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NEC「LaVie Tab W TW710/S2S」

〜着脱式キーボード付属のWindowsタブレット

NEC「LaVie Tab W TW710/S2S」
発売中

価格:オープンプライス

 NECは、2-in-1タブレット新モデル「LaVie Tab W TW710/S2S」を6月26日に発売した。着脱式キーボードが付属し、タブレットとしてもノートPCとしても活用できるとともに、デジタイザペンで軽快なペン入力も行なえるなど、活用の幅の広さが特徴となっている。実売価格は97,000円前後。

10.1型液晶搭載のオーソドックスなWindowsタブレット

 5月末に無償版Windowsこと低価格デバイス向けのWindows新エディション「Windows 8.1 with Bing」が発表されて以降、低価格なWindowsタブレットの登場に注目が集まっているが、「LaVie Tab W TW710/S2S」(以下、TW710/S2S)は通常版Windows 8.1(Windows 8.1 Update 32bit)を採用するオーソドックスなWindowsタブレットだ。

 本体デザインは非常にシンプルだ。カラーはシルバーで、ごく一般的なタブレットといった印象。天板のロゴも控えめで目立つことがなく、かなりおとなしい印象。あまりにもデザインに特徴がないため、個性が伝わってこないという点はやや残念に感じる。もう少し凝ったデザインでも良かったのではないだろうか。

 タブレット本体のサイズは、256.5×177×8.95mm(幅×奥行き×高さ)。フットプリントは10.1型液晶搭載のタブレットとして標準的な大きさだが、ベゼル部分をもう少し狭くしてコンパクトになっているとよかった。それに対し高さは9mmを切る薄さを実現しており、カバンなどへの収納も苦にならない。これは、CPUに低消費電力のAtom Z3795を採用することで、ファンレス仕様を実現したことが大きく影響している。

 タブレット本体の重量は公称で約598g、実測では586.5gだった。10.1型タブレットとして特別に軽いわけではないが、標準的なものだ。まずまず満足できる範囲内だろう。

タブレット天板。カラーはシルバーで、デザインはシンプル。フットプリントは256.5×177mm(幅×奥行き)
液晶面。WUXGA(1,920×1,200ドット)表示対応の10.1型液晶を搭載。ベゼル部分がもう少し狭いとよかった
下部側面。高さは8.95mmと9mmを切る薄さを実現している
左側面
上部側面
右側面
タブレットの重量は実測で586.5g。10.1型Windowsタブレットとしてはまずまずの重量だが、もう少し軽ければよかった

着脱式専用キーボードが付属

 TW710/S2Sには、標準で着脱式の専用キーボードが付属する。この専用キーボードは、タブレット本体を固定して開閉できるものではなく、キーボード奥の溝にタブレットを立てかけて使うタイプのもの。タブレットを装着すれば、キーボードとタッチパッドを利用した操作が可能となり、クラムシェル型ノートPCに近い使い勝手で利用できるようになる。

 タブレットとキーボードは強力な磁石で固定されるようになっており、キーボード装着時にタブレット本体を持って持ち上げてもキーボードが外れることはない。かなりしっかりと固定される上に、キーボード自体の剛性も高く、膝の上に置いて使う場合でも全く不安がない。また、タブレットをノートPCで液晶を閉じるような感じで装着すれば、キーボードがカバーの役割を果たし、タブレットとキーボードを一体で持ち歩くことも可能。さらに、液晶面を上にして一体型として利用することもできる。

 キーボードのキーは、主要キーのピッチが18.5mmとコンパクトながら余裕があり、さらにストロークも1.8mmと深いため、かなり扱いやすい。薄型ノートPCや薄型カバー一体型キーボードなどと違い、深いストロークとしっかりとしたクリック感によって、大型ノートPCのキーボードと比べても遜色のない打鍵感が実現されているのは大きな魅力だ。キー数が少なく、一部キーが省かれていたり、Enterキー付近のキーピッチが狭くなっている点は気になったが、通常の文字入力は非常に軽快に行なえる。

 ただし、キーボード手前のタッチパッドはやや使い勝手が悪い。その大きな要因は、縦の幅が狭いためだ。横幅は実測で約89mmとかなり広いのに対し、縦幅が実測で約35mmと狭い。サイズの制約からこのような変則的な形状になっているが、縦が狭いことで利便性がやや削がれていると感じる。

 もう1点気になるのが、タブレット装着時の角度を変更できない点だ。これは、構造上仕方ない部分もあるが、せめて2段階には角度を変えられるようなギミックを用意してもらいたかった。

