西川和久の不定期コラム

日本ヒューレット・パッカード「HP Stream 14」

〜4万円を切るとは思えない仕上がりに驚きのファンレス14型ノートPC!

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は10月17日、AMDのA4 Micro-6400T APUを搭載した14型ノートPC「HP Stream 14」を発表、24日から販売を開始する。一足早く編集部から実機が届いたので、試用レポートをお届けしたい。AMD新型SoCの性能にも興味津々だ。

AMDのA4 Micro-6400T APUを搭載した14型ノートPC

 本体の説明をする前に、HP Stream 14に搭載されているSoC、AMD Microシリーズについて少し解説したい。このSoCは非常に低消費電力なもので、もともとはタブレットや2-in-1がターゲットになっている。

 SKUとしては、デュアルコアCPU+Radeon R2搭載の「E1 Micro-6200T」(1.4GHz)、クアッドコア+Radeon R3搭載の「A4 Micro-6400T」(1.0〜1.6GHz)、クアッドコア+AMD Radeon R6に、AMD 顔認識ログイン/AMD ジェスチャー・コントロールを加えた「A10 Micro-6700T」(1.2〜2.2GHz)と、3タイプが用意されている。TDPは順に3.95/4.5/4.5Wと、かなり低くなっており、ファンレスで作動させることが可能だ。

 今回ご紹介する「HP Stream 14」は、このタブレット/2-in-1向け中位SKUの「A4 Micro-6400T」を、クラムシェルノートPCへ搭載した、ある意味少し面白い構成になっている。主な仕様は以下の通り。

日本HP「HP Stream 14」の仕様
SoC A4 Micro-6400T(4コア/4スレッド、
クロック 1〜1.6GHz、キャッシュ2MB、TDP 4.5W)
メモリ 2GB(DDR3L-1333)
ストレージ 32GB(eMMC)
OS Windows 8.1 Update(64bit)
ディスプレイ 14型(光沢)液晶ディスプレイ、
1,366×768ドット、タッチ非対応
グラフィックス プロセッサ内蔵Radeon R3、HDMI
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他 USB 3.0×1、USB 2.0×2、microSDカードスロット、
92万画素Webカメラ、音声入出力、
BeatsAudioブランドクアッドスピーカー
バッテリ駆動時間 最大約6.5時間(3セルリチウムポリマー)
サイズ/重量 約346×240×17〜20.5mm
(幅×奥行き×高さ)/約1.6kg
直販価格 39,800円(税別/Officeなし)

 SoCは先に書いた通りAMD A4 Micro-6400T。4コア4スレッドでクロックは1GHz/1.6GHzとなる。キャッシュは2MBでTDPは4.5Wだ。メモリはDDR3L-1333で2GB搭載している。ストレージはeMMCの32GB SSD。これからも分かるように、見た目はノートPCだが、中身的にはタブレット(もしくは2-in-1)と言える。

 OSは64bit版のWindows 8.1 Update。ちなみに「powercfg/a」で確認したところ、InstantGoには対応していないようである。

 グラフィックスはSoC内蔵のRadeon R3。DirectX 11に対応しクロックは350MHz。外部出力用にHDMIを装備している。ディスプレイは、14型光沢のHD解像度(1,366×768ドット)。タッチには非対応だ。

 インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、USB 3.0×1、USB 2.0×2、microSDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力、BeatsAudioブランドクアッドスピーカー。Gigabit Ethernetが無いのは残念だが、一通り揃っている上に、サウンド系にこだわっているのが分かる。

 サイズは約346×240×17〜20.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.6kg。持ち歩くノートPCとして考えた場合は重いものの、同クラスとしては少し軽めか。バッテリは3セルリチウムポリマーを内蔵し、最大約6.5時間駆動可能だ。

 直販価格はOffice無しで39,800円(税別)。以降を読んで頂ければ分かると思うが、コストパフォーマンスは非常に高い。量販店モデルはOffice Personal 2013付きで約1万円アップの5万円前後の見込みとなっている。

