西川和久の不定期コラム

ニッキュッパの激安PC「HP Pavilion Desktop PC p6120」



HP Pavilion Desktop PC

 ここのところ「安価なPC=Atomプロセッサを使ったネットブック/ネットトップ」というイメージが強いが、HPから普通のデスクトップPC「HP Pavilion Desktop PC」が、最小構成29,800円で発表された。モデルナンバーは「p6120」。驚くことにこの価格でWindows Vistaもインストール済み。今回はその実力のほどをレポートしたい。


●HP Pavilion Desktop PC p6120の仕様

 Windowsまで含んでニッキュッパ=29,820円の「HP p6120」。いったいどんな仕様なのか非常に興味のあるところだ。さすがにこれだけ安いと「どこかで手を抜いているのでは?」と勘ぐってしまう。しかしメーカースペックや内部を見ると、これはいらぬ杞憂だったことがわかる。

 まずCPUは「Celeron 450」。2.2GHz、512KBの2次キャッシュ、FSB 800MHzのシングルコア(Hyper-Threading無し)だ。ソケットはLGA775。Pentium Dual-Coreはもちろん、Core 2 DuoやCore 2 Quadにも対応しているこのソケットであるが、現存するCPUで安価なものを搭載している。しかし、それでもクロックは2.2GHzで、Atomのそれを上回る。参考までにWindows VistaのWindows エクスペリエンス インデックス CPU値は4.3で、デュアルコア/Hyper-ThreadingありのAtom 330と同じ値となる。

 チップセットは「Intel G33 Express」を搭載。LGA775系のチップセットとしてはP45/G45などより一世代前となるものの、1,333/1,066/800MHzのシステムバス、最大17GB/secの帯域幅と8GBのメモリアドレス空間をサポートするなど、現役で十分通じるアーキテクチャだ。グラフィックスはGMA 950の改良版コアを使った内蔵の「GMA 3100」。動画支援機能は無いが、Windows VistaのAeroに対応している。

 このようにPCの中核をなすCPUやチップセットに関して疑問が付くような部分は無く、CPUのみ廉価版であるものの、他の部分はごく一般的な構成だ。特に手を抜いている部分は見当たらない。ちなみに、このp6120に使われているマザーボードは、同社のm9000シリーズと同じものとだと聞いている。

他の仕様は以下の通り。

・OS Windows Vista Home Basic SP1
・メモリ 標準1GB(1スロット1GB使用/4スロット最大8GB)
・HDD 160GB(SATA)
・DVD-ROM
・PCI Express x16×1、PCI Express x1×2、PCI×1
・IEEE 1394
・USB2.0 ×2(フロント)/×4(リア)
・オーディオ2ジャック(フロント)/6ジャック(リア)
・S/PDIF In/Out(RCA)
・15-in-1カードリーダ
・LAN 10/100/1000BASE
・最大300Wの電源ユニット
・新デザインの「ID09シャーシ」、マウス/キーボード(USB)
※評価したマシンはSP1だったが、出荷版は時期的にSP2適応済みの可能性がある

 いかがだろうか。HDDの容量がネットブックと同じなのは意味深だが、動画を大量に保存しない限り十分な容量だ。逆にOS代を考えると「この価格で売って大丈夫なのだろうか」といらぬ心配をしてしまう内容とも言える。

外観。microATXマザー対応したミニタワーPCケースだ。フロントは光沢仕上げでご覧のように結構映り込むが質感はなかなか良い フロント。上から15-in-1カードリーダ、DVD-ROM、そしてスライド式のパネルがある フロント/サブパネル。スライド式のパネルを開けると、オーディオIN/OUT、USB 2.0×2が現れる。Expansion Bayは、オプションでもう1つDVD-ROMなどが取り付けられ、右側にイジェクトボタンがある
リア。電源、リアに大きなファンがあることがわかる。加えて内部にCPU用のファンが1つの計3つとなる リア(アップ)。上からオーディオ系6ジャック、Ethernet、USB 2.0×4、IEEE 1394、アナログRGB、S/PDIF In/Out、PS/2タイプのマウス、キーボードポート。側面のパネルは左に見えるネジ1本を外せば開けられる 付属のキーボードとマウス。どちらもUSB接続タイプ。キーボードの右上には独立した音量調整用のキーがある。キータッチは少しストロークが長い
内部(全体)。写真が傾いているのではなく、若干フロントが高くなっている。HDDは縦置きのシャドーベイに納められていた メモリスロット付近。1GBのメモリ1本が一番左側のソケットに刺さっている。CPUファンは結構静かだ 電源ユニット。p6120唯一のウイークポイント(コストダウンの影響)があるとすれば、この300Wの電源ユニットになる。できれば余裕を見て500Wタイプが欲しかった

