買い物山脈

PlayStation 4を買いに米国に行きました

品名
PlayStation 4
価格
399.99ドル
使用期間
1日
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

PS4に触るために米国まで買いに行くPS4作戦

 「PlayStation 4(PS4)」の日本発売が2月22日という、あの発表を見た瞬間「あ、こりゃダメだ、米国で買おう」と決心した。米国の発売は11月15日で、「いくらなんでもPS4を3カ月も指をくわえて待つことはできない」と思った。しかし、日本の発売日が発表されたのは9月のことで、その時点で、すでに米国の予約は締め切っていて、あとは発売日に並ぶしかない状態。

衝撃の日本発売日の発表
E3では北米などの価格と年内発売を発表

 「うーん、気合いで並ぶか、これは!」と、友達のライターNに「一緒に並ぼうぜ」と誘ったら、熟考の末にふられてしまった。それで、同じく予約を逃した米国の友人と、PS4奪取作戦のための情報を集め始めた。

 ところが、どの店に何台入るといった情報がぜんぜん入ってこない。店に直接電話しても教えてくれないとのこと。「これは確実なソニーストアに並ぶしかないかな。やっぱり寝袋持って並びに行くか」と思っていところ、米国在住の別な友人が自分の予約分を1台売ってくれるというので、ラッキーとそれに乗った。

 問題の1つは、PS4作戦のためには、11月15日に現地にいなければならないということ。でも、その週の前半にカンファレンスがあるので、それが終わった後も居続ければとりあえずOKだ。とはいえ、なんだか主な目的はカンファレンスよりPS4みたいな気もする。「えっ、コスト? いや、この際、それはもう忘れてしまおう(笑)」とPS4作戦計画を立て始めた。

 今回の北米でのPS4のローンチは、五月雨式。どういうことかというと、発売前週あたりから一部のタイトルとか周辺機器を売り始めた。そして、発売直前の11月12日には、“タコベルPS4”を出荷した。タコベルPS4とは何かというと、メキシカン料理系ファーストフードの「Taco Bell」でタコスとかブリトーを食べると、運がよければPS4プレゼントに当たるというもの。このキャンペーンがすごいのは、PS4を「発売前」に手に入れることができるという点で、それがために、全米のゲーマーはこの数カ月はブリトーを食べ続けるハメになった。

 というわけで12日には数千台のタコベルPS4が世の中に出たわけだが、本番の100万台規模のPS4の発売は15日の深夜0時スタート。その時間に、一部店舗で予約ーしたPS4の受け渡しが始まる。当日は、大手電器店チェーンのBest Buyやソニー直販のSony Storeは深夜というのに大賑わい。ゴトウも友人からPS4を受け取ると、急いでホテルに戻って15日の深夜からセットアップを始めた。ところが、これが大変な作業だった。

ゲームは前週に購入

 今回の作戦でゲットしたのは北米仕様のPS4で、そのほかに、セカンドコントローラ「PlayStation 4 Dualshock 4 Wireless Controller」とカメラ「PlayStation 4 Camera」を購入。タイトルは「Killzone Shadow Fall」「Call of Duty: Ghosts」「Assassin's Creed IV Black Flag」を買って、最後に、やっぱり「Knack」も買おうかなと思ったら、どの店でもKnackの棚が空だったという状況。

 実は、ゲームタイトルはPS4購入以前に買ってあった。前週にゲーム店に行ってPS4の棚を眺めていたら、店員が「お前もPS4を予約したか、俺もだ」とニコニコ話しかけてきた。「今回は、コントローラもゲームも先に買える点が違う。これもあれも、今、在庫があるぞ」という。でも、先に買って置いたってしょうがないし、と言うと。「いやいや、15日になったら棚はすっかり空になっちまう。それに、先に買って、それを眺めて、もうすぐ本体だってジリジリするのが楽しいんだ。俺はそうしてる」と言う。それで、ついつられてCoDとAssassin's Creedを買ってしまったのだ。

 その後で、カメラも買いに行ったので、本体を買う前に、回りの準備は整えてしまった。というわけで、当日は、あとは本体とコントローラが揃えばOKという状態だった。

PS3よりもずっと軽いPS4本体

 PS4を受け取ってまず驚いたのは、軽いこと。前世代のPLAYSTATION 3(最初の世代は5kg)と比べると、冗談のように軽い。本体重量は2.8kgなので、17型クラスのノートPCのちょっとヘビーなヤツと同程度の重さだ。友達の家にかついで持ってくということができる重量だ。

