厚さ7.9mmの「全部入り」スマートフォン「MEDIAS WP N-06C」



品名NTTドコモ(NECカシオ)「MEDIAS WP N-06C」
購入価格44,373円
購入日6月24日
使用期間約3週間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

 筆者の通勤カバンは重い。何かの拍子で知人に持ってもらったりした時など、ほぼ誰でも「うっ」と唸るのだから、重いのは間違いない。実際に測ってみたら、中身を詰めた状態で4.8kgほどあった。確かに重い。

 PC媒体業界では、地位や名誉よりも、通信回線の確保やデータ保全の方が大事という人が少なくない。都内での発表会であっても、ケータイ電話、3G/WiMAXのアダプタやルーター、そしてそれらの予備バッテリを携帯しつつ、クラウドとデータが同期された複数台のノートPCを持ち歩き、万が一、1台が壊れても、別の端末で仕事が出来るようにするというのは、珍しくない風景だ。

 ただ、世間一般よりも高齢化が進行しているのもこの業界の特徴で、最近では体力的な理由から、複数台のノートPCを持ち歩くのは諦めている人も増えている。

わざわざ紹介するほどのものではないが、参考までにカバンはこんな感じ

 一方筆者はというと、ノートPCは1.4kgのVAIO Z 1台だし、デジカメはコンパクト機で、音楽プレーヤーはiPod Nano 4G。モバイルルーターなどは所有しておらず、仕事をする上で最低限のものしかカバンには入れていないつもりだ。それでも、全部で5kg近くなってしまうのだ。

 さて、今回はいかにして持ち物を軽くするかという類の話しではない。この前置きで何が言いたかったかというと、実態はさておき、日常持ち歩く物は、薄く、軽くしたい主義だということだ。もちろん機能/性能も重視するが、それが必要十分な基準を満たしていれば、あとはいかに薄くて軽いかが大変重要となってくる。「さりげなくいいものを持ち歩いてる感」をアピールしたいからだ。

 だから、直近まで使っていたケータイは、NTTドコモ「90Xi」シリーズで最薄の「N905iμ」だったし、今回新たに買ったのも、Androidスマートフォンで世界最薄レベルとなる「MEDIAS WP N-06C」(以下、N-06C)だ。

●必要なのはおサイフケータイと薄さ/軽さ

 N905iμを買ったのがいつだったか正確には覚えていないが、2007年末に発売され、その年明け頃に買った記憶があるので、3年半ほどこのいわゆる「ガラケー」を使い続けてきたことになる。

 PC媒体業界人には、やたらと最新デジタルガジェットが好きという共通点もある。発表会で集まったりすると、ほぼ全員が「1台以上」のスマートフォンを持っており、ガラケーだけというのはいつも筆者くらいだった。最近は我ながら時代錯誤と思っていたのだが、スマートフォンへの移行には1つの大きな障害があった。それは、おサイフケータイだ。

 筆者は、QUICPayとモバイルSuicaをほぼ毎日使っている。ここでおサイフケータイの利便性について詳しく説明することはしないが、とにかく手軽だし、経済性の面でもメリットがある。そのため、おサイフケータイのないスマートフォンは、選択に値しなかった。

 一方で最近Twitterを始めたことで(といっても、もう2年くらい経つが)、携帯端末で手軽にネットアクセスをしたいという想いが強くなってきていた。iモード端末としては必要十分な機能を持っていたN905iμだが、いざTwitterやWebだとなると、使い勝手が悪いどころか、見ることができないコンテンツも多数あり、不満が募っていた。

 では、おサイフケータイはガラケーで、ネットアクセスはスマートフォンでというように2台持ちしてはどうかという話もあるが、それでは全然さりげなくない。

 だから、おサイフケータイに対応したスマートフォンが出るのを心待ちにしていた。回線はずっとNTTドコモを使っていて、これを変える気はないのだが、同社からは2010年冬モデルあたりからおサイフケータイ対応機が出始めた。だが、そのどれも、薄さ/軽さの点で満足いかなかったほか、モバイルSuicaは2011年上期中の対応予定ということで、当面は使えないことから、購入は見送っていた。

 唯一、2011年春モデルとして登場した「MEDIAS N-04C」は、7.7mmという世界最薄を実現し、おサイフケータイのほか赤外線通信や、ワンセグも搭載という「全部入り」仕様と、筆者の要求をすべて満たしており、真剣に購入を検討した。だが、その時点でもモバイルSuicaが使えるようになるまでは3カ月程度かかることと、その発表会で夏モデルには防水仕様が出るという発言があったので、これを待とうという結論に落ち着いた。

