最新液晶ディスプレイ ピックアップ

アイ・オー・データ機器「LCD-DTV223XBE」



LCD-DTV223XBE
液晶サイズ21.5型
パネル方式TN方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.248mm×0.248mm
表面処理ノングレア
バックライト方式冷陰極管
応答速度5ms
コントラスト比1,000:1、DCRオン時 10,000:1
視野角水平170度/垂直160度
輝度250cd/平方m
表示色1,670万色
走査周波数水平:24.8kHz~82kHz
垂直:56.3~75Hz
チルト角度下5度、上15度
高さ調節なし
スイベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
ミニD-Sub 15ピン×1
HDMI(1.2a)×2
D端子(D5対応)×1
Sビデオ×1
コンポジットビデオ×1
音声入力用ステレオミニジャック×2
音声入力用ステレオピンジャック×2
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカー7W+7W
搭載チューナ地上デジタル×1
BSデジタル×1
VESAマウント対応
電源内蔵
消費電力PC時38.7W、TV時38.0W、最大56W
付属品DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル×1
サウンドケーブル(ミニジャック)×2
アンテナケーブル×1
電源ケーブル
リモコン×1
単4乾電池×2
B-CASカード×1
B-CASカードカバー×1
本体サイズ522×180×376mm(幅×奥行き×高さ)
重量約5.2kg(スタンド含む)

 アイ・オー・データ機器は、地上デジタル・BSデジタルチューナを内蔵する液晶ディスプレイ「LCD-DTV223XBE」を発売した。PC向けの液晶ディスプレイとしてはもちろん、パーソナル液晶TVとしての利用にも最適な製品となっている。価格はオープンプライスで、実売価格は35,000円前後だ。

●本体デザイン

 本体デザインは、ボディカラーがブラックということもあってか、非常にシンプルで落ち着いた印象を受ける。全体的に直線的で、自己主張はかなり少ない。また、液晶面の高さ調節やスイベル機構は用意されていない。こういった部分は、PC向けの液晶ディスプレイというよりは、どちらかというと小型の液晶TVの仕様に近い。とはいえ、液晶面のチルト角度は、下5度から上15度まで調節できるようになっており、この部分から、PCディスプレイとしての利用もしっかりと考えられていることがわかる。ただ、本体部分はプラスチック素材がほぼそのまま感じられることもあり、あまり高級感はない。

 本体サイズは、522×180×376mm(幅×奥行き×高さ)。極端な狭額ベゼルではないが、十分コンパクトにまとめられている。

 本体右側面下部には、内蔵スピーカーの音量調節ボタン、内蔵チューナのチャンネル切り替えボタン、入力切換ボタン、電源ボタンが用意されている。また、主電源スイッチも用意されているため、待機電力も極力カットしたい人は嬉しいはずだ。ちなみに、これら本体側に用意されている操作ボタンは、基本的には緊急用であり、通常は付属のリモコンを利用して操作を行なう。そのため、電源のON/OFFやTVのチャンネル切り替えなどは家電感覚で行なえる。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、21.5型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はTN方式。応答速度は中間色5msと、特に高速というわけではない。視野角は、水平170度、垂直160度。TNパネル採用ということもあり、上下の視野角が変わると、わずかに色合いの変化が見られる。バックライト輝度は250cd/平方mだが、数値以上に明るく感じる。パネル表面は非光沢処理が施されており、外光の映り込みなどは一切気にならない。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統と、ミニD-Sub15ピン×1系統、HDMI(1.2a)×2系統、D5端子×1系統、Sビデオ/コンポジットビデオ(排他利用)×1系統の計6系統と豊富に用意。PCだけでなく、AV機器やゲーム機なども豊富に接続して利用可能だ。また、HDMI以外の入力端子には、全て個別に音声入力が用意されている。ちなみに、音声出力端子は用意されないが、本体左側面にはヘッドフォン出力が用意されている。

 映像入力端子は多いものの、入力切り替えは付属のリモコンを利用し、入力端子の種類ごとに直接切り替えられるため、入力切り替えの不便は一切感じない。

 端子類は、Sビデオ/コンポジットビデオのみ本体左側面に用意されており、その他は液晶裏面に配置されている。背面には、上記接続端子に加え、内蔵する地上デジタルチューナとBSデジタルチューナ用のアンテナ接続端子がそれぞれ独立して用意されている。また、左側面には、B-CASカードスロットも用意されている。

●TV機能

 内蔵のTV機能は、地上デジタル放送およびBSデジタル放送に対応。CATVパススルーに対応しているので、ケーブルTVを利用している場合でも地上デジタル放送を楽しめる。ただし、110度CSデジタル放送、データ放送、双方向サービスには非対応だ。