 写真のボックスは標準のもの。ボックスの内部の包装も簡易で、ダンボールで組んだ緩衝枠にPS4が収まっている。PS4本体のほかには、コントローラと電源ケーブル、HDMIケーブル、USBケーブル、そしてコントローラにつけるモノヘッドセットが入っている。

 PS4本体は、角張った菱形のシェイプのために、かなり小さく感じる。実際に、ライバルのXbox Oneと比べると半分とはいかないが、二回りほどサイズが異なる。もちろん、サイズでゲーム機としての機能が大きく変わるわけではないが(熱設計の容易さを除けば)、熱的に大きな違いがないはずの2台がここまで容積に差があるのは不思議だ。ノートPCとの比較では、14型ノートPC程度のサイズだ。下の写真は11型のVAIO Pro 11と比較している。

 本体正面にはマンハッタンシェイブの2つの柱の間の狭い部分に、ディスクドライブの口と、USBインターフェイスが2つ付いている。また、電源ボタンとディスクイジェクトボタンもここにある。背面は電源ケーブルの口と、HDMI、LAN、PS4カメラなどのインターフェイス群。前世代と同じく、縦置きと横置きのどちらにもフィットするデザインと設計となっている。

トリガーキーが使いやすくなったコントローラ

 コントローラは今回のDualshock 4でかなりデザインが変わった。中央にあるのはタッチパッドで、このタッチパッド自体が押し込むことができるスイッチになっている。4ボタンと方向キーに2つのアナログスティックは変わらないが、トリガーキーは前世代より格段に使いやすくなっている。本体との通信は「Bluetooth2.1+EDR」で、この点はXbox OneのWiFi Direct(Wi-Fiのプロトコルカスタマイズ版)とは違う。SCEはBluetoothを選んだ理由は、重量当たりのバッテリ駆動時間を長く取るためだったと説明している。重量は210gで、軽く感じられる。

 Xbox OneはKinectを標準搭載としたが、PS4はカメラを別売りのオプションとした。従来のPS3用カメラPlayStation Eyeとの大きな違いは、カメラがステレオの2眼になったこと。視差を使うことで深度を計測できる。つまり、Kinectのようななことが可能だが、新バージョンのKinectのような精度は出ない。

説明書を見ないとわからない(笑)電源ボタン

 ホテルに戻ってPS4を開封して、とりあえずTVの近くにセットすることにした。ここは1泊80ドル台からの安ホテルだが、液晶TVにHDMIポートがあり、しかも手動でポートの選択ができる。以前宿泊して、HDMIポートが使えることを確認してあり、今回のPS4作戦の宿として使うことに決めていた。タコベルPS4が出荷されてから、数は少ないものの初期不良もレポートされているため、ちょっとドキドキしながら電源を入れる。

 実際には、電源を入れようとして電源ボタンが分からず、一瞬戸惑ってしまった。あれっと思って説明書を見ると、電源ボタンの位置が書いてある。実は電源ボタンは下のようにマンハッタンシェイプの継ぎ目になっている部分に小さく存在する。よく見ないとボタンがあると気がつかないくらいだ。

 電源ボタンを押すと、ボタンの背後の溝のLEDが青く光り起動し始める。起動し終わると、溝の発光が白色になる。スタンバイ時はオレンジ色だ。

 電源を入れると、画面にはお馴染みのPlayStationマークが表示され、続けてSCEIのロゴ、そして、次にコントローラ接続のインストラクションが各国語で表示される。指示に従ってコントローラを接続すると、コントローラの正面のライトが白く光り始める。

ホテルだから苦労したネットワークの設定

 ここからPS4作戦のセットアップ部に入る。まずは、言語設定。日本語はJのところではなく一番下の方にあった。ここで日本語を選ぶと、後の指示のほとんどは日本語になる。言語の次はネットワーク、それからオプションでカメラ設定、そして日時設定の順番だ。しかし、ここで、米国版と日本版の違いを思い知らされる。○と×の使い方が逆なのだ。これはプレステに限らず、何でもそうだが、OKなら×、NOなら○となる。実際、このあとで、この2つのボタンの押し間違いを何回かやってしまう。ちなみに、日本版ではこれが逆になるそうだ。

