井上繁樹の最新通信機器事情

ネットギア「R6300」

〜11ac/1.3Gbpsに対応したUSB 3.0ポート搭載の高速モデル

ネットギア「R6300」
発売中

オープン価格

 ネットギアの「R6300」はIEEE 802.11ac(draft)に対応した無線LANルーターだ。海の向こうでは2012年に発売された製品だが、日本国内に投入されるのはその後出た更新版(v2)にあたる。満を持して乗り込んできた黒船の実力を調べて見た。

概要

 ネットギアのR6300はIEEE 802.11a/b/g/nに加えIEEE 802.11ac(draft)(以降「11ac」)に対応した無線LANルーターだ。無線LAN部分は2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応しており、最大接続速度は2.4GHz帯が450Mbps(11n)、5GHz帯が1.3Gbps(11ac)だ。SSIDは各周波数帯ごとに2つ、つまり計4つ使えるが、そのうち2つはゲストアクセス用のものとして設定済みだ。有線LAN部分はWAN×1、LAN×4で最大接続速度はすべて1Gbpsとなっている。

同梱物はインストールガイド、ユーザー登録書などペーパー類とLANケーブル(1.5m)×1
ロゴ面右側から。ロゴは電源投入時点灯。ロゴの下に電源、インターネット、ワイヤレス、USBのランプが並ぶ
ロゴ面右後方から。右側面には上からWi-Fi On/Offボタン、WPSボタン、USB 2.0ポートが並ぶ
ロゴ面反対側。中央に凹掘りのロゴ、下には左からUSB 3.0ポート、Ethernet(LAN)ポート×4、Internet(WAN)ポート×1、Resetボタン、Powerボタン、DCコネクタ
底面には3辺をカバーするゴムの滑り止めと、SSIDや暗号化キー、シリアル番号やMACアドレスを始め、対応規格をプリントしたシール
最大接続速度は1,300Mbps。画面は2台のR6300を使っての中継接続時のステータス表示

 大きさは191×65×198.5mm(幅×奥行き×高さ)で重量は430g。消費電力は25.62Wとしている。本体はステルス機のような幾何学的で鋭角的な形状で色は黒。動作時に白く光るロゴ面の反対側は天側も側面も含めて排気のための三角の穴が並ぶ。設置方法は縦置きのみ。底面には大きめのゴムが貼られており、重めの本体重量と相まって安定している。

 USB 3.0ポートとUSB 2.0ポートを搭載しており、接続したUSBストレージにLAN内のPCからアクセスできるほか、インターネット経由でブラウザやFTPを使ってアクセスできる。ダイナミックDNS(DynDNS)に対応しているので、外部からアクセスする際IPアドレスだけでなくドメイン名も使える。また、USB接続のプリンタを接続して、LAN内のPCで共有できる。

 セキュリティ系の機能は「ポートスキャンとDoS保護」「NATフィルタ」「禁止サービス(ポート番号によるフィルタ)」「禁止サイト(指定したドメインへのアクセスを遮断)」など。アクセス遮断は、オン/オフを1週間単位でスケジュール設定できるほか、遮断した際ログを添付したメールを管理者に送信することもできる。

ブラウザ、PC、スマホ&タブレットに対応する管理機能

 管理機能はWeb UIに加えて、Windows、MacなどのPC用アプリ、AndroidとiOSに対応したスマートフォン、タブレット端末用のアプリがある。アプリはどれも無料で公式サイトや各OS専用のストアからダウンロードできる。大雑把に言うと、PC用アプリはWeb UIの「基本」タブから主要機能を取り出したもの、Android、iOS用はアプリはPC用アプリからさらに機能を絞り込んだものだ。

管理画面トップ。主要な機能は右ペインのステータス表示付きのアイコンから呼び出せる
無線LAN設定。2.4GHz帯の最大接続速度は450Mbps
接続機器一覧表。PCやスマホ、タブレットにインストールするアプリではアイコン表示となる
より詳細な設定ができる「高度」タブのトップ。有線・無線の現在設定が一目で把握できる
QoSの優先度ルールリスト。あらかじめ多数のサービスが設定済み
アクセスポイントとしても利用可能
トラフィックメーターでは転送量の制限が可能。統計は表形式

 Web UIでは搭載機能を「基本」と「高度」の2つのタブにまとめている。「基本」タブの「ホーム」ではリアルタイムにステータス表示しており、ぱっと見で主要機能の状態が確認できる。また、開いた項目のヘルプを表示する「ヘルプセンター」機能を搭載しており、マニュアル要らずの使い勝手を実現している。