 CPU、リア、電源と3つあるファンの音は、低い音で聞こえるものの許容範囲。マウスやキーボードはこんな安価なPCに付属している割には普通のクオリティで、特に安っぽい部分は無くしっかりした作りだ。ミニタワー型のフロントパネルはなかなか綺麗! 自作PCで、このフロントパネルの質感に電源を搭載すると1万円で収めるのは難しいだろう。上部にある「15-in-1カードリーダー」も使いやすい。内部も写真からわかるように非常にスッキリまとめられ、HDDを追加するなど拡張も容易だ。メモリに関しては、4つあるメモリスロットに1GBを1枚挿しているだけの構成となっている。

 1つ残念な点があるとすれば、GMA 3100の出力がアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)のみと言うことだ。HDMIとまでは言わないものの、せめてDVI出力が欲しかったが、この点は必要であれば別途PCI Express x16へGPUを搭載すればいい。ただし、電源が最大300Wなので、ハイエンドビデオカードだと確実に電源容量不足となる。NVIDIAにしろAMDにしろ消費電力の低いビデオカードを選んだ方がベターだろう。

 余談になるが、筆者は2007年の年末にASUSの同じG33チップセットを使ったベアボーン、「V3-P5G33」を1台、サーバー用として購入している。当時本体の価格は2.5万円ほど。それが1年半後には安いCPUを使っているとは言え、OS込みでニッキュッパとは驚き! いずれにしてもこれだけメーカー製のPCが安くなると、自作PCに対する価値観が変わってしまう程のインパクトがある。

 このp6000シリーズ、参考までに、メモリやHDDの容量はそのまま、OSをWindows Vista Home Premium、CPUにCore 2 Duo E7400(2.8GHz、2次キャッシュ3MB、FSB 1,066MHz)、DVDスーパーマルチドライブ、NVIDIA GeForce GT220(1GB)の構成で、59,850円(HP Direct)となる。

●使い勝手とパワーアップ

 これまで長時間Windows Vista Home Basicを使ったことが無く、今回はじめて触ったのだが、大きな違いは「Aeroが無い」だけ。もちろん細かい機能の有無があるものの、普通にアプリケーションを動かしているだけならウィンドウ枠が半透明かそうでないか程度の差でしかない。1GBのメモリでもネットブックやネットトップが想定している用途では割と普通に動いている。電源ONからログインパネルが出るまで35秒。結構速い。これから考えても、初心者の1台目のPCとして考えても十分使えると思われる。

 標準で入っているアプリケーションは「HP MediaSmart」と「ノートン インターネットセキュリティ2009」。前者は全画面でDVDビデオ、音楽、写真、動画などを再生する同社のオリジナルアプリケーションだ。起動直後のメモリ使用量は600MB前後。GMA 3100のグラフィックメモリがメインメモリと共有タイプなので、1GBではあまり余裕は無い。できれば+1GBで計2GBとしたいところだ。この場合、シングルチャネル作動からデュアルチャネル作動になるので、メモリやグラフィックスのパフォーマンスアップも期待できる。

 また冒頭の注釈で少し触れたが、送られて来た評価機はWindows Vista Home Basic SP1だった。時期的にSP2が導入済みで出荷される可能性もあったので、後からインストールしたのだが、Windows エクスペリエンス インデックスの値などに変化は無かった。

