Hothotレビュー

レノボ・ジャパン「Miix 2 8」

~世界最軽量約350gを実現した8型Windowsタブレット

Miix 2 8
発売中

価格:オープンプライス

 レノボ・ジャパンから登場した「Miix 2 8」は、8型液晶を搭載したWindows 8.1タブレットである。8型Windowsタブレットは、今最も注目を集めているジャンルであり、各社から製品が登場しているが、Miix 2 8は、約350gという軽量筐体を実現していることが魅力だ。8型Windows 8.1タブレットとして現時点で世界最軽量であり、発売直後から品薄が続くほどの売れ行きを見せている。実売価格は32GBモデルが4万円前後、64GBモデルが45,000円前後だ。今回は、Miix 2 8を試用する機会を得たので早速レビューしていきたい。

厚さ8.35mm、重さ約350gの薄型軽量筐体が魅力

 まずは、Miix 2 8の外観から見ていこう。筐体のデザインはオーソドックスで、背面のカラーはシルバー基調となっている。本体サイズは、215.6×131.6×8.35mm(幅×奥行き×高さ)で、フットプリントは標準的だが、厚さは8型Windows 8.1の中でも薄い方だ。筆者の手ではぎりぎり片手で持てるサイズだが、重量は約350gであり、8型Windows 8.1タブレットとしては現時点で世界最軽量を誇る。他社の8型Windows 8.1タブレットは、400~450g程度なので、350gというMiix 2 8の軽さは群を抜いている。実際に持ってみても、数値以上に軽く感じる。この重さなら、普段持ち歩く荷物に気軽にプラスできるだろう。

 Miix 2 8は、単に薄くて軽いだけでなく、基本スペックも優れている。CPUとして、インテルのAtom Z3740(1.33GHz)を搭載し、メモリは2GB(増設不可)、ストレージとして32GBまたは64GBのフラッシュメモリを搭載する。Atom Z3740は、開発コードネームBay Trail-Tと呼ばれていた製品で、クアッドコアCPUとIntel HD Graphics機能を統合した高性能なタブレット向けSoCである。従来のAtomシリーズを搭載したWindowsタブレットでは、デスクトップアプリを使う場合など、性能に不満を感じる場面もあったが、Atom Z3740ならデスクトップアプリも快適に動作する。

Miix 2 8の前面。フットプリントは8型Windows 8.1タブレットとしては標準的だ
Miix 2 8の背面。Windows 8シールやIntel insideシールが貼られている
横幅は131.6mmであり、大人の男性の手でぎりぎり片手で持てるサイズだ
試用機の重量は、実測で344gであった。8型Windows 8.1タブレットとしては文句なしに軽い

1,280×800ドットIPS液晶を搭載し、顔認証機能も装備

 液晶は8型で、解像度は1,280×800ドットである。視野角の広いIPS液晶を採用しており、縦表示でも横表示でも、高い視認性を実現。発色やコントラストも満足できる。10点マルチタッチに対応しており、タッチパネルの反応や精度も良好だ。インターフェイスは、必要最小限であり、Micro USBポートとmicroSDカードスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力を搭載するのみだ。Micro USB-USB変換ケーブルを利用することで、USBメモリやUSBマウスを接続することも可能だ。

 前面カメラは200万画素、背面カメラは500万画素で、ビデオチャットなどに利用できるほか、ストレージ64GBモデルでは、顔認証によるセキュリティ「Veriface」機能が搭載されており、起動時やスリープ解除時にパスワード入力の代わりに顔認証を利用できる。

 ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n準拠の無線LAN機能とBluetooth 4.0をサポート。センサー類も充実しており、加速度センサー、光センサー、コンパス、ジャイロセンサー、GPSを搭載する。

右側面に、Micro USBポートとmicroSDカードスロットが用意されている
右側面のインターフェイス部分のアップ
上面に、マイク入力/ヘッドフォン出力が用意されている
Micro USB-USB変換ケーブルを使えば、USBメモリなどを接続できる
前面カメラとして、200万画素カメラを搭載する
背面カメラとして、500万画素カメラを搭載する

