西川和久の不定期コラム
バッファロー「LS410D0201X」
~出先でも録画が観られるトランスコーダ内蔵のDTCP+対応NAS
(2013/10/11 06:00)
バッファローは7月31日、DTCP+に対応したネットワーク接続HDD「LS410DX」シリーズを発表した。トランスコーダを内蔵し、デバイスや回線に応じてデータを再圧縮するため、外出先からも録画番組を再生可能だ。既に出荷は始まっており、先日入手した「iPhone 5s」と組み合せると面白そうだと言うこともあり、お借りしての試用レポートをお届けしたい。
「LS410」シリーズと同等の性能に加え、トランスコーダを内蔵しDTCP+に対応
ご紹介する「LS410DX」シリーズは、先に発売されていた「LS410」シリーズの、データ転送速度100MB/sec、DLNA/DTCP-IP対応、Webアクセス機能、各種サーバー機能などの特徴を継承しつつ、トランスコーダを内蔵し、DTCP+に対応したタイプとなる。
搭載しているストレージの容量で、2TBの「LS410D0201X」、3TBの「LS410D0301X」、4TBの「LS410D0401X」の3モデルが用意され、価格は順に、38,850円、47,775円、61,215円(ただし受注生産)。主な仕様は以下の通り。
容量 | 2TB |
---|---|
インターフェイス | Gigabit Ethernet、USB 2.0 |
規格 | DTCP+、DTCP-IP、DLNA、DLPA NAS Level.3+リモートアクセス |
プロトコル | SMB/CIFS、AFP、FTP/FTPS、HTTP/HTTPS |
サイズ/重量 | 45×205×127.5mm(幅×奥行き×高さ)/約1.3kg |
価格 | 38,850円 |
もともとベースとなっている「LS410」シリーズも多機能であり、先に挙げた特徴をもう少し詳しく書くと、モバイル端末からNASへリモート操作できるWebAccess、「BitTorrent」をリモートで操作可能、USB機器をネットワーク経由で使用できるデバイスサーバー機能、USBプリントサーバー機能、USB外付けHDD対応(フォーマットはNTFS/exFAT/FAT32/XFS/ext3/HFS+に対応)、iTunesサーバー機能、Time Machine対応、付属の「簡単バックアップ」を使ってWindows PCから自動バックアップ、別のNASへバックアップ(対応製品が必要)、USB外付けHDDへバックアップなど、家庭用のNASとしてあれば便利な機能が満載だ。また、10月末頃のファームウェアアップデートで、「自動ダビング機能」が追加される予定だ。
本体はWindowsとMac OS X両対応だが、付属のソフトウェアなどはOSやバージョンで制限があり、Windows XPは「DiXiM Digital TV 2013 for Buffalo」と「ファイル共有セキュリティーレベル変更ツール」が利用できず、Windows Vistaは64bit版の「デバイスサーバー設定ツール」が非対応となる。またWindows RTは全て非対応。
Mac OS Xは基本的に10.6から10.8まで同じで、「DiXiM Digital TV 2013 for Buffalo」、「ファイル共有セキュリティーレベル変更ツール」、「簡単バックアップ」が非対応となる。
Windowsに関してはRTやXP/Vistaに非対応が多いものの、7や8には対応しているので、特に問題にはならないだろう。Mac OS Xに関しては「Time Machine」があるので「簡単バックアップ」は不要だ。
いずれにしてもこれら全ての機能を紹介するとかなりのボリュームになるため、今回は、新機能のトランスコーダとDTCP+を使っての楽しみ方に絞りたいと思う。
自宅の環境とセットアップ/Windows 8編
自宅のネットワークに接続しているAV機器は、「PlayStation 3(PS3)+torne」、「nasne」、「Apple TV」(今回は対象外)。デバイスは、「iPhone 4S/5s」、「iPad 3」、「Xperia A SO-04E」、「Nexus 7(2013)」がある。
PS3の主な用途はDVD/BDプレーヤーとnasneの再生。torneはnasneを購入してからは使っていない。nasneは地デジ録画用以外にも、動画/写真/音楽のサーバーになっている……と、いささか簡単ではあるがこんな構成だ。
