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ベンキュー「EW2420」
~VAパネル+LEDバックライトの24型液晶



EW2420
液晶サイズ24型
パネル方式VA方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.276mm×0.276mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度25ms(GTG 8ms)
コントラスト比3,000:1(ダイナミックコントラスト 2,000万:1)
視野角水平178度/垂直178度
輝度250cd/平方m
表示色約1,677万色
走査周波数水平:30kHz~83kHz
垂直:50~76Hz
チルト角度下5度、上20度
高さ調節なし
スイベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
HDMI 1.3×2
ミニD-Sub 15ピン×1
USB 2.0アップストリームポート×1
ステレオミニジャック(Line In)×1
出力端子USB 2.0ダウンストリームポート×4
ステレオミニジャック(Line Out)×1
ヘッドフォン出力×1
スピーカー1.5W×2
VESAマウント対応(100mm×100mm)
電源内蔵
消費電力標準33W 最大53W
付属品DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
USBケーブル×1
オーディオケーブル
電源ケーブル
ドライバCD
本体サイズ581.9×179×439.7mm(幅×奥行き×高さ)
重量約6kg

 ベンキュージャパンは、LEDバックライトとVA方式の液晶パネルを組み合わせた液晶ディスプレイ「EW2420」を発売した。LEDバックライトとVAパネルを組み合わせた製品としては、同じくベンキュージャパンから「VW2420H」が登場済みだが、EW2420ではHDMI入力が1系統増えるとともに、ステレオスピーカーも内蔵されており、AV用途をより強く意識した製品となっている。価格はオープンプライス、実売価格は35,000円前後だ。

●本体デザイン

 本体デザインは、本体下部やスタンド部分などに曲線を多用していることもあってか、柔らかい印象を受ける。また、スタンド部や液晶ベゼル部は、光沢感の強い塗装が施されており、見た目からも、映像の鑑賞やゲームプレイなど、一般ユーザーのホビーユースをメインターゲットとしているように感じる。

 本体サイズは、581.9×179×439.7mm(幅×奥行き×高さ)。24型と大型の液晶パネルを搭載していることもあり、幅と高さは比較的大きいが、LEDバックライトを採用しているため、奥行きは液晶サイズを考えるとかなり短く、省スペース性に優れる。横幅はやや大きくなるものの、デスク上で占める設置スペースは22型ワイド液晶ディスプレイとほぼ同等であり、設置スペースの確保もそれほど難しくはないはずだ。

 液晶パネル面のチルト角は、下5度から上20度の間で調節可能。スタンド部に、高さ調節やスイベル機構は備わっていないが、本体重量は約6kgと軽いこともあり、横方向の角度調節は比較的楽に行なえる。

 本体右側面下部には、電源ボタンや入力切り替え、OSD操作用のボタンなどが配置されている。ボタンが縦に並んでいるため、OSD操作時などに操作に戸惑うことがある点はやや気になった。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、24型ワイド液晶を採用。パネルの方式はVA方式で、視野角が水平・垂直とも178度と広く、多少視点が移動しても、表示映像の色合いの変化を全くといっていいほど感じない点は嬉しい。また、VA方式の特徴である黒の再現性の高さは際立っており、引き締まった黒が表現される点は大きな魅力だ。さらに、コントラスト比が標準で3,000:1、ダイナミックコントラストを有効にすると2,000万:1と非常に高い点も大きな特徴だ。

 VA方式の弱点である応答速度に関しては、標準で25msとやや遅いものの、オーバードライブによりGTGは8msとなり、動画を表示させた場合でも残像が気になることはほとんどない。ただ、非常に高速な画面描写を行なうゲーム画像などを表示させた場合には、若干残像が気になった。

 バックライト輝度は最大250cd/平方m、パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、HDMI×2系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計4系統を用意。本体にはステレオスピーカー(1.5W×2)が内蔵されているため、音声入力端子(ステレオミニジャック)も1系統用意されている。その他には、USB 2.0アップストリームポート×1とUSB 2.0ダウンストリームポート×4、音声出力(ステレオミニジャック)×1、ヘッドフォン出力がそれぞれ用意されている。USB 2.0ポートは、本体背面と左側面に2ポートずつ配置。ヘッドフォン出力も左側面に配置されている。ところで、接続端子とは関係ないが、ヘッドフォン収納用フックを本体背面に取り付けられる点は面白い特徴となっている。

●OSD

 OSDメニューは、プロ用途をターゲットとした製品と比較すると設定項目は少ないが、輝度やコントラスト、色合い調節など、必要な設定項目はしっかり用意されており、このクラスの製品としては十分な調整が行なえると考えていい。ただ先述のように、操作を本体側面の縦に並んだボタンで行なうこともあり、特に左右へのカーソル移動時などで操作に戸惑うことがあった。

●画質

 液晶パネルにVA方式のパネルを採用しているため、表示品質はかなり優れている。特に、VAパネルの特徴でもある、黒の再現性が非常に高い点は大きな魅力。TNパネルを採用する製品では、暗黒の画像でもわずかなバックライトの透過により若干の明るさを感じる、いわゆる“黒浮き”が発生するが、EW2420は黒浮きが非常に少なく、引き締まった黒が再現される。また、ダイナミックコントラストを有効にすると、コントラスト比が2,000万:1となり、明暗部の差がよりはっきりと再現されようになる。もちろん、上下や左右に視野角がずれても発色が変化することはほとんどない。特に暗部の多い写真を表示させた場合でも、臨場感あふれる画像が楽しめる。もちろん、黒以外の発色も申し分なく、TNパネルを採用するディスプレイとの比較はもちろんのこと、IPSパネルを採用するディスプレイとの比較でも十分に高画質だと感じる。

 ただし、応答速度が25ms(黒白黒)と、このクラスの液晶ディスプレイとしては遅いこともあり、映像の残像が気になる場面が多い。特に、ゲームなど高速なスクロールを伴う映像を表示させた場合には気になってしまう。それでも、オーバードライブ技術「Advanced Motion Accelerator」を有効にすると、中間色の応答速度が8msとなり、残像感がかなり緩和される。ゲームなどでは、それでもまだ残像を感じるのは事実だが、映画などの映像ではほぼ残像が感じられなくなるため、ほぼ問題ないと考えていいだろう。

 EW2420は、実売価格が35,000円前後と、24型液晶ディスプレイとして特別安価というわけではない。とはいえ、24型クラスの製品の多くがTNパネルを採用する中、VAパネルを採用し、表示品質が他の製品を圧倒していることを考えると、価格以上の魅力があることは間違いない。特に、引き締まった黒の再現性はすばらしく、メリハリのある臨場感あふれる画像を楽しめる点は、TNパネルを採用する製品には真似のできない部分だ。唯一の弱点は応答速度の遅さで、特にゲームプレイ時にはやや気になる。それでも、デジカメで撮影した写真を表示させたり、映画などの動画を再生させるといった用途に最適だ。安価ながら、表示品質に優れる液晶ディスプレイを探している人にオススメしたい。

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(2010年 10月 20日)

[Text by 平澤 寿康]