前面。液晶パネル上中央に92万画素のWebカメラ。正面の側面は鋭角になっており何も無い
斜め後ろから。バッテリは内蔵で着脱できない。筐体は価格からは考えられないほど高品質だ
底面。安価なノートPCは黒いプラスチックが使われているものの、Stream 14はシルバー塗装のプラスチックで天板との統一感を図っている。手前左右のスリットはスピーカー
左側面。HDMI、USB 3.0、音声入出力、microSDカードスロット、ステータスLEDを備える
アイソレーションタイプのキーボード。フットプリントに余裕があるため、いびつなキーは無い。キーボード上のスリットにもスピーカーが埋め込まれている
右側面。電源入力、USB 2.0×2を備える
キーピッチは実測で約19mm。[Ctrl]キーなど最前列と[BS]キーは少し狭いもののほかは均一
重量は実測で1,619g
ACアダプタのサイズは90×35×25mm(幅×奥行き×高さ、ケーブル/突起物含まず)、重量168gと小型

 パッケージを開けた時、一番驚いたのはその質感だ。天板とパームレストはアルミニウムで、底面はプラスチックだがアルミ風のシルバー塗装が施されており、チープさなど微塵も無い。ルックスも(規格からは外れているものの)Ultrabookを彷彿する雰囲気を持っている。何も知らなければ、高価なノートPCと見間違うだろう。このクオリティを直販価格39,800円で維持できるのは、同社のスケールメリットによるものだろうか。

 天板は中央に同社のロゴのみ、前面は液晶パネル上中央に92万画素のWebカメラ、正面の側面はUltrabookのように鋭角になっているため何もない。左側面は、HDMI、USB 3.0、音声入出力、microSDカードスロット、ステータスLED。右側面は電源入力、USB 2.0×2を配置。バッテリ内蔵タイプで着脱できないので背面はスッキリしている。付属ACアダプタのサイズは90×35×25mm(幅×奥行き×高さ、ケーブル/突起物含まず)、重量は168gと小型だ。

 14型でHD解像度の液晶パネルは、さすがにこの価格だけあってIPS式のクラスには劣っている。とは言え、正面から見る限り、発色、コントラスト、明るさも十分確保されているので、然程不満はでないと思われる。

 キーボードはアイソレーションタイプ。14型とフットプリントに余裕があるため、一部のコントロール系のキーを除いて約19mm確保されている。またキー自体もチープな感触は無く好印象だ。タッチパッドは1枚プレートで広い上に追尾性も良く問題無し。

 ノイズや振動、発熱に関しては、先に説明した通りこのSoCはファンレス駆動、ストレージはSSDと物理的に回転しないため皆無。発熱も全く気にならない。サウンドはBeatsAudioブランドクアッドスピーカーを搭載しているだけあって、クラス以上のクオリティだ。欲を言えば、もう少しだけパワーが欲しいところか。

 このように、本機の外観や液晶パネル、キーボード+タッチパッド、スピーカーと言った基本的な部分は、とても4万円を切るノートPCには見えない仕上がりだ。発表の記事では「BeatsAudioブランドのクアッドスピーカーを内蔵し、一人暮らしの学生が家で音楽や動画を楽しむといった用途も想定している」と書かれているが、これなら大人でも十分楽しめる内容になっている。

BBenchで8時間超えのバッテリ駆動

 OSは64bit版のWindows 8.1 Update。ストレージがeMMCの32GB、メモリ2GBでどの程度動くのか心配だったが、この仕様としては、ストレス無くサクサク作動する。カジュアル用途なら十分の性能で、Officeなどをインストールしオフィス用途でも行けそうだ。

 初期起動時のスタート画面は2画面。HPアプリ以降がプリインストールとなる。デスクトップは、左に若干のショートカットと、タスクトレイにBeatsAudioとマカフィーリブセーフが常駐している。

