最新液晶ディスプレイ ピックアップ

ベンキュージャパン「XL2420T」
~国内初の3D Vision 2対応ゲーミング液晶



XL2420T
液晶サイズ24型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.276×0.276mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度5ms(GTG:2ms)
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト有効時 12,000,000:1)
視野角左右170度/上下160度
輝度350cd/平方m
表示色約1,670万色
走査周波数・アナログRGB/HDMI
水平:15~83kHz
垂直:24~120Hz
・DVI-D-DL
水平:30~140kHz
垂直:56~120Hz
チルト角度下5度、上20度
高さ調節130mm
スイベル左35度、右35度
ピボット機能あり
入力端子DVI-D-DL(HDCP対応)×1
HDMI 1.4×2
DisplayPort×1
ミニD-Sub 15ピン×1
USBアップストリームポート×1
S.Switch接続用USBポート
出力端子USBダウンストリームポート×3
ヘッドフォン出力
スピーカーなし
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力最大45W/エコモード30W
付属品Dual Link DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
USBケーブル
S.Switch
電源ケーブル
ドライバCD
ディスプレイカバーシート
本体サイズ571.4×149.9×516.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量約6.1kg

 ベンキュージャパンは、PCゲーマーをターゲットとした24型液晶ディスプレイ「XL2420T」を発表した。ゲームを快適にプレイできるよう、応答速度の高速なパネルを採用するとともに、遅延の少ない表示モードを用意。元プロゲーマーが監修した、FPSのプレイに最適化した表示設定も標準で用意する。また、NVIDIAの最新立体視システムである「3D Vision 2」に対応する点も大きな特徴となっている。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は44,800円前後。

●本体デザイン

 XL2420Tは、PCゲーマーをターゲットとした製品ということもあり、一般的なBenQ製液晶ディスプレイとは異なるデザインとなっている。中でも、T字型で直線的な下部スタンドと、赤を採用したネック部の穴などがかなり目立つ存在だ。また、ネック上部には、ヘッドフォンをかけるフックも用意されており、PCゲーマーを意識したデザインと言える。

 ただ、ゲーミングPCのような奇抜なデザインは採用されておらず、どちらかと言うとおとなしいデザインだ。側面や背面など、一部光沢処理が施されている部分があるものの、スタンドや本体ベゼル部など、ほとんどはつや消し処理となっており、ゲームプレイ中に気が散ることはない。ただし、素材のプラスチック感が強く感じられ、やや安っぽく感じる点は残念だ。

 液晶ベゼル部は十分に狭額で、本体サイズは、571.4×149.9×516.9mm(幅×奥行き×高さ)と、24型ディスプレイとしては十分コンパクトにまとまっている。LEDバックライトを採用しているが、本体部の奥行きは極端に薄くはない。

 スタンド部は、下5度、上20度のチルト角度調節、130mmの高さ調節、左右それぞれ35度のスイベル機構、液晶を縦位置にして利用できるピボット機構を備える、高機能な仕様となっている。また、ぐらつきも少なく、許容範囲内だ。

 電源ボタンやOSD操作用のボタンは、液晶ベゼル右側下部に集められている。ボタンは全てタッチセンサーとなっており、触れるとビープ音とともにライトが点灯するようになっている。タッチセンサーの反応は良好で使いやすい。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の24型液晶を採用。パネルの方式はTN方式で、120Hz駆動に対応。ただし、IPSパネルなどに比べ上下の視野角が狭い。実際に画面を見ても、上下に視点を移動させると、明るさや色合いが若干変化するのが確認できた。とはいえ、その度合いはそれほど大きくなく、利用時に視点が大きく移動すること自体ほとんどないため、ほぼ気にならないレベルだ。パネル表面は非光沢処理が施され、外光の映り込みは全く気にならない。こういった部分は、ゲーミングディスプレイとして標準的な仕様と言える。

 応答速度は、TNパネルを採用していることもあり、中間色で2msと非常に高速。バックライト輝度は、3D Vision 2対応ということもあり、350cd/平方mとかなり明るい。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D-DL(HDCP対応)×1系統、HDMI×2系統、DisplayPort×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計5系統と豊富に用意されており、多くのPCやゲーム機を接続する場合でも不安はない。また、USB Hub機能を備え、背面に1ポート、左側面に2ポートのUSB端子に各種周辺機器を接続し利用できる点も便利だ。また、背面端子部にはミニUSBポートも用意されているが、そちらは付属のS.Switchを接続するためのものだ。

 XL2420Tにはスピーカーは搭載されておらず、音声入力端子も用意されない。ただ、左側面にはヘッドフォン出力端子が用意されておりHDMI端子から入力された音声が出力される。

●OSD

 XL2420TのOSDメニューは、設定項目は豊富ではないが、輝度やコントラスト、色合いの調節など、基本的な項目は全て網羅されており、必要十分の設定が可能となっている。それに対し、ゲームプレイ時に便利に利用できる機能が豊富に用意されている点が特徴といえる。例えば、17型や19型でアスペクト比が5:4や、19型でアスペクト比16:10など7種類の画面サイズを擬似的に再現する「ディスプレイモード」が用意されており、プレイするゲームに合わせて最適の画面サイズやアスペクト比を設定できる機能を用意。

