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富士通、LIFEBOOK GHで新ホームスタイルを提案

発表会で展示されたLIFEBOOK GH

 富士通は20日、個人および法人向けの2015年PC春モデルを発表。これに合わせて、都内で新製品発表会を開催した。

齋藤邦彰氏

 冒頭では、同社執行役員常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ グループ長の齋藤邦彰氏が挨拶し、新製品投入における背景となった同社の成長戦略について語った。

 富士通の成長戦略はこれまで通り、「既存領域」の強化を元に、それによって生み出される「ビジネスイノベーション領域」で革新を実現、さらにそれによって影響される「ソーシャルイノベーション領域」の拡大を目指すという3本柱。それによって今後のICTの発展に貢献するとした。

 既存領域では、これまで富士通で培ってきた技術を製品に応用し、顧客のニーズに対応できる製品を開発する。例えば薄型軽量で長時間バッテリ駆動が可能なノートPCや、LIFEBOOK GHのような新ジャンルの製品の投入によって、日々変化するユーザーのワークスタイル/ライフスタイルに応えるとした。

 ビジネスイノベーション領域においては、これまでオフィスのデスクワークでのみ使われてきたPCが、出先での営業や現場での作業といった場所にも進出するようになり、業務効率化や業務スタイルの革新に応用されるようになった。そのためには新しいウェアラブル形態のデバイスや、セキュアな運用を支えるようなソリューションが必要とされるようになり、富士通はそれにも応えていくとした。

 そしてソーシャルイノベーション領域では、2014年11月に発表したIoTプラットフォームの提供で応えていく。同社が開発したユビキタスセンサーコアモジュールを中心に、クラウド基盤やネットワーク構築、アプリケーションなどを提供し、新たなビジネスの創出とエコシステムの形成に貢献していくとした。

成長領域における取り組み
ICT技術の今後
既存領域の強化
ビジネスイノベーションの実現
ソーシャルイノベーション領域の拡大
富士通のユビキタスプロダクト

LIFEBOOK GHの無線ディスプレイをアピール

竹田弘泰氏

 続いて、同社執行役員 パーソナルビジネス本部 本部長の竹田弘泰氏が、同日発表した新製品を紹介。「個人向けでも法人向けでも、近年求められている共通の要素があり、それはいつでもどこでも安心/安全に使えることである」と踏まえた上で、「富士通のPC/タブレットは高性能/高品質をベースに、富士通ならではのモビリティ/セキュリティ/ユーザービリティといった付加価値、そしてニーズに合わせた商品固有の特徴を付加した上で提供する」と説明した。

 法人向けは6モデルを投入するが、まずは13.3型のタブレット「ARROWS Tab Q775/K」について触れた。法人向けタブレットとしては同社最大サイズとなる13.3型であるほか、手のひら静脈センサーや指紋センサーおよびNFCやスマートカードによる認証に加え、盗難/紛失時に遠隔操作でデータを削除できるCLEARSURE 3G/LTE対応であることが謳われた。また、工事現場などに求められる防水防塵設計や、医療現場に求められる体アルコール性も特徴であるとした。

 ビジネス向けUltrabookの「LIFEBOOK U745/K」については、オフィス導入において必須となっているGigabit EthernetやミニD-Sub15ピンの搭載や、生体認証/CLEARSUREによるセキュリティ、Ultrabookながらバッテリ/メモリがユーザー自身で交換可能な点について解説された。

 そしてIGZOディスプレイを搭載した「LIFEBOOK S935/K」は、最長約20時間のバッテリ駆動や、最軽量時1.21kgのモビリティ、高解像度液晶による作業効率の向上について語られた。

個人/法人双方に存在するニーズ
富士通製品の考え方
新製品の訴求ポイント
13.3型タブレット「ARROWS Tab Q775/K」。各種生体認証を備えるほか、キーボードドックに装着可能だ
防塵/防水/耐アルコール性も特徴
ビジネス向けUltrabook「LIFEBOOK U745/K」
薄型モバイルノート「LIFEBOOK S935/K」