デスクトップ/HP MediaSmart。画面中央に表示している大きいアイコン4つが「HP MediaSmart」 デバイスマネージャ/主要デバイス。HDDはST3160815AS(160G SATA300 7200)が使われている。 ドライブ構成。D:ドライブはリカバリー、F:〜I:ドライブは15-in-1カードリーダ
Windows エクスペリエンス インデックス。参考までにAtom 330プロセッサを搭載したIntel BOXD945GCLF2は、4.3/4.5/4.1/2.8/5.9だった。GMA 950と比較してグラフィックスが若干弱い CrystalMark 2004R3結果

 この最小構成とも言えるPCで、少し拡張するとどうなるのか興味があり、メモリとビデオカードを増設し、Windows エクスペリエンス インデックスの変化を見ることにした。メモリは2G+2GBの計4GB。この状態で一通りテストを行なった後、更にGeForce 9400 GT(512MB)を加えテストしてみたい。仮にこれらの増設を行ったとしても、今なら1万円以下で可能な範囲だ。購入後しばらく使って順次バージョンアップするには丁度いい。

増設したメモリ。入っていた1GBを外し、2GBを2枚をセット。デュアルチャネル作動となるためパフォーマンスアップが期待できる メモリ4GBにした時のWindows エクスペリエンス インデックス。デュアルチャネルの効果があった。メモリ、グラフィックス、ゲーム用グラフィックスの値が向上した。 CrystalMark 2004R3結果

 メモリを4GBにした場合、Windows エクスペリエンス インデックスのメモリ/グラフィックス/ゲーム用グラフィックスは、4.5→4.9、3.0→3.8、3.2→3.4と軒並み上がっている。これは1GB/シングルチャネル作動より、2GB+2GB/デュアルチャネル作動の計4GBの方がメモリアクセスが速くなり、メインメモリとグラフィックメモリを共有しているGMA 3100も合わせてスコアが上がる。今回手持ちの関係で2GB+2GBの計4GBとしたが、経験上4GBをフルに使うことはあまりないため(加えてVistaが32bit版だと実質3GB弱までしか使えない)、+1GBの計2GBで十分だと思われる。

GeForce 9400 GTを付けたところ。ファンレスのGeForce 9400GT(512MB)をPCI Express x16へ取り付け更なるパフォーマンスアップを試みる 更にGeForce 9400 GTを搭載した時のWindows エクスペリエンス インデックス。さすがにグラフィックス系はグンと向上した。これ以上はCPUを交換した方が効果的だろう CrystalMark 2004R3結果

 PCI Express x16にそこそこのビデオカードを搭載すると、GMA 3100との差は圧倒的だ。SPが16基のGeForce 9400 GTでさえ、グラフィックス3.8→4.7、ゲーム用グラフィックス3.4→5.2と劇的に改善される。ここに来て初めて4.3のCPUが一番低い値となった。なお、このGeForce 9400 GTはIONプラットホームに搭載しているGPUとほぼ同等のアーキテクチャだ。最近は1万円未満でいろいろなGPUが出回っているので、予算に合わせて購入するといいだろう。

 システムの拡張としては、メモリ、GPU、それでもパワー不足ならCPUの交換と言った感じの順番だろうか。いずれにしてもソケットがLGA755、ゆったりした余裕のケース、そしてPCI Express x16があるので、電源容量さえ許せばいくらでもパワーアップが可能となる。

 また同社は「Windows 7 フリーアップデートキャンペーン」も発表している。6月26日以降に購入したPCに適応されるのだが、対象はWindows Vista Home Premium、Ultimate、Businessのプリインストールマシンで、Home Basicは対象外となる。ニッキュッパより少し高くなってしまうが、OSをこれらのエディションにして、Windows 7に無料でアップデートできる方を選ぶのも手かも知れない。

 以上、ニッキュッパとは言え、CPUはLGA775のCeleron 450、チップセットはIntel G33 Express、メモリスロットが4本で最大8GB、IEEE 1394も含め必要なインターフェイスは全部入り。もちろんPCI Express x16もある。このままでも普段使いならほどほどのパワーを持っている上、メモリを増やしたり、CPUを交換したり、PCI Express x16にビデオカードを搭載したり……と、後々パワーアップするためのベースモデルとして選ぶのもありだろう。

 そのまま使う初心者から、いろいろ増設する上級者まで、安価に楽しめるこのHP Pavilion Desktop PC p6120は、お買い得のデスクトップではないだろうか。

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