Hothotレビュー

日本HP「HP Pavilion 15-n200(AMDモデル)」

~A6-5200+Radeon HD 8670M搭載の低価格15.6型2スピンドル

HP Pavilion 15-n200(AMDモデル)
発売中

直販価格:56,070円

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)から、メインストリーム向けの15.6型ノートPC「HP Pavilion 15-n200(AMDモデル)」が発売となった。

 AMDのJaguar CPUコアを採用したSoCとしては最上位のA6-5200(2GHz、ビデオ機能内蔵)を採用。さらにディスクリートGPUにRadeon HD 8670Mを搭載するなど、グラフィックス機能に重視。直販価格は56,070円だが、現在200台までの台数限定キャンペーンで49,980円とかなり値頃感がある。今回1台お借りできたので、これまでベンチマークできなかったA6-5200の性能も含めて使用感をレポートする。

Kabini最上位のA6-5200を搭載

 本機の最大の特徴は、Jaguar CPUコア採用x86 SoCとしては最上位のA6-5200を採用していることに尽きる。現在国内で販売されているノートPCすべてを見渡しても、Kabiniを搭載しているのは本機のみ。タブレットや11.6型ノートで採用事例があるTemashと比較するとTDPが高いものの、その分動作クロックは2GHzと高い。これを主力の15.6型に搭載したということは、性能に自信があるということだろう。

 また、ディスクリートGPUとしてRadeon HD 8670Mを搭載し、アプリケーションによってはさらに性能を向上できる点もユニーク。本機はAMDの「Enduro Technology」をサポートしており、プロファイルによってシームレスに内蔵GPUとディスクリートGPUが切り替わる仕組みとなっている。

 A6-5200のGPUはSP数128基で、クロックは600MHz。一方Radeon HD 8670MはSP数384基で、クロックは775~825MHzとなっている。演算性能の差はざっと3倍以上で、3Dゲームなどに威力を発揮しそうだ。

 というわけでベンチマーク結果に移りたい。参考比較用としてTemash最上位のA6-1450を搭載した「Aspire V5」、Silvermontコア上位のPentium N3510を搭載した「Pavilion 11x2」の結果を加えてある。また、3DMarkも実施し、3D関連のベンチマークについては、内蔵GPU利用時とRadeon HD 8670M利用時の結果も掲載している。

Pavilion 15
(8670M優先)
Pavilion 15
(内蔵GPU)
Aspire V5Pavilion 11x2
CPUA6-5200A6-5200A6-1450Pentium N3510
メモリ4GB4GB4GB4GB
ストレージ1TB HDD1TB HDD500GB HDD128GB SSD
OSWindows 8.1Windows 8.1Windows 8Windows 8
PCMark 7
Score1765-12252992
Lightweight1358-6791864
Productivity964-3551180
Entertainment1883-12412094
Creative2762-28774600
Computation3712-38556064
System storage1475-15154938
ファイナルファンタジーXIオフィシャルベンチマーク3
Low5258513931964072
High3791375722062537
Sisoftware Sandra
Dhrystone38.51GIPS-18.21GIPS23.5GIPS
Whetstone22GFLOPS-12GFLOPS12.77GFLOPS
Graphics Rendering Float262.08Mpixel/sec136.46Mpixel/sec115.34Mpixel/sec43.16 Mpixel/sec
Graphics Rendering Double39.53Mpixel/sec10.5Mpixel/sec7.46Mpixel/sec8.07 Mpixel/sec
3DMark
Ice Storm score364373144818546-
Graphics score434143575022196-
Physics score233212212911755-
Cloud Gate score356625891577-
Graphics score466028531942-
Physics score19581958952-
Fire Strike score763367221-
Graphics score845400257-
Physics score276427831329-

 ただしPCMark 7の結果については、Entertainmentの項目が完走しなかったため、GPUアクセラレーションを使用しない互換モードで走らせている。このためスコアはあくまでも参考としていただきたい。

 結果は至って順当で、ほぼA6-1450からクロック分性能が向上しているのがわかる。SilvermontアーキテクチャのPentium N3510と比較してもCPU/GPU性能ともに良好であることがわかる(Pavilion 11 x2はストレージがSSDのため、PCMark 7では性能差を付けられている)。一般ユーザーならまったく性能に不満なく使えるだろう。

