石井英男のデジタル探検隊
富士通「LIFEBOOK GH77/T」でWin10用マインクラフトを3スタイルで遊んでみた
(2015/9/4 06:00)
富士通の「LIFEBOOK GH77/T」(以下GH77/T)は、一見普通の液晶一体型PCのようだが、液晶ディスプレイ部分のみを取り外してタブレットとして使えるという、ユニークな製品だ。GH77/Tは、スタンド部分がPC本体になっており、液晶ディスプレイ(ワイヤレスディスプレイ)と本体とは、独自の無線通信技術によって接続されている。ワイヤレスディスプレイ単体で外に持ち出して使えるわけではないが、ワイヤレスディスプレイ側には、液晶パネルと無線通信モジュール、バッテリしか入っていないので、15.6型というサイズにもかかわらず、重量は約980g、厚さは約9.8mmと軽くて薄いことが利点だ。もちろん、スタンドに液晶を載せて使えば、液晶一体型PCとして利用できる。付属のキーボードとマウスはワイヤレス式なので、ケーブルが邪魔になることもない。
GH77/Tは、これまでなかった新しいスタイルの2-in-1 PCともいえ、特に家族みんなで使うホームセントラルPCに好適だ。同製品については、PC Watchで何度か取り上げているが、今回は少し違った角度からGH77/Tをレビューしてみた。
世界中で大人気のサンドボックスゲーム「マインクラフト」とは
筆者には小学生の娘と息子がおり、2人ともゲームが大好きだ。中でも、1年近く飽きずに遊んでいるのが「マインクラフト」である。マインクラフトは、さまざまなアイテムを駆使し、ブロックを空中や地面に配置して、自由にモノを作っていく非常に自由度の高いサンドボックスゲーム(箱庭遊びのように、世界を自由に構築できるゲーム)だ。
マインクラフトは、元々Notchの愛称で知られるMarkus Alexej Persson氏が2009年頃に開発を開始し、フリーウェアやシェアウェアとして公開されていたものだが、反響が大きくなり、2011年同氏はマインクラフトの開発と販売に専念するためにMojangを設立した。2011年11月にPC用の正式版が発表され、その後、Android/iOS/Windows Phone用のマインクラフトPE(Pocket Edition)やXbox 360版、Xbox One版、PlayStation 3版、PlayStation 4版、PlayStation Vita版などが次々と登場し、PC版とマインクラフトPE、コンソール版を合わせた世界総販売数は1億本を超えるという、大ヒットを記録している。そのあまりの人気にMicrosoftが目を付け、2014年9月にMicrosoftがMojangを買収。今後はMicrosoft傘下の1スタジオとして開発を続けることになった。
日本でも2014年6月にPlayStation 3版のリリースが開始されたことで人気に火が付き、小学生の間でも大きなブームとなっている。娘の友達もマインクラフトが好きな子が多く、マインクラフト目当てで我が家に遊びにくる子が何人もいる。マインクラフトは、非常にクリエイティブなゲームであり、レッドストーン回路と呼ばれるアイテムによって論理回路なども作成できるため、教育的な効果も高い。海外では、小学校や中学校の授業でマインクラフトを活用しているところも多く、日本でも、マインクラフトを使ってアルゴリズムやプログラミングの学習を行なう子ども向けプログラミングスクールも登場している。
Windows 10版マインクラフトが登場
マインクラフトは、現在も開発が続けられており、バージョンアップによる機能追加やバグ修正などが行なわれているが、最近の大きな話題が、Windows 10専用バージョンの登場である。
前述したようにMicrosoftはマインクラフトの開発にコミットしており、HoloLens対応バージョンも開発されているのだが、最新OS「Windows 10」のリリース日である2015年7月29日に合わせて、「Minecraft: Windows 10 Edition Beta」(以下Windows 10版マインクラフト)をMicrosoftストアで公開した。
