西川和久の不定期コラム

日本HP「Pavilion dm1-3000 Notebook PC」
〜SSD搭載で10.5時間動作するAMD E-350ノート



 ここのところ、AMDのGPU統合型CPU“Fusion APU”を搭載したノートPCがいろいろ発表され出した。Fusion APUはGPUのパワーはもちろんのこと、ノートPCで重要となるバッテリ駆動時間も改善されている。

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)より、このFusion APUを搭載する「Pavilion dm1-3000 Notebook PC」の量産試作機が届いたので、試用レポートをお届けする。


●基本を押さえた魅力的なスペック

 本コラムで2月にAMD E-350を搭載したマザーボードを紹介した。“Fusion APU”と呼ばれるこのプロセッサは、GPU統合型CPUとしては初のDirectX 11に対応しており、TDPは18W。CPU(デュアルコア1.6GHz)クラスとしては強力なGPUパワーに驚いたものだ。

 2010年までは、この手のノートPCはAtomプロセッサが全盛だったものの、このAMD E-350の登場によって一気に風向きが変わりそうな勢いがある。特にGPUがチップセット側でなく、CPUと一体化していることもあり、システム全体で省エネ化が期待でき、ノートPCで採用した場合、バッテリ駆動時間がどうなるのか非常に興味のあるところ。

 今回届いたPavilion dm1-3000 Notebook PCはDirectplusモデル。主な仕様は以下の通り。

【表】HP Pavilion dm1-3000 Notebook PCの仕様
CPU AMD E-350(2コア/2スレッド、1.6GHz、キャッシュ512KB×2、TDP 18W)
チップセット AMD A50M FCH
メモリ 2GB(PC3-10600 DDR3-SDRAM 1066MHz)/2スロット空き1/最大8GB
SSD 128GB
OS Windows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ 11.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
ビデオ機能 Radeon HD 6310(CPU内蔵)、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワーク Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0
その他 USB 2.0×3、SDカードリーダ(SDXC対応)、マイク入力/ヘッドフォン出力コンボポート、Webカメラ
サイズ/重量 292×216×22〜32mm(幅×奥行き×高さ)/約1.52kg
バッテリ駆動時間 約10.75時間(6セル)
価格 79,800円(HP Directplus)

 CPUは先に挙げた通りのAMD E-350。現在「Fusion APU」はE-350/E-240/C-50/C-30と4種類あるが、その中で一番性能の高いプロセッサだ。2コア/2スレッド、CPUクロック1.6GHz、キャッシュ512KB×2。AMD-VそしてAMD64にも対応している。メモリはPC3-10600 DDR3-SDRAM 1,066MHzに対応し、最大8GBまで搭載可能だ。

 グラフィックスは、CPUに統合されたRadeon HD 6310。液晶パネルはグレア(光沢)タイプの11.6型、解像度は1,366×768ドット。HDMI出力とミニD-Sub15ピンも搭載し、最大出力解像度は1,920×1,200ドット(WUXGA)となっている。ビデオメモリはメインメモリと共有で2GB時、最大948MBを使用する(4GB時、最大1,972MB)。GPGPUのATI Streamが使えるため、対応しているソフトウェアであれば、エンコードなどが高速化される。

 チップセットはAMD A50M FCHで、“Fusion APU”と対となるものだ。SATAは6Gbps対応するが、USB 3.0には非対応となっている。メモリは2スロット。204ピンSO-DIMMで2GB×1の計2GBが搭載済。ストレージは128GBのSSDを使用している。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n、そしてBluetooth 3.0にも対応している。安価なノートPCは有線LANが100Base-TXまでの製品が多いので、Gigabit対応は嬉しいポイントとなる。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×3、SDXCに対応したSDカードリーダ、マイク入力/ヘッドフォン出力コンボポート、約30万画素のWebカメラ。あえて言えば、チップセット自体がUSB 2.0しか対応していないため、USB3.0が非搭載なのが少し残念なところか。