 泊まっているのが安ホテルのため、ホテルのネットは遅い上に無線LANしかない。そのため、ネットワーク接続は、WIMAXのモバイル無線LANルータを主に使っている。PS4は、無線LANに接続できるので、ここでルータのSSIDを選んだのだが……うまく行かない。接続できても、すぐにぶち切れてしまう。この手のトラブルは、デバイス間の相性もあるので一般的な現象とは思わないが、ちょっと困ってしまった。ホテルの無線LANは接続してWebブラウザでログインしなければならないから、この場では使えない。

 実際には、このプロセスをスキップすればよかったのだが、その時は頭が回らず、色々試行錯誤した結果、PCでモバイルルータに無線LANアクセスして、そのPCからネットワーク共有で有線LANで出して、それを有線ルータに入れて、そこから有線LANでPS4に繋ぐことにした。結果的にはこれでOKだったのだが、ホテルという特殊環境での、このトラブルで多少時間を食ってしまった。

 ネットがつながった段階で、先を急ぐことにした。まずPS4を使えるようにするために、カメラのセットアップは後回しにして、時間を設定。使用許諾に同意して設定を完了する。しかし、全体の作業の遅れは、このあとで響いてくる。

デイワンソフトウェアアップデートに時間がかかる

 起動するとまず、お馴染みのシステムソフトウェアアップデート。これが323MBもある。とりあえず20分そこそこでダウンロードできる表示なので、そのままゴーにする。しばらくしてダウンロードが終わり、インストールの準備をするという表示になったのだが、そこからウンともスンとも進まない。30分くらい方って置いたのだが、何も変化がないので、しかたなく中断。ダウンロードしたはずのアップデートファイルもどうなったのかよく分からない状態になる。

 そこで設定メニューからシステムアップデートを選んで再度挑戦。しかし、この時にはもうダウンロード時間はさっきの3倍近い表示になってしまった。こちら側のネットワーク環境には変化がないので、サーバーが混み始めていのだと思う。結局、1時間以上かけてダウンロードして、インストール。今度はすんなり行った。すんなり行かない場合は、PCでダウンロードしてUSBでインストールする方法もあるようだ。

 システムアップデートをして1.50に上げると、PS4は再起動して、今度はSCEIのネットワークサービスである「PlayStation Network (PSN)」のログイン画面になる。PSNのアカウントを持っていない場合は、ここでPSNアカウントを作成することになる。とりあえず、まずいつも使っているアカウントを入れることにする。

 SCEIはPSNをゲームSNSとして育てようとしており、そのために、PSNでのSNSのプライバシー設定が入った。ここでPSNの中で、フレンドリストや自分のアクティビティを公開する範囲を設定できる。そして、次が今回のPSNの目玉サービスの1つのSNSとの連携の設定。FacebookとTwitterといったSNSサービスをPSNと連携させて、PS4でのゲームアクティビティやゲーム画面などを公開することができる。そのためのFacebookなどのアカウントの登録と、一般SNSに対して公開する情報や公開する範囲を設定できる。

 この機能は色々と便利だ。例えば、自分のゲーム画面のキャプチャを取るだけにSNSを使いたいのなら、ここで公開範囲を自分だけにしておけばいい。どう考えても、画面キャプチャを取る最も手軽な方法は、PS4の場合はSNSを利用することだ。デベロッパもこの機能を、画面キャプチャのために使ったのではないだろうか。ただし、その場合は、公開範囲を間違えると、世間に未発表マシンやソフトウェアの画面を流出させてしまうことになるが。というか、これまでに流出したPS4画面キャプチャって、このルートで流出したのではないだろうか。

 PSN関連の設定が終わると、ログインしているユーザーにPSNアカウントが紐付けられ、以降は自動的にPSNにログインするようになる。例えば家族でPS4を共有している場合などは、自分のアカウントで家族が勝手にログインできないようにパスコードを設けることもできる。SNSと連動するために、こうした設定が必要になっている。

コントローラと結びついたログイン/ログアウト

 ここまでで基本の設定は終わりだが、まだ先が長かった。まず、ゴトウは複数のPSNアカウントを持っていたので、別なアカウントも加えようとした。ここで、PS3ならログイン選択のメニューにあったアカウント作成が、PS4に見当たらないことに気が付いた。どうしたらいいのか分からず、試しにログインしているユーザーでPSNのアカウントを切り替えてみようとしたが、これがうまく行かない。ユーザー情報とPSNは紐付けられているため、別なPSNアカウントでログインができないようだ。しかし、そういう趣旨のエラーメッセージが最初は出てこなかったので、気がつかなかった。

