最新液晶ディスプレイ ピックアップ

日本サムスン「S24B750V」
~スマホ接続用MHL対応のデザイン重視ディスプレイ



S24B750V
液晶サイズ24型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.276mm×0.276mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度2ms(GTG)
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト有効時 5,000,000:1)
視野角水平170度/垂直160度
輝度250cd/平方m
表示色約1,670万色
走査周波数水平:30kHz~81kHz
垂直:24~60Hz(MHL時:24~60Hz)
チルト角度下1度、上21度
高さ調節なし
スイベルなし
ピボット機能なし
入力端子HDMI/MHL共用×1
HDMI×1
ミニD-Sub 15ピン×1
ステレオ音声入力
出力端子ヘッドフォン出力
スピーカー5W+5W
VESAマウント非対応
電源ACアダプタ
消費電力標準30W
付属品HDMI-DVIケーブル
HDMI-MHLケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
オーディオケーブル
ACアダプタ
ドライバーCD
本体サイズ570×204×435mm(幅×奥行き×高さ)
重量6.0kg

 日本サムスンから、特徴的なデザインを採用する液晶ディスプレイ「S24B750V」が登場した。一般的な液晶ディスプレイとは大きく異なる、斬新なデザインに加え、MHL(Mobile High-definition Link)に対応する点など、他にはない特徴があり、見どころの多い製品となっている。価格はオープンプライスで、実売価格は24,800円前後だ。

●本体デザイン

 S24B750Vの本体デザインは、以前取り上げた「S23A950D」に近い、非常に独特なものだ。スタンド部や液晶とスタンドを接続する部分に、大胆に曲線を取り入れており、通常の液晶ディスプレイとは一線を画すデザインとなっている。また、本体カラーは液晶面がブラック、本体背面とスタンド部がホワイトで、光沢処理が施されており、S23A950D同様に家電の液晶TVに近い雰囲気となっている。

 本体サイズは、570×204×435mm(幅×奥行き×高さ)と、24型液晶パネルを搭載するディスプレイとしては標準的なサイズだ。S23A950Dでは、液晶パネル部の奥行きが11.4mmと極端に薄い点が特徴だったが、本機では33mmと、3倍ほどの厚さとなった。とはいえ、使用上この点が気になることはないはずだ。

 ところで、スタンド部が通常の液晶ディスプレイ部とほぼ同じ横幅(実測で約555mm)となるため、設置面積はかなり大きくなる。また、スタンド部が曲面となっているため、小物を置くスペースとしての活用も難しい。このあたりは若干の割り切りが必要だろう。

 液晶パネル面のチルト角は、手前に1度、奥に21度まで調節可能。高さ調節やスイベル機構は備わっていない。電源ボタンや入力切り替え、OSD操作用のボタンは、液晶下部ベゼル右側に集められており、S23A950D同様に全てタッチセンサーとなっている。タッチセンサーの反応は申し分ないが、S23A950Dのようなバックライトでボタン部が浮かび上がるというギミックはない。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、24型ワイド液晶を採用。パネルの方式はTN方式。S23A950DではsRGBカバー率100%の広色域パネルが採用されていたが、S24B750Vでは通常のパネルを採用。TNパネルを採用しているため、視野角は上下160度/左右170度と、IPS方式やVA方式に比べ狭くなっている。また、視点を上下や左右に移動させると、色合いや明るさの変化が感じられる。ただ、その度合いは思ったほど大きくなく、実際に使用する時に気になることはほとんどないだろう。バックライトにはLEDを採用しており、輝度は250cd/平方mと十分な明るさを確保。コントラスト比は、標準で1,000:1、ダイナミックコントラスト有効時には500万:1となる。

 応答速度は2ms(中間色)とTNパネルらしく高速で、映像やゲーム画像などを表示させた場合でも残像はほとんど気にならない。パネル表面は非光沢処理が施され、外光の映り込みはほとんど気にならない。