 このキーボードの重量は公称で約550g。タブレット装着時の実測の重量が1,121gだったため、キーボード単体の重量は534.5gとなる。キーボードにサブバッテリなどを搭載しないことを考慮すると、この重量はやや重いと言える。できればタブレット本体と合わせて1kgを切る重量にしてもらいたかったように思う。キーボードのサイズは、256.1×196.5×7.3〜25.5mm(幅×奥行き×高さ)。後方下部には大きな突起が用意され、キーボード利用時に自然な角度がつくようになっている。これもキーボードの使い勝手を高める要因の1つだろう。

付属の着脱式キーボード。小型ノートPCに搭載されるものとほぼ同仕様のキーボードとなっている
キーボード前方
キーボード左側面。高さは手前が7.3mm、奥が25.5mm。奥から手前にわずかに傾斜している
キーボード背面。ポート類はなく、内部にバッテリも搭載しない
キーボード右側面
キーボード底面。奥に突起があり、全体が傾斜する仕様となっている
主要キーのキーピッチは約18.5mmと、コンパクトなサイズの割にゆったりとしている
サイズの小ささもあり、Enterキー付近のキーピッチが狭くなっている点は気になる
ストロークは約1.8mmと深く、しっかりとしたクリック感もあるため、打鍵感はかなり優れる
タッチパッドは実測で89×35mm(幅×奥行き)と横長のため、やや使いにくい
タブレットをキーボード後方の溝に置くことでノートPC相当として利用可能
タブレットとキーボードはマグネットで固定される。マグネットの強度はまずまず強く、傾けたりタブレットを持って持ち上げても外れることはない。キーボードは剛性が高く、膝に置いて安定して利用できる
このように、キーボード側に液晶面を向けて装着すればキーボードがカバー代わりとなり一体化して持ち運べる
液晶面を外に向けて装着し利用することも可能
タブレットの角度は変えられないため、利用場所によってはやや使いにくい場合がある
キーボードとタブレットの合計重量は実測で1,121g。できれば合計で1kgを切ってもらいたかった

10.1型のWUXGA液晶を搭載しデジタイザにも対応

 搭載する液晶パネルは、1,920×1,200ドット(WUXGA)表示に対応する10.1型液晶だ。最近では、10型クラスのタブレットでもフルHDを大きく凌駕する超高解像度パネルを採用する例が増えているが、10型クラスではフルHDやWUXGAでも十分に高解像度で、デジタルカメラの写真などを表示した場合でも解像感で劣る印象はほとんどない。

 パネルの種類はIPS方式のため視野角が広く、どの角度から見ても発色や明るさの変化が少なく、快適な視認性を確保できる。パネル表面は光沢処理となっているため、外光の映り込みはかなり気になるものの、発色は鮮やかで表示品質は申し分ない。

 タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに加え、電磁誘導方式のデジタイザにも標準対応しており、デジタイザペンが付属する。デジタイザペンを利用したペン入力は非常に軽快で、1,024段階の筆圧検知にも対応しているため、手書きでメモを取ったり、絵を描くといった用途にも非常に便利に活用できる。また、ペン先が細く細かなタッチ操作が行なえるため、デスクトップの文字サイズを拡大せずに利用する場合などのタッチ操作も軽快だ。

 なお、付属のデジタイザペンは、キーボードの後方側面に収納できるようになっている。もちろんタブレット側に収納できるとなおよかったが、持ち運びしやすい点はうれしい配慮だ。

1,920×1,200ドット表示対応の10.1型液晶を搭載。IPS方式のため視野角が広く表示品質も申し分ないが、光沢処理で外光の映り込みは激しい
WUXGAの情報量は十分に多い。10.1型ならこのぐらいの解像度が最も使いやすいと感じる
静電容量方式タッチパネルに加えてデジタイザにも対応し、デジタイザペンが付属する
1,024段階の筆圧検知にも対応。軽快なペン入力が可能だ
デジタイザペンはキーボード右側面に収納できる

Bay Trail-Tタブレットとして標準的なスペック

 搭載プロセッサは、Bay Trail-Tの最新モデルとなるAtom Z3795を採用している。そのほかの仕様はBay Trail-T搭載Windowsタブレットとして標準的だ。メインメモリは標準でLPDDR3-1066を4GB搭載。内蔵ストレージは64GBのeMMCを採用。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n準拠の無線LANと、Bluetooth 4.0を標準搭載。センサー類は、GPS、加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、照度センサーを搭載している。カメラは、約800万画素の背面カメラと約200万画素の前面カメラを装備。また、Instant Goにも対応している。

 専用キーボードにはポート類は用意されず、全てタブレット側に用意される。左側面にはUSB 2.0ポートと電源コネクタ、右側面にはMicro HDMI出力とmicroSDカードスロット、ヘッドフォン/マイク共用ジャックを備える。なお、右側面のmicroSDカードスロットの横にSIMカードスロットと思われるスロットも見えるが、LTE/3G通信機能を備えないため利用できない。