 OSはWindows 7 Home Premiumの64bit版。+2GBで計4GBにしてもメモリ空間を全て使うことができる。

 サイズは、292×216×22〜32mm(幅×奥行き×高さ)。重量約1.52kg。バッテリは6セルで、駆動時間は驚きの約10.75時間となっている。実測でどれだけ動くのかこの点については後半チェックしてみたい。HP Directplusでの価格は79,800円だ。

 なお、128GB SSDを500GB(7,200rpm) HDDへ、メモリを2GBから4GB(2GB×2/スロット空き0)へ変更した量販店モデルも用意され、店頭予想価格は6万円前後となっている。

天板は「facet」デザイン。濃いグレーの天板に黒のラインで模様が描かれている 正面。手前の薄い部分に「ALTEC LANSINGステレオスピーカー」を内蔵している 底面。ネジなどが一切無く、バッテリを外し、そこから引っ張り上げればパネルが外れる。メモリスロット1つが空き
左側面。電源コネクタ、ロックポート、HDD/電源LED、HDMI出力、USB 2.0×1 キーボードはアイソレーションタイプ。キータッチもかなり良い 右側面。普段はパネルで閉じている部分にGigabit Ethernet、USB 2.0×2、マイク入力/ヘッドフォン出力コンボポート、SDカードリーダ。パネルはここまで倒れる
キーピッチは実測で約18.5mm(仕様上は18.6mm) 重量は実測で1,506g ACコネクタはミッキータイプ。バッテリは6セルだ。右側にあるのは「ウォールマウントプラグ」

 トップカバーは「facet」デザイン。ブラックが基調になっているが、指紋の跡が目立たない。ボディはシルバー、キーボードとタッチパッドがブラックと、シャープなデザインとなっている。トップカバーとボディは、同社の「HP Imprint」テクノロジーが使われ、独特な光沢感がある。

 サイズ292×216×22〜32mm(同)、重量約1.52kgは、11.6型のノートPCとしては少し重めだが、持った時のバランスは良く、見た目以上の重さは感じない。

 液晶パネルはグレア(光沢)タイプなので、映り込みは気になるが、明るく綺麗な発色だ。ただ上下の視野角は左右と比較して若干狭く、発色自体も少し色が薄い様に思える。180度折り曲がるため、机などと水平にパネルを倒すことが可能だ。

 キーボードは、アイソレーションタイプ。これまで筆者がレビューした同社のノートPCには無かったタイプで、たわむ事も無く、キータッチも良く、なかなかしっかり作られている。

 タッチパッドは、ピボット・ローテーションやピンチ・ズームなどに対応したマルチタッチ仕様。パームレストも含め、あまり面積は広くないものの、実際使った感じは特に問題ない。また、左上の小さい穴は、LEDが仕込まれており、その部分を押すとタッチパッドのON/OFF機能となる。パッドがONのときに点灯するのではなく、OFFにしたときにLEDが点灯する。

 SSD搭載機なので、本体の振動は皆無。また熱やノイズも、E-350のTDP 18Wが効いているのか、ほとんど気にならないレベルとなっている。

 今回一番驚いたのは内蔵している「ALTEC LANSINGステレオスピーカー」だ。サイズ的にあまり低音が出ないのは仕方無いとして、11.6型のノートPCとしては出力がかなりある。YouTubeでミュージックPVなどを最大音量で観ると大迫力!

●GPUパワーとバッテリ駆動時間に驚き!

