西川和久の不定期コラム

デル「XPS 12」

〜ディスプレイが回転してスレートPCに変身する12.5型Ultrabook

 10月23日、デルはWindows 8を搭載するPCを発表した。今回はその中からタッチ対応のコンバーチブルUltrabook「XPS 12」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。

ディスプレイが回転してスレートPCへ変身

 少し前にご紹介した、「ASUS TAICHI」もそうだったが、Windows 8搭載ノートPCは、液晶パネルを2枚搭載したり、液晶が裏まで回転したり、液晶をスライドさせてキーボードが現れたりと、いろいろ工夫することでスレートPCにも変身できるノートPCが多く発表された。今回のXPS 12もそういったのコンバーチブル型ノートPCの1つだ。

 仕掛け的には、液晶パネルのフチにフレームがあり、その左右中央で固定されたパネルがクルっと回転し、スレート形状に変形する。主な仕様は以下の通り。

「XPS 12」(スタンダードモデル)の仕様
CPU Intel Core i5-3317U
(2コア/4スレッド、1.7GHz/
Turbo Boost 2.6GHz、キャッシュ3MB、TDP 17W)
チップセット Intel QS77 Express
メモリ 4GB
SSD 128GB
OS Windows 8(64bit)
ディスプレイ IPS方式パネル&ゴリラガラス採用
12.5型液晶ディスプレイ(光沢)、1,920×1,080ドット、10点タッチ対応
グラフィックス CPU内蔵Intel HD Graphics 4000、Mini DisplayPort
ネットワーク IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0
その他 USB 3.0×2、130万画素Webカメラ
サイズ/重量 317×215×20mm(幅×奥行き×高さ)/
約1.52kg(最小構成時)
バッテリ駆動時間 最大約5.5時間(6セル)
販売価格 99,980円から

 プロセッサはIntel Core i5-3317U。2コア4スレッドでクロックは1.7GHz。Turbo Boost時2.6GHzまで上昇する。キャッシュは3MB、TDPは17Wだ。チップセットはIntel QS77 Expressを採用。メモリは4GB、ストレージはSSDで128GB搭載している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。外部出力としてMini DisplayPortを備える。ディスプレイは、10点タッチ対応IPS方式パネル&ゴリラガラス採用12.5型液晶ディスプレイで解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。光沢タイプなので映り込みは気になるものの、強靭なゴリラガラスなので(程度もあるが)少々雑に扱ってもキズが付かず安心して使用できる。

 ネットワークは有線LANは無く、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応している。Gigabit Ethernet非対応のため、NASなどとの併用は転送速度が気になるところ。またIntelのスマートコネクトテクノロジーに対応し、スリープ時にもメールなどを定期的にチェック可能となっている。

 そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、130万画素Webカメラと、ある意味最小構成。USB 3.0の一方は本体の電源OFF時に電源供給可能だ。

 サイズは317×215×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.52kg(最小構成時)。液晶パネルのサイズが12.5型の上、周囲にフレームが付いていることもあり、若干大きめとなっている。バッテリは6セルで駆動時間は最大5.5時間。本体内蔵で交換できないため、実質どの程度なのかは、後半のベンチマークテストで検証したい。

 価格は99,980円から。なお、上記の仕様はスタンダードモデルであり、メモリを8GB、SSDを256GBへ強化したプレミアムモデルが119,980円から。更にプロセッサをCore i7-3517Uにしたプラチナモデルが129,980円からとなっている。最近評価したこのクラスのPCは、メモリが4GBに固定だったこともあり、8GBモデルがあるのはポイントが高い。

フロント。手前側面には何も無い。液晶パネルのフチが少し大きめだ
斜め後ろから。トップカバーは細かいドットが入ったマットな手触りのつや消し黒
底面。メモリはストレージにアクセスできる小さいパネルは無い
左側面。回転ロックボタン、音声入出力、電源スイッチ、ボリューム、スピーカー左
キーボードはバックライト搭載のアイソレーションタイプ
右側面は、電源コネクタ、Mini DisplayPort、USB 3.0×2(手前がPowered USB)、バッテリステータスLED、スピーカー右
重量は実測で1,534g
キーピッチは実測で約19mm。一部狭いものもあり、特に[Enter]キーが狭いのは気になるところ
ACアダプタと付属品。ACアダプタのサイズは50×20×90mm。コネクタはミッキータイプだ
スレートPCへ1(変形途中)。液晶パネルを囲むフレームがあり、その左右中央からクルっとパネルが回転する
スレートPCへ2(変形終了)。フレームの分フットプリントは大きくなるものの、スレートPCへ変身できる
iPad3との比較。全体的にかなり大きい。特に16:9だけあって、横方向に長い
【動画】トップカバー閉めるとスレートPCへ

 トップカバーは細かいドットが入ったマットな手触りのつや消し黒で指紋が付き難くなっている。また触った時、冷たく感じるヘアライン仕上げなどとは違い、暖か味がある。筐体は削り出しのアルミとカーボンファイバーで強度を増し、全体的にXPSシリーズらしく、堂々とした高級感だ。

 左サイドは、回転ロックボタン、音声入出力、電源スイッチ、ボリューム、スピーカー左。右サイドは、電源コネクタ、Mini DisplayPort、USB 3.0×2、バッテリステータスLED、スピーカー右。USBポートは手前がPoweredになっている。裏はメモリやストレージにアクセスできる小さいパネルは無く1枚で覆われている。バッテリも内蔵され交換には非対応。