 一方、個人向けPCについては「LIFEBOOK GH」シリーズに焦点を当てて解説した。「IoT時代の到来に向けて、各種クラウドサービスが充実してきているが、家庭内のIoTデバイスをまとめて管理し、自律的に動く確かなコンピューティングが必要とされるようになる。LIFEBOOK GHは高性能コンピューティング部(本体)と手軽なユーザーインターフェイス部(ディスプレイ)が分離しており、IoT時代に求められるホームコンピューティングの理想な形に近づく」とした。

 それを実現したのが無線ディスプレイ技術だが、データ転送に専用のLSIを搭載し、さらに富士通の独自技術を搭載することで実用化できたという。「これまでの技術だと0.25秒程度の遅延があったが、新技術の採用により0.07秒までに短縮。これは世界最速である」とアピールした。

 また、人感センサーの搭載による未使用時の低消費電力や、高性能コンピューティングをタブレット形態で利用できる新しい使い方を生み出せるとした。壇上でも、この無線ディスプレイ技術を実際に動画を流しながらデモし、本体をTVに接続することで、手元のディスプレイで見ているコンテンツと同等のものをTVに同時に映し出す様子を示した。

ホームコンピューティングの重要性
ユーザーインターフェイスとコンピューティングを分離させた新コンセプトのGHシリーズ
専用LSIと独自技術により、世界最速の1フレーム0.07秒を実現
人感センサーを搭載し、未使用時は自動的にスタンバイに入り、待機電力が少なくなる
新しいPCの使い方を提案
新製品による価値提案の継続
壇上では、実際に製品を用いてデモが行なわれた
LIFEBOOK GH77/Tの展示
GH77/Tの本体
本体左側面には光学ドライブを備えている
接続部には端子を備えており、装着時に充電される。なお、ディスプレイの接続は常時無線となる
ディスプレイの底面にも同様の接点がある
ディスプレイの右側にも接点があり、縦置きした状態でも充電される
左側面と上部にボタン類を集約しており、あたかもタブレットのように利用可能
実際に手にとったところ。なお、会場ではGH77/Tが3台ほど置かれていたが、混信はなく動画をスムーズに再生していた
IGZOディスプレイ搭載の主力モバイル「LIFEBOOK SH90/T」
指紋センサーや光学ドライブなどを備えるなど、機能が充実している
複数の顔を認識すると「覗き見されていませんか?」というポップアップが出る。プライバシーに配慮した機能だ
ホワイトLEDの採用やシルバーラインのエッジなど、女性に好まれそうなデザインを施している
SH90/Tから光学ドライブを省き、そのまま2-in-1にしたような「LIFEBOOK TH90/T」
法人向けの「ARROWS Tab Q775/K」。タブレットながらCore i7/i5やフルHD対応IGZOディスプレイの搭載、および900g台の軽量ボディが特徴。税別価格は175,400円からで、3月上旬発売
法人向けの「ARROWS Tab Q584/K」。防水防塵設計が特徴となっている。CPUはAtom、2,560×1,600ドットの10.1型ワイド液晶を搭載する。税別価格は117,100円からで、2月上旬発売
法人向けのUltrabook「LIFEBOOK U745/K」。ビジネスに必要なインターフェイスを搭載し、バッテリ/メモリはユーザーが交換可能で、19mmの薄さを特徴とする。税別価格は322,100円からで、2月上旬発売
U745/Kに内蔵される手のひら静脈センサー
法人向けノートの一部ラインナップ(U745/K、T725/K、およびEシリーズ)ではドッキングステーションや拡張ベイのアクセサリなどが共通化されており、「ファミリーコンセプト」を特徴とする
法人向けのモバイルノート「LIFEBOOK S935/K」。基本的に個人向けのSH90/Tをベースとしている。税別価格は300,900円からで、1月下旬発売
こちらは個人向けのLIFEBOOK TH90/Tをベースとした「LIFEBOOK T935/K」。ディスプレイ中心を軸に回転する2-in-1で、現在は少なくなったが、元々のタブレットになるノートはこのスタイルが一般的だった。税別価格は405,100円からで、1月下旬発売

(劉 尭)