 一方Radeon HD 8670Mの性能はやや微妙だ。演算ユニットが3倍になっているにもかかわらず、DirectX 9ベースのIce Storm(Graphics)では2割、DirectX 10ベースのCloud Gate(Graphics)でも4割程度の性能アップ。Fire Strikのスコアは2倍程度性能が出ているものの、DirectX 11を要求するゲームには力不足なのであまり意味がない。

 CPUの性能がそこまで高くないためGPU性能を引き出していないと考えることもできるが、そもそもRadeon HD 8670Mのメモリはバス幅64bit/1,800MHz駆動のDDR3で、A6-5200内蔵GPUに毛が生えた程度のため、この程度の性能が妥当だろう。とは言え5万円を切るノートPCにディスクリートGPUが搭載されていること自体、評価してもいいだろう。

ヘアライン加工に塗装で高い質感

 本体を見ていこう。本体サイズは385×260×23~25mm(幅×奥行き×高さ)と、フットプリントこそ一般的な15.6型ノートと同じだが、2スピンドルノートとしては比較的薄型になっている。搭載されるA6-5200はTDPが25Wと低いので、この筐体を実現できたのだろう。

 天板とパームレストは薄い灰色で、ヘアライン加工されたカバーの上にクリアな塗装を施しており、高級感がある。指紋も比較的つきにくく、このあたりはデザインと機能性を両立させている。バッテリとヒンジ部はシルバーで、プラスチックっぽい触感だが、安っぽさはない。バッテリの上に印字されたHewlett-Packardの文字も良いアクセントとなっている。

 本体底面はパネルの一部が2本のネジで留められており、ここを外せばメモリスロットとMini PCI Expressスロットにアクセスできる。本機にはMicron製のDDR3-1600メモリが1枚だけ装着されており、スロットに1個空きがあるため拡張が可能だ。

 本体左側面は奥からDC入力、ケンジントンロックポート、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0×2、SDカードスロットを装備。排熱口もこちらに設けている。一方右側は奥からDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0、ヘッドセット用ミニジャック、HDD/電源インジケータとなっている。最近のモデルではHDDアクセスインジケータを省く機種が増えているが、本製品はしっかり装備されているのはありがたい。

天板。中央にHPのロゴがあるのみでシンプルだ
本体底面。吸気口が多数設けられている
メモリスロットは1基空いており増設が可能
本体左側面。奥からDC入力、ケンジントンロックポート、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0×2、SDカードスロットを装備
右側は奥からDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0、ヘッドセット用ミニジャック、HDD/電源インジケータを備える
DVDスーパーマルチドライブはトレイ式
本体背面
本体前面
バッテリには“Hewlett-Packard”が印字されており、良いアクセントになっている

標準的なユーザーインターフェイス

 天板はラッチレスで開くようになっている。インジケータは側面、ファンクションボタン類はFnキー兼用となっているため、キーボード部分はすっきりしている。タッチパッドはパームレスト一体型で一部が凹んでいる形だ。区別するためにドットパターンが掘られており場所は把握しやすいが、ドットパターン全体ではなく端の方は反応しないのがやや気になった。

 キーボードは近年流行りのアイソレーションタイプ。このクラスとしてはかなりストロークが浅いが、本体もそれなりに薄いので特に気にならない。キーピッチは18.5mm確保されており、テンキーも付くものの、カーソルキーの上下はピッチが狭いのは気になった。

 HPは近年どの機種でもこのスタイルを継続しており、おそらくはデザイン上こうなっているのだが、エディタや表計算などで上下をよく使うことを考えると、このピッチではミスタイプが多く、2本の指を同時に置けないため、半段下にずらすか、「ろ」や「Shift」キーを詰めてもいいので上下のピッチを確保した方が良いのではないかと思う。