Windows版の管理アプリ「NETGEAR genie」トップ。Web UIに無い機能が追加されているほか、一部テキスト表示をグラフィカル表示にするなど見た目がリッチに
Wi-Fiチャンネル表示。電波の利用状況をグラフ表示する。Web UIには無い機能
トラフィックメーターはグラフ表示
Web UIの接続機器一覧にあたる機能は、アイコン表示のネットワークマップ。各機器をクリックすればIPアドレスやMACアドレスを確認できる
ネットワークサポートの項目では、FAQの閲覧やサポートページへのアクセスができるほか、pingやtracerouteなどのコマンドを利用できる

 PC用アプリやAndroid、iOS用アプリでは、PPPoE接続設定や無線LANのオン/オフなど、変更するとインターネット接続に致命的な影響が出る機能は省かれているが、影響がLAN内で収まるSSIDと暗号化キーの変更はできる。アプリにはWeb UIにある「ヘルプセンター」は無いが、ヘルプやマニュアルを読まなくても使える機能に絞られており、使える機能の数が少ない分目的の項目を探しやすく、より手軽で簡単になっている。

 アプリ側がWeb UI側と比べてリッチになっている部分もあって、接続機器の表示はアイコン画像を使った「ネットワークマップ」に置き換えられているほか、トラフィック表示は表から棒グラフに置き換えられている。それから、PC用アプリにはDLNAサーバーが、Android、iOS用アプリはさらにDLNAクライアントが組み込まれている。

iOS版の管理アプリ「NETGEAR genie」トップ。設定関係の機能は簡略化されているが、DLNAクライアントとサーバー、接続設定読み込み用のQRリーダー、ルーターの再起動ボタンが追加
接続機器をグラフィカル表示する「ネットワークマップ」はWindowsアプリのものと同等の機能
トラフィックメーターはWindowsアプリ同様グラフ化されるが、スクロールして見ることを前提とした縦長の表示
DLNAクライアント「マイメディア」。NETGEAR genieが搭載するDLNAサーバーにもアクセスできる(一番上の水色の「N」アイコン)
写真のプレビューリスト。表示の際は画面タップでファイル名とファイルサイズが確認できる
PS3上でメディアサーバーを表示させた画面。上からiPhopne、Windows 8.1、R6300上で動いているDLNAサーバー

 ただし、iOS用のアプリで確認したところ、MOV、MP4、MP3形式ファイルの音声が再生されなかった。画像については問題なく表示できるので、画像の共有用途には便利に使える。動画や音声も含めてとなると別途アプリを入手する必要がある(Twonky Beamで音声も再生できることを確認)。

ベンチマーク結果

 速度の測定にはノートとデスクトップの2台のWindows 8.1マシンを使用した。メモリ8GB、SSD搭載な点は共通で、CPUがノート側はCore i5-3210M 2.5GHz、デスクトップはCore i3-2120 3.3GHz。無線LAN子機は、ノートはエレコムの「WDC-867U3」、デスクトップは「Intel Dual Band Wireless-AC 7260 for Desktop」(以下「AC7260」)を使用した。測定環境は、2.4GHz帯のSSIDは10以上確認できるものの、5GHz帯SSIDは5件前後の鉄骨マンションの1室。

速度測定の際の11acの11ac接続速度上限は867Mbps接続だった(無線LAN子機の制限による)

 測定には、CrystalDiskMark3.03(ネットワークドライブとしてマウントした共有ドライブを測定)、FTP、iperf、そしてインターネットの速度については「スピードテスト」を使用した。なお、CrystalDiskMark(以下「CDM」)を使った測定では測定対象としてSSDに加えてRAMDISKを使用した。

 まず、1台のR6300に2台のPCを、11n(2.4GHz)、11ac、1Gbps有線LANのいずれかでつないだ場合のPC間の速度は次の通り。まず、CDMの結果は、1Gbpsの有線-有線接続の場合は約593〜915Mbps、11acの無線-無線接続の場合は約99〜125Mbps、ノート側11acでデスクトップ側有線の場合は約174〜282Mbps、ノート側11nでデスクトップ側有線の場合は約80〜106Mbpsだった。