 どうしようかとしばらく考えていたのだが、ログアウトを見つけたら話は簡単だった。トップメニューの電源アイコンを選択すると、ログアウトの選択肢が出てくる。そこでログアウトすると、コントローラのコネクションが切れる。つまり、ログアウトは、コントローラごとPS4から離れるという意味になる。コントローラという物理的なデバイスが、ログイン/ログアウトのプロセスに紐付けられている。

 ログアウトすると、画面には、ログインするにはコントローラのPSボタンを押すようにというメッセージが出る。ここでPSボタンを押すと、ログイン画面になりアカウントを選択したり、アカウントを作成できるようになる。ゲーム機なんだから、ユーザーは必ずコントローラを持つから、それがアカウントと連動するのが自然という発想だ。物理的なデバイスとログインプロセスが切り離されているPCの世界から見ると、最初は分かりにくかったが、ゲーム機としては論理的だ。

PSNが詰まってしまい大苦戦

 と、ここまでわりとスルスルと設定できていたように見えるかも知れないが、実はそうではない。本当は、かなり困った状態が度々発生していた。時々、PSNにアクセスができなくなるからだ。それも、時間が経つにつれて、どんどん状況が悪化して行った。最初の方で時間を食われた影響が出始めて、作業がなかなか進まなくなって来た。

 まあ、全米で100万台以上のPS4が、一斉に同じような作業を行ない、しかも、終わったユーザーは、ダウンロードコンテンツやネットワークサービスに殺到しているわけで、それはPSNが大混雑になるのも無理はない。しかし、夜明け近くなっても、PSNでつまづく状況が断続的に続いていると、だんだんとヤル気が薄れてくる。ゲームタイトルのアップデートバッチのダウンロードもつまづくので、ゲームもまともにできない。ローンチに備えて、サーバーリソースもっと確保しておいてよ、とか思ったりもする。

 とはいえ、きっとネットの向こうのサーバールームでは、2交代制の12時間勤務みたいな激烈なシフトで、エンジニア達が詰めて、徹夜でこの怒濤と戦ってる。現場の苦労を考えると、気の毒になって、あまり責める気にもならない。幸い、診断ツールなどがちゃんとOSに含まれているので、問題がどこにあるのかを洗い出せる。ツールを見ると、見事にPSNでつまづいている。そのため、ツールでPSNがダメだとわかった時は、気長に構えることにした。

 15日の昼間以降は大分PSNの状況もよくなってきて、ゲームのダウンロードも大きくなければ大丈夫になってきた。とりあえず、「Flower」や話題の「RESOGUN」をストアからダウンロードしてプレイしている。

人生で一番高くついたゲーム機

 とりあえず、ここまでの段階で、何がいくらだったかを整理して置こう。税金抜きだと下の金額になる。ゲームは今の段階では、下の3本だが、これはまだこの先、数日で増える可能性が高い。

・PlayStation 4:399.99ドル
・PlayStation 4 Dualshock 4 Wireless Controller:59.99ドル
・PlayStation 4 Camera:59.99ドル
・Assassin's Creed IV Black Flag:59.99ドル
・Killzone Shadow Fall:59.99ドル
・Call of Duty: Ghosts:59.99ドル

 合計しても7万円くらい。これだけなら、まだなんとかだが……カンファレンス後にPS4をセットアップしてプレイするために泊まっているホテル代。PS4とか諸々を買い出しに行くための足のレンタカー代。こういうのも合算すると、十数万と結構な金額になる。どう考えても、今までの人生で一番高くついたゲーム機だ。

 「えっ、そういうのって取材費として誰かが出してくれるのでは?」。いえ、そんなことはありません。フリーランスだから、結局のところ自腹で出すしかない。「でも、原稿にするならお金になるのでは」いや、そんなことをしている間、別な原稿を書いてる方がよっぽどいい。「マシンってメーカーからもらえたりしないのか?」、普段アーキテクチャなんて書いていると、そんなチャンスはそれほど多くはない。「よく奥さんが許すよね」そういう時は、仕事だから、ってウソをつくんです。どう考えても趣味なのに(笑)。

 ともあれ、実はPS4には、まだセットアップしなければならないことが山ほどある。ゲーム機は世代とともに、最初にやらなければならないことが指数関数的に増える傾向がある。ムーアの法則のように、ゲーム機の複雑性は世代とともに2倍になる。それらを片付けて、本題のゲームもプレイしなくては。というわけで、次回にこの記事は続く。

(後藤 弘茂 (Hiroshige Goto))