 ACアダプタのサイズは50×20×90mm。小型でコンパクトとまでは行かないものの、大きくて邪魔になるほどでもない。コネクタはミッキータイプだ。

 液晶パネルはIPS式と言うこともあり、視野角は広く、明るさコントラスト、発色全て良好だ。最小輝度でもかなりクリアに表示する。タッチの感度も良く、Windows 8をスムーズに操作できる。周囲のフレームに支えられ回転する機構は、ガタつきもなく、それぞれの固定位置でしっかり止まる。動きなどは動画を掲載したので参考にして欲しい。

 パームレストはマグネシウム。トップカバーと同じ質感だ。12.5型ということもありスペースは十分以上確保されている。キーボードはアイソレーションタイプで、ON/OFFの2段階のバックライトを備えている。また防滴になっており作業中にコーヒーを少しこぼす程度であれば大丈夫だ。強く押してもたわむこと無く筆者的には好印象。キーピッチは19mmを確保。ただし一部狭いキーもあり、特に[Enter]キーが狭いのは慣れるまで入力しにくいかも知れない。

 タッチパッドは物理的なボタンが無く1枚板タイプ。約100×60mmと広めであり、快適に操作可能だ。

 ノイズや振動はSSDと言うこともあり、かなり低く抑えられている。発熱はこの時期、部屋自体の温度が比較的低く、ほとんど感じられなかった。

 サウンドは左右両サイドにスピーカーが配置され、ステレオ感もあり、またクリアで上品な音質だ。「Dell Audio」を操作して好みにセッティングも可能。最大出力も十分あり、音楽も動画も楽しめる。

Core i5プロセッサとSSDで快適作動

 OSは64bit版のWindows 8。スタート画面は1面のみとかなりシンプル。Windowsストアアプリとして、「Amazon for Windows」、「Dell Windows 8をお使いになる前に」、「Skype」。デスクトップアプリとして、「My Dell Support」、「ムービーメーカー」、「フォトギャラリー」が追加されている。同様に、デスクトップも左側にショートカットを1つ追加した程度と、ほぼ素のWindows 8に近い状況だ。

 SSDは「SAMSUNG SSD PM830 mSATA 128GB」。いろいろ細かいパーティションが切られているものの、実質C:ドライブのみの1パーティション。約105GBが割当てられ、79.7GBの空きとなっている。用途によっては不足する可能性もあり、その場合は256GBモデルを選びたい。

 Wi-Fi、Bluetoothともに「Intel Centrino」が使われている。その他は、先に書いたように、搭載しているインターフェイスが最小構成ということもあり、特筆すべき点は無い。

スタート画面1。1面のみで、追加されているアプリは「Amazon for Windows」以降のみ
起動時のデスクトップ。こちらも左側にショートカット1つ追加しただけの、ほぼ素のWindows 8に近い状態
SSDは「SAMSUNG SSD PM830 mSATA 128GB」。Wi-Fi、Bluetooth共、「Intel Centrino」
SDDのパーティションはC:ドライブのみの1つで約105GBが割当てられている

 プリインストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリとして、「Amazon for Windows」、「Dell Windows 8をお使いになる前に」、「Skype」……と、スタート画面にあったもののみとかなり少ない。

 ただ「Dell Windows 8をお使いになる前に」は、動画を使い、Windows 8のいろいろな操作方法を紹介している。ユーザーインターフェイスがWindows 7から大幅に変わったこともあり、この手のソフトウェアは有効だろう。

アプリ画面1
Dell Windows 8をお使いになる前に1/2
Dell Windows 8をお使いになる前に2/2

 デスクトップアプリは、「Dell Audio」、「Dell Backup and Recovery」、「Dell Support Center」など同社のツール系、「Intelスマートコネクトテクノロジー」などIntelのツール系、「ムービーメーカー」、「フォトギャラリー」となる。こちらもかなり少なめだ。

 「My Dell Support Center」はデスクトップアプリであるが、Windowsストアアプリ的なインターフェイスになっている。ライブ・タイルっぽい見せ方になっていて、ご覧のように、タイルの中にステータスを表示、パッと見て状況が分かる工夫もされている。

Dell Audio
My Dell Support Center
PC Checkup

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。PCMark 7は何故かインストーラーが途中で止まってしまいテストできなかった。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.4。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 5.4、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 8.1。CrystalMarkは、ALU 35636、FPU 33668、MEM 35459、HDD 38495、GDI 11628、D2D 1621、OGL 4313。TDP17WのCore i7にスコアは劣るものの、それでも普段使いには十分なパフォーマンスだ。加えてSSDなので、ブートやアプリケーションの起動も含め、ストレスフリーで操作可能。

 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で11,396秒/3.2時間。最大約5.5時間の70%程度となった。丸1日のバッテリ駆動は厳しいと言えよう。ただスリープからの復帰も速く、ちょっと触ってまたスリープ的な使い方であれば、それなりに持つかも知れない。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)は総合 5.4。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 5.4、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 8.1
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で11,396秒/3.2時間
CrystalMarkはALU 35636、FPU 33668、MEM 35459、HDD 38495、GDI 11628、D2D 1621、OGL 4313

 以上のようにXPS 12は、ディスプレイ部が回転し、ノートPCにもスレートPCにもなる12.5型のUltrabookだ。デザインや質感も非常に良く細部にわたって完成度は高い。スタンダードモデルだと10万円を切る価格でコストパフォーマンスも抜群だ。

 有線LANが無いのは惜しいものの、フルHDで操作しやすいWindows 8搭載Ultrabookを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。

(西川 和久)