【表1】2台のPC間のCDM速度測定結果
規格/接続速度 11n/144Mbps、有線/1Gbps 11ac/867Mbps、有線/1Gbps 11ac/867Mbps、11ac/867Mbps 有線/1Gbps、有線/1Gbps
使用ストレージ SSD RAM SSD RAM SSD RAM SSD RAM
リード 101.4 105.5 282.1 276.7 117.7 124.9 612.1 913.1
ライト 79.6 86.5 174.1 184.3 98.8 115.1 593.1 915.3
11ac/867Mbps、有線/1Gbps接続時のCDM結果(RAMDISK使用)

 iperfの結果はログの通り172〜240Mbpsで、200Mbps前後の値が大半を占めた。

【ログ】11ac/867Mbps, 有線/1Gbps時のiperf結果

bin/iperf.exe -c 192.168.1.4 -P 1 -i 1 -p 5001 -f m -t 10
------------------------------------------------------------
Client connecting to 192.168.1.4, TCP port 5001
TCP window size: 0.06 MByte (default)
------------------------------------------------------------
[184] local 192.168.1.7 port 50872 connected with 192.168.1.4 port 5001
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[184] 0.0- 1.0 sec 26.9 MBytes 225 Mbits/sec
[184] 1.0- 2.0 sec 24.9 MBytes 209 Mbits/sec
[184] 2.0- 3.0 sec 28.6 MBytes 240 Mbits/sec
[184] 3.0- 4.0 sec 20.6 MBytes 172 Mbits/sec
[184] 4.0- 5.0 sec 24.4 MBytes 205 Mbits/sec
[184] 5.0- 6.0 sec 24.6 MBytes 207 Mbits/sec
[184] 6.0- 7.0 sec 24.9 MBytes 209 Mbits/sec
[184] 7.0- 8.0 sec 24.5 MBytes 205 Mbits/sec
[184] 8.0- 9.0 sec 24.6 MBytes 206 Mbits/sec
[184] 9.0-10.0 sec 28.6 MBytes 240 Mbits/sec
[184] 0.0-10.3 sec 253 MBytes 205 Mbits/sec
Done.
11ac/867Mbps、有線/1Gbps時のjperf(iperf)出力

 FTPの結果は、RAMDISK使用時約205〜392Mbpsで、SSD使用時約208〜335Mbpsだった。

【表2】11ac/867bps、有線/1Gbps接続時FTP速度(RAMDISK)

test1 test2 test3 test4 test5
リード(get) 264.8 203.6 386.7 195.2 391.8
ライト(put) 209.5 209.4 204.8 210.0 209.2
【表3】11ac/867Mbps、有線/1Gbps接続時FTP速度(SSD)

test1 test2 test3 test4 test5
リード(get) 283.4 334.9 285.4 298.9 284.5
ライト(put) 208.1 210.9 209.9 208.3 209.1

 次に、3台のR6300を11ac/1,300Mbpsで中継接続(PCは1Gbps有線LANで各R6300に接続)した場合の速度は次の通り。CDMの結果は約415〜605Mbpsで、規格値の1,300Mbpsには届かず、1Gbps有線LAN接続と比べても200〜300Mbps程度差があるが、それでも11nと比べると圧倒的に速い。

【表4】11ac/1.3Gbps接続時CDM速度測定結果
規格/接続速度 11ac/867Mbps
使用ストレージ SSD RAM
リード 425.3 605.1
ライト 415.0 519.7
11ac/1.3Gbps接続時CDM結果(RAMDISK使用)

 iperfの結果はログの通り617〜672Mbpsで、平均速度は631Mbpsだった。

【ログ】11ac/1.3Gbps接続時のiperf結果

bin/iperf.exe -c 192.168.1.4 -P 1 -i 1 -p 5001 -f m -t 10
------------------------------------------------------------
Client connecting to 192.168.1.4, TCP port 5001
TCP window size: 0.06 MByte (default)
------------------------------------------------------------
[184] local 192.168.1.2 port 49921 connected with 192.168.1.4 port 5001
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[184] 0.0- 1.0 sec 79.7 MBytes 669 Mbits/sec
[184] 1.0- 2.0 sec 80.2 MBytes 672 Mbits/sec
[184] 2.0- 3.0 sec 74.4 MBytes 624 Mbits/sec
[184] 3.0- 4.0 sec 74.2 MBytes 622 Mbits/sec
[184] 4.0- 5.0 sec 73.8 MBytes 619 Mbits/sec
[184] 5.0- 6.0 sec 73.7 MBytes 618 Mbits/sec
[184] 6.0- 7.0 sec 74.7 MBytes 627 Mbits/sec
[184] 7.0- 8.0 sec 74.3 MBytes 623 Mbits/sec
[184] 8.0- 9.0 sec 74.4 MBytes 624 Mbits/sec
[184] 9.0-10.0 sec 73.6 MBytes 617 Mbits/sec
[184] 0.0-10.0 sec 753 MBytes 631 Mbits/sec
Done.
11ac/1.3Gbps接続時のjperf(iperf)出力