●接続端子

 映像入力端子は、HDMI×2系統とミニD-Sub15ピン×1系統の3系統を用意。PC用のディスプレイという位置付けながら、DVI入力が用意されない点は少々気になるが、HDMI-DVI変換ケーブルが標準で添付されており、PCとの接続も問題ないと考えていい。また、2つ用意されているHDMI入力のうち1つがMHL(Mobile High-definition Link)に対応しており、付属するHDMI-MHLケーブルを利用して、MHL対応のスマートフォンを接続し利用可能。ミニD-Sub15ピン用の音声入力端子とヘッドフォン出力端子も用意される。

 これらポート類は、液晶パネル部の背面に配置されている。S24B750Vでは、スタンド部後方にポートが配置されていたため、スタンド後方にケーブルを接続するすき間を確保する必要があったが、本機ではスタンド部を壁に密着させるように配置しても問題なくケーブルを接続できる。ただ、できればヘッドフォン端子は前面または側面に配置してもらいたかった。

●OSD

 OSDは、S24B750Vと同様に、メニューレイアウトが円形に配置された独特なデザインとなっている。設定できる項目はそれほど豊富ではないが、明るさやコントラスト、色合い調節など基本的なものはもちろん網羅されており、通常使用時に困ることはない。また、TNパネルを採用していることから、液晶パネル正面から上下や左右にずれた位置から見る時に、明るさや発色が最適になるように調整する「SAMSUNG MAGIC Angle」も用意されている。

 OSDの操作は、本体下部のタッチセンサーを利用する。タッチセンサーの反応は良好で、OSD表示時にはボタン部に操作ガイドも表示されるため、操作性は悪くない。ただ、ボタンが横に並んでいるため、慣れるまでは少々戸惑いそうだ。

●画質

 Samsungは、IPS方式の開口率を高めたPLS方式の液晶パネルを製造している。西川和久氏のコラムでも取り上げられているように、「S27A850D」など実際に搭載製品も存在している。しかし本製品は、TN方式の液晶パネルを採用している。TN方式のため、IPS方式やPLS方式と比べ視野角が狭い。実際に、上下や左右に視点を移動させると、表示画像の色合いや明るさの変化がやや大きく感じられる。また、発色は比較的自然ではあるものの、全体的に色合いが薄いように感じる。ちなみに、OSDメニューにある「SAMSUNG MAGIC Color」を利用すれば、発色だけでなくコントラストも向上し、かなり表示品質が向上する。また、上下左右の視点の位置に合わせて色合いを調節する「SAMSUG MAGIC Angle」を搭載する点も、TNパネルを採用する液晶ディスプレイらしい特徴だ。

 もちろん、TNパネルを採用することによる利点もある。それは応答速度の速さだ。本製品ではGTGで2msと高速で、映像を表示した場合はもちろん、ゲームでも残像をほとんど感じることはない。加えて表示遅延もかなり少なく、家庭用ゲーム機を接続してゲームをプレイしてみても、表示遅延により操作性が損なわれていると感じることはほとんどなかった。これなら、ゲーム用途にも十分活用できそうだ。

 ところで、本製品には2系統のHDMI入力が用意されているが、その一方はMHLに対応しているという点も特徴の1つ。本製品にはHDMI-MHLケーブルも同梱されており、MHL対応のスマートフォンやタブレットを接続し利用できる。実際に「Galaxy S II」を利用してみたところ、問題なく映像が表示できるのはもちろん、MHLケーブルで接続している時にGalaxy S IIの充電が行なえる点も確認できた。Galaxy S IIをMHL接続した時の入力映像信号は、解像度がフルHD(1,920×1,080ドット)、リフレッシュレートは30Hzとなる。そして、ホーム画面はもともとの解像度のまま拡大表示するだけだが、フルHD動画を再生させると、きちんとドットバイドットで表示される。

 S24B750Vは、その独特なデザインに目を奪われるものの、その中身はいたってまじめな液晶ディスプレイだ。TNパネルを採用している点や、映像入力端子がHDMI×2とアナログRGBのみでDVI入力が用意されていないなど、気になる部分もあるが、全体的にはよくまとまった製品と言える。デザインと採用パネルを考えると、ビジネス用途にはマッチしないかもしれないが、家庭で利用するディスプレイとしては十分な魅力がある。特に、デザイン性を重視した液晶ディスプレイを探している人にオススメしたい。

バックナンバー

(2012年 3月 14日)

[Text by 平澤 寿康]