 夏モデルのラインナップには、N-06Cとほぼ同じ仕様の「Xperia Acro」があり、これも多少迷ったのだが、やはり薄さを重視。晴れて6月24日の発売日にN-06Cを購入した。

●本体の実質負担金額は22,000円。

 購入に際して、5月16日に発表されて、5月20日にはすでにヨドバシカメラで予約受付が開始されていたので、店頭で予約した。予約順は、6月24日の11時から購入できる2番目のB組だった。

 ちなみに、ヨドバシカメラでは、機種変更なのかなど、いくつかの事項の確認の後、予約申し込みを行なうのだが、店員に示されたQRコードを自分のケータイで読み取ってアクセスすると専用の予約ページに行き、予約内容を登録するというシステムが構築されている。

 購入当日、店頭カウンターはさほど混雑しておらず、2~3分待つと受付に案内され、15分ほど手続きを行なった。それから購入する端末へのSIMカードの移動や設定などで20分ほど待ち、12時前くらいには本体を受け取ることができた。

 N-06Cには、シャンパンゴールドと、プレミアムローズ、amadanaブラウンの3色がある。amadanaブラウンは、その名の通り、amadanaとの協業モデルで、専用のアプリとレザーケースが付属し、価格が5,000円ほど高い。amadanaブランドには個人的に何の魅力も感じていないのだが、色合いが気に入ったことと、価格が高い分、他人とかぶる可能性が少ないだろうということで、この色に決めた。

シャンパンゴールドプレミアムローズamadanaブラウン

 ヨドバシカメラでの一括払いの価格は57,393円だったが、溜まっていたドコモのポイント13,020円分を利用し、44,373円の支払いとなった。ここから、ヨドバシのポイントが8%分(クレジットカード支払いのため。現金では10%)で3,551円還元。加えて、月々の支払いを減額する「月々サポート」の適用により、向こう24カ月の間、毎月777円が差し引かれる。なので、2年間使い続けると、本体の実質負担金額は22,174円ということになる。ちなみに、パケット通信は、それなりの量の通信を行なうことが確実なので、月々5,460円の定額となるパケホーダイ・フラットを選んだ。

●「薄すぎる」筐体デザイン

 N-06Cの主な仕様は、CPUがQualcomm MSM8255 1GHz、メモリは512MB、ストレージは1,024MB、液晶は480×854ドット/約26万色表示対応4型、OSはAndroid 2.3。本体サイズは約64×128×7.9~9.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約113g。バッテリ容量は1,230mAh。

 インターフェイスは、FOMAハイスピード、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、GPS、microSDカードスロット、micro USB、500万画素カメラ、ワンセグチューナ、おサイフケータイ、赤外線などを装備する。

 外観は、外縁部が金属、その内側はプラスチック素材で、どちらもテクスチャ感のある塗装で、高級感があり、落ち着いている。

 そして、何よりも、薄い。仕様上は、最厚部は9.7mmとなっているが、これは背面のカメラのある縦10mm横40mm程度の部分だけで、ほぼ全面で厚さ7.9mmを実現している。前モデルのN-04Cは、厚さ7.7mmで世界最薄を謳っているが、これからCPUクロックを上げたり、防水機能を追加した上で0.2mmしか厚さが増してないのは素晴らしい。

正面背面左側面
右側面上面底面

 ただ、目で見て薄さを感じて、それを手に取った時に感じるのは、「ちょっと痛い」ということだ。外縁部は丸みがあるものの、本機を普通に手に取ると、下の角が手の平に食い込んで、最初はわずかな痛みを感じる。ややずらして持てば角は当たらなくなるが、今度は落としやすくなってしまうので痛し痒しだ。3週間近く使ってるうちに、手が慣れたのか、痛いと感じることはなくなったが、ホールド感はよくない。この点は、薄さが裏目に出たと言えるが、「おしゃれは我慢」の精神で十分許容できる範囲と言えばご理解頂けるだろうか。

 もう1つ手に持った時気になるのは、ワンセグのアンテナが若干遊んでいて、指に当たってカチカチとなってしまう点。N-04Cでは本体内に収納できるが、N-06Cでは防水構造のためか、折りたたみ式になり、左手で持つと、ちょうど人差し指あたりにアンテナが来るようになった。些細な点ではあるが、個人的にはワンセグを視聴することがほぼないだけに、余計に気になってしまう。

