beam Mini2 Continuum」に付属するケーブルが含まれないものの、Android用などでよく見かける電源(USB)/Micro USB(本体)/USB(メス)のOTGケーブルが流用可能だ(筆者や編集部が保証するものではないので自己責任で)。
Continuumで必要となるキーボード、マウス、(場合によっては)スピーカーを何で接続するのが一番いいか、筆者なりにテストした結果を報告したい。
接続方法は、NuAns NEO本体のType-Cを使ったOTG、Bluetooth、Screen Beam Mini2 Continuum付属のケーブルによる接続、この3パターンが考えられる。
まずBluetoothによる接続はできるだけ避けた方がいい。特にキーボード、マウス、スピーカーの3つを接続して、音を再生し出すと全ての反応が鈍くなる。次にType-Cを使ったOTGは動き自体はスムーズだが、本体のバッテリを消費する上、充電ができなくなる。従って、Screen Beam Mini2 Continuum付属のケーブルへキーボードとマウスを接続するのがベストだ。
スピーカーは、HDMIの信号に音声も乗っているので、ディスプレイ側に音声出力があればそれを使う。もしない場合は、NuAns NEOの音声出力から信号を取り出せる(HDMI出力より本体の音声出力が優先される)ので、それを使うのがいいだろう。
うまく接続するとWi-Fiなので若干の遅延はあるが、スムーズに反応し、HD動画も全く問題なく再生可能だ。唯一スクロール時に文字が圧縮される関係で書体が乱れるが、停止すると戻るので(個人差はあるだろうが)さほど気にならない。
一点「ScreenBeam Mini2」に対する要望としては、このアダプタは入力側の解像度が何であれ、フルHDに変換して表示する仕様になっている。このため、NuAns NEOのHD画面が若干にじむ感じとなる。入力がHDなら出力もそのままHDになるようにして欲しいところ。
以上のようにトリニティ「NuAns NEO」は、現時点で唯一Continuum対応のWindows 10 Mobile搭載スマートフォンだ。まだまだ開発途上のContinuumではあるが、従来のスマートフォンの用途だけでなく、PCライクな環境も同時にこなせる可能性を秘めている。
更にNFCによるICカードリーダー、大容量バッテリ、TWOTONEやFLIPと言ったカバーの組み合わせで、好みのルックスに仕上げることができるのも魅力的。
ミドルレンジということもあり、カメラやパネル、サウンドが、iPhoneなどハイエンドと比較すると、物足りなくなるものの、普段使いには問題無いレベルに収まっている。
まだアプリが少なく万人にお勧めできないが、筆者のように、主要なソーシャル/クラウドサービス、Microsoft系のアプリがあれば大丈夫というユーザー、そしてAndroidとiOSに飽きて3つ目のスマートフォン用OSとして多少の難があってもWindows 10 Mobileを“応援したい”ユーザーに是非使って欲しい逸品だ。