 FTPの結果はリードは約82〜479Mbpsと大きく振れたが、ライトは約483〜506Mbpsで小さい前後の振り幅で安定していた。

【表5】11ac/1.3Gbps接続時FTP速度(RAMDISK)

test1 test2 test3 test4 test5
リード(get) 211.5 210.7 212.2 478.9 212.1
ライト(put) 488.1 482.9 484.3 488.7 489.0
【表6】11ac/1.3Gbps接続時FTP速度(SSD)

test1 test2 test3 test4 test5
リード(get) 205.1 155.3 170.0 81.6 405.9
ライト(put) 496.3 502.7 505.7 496.3 500.1

NAS機能(ReadyShare)とベンチマーク結果

 R6300はUSBポート持つほかのルーター製品同様接続したストレージをLAN内で共有するいわゆるNAS機能を搭載している(Windowsであればエクスプローラーのアドレスバーに「\\READYSHARE」と入力すれば開ける)。また、WebブラウザやFTPを使ってインターネット経由でファイルの受け渡しができる(ブラウザを使う場合は受け取りのみ)。パスワード設定はフォルダ単位で可能で、管理画面に入る時のID、パスワードをそのまま使う。

 NAS機能の速度をCDMで速度を測定した結果は表の通り。なお、表中の「MEM」はUSB 3.0接続対応のUSBメモリを、「HDD」はUSB 3.0接続対応のHDDを指している。結果は、11ac/867Mbps接続時は約130〜142Mbps、11n/144Mbps接続時は約67〜88Mbps、1Gbps有線LAN接続時は約167〜339Mbpsだった。

【表7】NAS機能使用時CDM速度測定結果
規格/接続速度 11n/144Mbps 11ac/867Mbps 有線/1Gbps
使用ストレージ MEM HDD MEM HDD MEM HDD
リード(get) 71.1 67.2 141.3 140.6 337.4 338.9
ライト(put) 88.1 85.2 141.7 129.5 167.6 278.7
接続したUSBストレージはフォルダ単位でパスワード管理が可能。ブラウザやFTPを使ったインターネット経由での共有も可能
NAS機能のCDM結果(1Gbps有線LAN接続、USB 3.0接続HDD使用)

 DLNAサーバー機能を搭載しているので、Windowsであればメディアプレイヤー、iOSやAndroid搭載の端末であればDLNA対応アプリ、そのほかTVやゲーム機などのDLNAクライアント搭載のハードで、USBストレージに保存した写真、音楽、動画ファイルをLAN内で手軽に共有できる。

 それから、バックアップ用に使う場合だが、Windowsであれば、R6300の共有フォルダをネットワークドライブとして登録しておけば、「ファイルの履歴」や「システムイメージバックアップ」など、OS標準の機能で簡単にできる。Macについては残念ながらTime Machineには対応していないのでほかの方法を選択する必要がある。

ファイルの履歴。Windows 7以降OSに搭載されたユーザーファイルバックアップ機能
ReadyShare Vault。スライダー操作で時間軸移動する。リストア機能はエクスプローラーのPCフォルダから呼び出せる(フォルダにアイコンが常時表示される)

 ちなみに、ネットギアはWindows用のバックアップソフト「ReadyShare Vault」を公開しているが、メーカーは日本では非対応としている。スライダー操作で時間軸移動してファイル単位での復旧が簡単にできる「うっかり」さん御用達な便利なソフトだが、試してみたところ復活したファイルは指定した場所ではなくユーザーフォルダに作られた「Cフォルダ」以下に保存されてしまった。少なくとも現時点では諦めるしかないようだ。

まとめと感想

 R6300は11ac対応の無線LANルーターとして、無線、有線ともに高速な部類に入る。USB 3.0ポートを使った場合のNAS機能も高速で、1Gbps有線LANを使ってファイルを読み込む際は体感では普通のPCと判別がつかない。そのせいか11ac無線LANルーターの中でも消費電力は大きめだ。

 ルーター本体に搭載されているWeb UIを始め、PC用ソフト、Android、iOSアプリまで揃った管理機能「NETGEAR genie」は完成度が高く使い勝手も悪くない。DLNAクライアントで音声がうまく再生できないのは残念だが、DLNAクライアントであれば無料のアプリがあるくらいなので代わりには事欠かない。ほかのアプリで使う場合、メニュー階層が1つ減って階層移動が楽になるほか、アプリ切り替えで即座に呼び出せるメリットもある。多機能/高性能ルーターを考えているユーザーにおすすめしたい。

(井上 繁樹)