名称から分かるように、現時点ではまだβ版という位置付けであり、今後正式版に向けて開発が進められていく予定であるが、現バージョンでも十分に楽しむことができる。Windows 10版マインクラフトは、AndroidやiOS向けのマインクラフトPEをベースに拡張が行なわれたものであり、タッチ操作でもマウス+キーボード操作でもプレイできることが特徴だ。
また、従来のPC版は、Javaで作成されており(以下Java版マインクラフト)、Atom搭載タブレットなどの処理能力が低いマシンでは動作が重かったのだが、Windows 10版マインクラフトはWindows 10のネイティブアプリとして作成されているため、動作が格段に軽くなっていることもウリである。
Windows 10版マインクラフトは、1,000円で販売されているが、Java版マインクラフトを購入済みのユーザーなら、Mojangアカウントからギフトコードを発行してもらうことで、無償で利用できる。Windows 10版マインクラフトは、当初、64bit版しか用意されておらず、32bit版Windows 10では動作しなかったが、2015年8月11日にバージョン0.12.0.1へとマイナーアップデートが行なわれ、32bit版のサポートも追加されている。
Windows 10版マインクラフトの概要については、以下の画面キャプチャを参考にしていただきたい。
LIFEBOOK GH77/Tならタッチ操作でもマウス+キーボード操作でも快適
マインクラフト大好きな子供たちは、普段PlayStation 3版をプレイしているが、より快適に遊べそうなWindows 10版が登場したので、早速ダウンロードして遊ばせてみた。ちなみに、GH77/Tの標準OSはWindows 8.1だが、今回はWindows 10にアップデートしてある。
従来のJava版マインクラフトは、タッチ操作には対応しておらず、いわゆるFPSゲームと同様にマウスとキーボードを併用してプレイする必要がある。PCでのFPSに慣れている人ならそう問題はないだろうが、ゲームコントローラ1つでのプレイに慣れている子どもには、やや操作のハードルが高かった。
しかし、スマートフォンやタブレット向けに開発されたマインクラフトPEをベースにしたWindows 10版マインクラフトは、従来のマウス+キーボード操作に加え、タッチ操作のみでもプレイできることがウリだ。
液晶一体型PCとしてもタブレットとしても使えるGH77/Tは、このWindows 10版マインクラフトにはうってつけだ。と言うのも、ソファなどでくつろぎながら気軽にプレイしたい時は、ワイヤレスディスプレイを取り外してタッチ操作でプレイすればいいし、腰を据えてやるなら、ワイヤレスディスプレイをスタンドと合体させて、マウスとキーボードを使って操作できるからだ。
まず、小学校2年生の息子にワイヤレスディスプレイのタッチ操作でWindows 10版マインクラフトをプレイさせてみたが、操作方法を全く説明していないのに、すぐに操作方法を理解して遊び始めたのにはびっくりした。動作も軽快で、PlayStation 3版よりも快適だそうだ。マインクラフトでは、アイテムを組み合わせて新しいアイテムを作るクラフトと呼ばれる作業が重要だが、GH77/Tのワイヤレスディスプレイでのタッチ操作ならアイテムの組み合わせも直感的に操作できるので便利だとのこと。息子は、スマートフォンでのマインクラフトPEもプレイしたことがあるが、液晶サイズが5型程度のスマートフォンだと、やはり画面が小さくてイマイチ操作しにくそうだったが、15.6型のGH77/Tならとても操作しやすいと喜んでいた。
次に、ワイヤレスディスプレイをスタンドに載せて、マウスとキーボードでの操作もやらせてみたが、さすがにキーボード操作は多少説明が必要だった。だが、慣れればタッチ操作よりもマウス操作のほうが素早く視点を変えることができるので、こちらはこちらで快適なようだった。
Windows 10版マインクラフトは、あくまでβ版という位置付けではあるが、動作は安定しており、現時点でも十分に楽しめる印象だ。
リビングの大画面TVとワイヤレスディスプレイを使ったプレイもお勧め