 また、4型というサイズは、片手で操作するのには、やや困難が伴う。アプリによっては、画面を切り換えるのに端から端までスワイプする必要があるものがあるのだが、筆者は手が小さく、一般的な女性とほぼ同じ程度しかない。すると、普通に持っていると、親指では画面の端から端まで届かないのだ。また、フリック入力する際も、手前や遠くのボタンはタップしづらい。本製品は、女性をターゲットにしているので、手が小さいひとや、片手で操作できるのが当たり前のガラケーから移行する人も少なくないだろう。そういう人達に、使いづらいという第一印象を持たれる可能性は小さくない。

 ただ、操作性はソフトウェアで対応できるものが少なくない。例えば筆者は最初ADW.Launcherというホームアプリを使っていた。このアプリはまさしく左右いっぱいにスワイプしないと画面が変わらないのだが、その後使い始めたLauncherProは、内側をスワイプするだけで良いので、これだと不便なく片手で使えている。日本語入力については、せっかくATOKがついているのだから、これを使い続けたいと思うが、NECカシオには、片手でももう少し入力のしやすいUIを用意してもらいたいところだ。

 タッチについてはちょっとコツがいる感じで、押したいところの気持ちちょっと上を押し、指の先ではなく腹を使うとうまく行く。ただ、3週間経った今でも、特に文字入力(フリック)で誤操作してしまうことは多い。あと気になるのが、机やベッドの上などに水平に置いているとタッチ操作がうまくできないことがあり、指1本で触っているのに、マルチタッチしたような挙動となる。今のところ実害はあまりないが、Dance Dance Revolutionのようなアプリでは、ベッドと本体の間に本を挟んだりと、置き方を工夫しないとだめなことがある。

 ちなみに、なぜ筆者が片手で使うかというと、前述の通勤カバンが手提げ型だからで、片手しか空いてないからだ。そして、片手で使っていると、いつ落とすんじゃないかと冷や冷やする。そこで輪っか型のストラップを購入し、万が一本体をすべらせても、落下しないよう防止策を採っている。

自然に持つと角が手の平に当たって、やや痛いこちらも自然に持つと、人差し指がアンテナに当たる歩きながら使っていると落としそうになるので、輪っか型のストラップを買って、このように使っている
背面に、カメラと赤外線送受信部、ボリュームボタン。おサイフケータイはこの面をリーダーにあてるワンセグアンテナは、このように回転し、さらに15mmほど伸びる上面にMicroUSB端子。浸水防止のパッキンがある
正面上部に、スピーカー、明るさセンサー、通知LED正面下部にマイク。ちなみにamadana以外のモデルは、このロゴがMEDIASになっている国産機ということで、ストラップホールも装備
電池カバーを開けたところカバーにも防水のパッキンがあるUIMカードだけでなく、microSDカードも電池を外さないと着脱できない
iPhone 4との比較。縦横は一回り大きいMEDIAS WPは横を一段絞ったような構造なので、際立って薄く見えるが、最厚部は実はiPhone 4の方が0.4mm薄い

 本体そのものではないが、本製品には標準で卓上ホルダが付属する。ガラケーでは、ホルダにがちゃっとはめて充電するのは当たり前だが、スマートフォンではUSBケーブルを繋ぐものがほとんど。だが、N-06Cには、USB端子以外に、背面に充電用接点があるので、卓上ホルダに置くだけで充電できる。N-06CのUSB端子にはカバーがついているが、防水のため内部にはパッキンがついている。あまり頻繁に開け閉めすると、これがバカになって、いざというとき防水機能が働かない可能性がある。この点と手軽さを考えると、原則として充電は卓上ホルダを使いたい。

 また、使っていて分かったことだが、USB経由で充電すると、プロセッサ類が集中すると思われるカメラの下あたりがかなり熱を持つ。この状態だと、充電しながら重めのアプリを使っていると、本体温度が上がりすぎて、充電が強制停止されることがある。卓上ホルダ経由の充電では、そういったことはなく、今のところ充電しながらでも、問題なく使えている。

卓上ホルダ電源の接続はMicroUSBではなくFOMA端子本体をはめたところ
横向きにしても使えるので、ワンセグなど動画を長時間視聴したい場合に便利ちゃんとストラップを通すへこみもある

