石井英男のデジタル探検隊
ムーアの法則50周年を記念して開催された「インテル親子PC体験教室」体験記
~2-in-1 PCを使ってオリジナルうちわを製作
(2015/8/17 06:00)
Intel創業者の1人であるゴードン・ムーアがムーアの法則を提唱したのは、1965年のことであり、今年(2015年)でちょうど50周年となる。ムーアの法則は、いわゆる経験則であり、物理の法則のように常に成り立つわけではないが、この50年、ほぼムーアの法則に沿う形で、半導体は進化してきた。
インテルは、ムーアの法則の50周年記念展示を、8月1日~21日までの3週間、東京・北の丸公園の科学技術館で開催している。実は科学技術館もちょうど今年50周年を迎えており、同じ50周年繋がりということで、科学技術館で記念展示を開催することになったそうだ。
イベントでは50周年記念展示だけでなく、8月7日~9日の3日間、午前10時からと午後2時からの1日2回ずつ、コンピュータの歴史や内部の様子を学ぶとともに、最新のPCを利用したモノ作りを行なうなど、親子でPCの楽しさを体験できる「親子PC体験教室」を開催した。この親子PC体験教室の対象は小学3年生以上中学生以下で、保護者と一緒に参加する必要がある。筆者も小学5年生の娘と参加してきたので、その様子をレポートしたい。
まず、インテルのプロセッサの進化について学ぶ
筆者と娘が参加したのは8月7日の午前の回である。親子PC体験教室は、科学技術館4Fにある実験スタジアムLで開催され、参加者は各回10組程度であった。この親子PC体験教室は、3つのパートに分かれており、最初のパートがインテルやプロセッサについての解説であり、次のパートが2-in-1 PCを使ったモノづくり、最後のパートがRealSenseなどの新しいUI技術と、NUCやCompute Stickといった新しいスタイルのPCの紹介である。
まず、インテルのスタッフが、インテルのロゴを子供たちに見せて知ってるか訊ねたのだが、反応は薄かった。しかし、インテルのサウンドロゴを再生したところ、CMで聴いたことがあると数人から反応があった。続いて、インテルは、マイクロプロセッサを作っている会社であり、ほとんどのコンピュータの中にインテルのマイクロプロセッサが入っているという説明がなされた。
さらに、PCの主な部品の役割やインテルのプロセッサとコンピュータの歴史、ムーアの法則の解説が行なわれた。プロセッサの進化により、これまで作れなかったものが作れるようになり、将来は人が運転しなくても自動で走る車やボタンくらいの大きさのコンピュータ、目の動きで使えるPCなどが登場するという。プレゼンの資料も、子ども向けにやさしく書かれており、子供たちも熱心に話を聴いていた。
子供たちがノートPCのライブ分解デモに興味津々
続いて、ノートPCを目の前で分解してプロセッサを探すという、ライブ分解デモが行なわれた。ライブ分解デモの前に、「プロセッサのできるまで ~砂からプロセッサ~」と題したムービーが流された。このムービーでは、シリコンの単結晶インゴットからウェハを切り出し、パターンの転写やドーピングを行ない、トランジスタを集積してプロセッサができるまでの流れが、アニメーションで分かりやすく解説されていた。
ノートPCの分解の様子はカメラで撮影され、液晶ディスプレイに映し出されるようになっていた。子供たちは、インテルのスタッフが手慣れた様子でノートPCを分解する様子を、興味深そうに見つめていた。マザーボードからCPUの上に装着されたヒートパイプとヒートシンクが外され、CPUが取り外されると、子供たちから歓声が上がった。
2-in-1 PCを使ってオリジナルうちわを作成
2つ目のパートが、2-in-1 PCの「Surface Pro 2」を使ってオリジナルうちわを作成するワークショップである。Windows 8用アプリの「FreshPaint」を使って、オリジナルうちわのデザインを行ない、プリンタでうちわシールに印刷。シールを剥がしてうちわの骨に貼り付けるという手順になる。
写真の撮り方やオリジナルスタンプの使い方、撮影した写真をスタンプの写真枠に貼り付ける方法、スタイラスペンを使ったお絵描きの方法などが解説され、参加者は思い思いにうちわのデザインを行なった。なお、うちわシールは2枚配られたが、1枚にはあらかじめインテルの絵やロゴが印刷されており、参加者は片面だけのデザインを行なった。
ほとんどの参加者が、FreshPaintを初めて使ったようだが、すぐに使いこなしていた。Surface Pro 2は、標準で感圧対応のスタイラスペンが付属しており、今回の用途には最適である。デザインが完成したら、プリンタを使ってうちわシールに印刷を行なう。まずは、テスト用の紙に印刷して確認用枠を重ね、サイズがあっているか確認する。問題なければ、本番用のうちわシールに印刷を行なう。
ユーザーインターフェイスの将来や新しいスタイルのPCを解説
最後に、ユーザーインターフェイスの将来や新しいスタイルのPCの解説が行なわれた。ユーザーインターフェイスについては、Intel RealSense搭載PCを使って、手などのジェスチャーで楽器を演奏するアプリケーションが紹介された。新しいスタイルのPCとしては、手のひらサイズの小型コンピュータNUCやスティック型のCompute Stickが紹介されたのだが、参加者のほとんどはそんな小さなコンピュータがあることを知らず、その小ささに驚いていた。
これで親子PC体験教室のカリキュラムは全て終了だ。2時間という限られた時間の中で、プロセッサやムーアの法則の解説から、2-in-1 PCを使ったモノ作り体験、次世代ユーザーインターフェイスや新しいスタイルのPCの紹介まで行なうという充実した内容であり、参加者はみな満足していたようだ。今後も、こうした親子向けのPC体験教室が開催されることを期待したい。
江田社長による記者説明会も
親子PC体験教室の初日には、インテル株式会社代表取締役社長の江田麻季子氏による記者説明会も開催された。江田氏は、ムーアの法則に基づくプロセッサの進化がPCを進化させてきたと語り、科学技術館2Fの記念展示は、ショーケースを左から右に歩くだけでITテクノロジが全て分かる作りになっていると説明した。
科学技術館2Fのショーケースには、世界初のマイクロプロセッサである4004から第5世代Coreプロセッサまでのインテル歴代CPUの実物や最新の14nmプロセス技術で製造されたウェハなどが展示されているほか、親子PC体験教室でも利用されたムービー「プロセッサのできるまで ~砂からプロセッサ~」を見ることもできる。プロセッサやコンピュータに興味がある人には、必見の展示と言える。夏休みの自由研究のテーマがまだ見つからないという人にも、いいヒントとなるだろう。