また、GH77/Tの本体側には、HDMI出力が用意されているので、リビングの大画面TVに繋げば大画面でマインクラフトを楽しめる。もちろん、ワイヤレスディスプレイを取り外しても、TVへの出力が可能である。この場合、ワイヤレスディスプレイをワイヤレスゲームパッド代わりに利用することができるのだ。こうした使い方も、タッチパネルを備えたワイヤレスディスプレイを採用したGH77/Tならではのメリットだ。
こちらの遊び方でも、息子にプレイさせてみたが、最初はワイヤレスディスプレイをチラチラ見ながらプレイしていたが、少し慣れてきたら、ワイヤレスディスプレイを見ずに、大画面TVを見たまま自由に操作していた。もちろん、大画面TVとマウス+キーボード操作の組み合わせでプレイしてもいい。
Windows 10版は近日中にマルチプレイに対応予定
マインクラフトの魅力の1つに、マルチプレイへの対応が挙げられる。マルチプレイでは、複数のプレイヤーが同じワールドで一緒にプレイできるので、協力して強敵と戦ったり、大きな建物を作ることができるし、プレイヤー同士で戦うことも可能だ。
筆者の子どもたちも、PlayStation 3版マインクラフトでのマルチプレイをよく楽しんでいる。Windows 10版マインクラフトは、同一LAN内でのWindows 10版マインクラフト同士でのマルチプレイや、AndroidやiOS用のマインクラフトPEとのマルチプレイに対応予定なのだが、現時点ではまだマルチプレイ機能は実装されていない。
参考までに、すでにマルチプレイ機能が実装されているJava版マインクラフトを使って、ローカルでのマルチプレイについて紹介しておく。その様子は下の写真を見ていただきたいが、PlayStation 3版でのマルチプレイは画面分割で行なうため、プレイヤーが増えるとそれだけ視野が狭くなってしまい、プレイ時の快適さが低下してしまう。しかし、Java版マインクラフトでのマルチプレイは各プレイヤーがフルサイズの画面でプレイできるので、快適だ。
Windows 10版マインクラフトでもマルチプレイが実装されれば、Windows 10版マインクラフト同士だけでなく、AndroidやiOS搭載のスマートフォンやタブレットのマインクラフトPEとのマルチプレイも可能になるので、より手軽に大人数でのマルチプレイが楽しめるようになる。
子どもから大人まで家族みんなにお勧めのLIFEBOOK GH77/T
このようにワイヤレスディスプレイを採用し、2つのスタイルで利用できるGH77/Tは、Windows 10版マインクラフトとの相性は最高であり、タッチ操作でもマウス+キーボード操作でも非常に快適にプレイ可能と感じた。大画面TVに繋げば、3つのスタイルでマインクラフトをプレイできる。
やや余談になるが、ここで紹介したのは、マインクラフトの魅力の一端に過ぎない。マインクラフトは、すでにゲームという枠を超え、一種の開発環境とでもいうべき存在になっているのだ。インターネット上には、マインクラフトで作成された素晴らしい作品が多数公開されており、2014年12月には、イギリスの国立美術館「Tate」が、所蔵する美術品を元にマインクラフトのワールドを作成し、そのデータの無料配信を始めている。このデータを使えば、名画の舞台を自由に探検できるのだ。
子どもから、マインクラフトの話を聞いたことがある親御さんも多いことだろうが、マインクラフトは子どもの創造力を育てるだけでなく、大人も夢中になる魅力を備えたゲームである。Windows 10版マインクラフトを存分に遊び尽くしたいのなら、GH77/Tはイチオシのマシンだ。
もちろん、GH77/TはれっきとしたWindows PCであり、「Microsoft Office Home and Business Premium」もプリインストールされているため、ゲーム以外にもさまざまな用途に活用できる。PTA役員や町内会役員などに任命されると、文書や表を作成しなくてはならないことも多く、WordやExcelがあれば便利だ。高校生や大学生のお子さんをお持ちの家庭なら、学校に提出するレポートや宿題などでも、Officeが役に立つ場面は多い。BDドライブも搭載しているので、映画などのBDビデオを楽しむこともできる。高機能かつ使いやすいGH77/Tは、家族みんなで使うホームセントラルPCとして魅力的な製品と言えるだろう。