 起動時のデスクトップは、「HP Support Assistant」のショートカットが1つとシンプル。デフォルトの壁紙は、アートな感じでなかなかお洒落な雰囲気を醸し出している。

 OSはWindows 7 Home Premiumの64bit版。ただメモリが2GBな上にGPUとメモリ共有するため、実質1.6GBと少し少なめだ。出来れば+2GBの計4GBにすれば更に快適に動くと思われる。

 チップセットがSATA 6Gbpsに対応しているので、搭載しているSSDが何なのか気になるところだが、デバイスマネージャを見ると「RealSSD C300」が使われていた。SATA 6Gbpsに対応したモデルだ。パーティションはシステム用のC:ドライブ約102GB、そしてD:ドライブ約16GBと2つだ。

 そのほか通信系のデバイスは、Bluetoothに「Ralink Motorola BC8」、無線LANに「Ralink RT5390」が使われている。

起動時のデスクトップ。OSはWindows 7 Home Premiumの64bit版。アートな壁紙がお洒落だ SSDは6Gbps対応の「RealSSD C300」。Bluetoothに「Ralink Motorola BC8」、無線LANに「Ralink RT5390」を採用する パーティションはシステム用のC:ドライブ約102GB、そしてD:ドライブ約16GBの2つ

 プリインストールされているアプリケーションは、音楽/写真/動画/Webカメラを全画面インターフェイスで快適に楽しめる「HP MediaSmart」、「Windows Live Essentials 2011」、「Cyberlink DVD Suite」、「ノートン・インターネットセキュリティ2011(60日間試用版)」など。また今回はSSDなので関係無いものの、衝撃からHDDを保護する「HP 3D DriveGuard」も入っており、500GBのHDDを搭載した店頭モデルでは有効に機能する。

 さて、冒頭で少し触れたが、2月にこのAPUを搭載したマザーボードの記事が載った直後、Flash Player 10.2が発表された。Stage Videoによるハードウェア・アクセラレーションで、内蔵GPU Radeon HD 6310にも対応したことを知り、追って追試/追記しなければと思っていたので、今回改めてテストしている。

 結果はYouTubeの720p/1080p、窓表示/全画面表示全てコマ落ち無く30fpsをスムーズに再生できた。窓表示時のCPU使用率は40%前後と低いが、全画面時は80%前後と高めになる。いずれにしてもこのクラスのノートPCとしては抜群の動画再生能力だ。先に挙げたサウンドの件も含め、動画コンテンツを十分に楽しめる。

HP MediaSmart HP MediaSmart/ピクチャ HP Support Assistant
HP 3D DriveGuard HP Setup Manager YouTube 1080pの再生
【動画】YouTube 1080pの動画を再生中。全画面で1080p動画をコマ落ち無し、30fpsで再生している。(c)諏訪光二

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 3.8。プロセッサ 3.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 7.7。ストレージがSSDなのでなかなかの値。ゲーム用グラフィックスは全体のバランスを考えると飛びぬけている。欲を言えば、CPUのスコアが4点台だと文句無しなのだが……。

 CrystalMarkは、ALU 10626、FPU 9657、MEM 7741、HDD 29028、GDI 4294、D2D 2144、OGL 9017。やはりHDDとOGLは、クラスを超えた値をたたき出している。

 BBenchは、「Power Saving」の「省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON(Bluetooth/OFF)での結果だ。バッテリの残5%で35,439秒(9.8時間)。スペック上、最大約10.75時間なので、かなり近い。ただしバックライトOFFだと画面が見づらいため、実際はバックライトを使用することになり、もう少し短くなる。とは言え、これだけ持てば、丸一日バッテリだけで作業しても大丈夫だろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 3.8。プロセッサ 3.8、メモリ 5.5、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 7.7 CrystalMarkは、ALU 10626、FPU 9657、MEM 7741、HDD 29028、GDI 4294、D2D 2144、OGL 9017 BBench。「Power Saving」の「省エネルギー」モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON(Bluetooth/OFF)でのBBenchの結果。バッテリの残5%で35,439秒(9.8時間)

 以上のように、Pavilion dm1-3000 Notebook PCは、AMD E-350を搭載しGPUがパワフルで、バッテリ駆動時間も約10時間とかなり長い。加えてGbE、Bluetooth 3.0、HDMI出力など、ポイントも押さえ、普段使いなら十分以上のパワーを持つ魅力的な11.6型液晶パネル搭載のノートPCだ。

 500GB HDD/4GBメモリの量販店モデルもあるので、店頭で見かけたら是非、試して欲しい。