 電子番組表(EPG)の表示はもちろん可能で、新聞のTV欄と同様の形式で1週間分の番組表を表示できる。また、各チャンネルで現在放送されている番組のみを表示することも可能だ。録画機能は用意されていないが、EPGを利用した視聴予約は行なえる。TV機能自体は、特に充実しているわけではないものの、地上デジタルやBSデジタルの視聴は、一般的な液晶TVとほとんど遜色なく利用できると考えていい。

 ちなみに、PC表示時(DVI-DおよびミニD-Sub15ピン)には、内蔵チューナのTV映像を子画面で表示できるため、PC利用時にTVを楽しむことも可能。ただし、HDMI入力時には子画面表示は行なえないため、PC利用時にTVを楽しみたいなら、PCはDVIまたはアナログRGBで接続しよう。

 本体底部には、オンキヨー製の7W+7Wステレオスピーカーを内蔵している。再生音は、ややこもっているようにも聞こえるが、しっかりとした低音が再生されており、液晶ディスプレイに内蔵されるスピーカーとしては比較的優れた音質を実現している。これなら、音質にこだわるという人を除き、別途外部スピーカーを用意せずとも十分に満足できるだろう。

●OSD

 本体左側面には、電源ボタンや音量調節ボタン、内蔵チューナのチャンネル切り替えボタンが用意されているものの、OSD操作用のボタンは用意されていない。OSDは、付属のリモコンでのみ操作が可能となっている。

 リモコンの「メニュー」ボタンを押すとOSDメニューが開き、リモコンのカーソルボタンと決定ボタンを利用して操作するため、操作自体は非常にやりやすい。ただし、リモコンがないと、OSD操作は一切行なえなくなる。

 OSDメニューに用意されている設定項目は、内蔵TVチューナ関連の設定メニューがある点は、他の液晶ディスプレイと大きく異なる部分だが、輝度やコントラスト、色合い、色相調節といった基本的な項目に関しては、一通り網羅されている。また、映画や映像(CG)表示など、標準で4種類のプリセットが用意されており、それぞれの設定内容も自由に変更可能となっている。

●画質

 パネル表面が非光沢処理となっていることもあり、鮮烈的な発色というわけではないが、比較的低価格のTNパネル採用液晶ディスプレイとしてほぼ標準的なものと言える。ただ、単体で見ている場合には、それほど気にはならないのだが、他の液晶ディスプレイと並べて比較すると、標準設定では全体的に発色が白みがかっているように、色がやや薄いと感じられる。個人的には、プリセットで用意されている「CG」モードに変更すると、色がしまって画質が向上すると感じた。基本的には、標準設定モードよりも、やや発色が濃くなるように調節した方がいいと思われる。

 映像表示時には、やや残像が感じられる。また、HDMI端子に家庭用ゲーム機を接続して試したところ、入力映像の表示遅延もわずかではあるが感じられた。ゲームプレイに支障が出るほどではないが、アクションゲームやFPS系ゲームなど、非常にシビアなコントローラ操作が要求されるゲームでは、少々気になるかもしれない。

 内蔵TVチューナを利用した、地上デジタルおよびBSデジタルの表示品質だが、こちらも全体的に発色が薄いように感じられるので、色の濃さを強めに設定したい。映像の解像感は、さすがにフルHDパネルを採用していることもあり、ハイビジョン放送の番組はくっきりと表示される。ただし、SDクオリティの番組は、ややぼやけた印象の画像となっている。また、明るい部分や暗い部分は、かなり階調が潰れてしまう。こういった点は、低価格液晶TVでも同様に感じられるもので、TVの画質は低価格液晶TVとほぼ同等と考えていい。ただ、この価格帯の製品では、独自の映像処理エンジンを搭載することは難しいため、こういったクオリティになってしまうのは仕方がないだろう。

 実売価格が35,000円前後だが、単体で液晶TVとして利用できることから、エコポイントの対象となっており、購入で7,000点、手持ちのTVからの買い換えではリサイクルポイントが3,000点と、最大10,000点のポイントがもらえる。つまり、実質25,000円で購入できるわけで、この価格で地上デジタル・BSデジタルを内蔵する液晶TVとしてだけでなく、豊富な入力端子を備えるフルHD表示対応の液晶ディスプレイとしても利用できることを考えると、コストパフォーマンスは非常に優れている。画質は、表示品質重視の液晶ディスプレイと比較すると見劣りするのは事実だが、発色を濃くするなど、ちょっとした調整である程度改善できる。表示品質を最優先で液晶ディスプレイを探している人には少々オススメしづらいが、PC用のディスプレイと液晶TVを1台ですませたい、それもなるべく安価に手に入れたいと考えている人であれば、十分に満足できるはずだ。

バックナンバー

(2010年 6月 4日)

[Text by 平澤 寿康]