各デバイスで録画した地デジや動画を観るときは、iOSにもAndroidにも対応している「Twonky Beam」を使っている。ただし、DTCP-IP縛りがあるため、録画した地デジはLAN内限定で、出先などインターネット経由では観ることができなかった。
そこで今回、トランスコーダを内蔵しDTCP+に対応した「LS410DX」シリーズに興味を持ったというわけだ。
このDTCP+、簡単に説明すると、DTCP-IPの新バージョンに相当し、対応した機器であれば、インターネット経由でも観られるようにした規格だ。しかし3G/LTE/Wi-Fiでは速度が異なり、さらにデバイスによって対応する解像度も違うため、元データをそのまま使うと重過ぎて再生できず、リアルタイムで適度なサイズに再圧縮しなければならないため、トランスコーダを必要としている。
ハードウェア的なセットアップは非常に簡単。本体へ接続したLANケーブルを適当なスイッチングHubへ接続、ACアダプタを付けて電源を入れるだけ。後はソフトウェアのセットアップとなる。PC上での再生は個人的に必要としていないものの、検証用としてWindows 8の入ったマシンへ一通りインストールした。
付属のCD-ROMからインストーラを起動、「かんたんスタート」でセットアップを開始、基本のLinkStationが終わると、ソフトウェア一覧が表示され個別インストールとなる。今回は「DiXiM Digital TV 2013 for Buffalo」をセットアップした。この時、ユーザー名とシリアル番号は自動的に入っているので、変更がなければそのまま進めば良い。
なおDiXiM Digital TV 2013 for Buffaloの動作環境は、OSは先に挙げた通り。CPUはCore i5/2GHz以上、メモリ2GB以上、サウンドはWindows MME/WDMに準拠したサウンドデバイス、グラフィックIntel HD Graphics 2000/Radeon HD 4600/GeForce 9600GT以上で、COPPとHDCP対応(アナログRGB非対応)、1,024×768ドット以上のディスプレイが必要となる。筆者や編集部が保証するわけでは無いが、今回のテスト環境は以前記事にしたCeleron G1610搭載機を使用した。特に問題無く動いている。
基本的に著作権保護の観点から、DiXiM Digital TV 2013 for Buffaloは画面キャプチャが撮れない仕掛けになっており、サーバーとコンテンツ一覧のみ掲載する。この段階ではLS410D0201Xにタイトルは無いため、全てnasne上のものとなる。もちろん再生できることを確認している。またリモートアクセス対応のサーバーには家のアイコンが追加されるので一目で分かるようになっている。
加えてDiXiM Digital TV 2013 for Buffaloは、リモートアクセスにも対応。ノートPCなど移動可能なPCの場合、出先で公衆無線LANやテザリングを使いコンテンツを観ることが可能だ。個人的にはノートPCはもう持ち歩かなくなってしまったが、あれば便利な機能だろう。
次は、LAN上からLS410D0201Xに割り当てられたIPアドレスを使って、Webブラウザから管理画面へアクセスする。特に機能変更が無ければそのまま使っても大丈夫だが、nasneなど他のDLNA/DTCP-IP対応機器から、LS410D0201Xへコンテンツをムーブする時は、ホーム/DLNAサーバーから操作する必要がある。
ホーム画面は、初期設定/Webアクセス/BitTorrent/DLNAサーバー/USBサーバー/詳細設定の項目。Webアクセス/BitTorrent/DLNAサーバーに関してはパネルにあるスイッチでオン/オフ可能で、設定は歯車のアイコンをクリックすればパネルを表示する。
詳細設定は、ファイル共有/ディスク/サービス/アプリケーション/ネットワーク/バックアップ/管理の項目がある。各内容はパネルを掲載したので参考にして欲しい。
この管理画面で最も重要なのは、先に書いたように、他のDLNA/DTCP-IP対応機器から、LS410D0201Xへコンテンツをムーブする時だ。LAN内であれば、nasneもLS410D0201Xも見えるので特に意識する必要は無いものの、リモートアクセスを使う場合はLS410D0201Xにコンテンツを持たなければならない。