 また、元プロゲーマーが監修した、FPSタイトルをプレイする場合に最適の画面モード「FPSモード」も搭載。FPSモードは2種類用意され、1つはCounter-Strike 1.6用に、もう1つはCounter-Strike Source用に最適化されている。さらに、3種類の画面設定モードを保存し簡単に呼び出せる機能も用意されているので、プレイするタイトルによって表示設定を細かく設定しておける。

 OSDの操作は、右側面ベゼル下部に用意されているタッチセンサーか、付属のS.Switchを利用して行なう。タッチセンサーはボタンが縦に並んでいるが、ボタン横に操作ガイドが表示されるため、ある程度操作はわかりやすいが、上下左右のカーソル移動や設定項目の調節など、直感的な操作は少々難しく感じる。しかし、付属のS.Switchを利用すれば、ホイールとボタンを利用して直感的な操作が可能。さらに、プリセットした3種類の画面設定モードを呼び出す専用ボタンも用意されているため、OSDの操作にはS.Switchを利用するべきだろう。

●画質

 液晶パネルにTN方式を採用していることもあり、IPS方式やVA方式の液晶パネルを採用する製品に比べ、視野角はあまり広くなく、上下や左右に視点を移動させると、明るさや色合いの変化が感じられる。とはいえ、実際にゲームをプレイしたり、PCを利用している場合に、大きく視点を移動させながら利用することはなく、通常利用している場合に視野角の狭さを感じることはほぼないと考えていい。また、発色も自然で、IPS/VA方式パネルを採用する製品と比べ、表示品質が大きく劣ることはなく、十分に満足できるレベルと言える。

 それよりも、やはりTNパネル特有の高速な応答速度のおかげで、快適にゲームがプレイできる点の方がXL2420Tの最大の特徴だ。実際にFPSやレースゲームなどをプレイしてみたが、残像を感じるシーンは全くといっていいほどなく、非常にくっきりとした映像でプレイが可能だった。しかも、リフレッシュレート120Hzに対応しているため、よりスムーズな描画でプレイできる。これは、非常に高速な画面のパンや切り替えを伴うFPSタイトルをプレイする場合に特に有利に働くはずだ。遅延の少なさも特筆すべき部分で、シビアなコントロールを要求されるゲームでも、違和感を感じることは全くなかった。このあたりは、ゲーマー向けをターゲットとしている製品だけのことはある。

 次に3D Vision 2について。3D Vision 2の最大の特徴は、従来の3D Vision対応ディスプレイに比べて約2倍の輝度が得られる「3D LightBoost」に対応している点だが、XL2420Tももちろん対応している。実際に、3D Vision 2対応メガネと3D LightBoostを用意して3D映像の見え方を比べてみたが、やはりXL2420Tと3D Vision 2対応メガネの組み合わせで非常に明るい3D映像が楽しめた。この差は非常に大きく、一度3D Vision 2を体験すると、従来の3D Visionには戻れないと感じるほどだ。

 また、3D Vision 2では、映像が2重に見えるクロストークも低減されているとされる、ただ、実際に確認したところでは、完全にクロストークがなくなるほどではなかった。それでも、従来の3D Visionに比べると、十分に少なくなっていると感じられたので、違和感を感じる場面はかなり少ないと言っていいだろう。これだけ明るく、またクロストークの少ない3D映像が楽しめるなら、ゲームも3Dで十分楽しめると考えていいだろう。

 ただし、XL2420Tで3D Vision 2が利用できるのは、Dual LinkDVI-D入力のみとなっている。そのため、DisplayPortで接続したPCや、HDMIを利用して接続した家庭用ゲーム機や各種AV機器などでは、3D映像を楽しめない。もともとXL2420Tは、3D Visionエミッタを内蔵しておらず、単体で3D立体視映像の表示機能を持たないことを考えるとしかたがないが、少々残念だ。

 XL2420Tは、TN方式の液晶パネルを採用することによる高速な応答速度や、表示遅延の少なさ、120Hz対応による高リフレッシュレートでの表示および3D Vision 2に対応する点、ゲームプレイに最適な表示モードがプリセットされている点など、ゲームプレイに特化した機能が大きな特徴だ。視野角はやや狭いが、発色の鮮やかさなど表示品質も十分満足できるもので、ゲームプレイ以外の用途にも十分に対応できる。高さ調節やスイベル、ピボットなど、高機能なスタンドが付属している点も魅力だ。

 最近では、IPS方式の液晶パネルを採用する低価格製品が増えていることもあり、4万円を超える価格は少々高価に感じるかもしれないが、高速な応答速度や3D Vision 2対応などは真似のできない部分で、XL2420Tの最大の魅力となるはず。ターゲットとなるユーザー層はもちろんPCゲーマーだが、応答速度が高速かつ高機能な液晶ディスプレイを探している人にもオススメしたい。

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(2011年 12月 22日)

[Text by 平澤 寿康]