 液晶は1,366×768ドット表示対応の15.6型光沢タイプ。パネルのタイプは明らかにされていないが、下から除くと色偏移が見受けられたので、TNと見て間違いないだろう。しかし上と左右は比較的視野角が広く、このサイズとしては標準的と言える。1,366×768ドットという解像度は15.6型としてはかなり余裕があるため、文字などが大きく表示されてなかなか気持ちいいが、3DMarkのテスト選択画面やウイルス対策ソフトのポップアップで画面の大半を占めてしまうと、やはり解像度不足を認識させられてしまう。価格は安いのでフルHDまでとは言わなくとも、せめて1,600×900ドットぐらいは欲しいのが正直なところである。

 スピーカーはBeats Audioブランドではなく、dts Sound+ブランドのものとなっているが、このクラスとしては標準的な音質/音量で、気軽に音楽を流す分には外部スピーカーなしでも十分満足行くだろう。

開いたところ
キーボードはテンキー付き
キーピッチは18.5mmを確保している
カーソルキーの上下は、2本指を同時に置くにはやや窮屈だ
一部キーはインジケータを内蔵している。このためキーボード部はすっきりしている
タッチパッドはパームレストと一体型で、ドットパターンで区別する
液晶はTNだが視野角はそれほど悪くない。色味も比較的正しい

AMD搭載15.6型としては画期的なバッテリ駆動時間

付属のACアダプタは90Wタイプとしてはかなり小型だ

 ACアダプタは90Wタイプで、15.6型ノートに付属するもの90Wタイプとしてはかなり小型な方だ。ただしAC本体は小さいものの電源ケーブルは3ピンのため太く、持ち歩くにはややかさばる。ウォールマウントアダプタが付属するので、持ち歩く際にはそちらを使うことになるだろう。ただし本機はモバイル用途ではないのであまり気にならないのかもしれない。

 稼働時の消費電力を計測したところ、液晶輝度50%でアイドル時では7W、内蔵GPU利用時の3DMark Fire Strike Combineテスト負荷時では21W、Radeon HD 8670M利用時の同テスト負荷時でも37Wとかなり低かった。65WのACアダプタでも十分動作できる範囲だが、バッテリへの充電も同時に行なうことと余裕を見越して90Wを採用しているのだろう。

 使用時は低負荷時/高負荷時ともにパームレストが熱くなることはなく、快適に使えた。また、本機には同社独自の冷却最適化ソフト「HP CoolSense」をプリインストールしており、膝の上で使われているのか、机の上で使われているのかを加速度センサーで検出し、それに合わせてファンの回転数を調節する。すなわち膝の上では底面が熱くならないようファンを高速で回転させユーザーに底面が熱いと感じさせないよう、一方机の上で使用している時はファンを低速で回転させ騒音を抑えるといった工夫がされている。タスクトレイでオン/オフができ、その効果はすぐに分かる。

 ただし気になったのはそこそこ騒音がする点で、アイドル時/負荷時かかわらずやや甲高いファン回転音がする。薄型でなおかつディスクリートGPUも内蔵しているので、性能とはトレードオフと言ったところだ。

 バッテリは4セルのリチウムイオンで、駆動時間は公称で約5時間とされている。今回BBenchでWeb巡回/キーストロークがオンの状態で計測してみたところ、バッテリ残り9%まで約5.5時間稼働した(電源設定ではなぜかこれ以下に設定できなかった)。AMDプロセッサ搭載の15.6型ノートとしては画期的だろう。先述の通りアイドル時は7W程度しか消費しないため、これが好結果を結ぶ結果となったようだ。

ライトなアットホームユーザーはこれ1台でOK

「速効! HPパソコンナビ特別版」が付属する

 Pavilion 15はライトユースに十分な性能と機能性を備えた1台だ。メールの送受信やブログの更新、オフィスファイルの閲覧はもちろんのこと、軽めの3Dオンラインゲームも軽くこなせるだけのグラフィックス性能を備える。さらにDVDスーパーマルチドライブも付いているため、レンタルしたDVDの鑑賞と言った用途にも使える。また、1TBのHDDを内蔵しているため、SDカードから読み込んだデジカメ画像を大量に保存できるのも良い。

 日本HPは2014年春モデルから、マイナビのガイドブック「速効! HPパソコンナビ特別版」を添付している。PCの使い方を解説しているガイドブックで、これならば初心者でも心強いだろう。価格も5万円を切っていて安く、これから一人暮らしを始める大学生や新社会人に最適と言えるだろう。

(劉 尭)