 ストレージは、32GBのeMMC「BHT WR202A1032G 6702 SATA」が使われ、C:ドライブのみの1パーティション。約21.64GBが割り当てられ、空きは17.9GBだ。空きが少ないのでデータはmicroSDカードへ逃がすことになる。また、少ない容量を補うためOneDrive 100GB分の2年間利用権も添付する。Wi-FiとBluetoothモジュールはBroadcom製だ。

 デバイスマネージャから、グラフィックスはRadeon R3、プロセッサは4コアなのが分かる。また画面キャプチャには無いが「ARM TrustZone 搭載のプラットフォーム・セキュリティー・プロセッサー」も搭載している。

スタート画面1。Windows 8.1 Update標準
スタート画面2。HPアプリ以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙が変更され、左に若干のショートカットを配置
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは32GBのeMMC「BHT WR202A1032G 6702 SATA」。Wi-FiとBluetoothモジュールはBroadcom製
SSDはC:ドライブのみの1パーティション。約21.64GBが割当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリが、「Box」、「HP Connected Photo」、「HPに登録」、「The Weather Channel for HP」、「TripAdvisor」、「Windows 8入門」、「Bing翻訳」など。

アプリ画面1
アプリ画面2
アプリ画面3
HP Connected Photo
HPに登録
Windows 8入門

 デスクトップアプリは、「AMD Catalyst Control Center」、「HP Help and Support」(HP AC Power Control/HP Documentation/HP Recovery Manager/HP Support Assistant)、「Beats Audio」、「HP Quick Access to Miracast」、「7-Zip File Manager」、「HP Utility Center」、「HP SimplePass」、「マカフィーリブセーフ」など、主にツール系が中心となっている。

HP AC Power Control
Beats Audio
HP Utility Center

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア4スレッドと条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 4.3。プロセッサ 5.6、メモリ 5.5、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス 4.4、プライマリハードディスク 6.65。PCMark 8 バージョン2は1304。CrystalMarkは、ALU 19340、FPU 17290、MEM 12655、HDD 16938、GDI 4194、D2D n/a、OGL 9846。参考までにGoogle Octance 2.0は(デスクトップ版IE)3683だった。

 4コア4スレッド、クロック1.33GHz/1.83GHzのAtom Z3745Dと比較すると、プロセッサやメモリは若干劣るものの、GPUは少し速く、結果、PCMark 8 バージョン2は少しだけ高いスコアになっている。また、内蔵しているeMMCも気持ち高速だ。

 BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残7%で30,725秒/8.5時間。何と仕様上の約6.5時間を2時間も超えた。Atomプロセッサほどではないものの、8時間超えれば十分実用的と言えよう。

PCMark 8 バージョン2の結果は1304
BBenchの結果。省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残7%で30,725秒/8.5時間
「winsat formal」コマンド結果。総合 4.3。プロセッサ 5.6、メモリ 5.5、グラフィックス 4.3、ゲーム用グラフィックス 4.4、プライマリハードディスク 6.65
CrystalMarkはALU 19340、FPU 17290、MEM 12655、HDD 16938、GDI 4194、D2D n/a、OGL 9846だった

 以上のように日本HP「HP Stream 14」は、AMDのタブレット/2-in-1用APU、A4 Micro-6400Tを搭載したノートPCだ。性能はCoreには及ばないもののカジュアル用途であれば問題ない上に、BBenchで8時間超えのバッテリ駆動。加えてアルミニウム素材やBeatsAudioブランドクアッドスピーカーなどを採用しているにも関わらず、直販価格で4万円を切り、驚きのコストパフォーマンスを実現している。

 持ち歩き用として重量1.6kgはやや重いものの、試用の範囲内で特に気になる部分もなく、安価でそれなりに使えるノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。

(西川 和久 http://www.iwh12.jp/blog/