 物理ボタンは、タブレット上部側面に電源ボタンと画面回転オン/オフボタン、右側面にボリュームボタンを備える。Windowsボタンは液晶下部のタッチセンサーボタンとなる。

タブレット左側面には、USB 2.0ポートと電源コネクタを配置。USB 2.0ポートは標準サイズのため、周辺機器を直接接続して利用できる
右側面には、Micro HDMI出力とmicroSDカードスロット、ヘッドフォン/マイク共用ジャックを備える
上部側面に電源ボタン(左)と画面回転オン/オフスイッチがある
右側面にボリュームボタンを配置
タブレット天板側に約800万画素の背面カメラを搭載
液晶上部中央には約200万画素の前面カメラを搭載する
付属のACアダプタ。まずまずコンパクトで携帯性に優れる
ACアダプタの重量は、付属の電源ケーブル込みで実測221.5gだった

性能もほぼ標準的

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.3.708」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」の5種類。比較として、シャープの「Mebius Pad TA-H10L-B」と富士通の「ARROWS Tab QH55/M」の結果も加えてあるが、OSの種類やベンチマークテストのバージョンが一部異なっているため、参考値として見てもらいたい。

LaVie Tab W TW710/S2S Mebius Pad TA-H10L-B ARROWS Tab QH55/M
CPU Atom Z3795(1.59/2.39GHz) Atom Z3770(1.46/2.40GHz) Atom Z3770(1.46/2.40GHz)
ビデオチップ Intel HD Graphics Intel HD Graphics Intel HD Graphics
メモリ LPDDR3-1066 4GB LPDDR3-1066 4GB LPDDR3-1066 4GB
ストレージ 64GB eMMC 64GB eMMC 64GB eMMC
OS Windows 8.1 Update Windows 8.1 Pro Windows 8.1
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 2360 2497 2518
Lightweight score 1364 1301 1430
Productivity score 1135 1015 1090
Entertainment score 1656 1638 1670
Creativity score 3939 4563 4501
Computation score 5149 6742 6141
System storage score 3897 3322 3700
Raw system storage score 1576 955 1213
PCMark Vantage Build 1.2.0
PCMark Suite 5240 5140 4935
Memories Suite 2954 2782 2915
TV and Movies Suite N/A N/A N/A
Gaming Suite 4015 3755 2800
Music Suite 5983 4809 6379
Communications Suite 6487 6464 6166
Productivity Suite 4658 4657 4174
HDD Test Suite 14857 8080 11470
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A N/A
CPU Score 4666 4751 4687
Memory Score 3256 3350 3267
Graphics Score 1083 N/A 1203
HDD Score 15909 7865 10360
3DMark Professional Edition v1.3.708(Mebius Pad/ARROWS Tabはv1.2.250を使用)
Ice Storm 9009 15460 10451
Graphics Score 8389 14797 10000
Physics Score 12159 18363 12415
Ice Storm Extreme 6446 9060 6227
Graphics Score 5697 7879 5457
Physics Score 11953 19068 12303
3DMark06 Build 1.2.0 1901
3DMark Score 1254 1928 1712
SM2.0 Score 404 639 574
HDR/SM3.0 Score 488 748 653
CPU Score 1692 2123 2005

 結果を見ると、テストによって比較機の結果と比べて優れている部分や劣っている部分が見られるが、その差はどれもそれほど大きなものではなく、体感ではほとんど差が感じられないレベルと言っていいだろう。ただし、3D描画のテストでは比較機に比べてスコアの落ち込みが大きかった。とはいえ、Bay Trail-T搭載タブレットでは3D描画のアプリやゲームなどを活用する場面はほとんどないと言えるため、あまり気にする必要はない。

 次に、バッテリ駆動時間だ。TW710/S2Sの公称のバッテリ駆動時間は、無線LAN接続時で約9.8時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約10時間9分であった。公称をわずかに上回る結果だったが、ほぼ公称通りの駆動時間で、これもBay Trail-T搭載タブレットとして標準的な数字と言える。

利便性重視のタブレットとして魅力あり

 TW710/S2Sは、スペックを見る限りでは、ごく一般的なWindowsタブレットだ。しかし、打鍵感に優れる着脱式キーボードが付属してノートPC相当としても活用できる点や、デジタイザペンによる軽快なペン入力が可能な点、WUXGA表示対応の10.1型IPS液晶搭載で表示できる情報量が多い点など、利便性に優れる部分が大きな魅力となる。一方で、デザイン的な魅力が少なく、実売価格が10万円弱とやや高価なのは気になる部分だ。

 それでも、優れた利便性と合わせて製品としての完成度は十分に高く、利便性に優れる2-in-1タブレットを探しているなら、選択肢として考慮すべき製品と言っていいだろう。

(平澤 寿康)