●各性能をチェック

 本製品のCPUの性能は、シングルコアの1GHzということで、ドコモ夏モデルのスマートフォンの中では高い方ではない。しかし、これまでビデオ機能を含むCPU性能に不満を感じたことはない。もちろん、Tegra 2搭載機などと並べて比較すると、描画がもたついてたりするのが分かるだろう。だが、N-06Cで一般的なゲームをしたり、グーグルマップでスクロールさせまくったりしても、十分滑らかに動作するので、どちらかというと、現状のAndroidスマートフォン用としてデュアルコアは高性能すぎるといった方が正しいと思っている。ちなみに、Quadrant Standardの結果は1,200程度。同時期に出たGALAXY S IIは3,000近く出るそうだ。

【動画1】Googleマップを使っているところ
【動画2】ブラウザを使っているところ

 PCほどAndroidのシステムに通じてないので、これが果たしてメモリ容量不足に起因するものなのかは分からないが、ゲームなど比較的重めのアプリを起動した後、ホーム画面に戻ると、ウィジェットが消えており、新たに表示(起動?)されるまで数秒またされることがある。

 ストレージのユーザー利用可能容量は400MBで、はっきり覚えていないのだが、購入直後の状態で空き容量は290MB程度だったと思う。この容量だと、一般的なアプリなら数多く入れられるが、大規模なゲームは数十MBを消費するので、すぐいっぱいになってしまう。ただ、ゲーム系の多くは、Android 2.3で対応したSDカードへのインストールが利用できる。筆者の場合、プリインストールを含めると、現在114個のアプリが入っているが、この内18個がSDカードへのインストールに対応し、まだ136MBが空いている。400MBはヘビーユーザーだと心許ないが、なんとかなるといったところだろうか。

 3G通信については、この6月からFOMAハイスピードが下り14Mbps、上り5.4Mbpsへ高速化した。一頃のADSL並である。いくつか日や時間を変えて速度を測定してみたところ、東京都内では電波状況が良い状態で平均的に下りが3Mbps程度、上りが350Kbps程度だった。下りが1Mbpsを割ることも珍しくないが、WebやSNSを見る上では特に遅すぎると思ったことはほとんどない。ただ、YouTubeなどはストリーミングが再生に追いつかないことがしばしばある。

 無線LANは3Gよりも安定した高速性を得る上でも、消費電力を減らす上でもメリットがあるので、自宅と会社では自動的に無線LANにつなぐよう設定してある。本製品のIEEE 802.11n対応が、具体的に何Mbpsまで行けるのかは分からないが、少なくとも150Mbpsでリンクできるはずだ。だが、自宅で通信速度を計測したところ、上りも下りも10Mbps程度しか出なかった。自宅の回線は100Mbpsの光で、ノートPCでは60~80Mbpsは出るので、本製品はIEEE 802.11nの潜在能力を発揮できていないようだ。また、アクセスポイントによってうまくつながらないものがある。筆者の場合、会社のアクセスポイントの1つにつなげることができなかった。他のAndroid製品ではつながるので、何が原因かは不明だが、N-06Cはある程度アクセスポイントを選ぶようだ。

Quadrant Standardの結果は1,200を超える程度Angry Birdsは20MB程度あるが、SDカードにインストールすると、ストレージの占有容量は数百KB程度に抑えられるSpeedtest.netの結果。10Mbps程度出ているのは無線LANでの結果

 Bluetoothについては、日常的に利用していないので、ほとんど試していないが、PCと接続して、PCを外付けスピーカーとして利用したところ、特に遅延もなく音が鳴った。なお、本製品はキーボードでよく利用されるHIDプロファイルに対応していない。Bluetoothキーボードを使いたい場合は、SIPに対応したものでないとダメなので注意が必要だ。

 ディスプレイも、480×854ドット/26万色表示と、540×960ドットや1,670万色表示対応といった他の製品よりも仕様上は一段劣る。だが、色数については写真や動画を見ていて、各色6bitという諧調の少なさを実感する場面はまずない。解像度についても、このサイズにこれだけの画素が詰まっていると、曲線にジャギーはほとんど認められず、文字も美しく読みやすい。ただ、13型でフルHDのVAIO Zを使っていることが示しているように、視力が高く、高解像度を好む質なので、540×960ドットにして欲しかったと思っている。

 本製品を購入する上で、一番気になったのはバッテリの持ちだ。本製品は本体が薄い分、当然バッテリが少なからず割を食うわけだが、スマートフォンであれこれアプリを使う際は、さまざまな機能が適宜オン/オフされるので、バッテリ容量や通話/待ち受け時間から実際の持ち時間を推定しづらい。言い換えるなら、同じ製品でも人によって使い方が異なるので、バッテリ駆動時間も変わってくる。