この時、nasneはムーブ機能を持っていないが、LS410D0201Xは持っているので、nasne→LS410D0201Xへのムーブは可能になる(逆は不可)。
方法は簡単で、ホーム/DLNAサーバーをクリックすると、真ん中の画面が表示される。上に[他の機器からのムーブ]があるのでそれを選択すると、右側の画面になり、ムーブしたいコンテンツにチェックを入れ、[ムーブ]をクリックすると、機器間でLAN経由のコピーが始まる。
コピーが終了すると、タイトルのコピーカウンターが1つ減り、LS410D0201X側の一覧に追加されている。試しにムーブしたコンテンツはDRモードで約2時間ちょっとと長めだが、それでも10分はかからなかった。出先で観たいコンテンツのムーブが終われば、準備完了となる。
普通のMPEG-4やJPEGファイルなどプロテクトのかかっていないデータについては、PCなどからLS410D0201Xのshareフォルダへコピーすれば、録画した地デジと同列で扱うことができる。
iPhone 5s/iPad 3編
先に書いたように、PCでの宅内/出先での再生は「DiXiM Digital TV 2013 for Buffalo」が動けばOKなのだが、スマートフォンやタブレットを使い出先で観たい場合はAndroidかiOSかで事情が違ってくる。
まず、Andoridに関しては、現在「DiXiMリモートアクセスサービス」に対応した「DiXiM for Android」をPlayストアで単独販売しておらず、プリインストール済の機器でのみ対応だ。
10月7日の段階では、「ARROWS A SoftBank 202F」/「ARROWS NX F-06E」/「Disney Mobile on docomo F-07E」の3機種。以降搭載機種は順次増えるらしいが、既に購入済のNexus 7(2013)やXperia A SO-04Eでは残念ながら使うことができない。是非単独販売をお願いしたいところ。
iOSに関しては、「DiXiM Digital TV for iOS」(V2.0.0以降)/1,000円をダウンロード、アプリ内課金による「DiXiMリモートアクセスサービス」のアドオン購入/500円をすれば対応可能だ。
また事前にモートアクセスサービスが利用可能かチェックするツールとして、「DiXiMリモートアクセスサービスチェックツール」が無料で公開されているので、これを使って環境をテストすれば安心だろう。
とりあえずLAN上での作動を確認し、リモートアクセスサービスチェックツールを使い環境をテストしたところOKだったので、アドオンでリモートアクセスサービスを購入する。また、一度購入すると、同じApple IDを設定しているiOS機器(ここではiPad 3)へは、支払い済としてどちらも追加料金無しでインストール可能となる。
リモートアクセスを使うにはLAN上で事前に機器登録をしなければならない。一覧にサーバーが見えるので、選択、利用規約に同意し、登録すれば準備完了。これまで一番下に[サーバー]と[設定]しかなかったアイコンの中央に[リモート]のアイコンが追加され、設定にもリモートアクセスの項目が現れる。
再生品質は低画質/標準画質/高画質の3択。公衆無線LANでの再生ならいずれの設定でも大丈夫だが、3GやLTEでの再生だと転送容量の問題があり、iPhone 5sの小さい画面で見る限り、あまり画質を上げても効果が薄いので欲張らない方が無難だ。もちろんiPad 3でも試したが特に問題無く再生された。カフェなどの公衆無線LANを使ってゆっくり観る時は、大画面のiPadは迫力がある。
以上のようにバッファロー「LS410D0201X」は、トランスコーダを内蔵しDTCP+に対応したネットワーク接続HDDだ。加えて家庭用NASとして必要な機能も満載。なかなか魅力的な製品に仕上がっている。
現在Androidに関しては特定機種でしかリモートアクセスできないのは残念だが、iOS搭載機とPCについては問題無く動作する上、もともとDTCP+に非対応のnasne上にあるコンテンツも本製品へムーブし出先で観られるようになり大満足。今回の記事をご覧頂いて「おっ!」と思われたユーザーにお勧めの製品だ。