 バッテリについての第一印象は、「減りが早い」というものだった。というのも、それまで使っていたN905iμでは、バッテリのメーターが3段階だったので、33%使ったところで初めてバッテリが減ったことを認識するわけだが、Android機では減りを1%ずつ認識される(これは追加アプリの機能)ので、使っていると、みるみる数字が下がっていくからだ。

 試しに、通勤時の減り具合を確認したところ、片道で15~20%程度減ることが分かった。筆者宅から最寄りの駅までは徒歩5分、その後地下鉄で20分移動し、到着駅から会社までは徒歩10分となる。この地下鉄移動時は、ずっと画面をつけっぱなしにして、駅に着くごとに通信を行なった。地下鉄では電波が途切れるため、無線の出力が上がり、1駅で数%はバッテリが減るので、心許なく感じる。

 だが、N905iμでも同じように使うと、帰宅する頃には1目盛り減っていることがある。つまり、N-06Cでも大差ないわけだ。

 でも、使っているとバッテリの消耗が激しい気がする。と言うわけで、空になるまでの時間を計ってみた。厳密な条件ではないのだが、一切スリープに入らない設定にし、最低でも数分間に1回はTwitterやFacebookなどの更新確認をさせるという状態の下、時折ゲームをしたり、放置したりとしながら計測してみた。

 すると3G利用時は5時間、Wi-Fi利用時は7時間も持つことが分かった。まれに10分近く使い続けて1%も減らないことがあるので、バッテリ残量のカウンタの精度は悪いのかも知れないが、残量が30%を切った辺りからかなり粘りだす。印象としては、残り30%で50%使える感じだ。これは、筆者の普段の使い方においてなので、バッテリ消費量の高い、カメラやGPSなどを使いまくっていると、もっと早々になくなる。それを踏まえても、これだけ持つのは、言い意味で予想を裏切られた。

 だが、電波の入らないところでは、3時間ほどスリープさせていただけで50%程度減ったこともあるので、いざというときのため、予備バッテリは1つ持ち歩きたいところだ。

 カメラについては、気軽なスナップを撮れれば良いという程度なので、もともと画質についてはこだわりはないのだが、暗所というより室内だと非常にノイズ混じりになるN905iμと比較すると雲泥の差。鮮やかさ、精細さはイマイチだが、SNSにアップする程度の日常の写真なら十分な画質だ。マクロモードでは1cm近くまで寄れるが、ピントを合わせづらいと感じた。暗所での撮影は、健闘している感じで、暗くてもそこそこ写る。超高感度モードではISO12800相当になり、かなりの暗闇でも、物体の輪郭などが分かる程度には撮影できる。なお、ハードウェアシャッターボタンはないので、画面を押すしかないため、自分撮りはかなり困難だ。

 ちなみに、製品の売り文句として、最短0.8秒で撮影可能になるとしているが、試した限りでは3~4秒かかった。どうやったら0.8秒で起動できるのかは分からない。もしかしたら、別に買ったmicroSDHCカードを使っているからかもしれないが、この時間なら、さして不満はないので、深く検証はしていない。

以下は、N-06Cで撮影した画像そのままで、ファイル名以外編集していません。クリックすると2,560×1,920ドット、あるいは1,600×1,200ドットの画像が表示されます

 なお、本製品は購入当初、何もしてないのに再起動するという問題があった。負荷の高い時にハングアップしたり、再起動というならまだ分かるが、何もせず机の上に放置していていきなり再起動してしまうのである。いざ、電話をかけたい時にそうなったらいやだなあと思っていたのだが、7月7日に公開されたアップデートを適用したところ、この問題はぴたりと止み、2週間近く再起動は起こっていない。

●個人的には満足の1台

 さて、いくつか苦言も呈したし、数字的な性能は高いものではない。だが、全体としてのものの仕上がりはとても良く、個人的には満足している。これを電車内でさりげなくポケットから取り出して、操作していれば、今ならきっとこっそり注目されるはずだ。

 筆者の周りにいる知人の方々におかれては、かぶるのが嫌なので、この製品は避けて頂きたいというのが率直な心情だが、この製品のコンセプトが気に入る人なら、買って後悔することはないだろうとお薦めできる。

 なお、別途買ったオプション品や、アプリについても、後日紹介する予定だ。

(2011年 7月 20日)

[Text by 若杉 紀彦]