公称10時間の長時間駆動を実現

 バッテリは、1セルのリチウムポリマーで交換はできない。公称駆動時間は約10時間とされており、他の8型Windows 8.1タブレットと同じ水準だ。重量は軽いが、駆動時間が犠牲になっていないことは評価できる。実際に、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、9時間43分の駆動が可能であった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。無線LAN常時オンで、ほぼ公称時間通り持ったのは優秀だ。1日持ち歩いて使っても、バッテリ残量を気にする必要はないだろう。バッテリの充電は、Micro USB経由で行なう。付属のACアダプタもコンパクトで軽く、携帯性は良好だ。

 フル機能のMicrosoft Office 2013がプリインストールされていることも魅力だ。ストレージ64GBモデルにはMicrosoft Office Home and Business 2013が、ストレージ32GBモデルにはMicrosoft Office Personal 2013がプリインストールされており、ビジネスにもプライベートにも役立つ。また、「Photo Touch」や「Evernote Touch」などのソフトもプリインストールされている。

ACアダプタはコンパクトだが、ACプラグ部分を折りたたむことはできない
ACアダプタの重量は、実測で91gであった
Miix 2 8にプリインストールされているアプリ一覧
内蔵カメラで撮影した写真を気軽にレタッチできる「Photo Touch」
Photo Touchでは、写真に吹き出しをつけることもできる

YプロセッサのPentiumに迫る性能を実現

 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark03」、「3DMark」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark 2.2」である。比較用として、ソニー「VAIO Tap 11」、日本HP「ElitePad 900」、パナソニック「Let'snote LX3」、ソニー「VAIO Pro 11」の値も掲載した。

【表】Miix 2 8のベンチマーク結果
モデルMiix 2 8VAIO Tap 11ElitePad 900Let'snote LX3VAIO Pro 11
CPUAtom Z3740(1.33GHz)Pentium 3560Y(1.2GHz)Atom Z2760(1.8GHz)Core i7-4500U(1.8GHz)Core i5-4200U(1.6GHz)
ビデオチップIntel HD GraphicsIntel HD GraphicsPower VR SGX 545Intel HD Graphics 4400Intel HD Graphics 4400
PCMark05
PCMarksN/AN/AN/AN/AN/A
CPU Score37303709214693797864
Memory Score28903762208485999978
Graphics ScoreN/A1834N/A33022144
HDD Score102024753265165604055122
PCMark Vantage 64bit
PCMark ScoreN/A5687未計測1554012881
Memories ScoreN/A4814未計測84937106
TV and Movie ScoreN/AFailed未計測FailedFailed
Gaming ScoreN/A5483未計測110307025
Music ScoreN/A7092未計測1807715744
Communications ScoreN/A6546未計測1797214934
Productivity ScoreN/A8563未計測2150316209
HDD ScoreN/A48228未計測4790750784
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score45645371未計測1411111944
Memories Score28164581未計測81046994
TV and Movie ScoreFailedFailed未計測FailedFailed
Gaming Score39514588未計測96997554
Music Score53946817未計測1654314962
Communications Score52025995未計測1604313508
Productivity Score37908336未計測1971915325
HDD Score1012349186未計測4811751157
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score24763006145753104016
Lightweight score1402210295057894892
Productivity score1010150659447243835
Entertainment score16921934106038162645
Creativity score44604323300499868312
Computation score562845133866169019970
System storage score37925183298354915317
Raw system storage score13194886未計測61215679
3DMark03
1024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)2131654921801285610128
CPU Score289112733620721655
3DMark
Ice Storm1616715527未計測4415527312
Cloud Gate12401707未計測49003461
Fire Strike計測不可237未計測721469
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH2630365287975986732
LOW363560621442108999938
FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1280×720ドット 最高品質448695未計測1580未計測
1280×720ドット 高品質(デスクトップPC)440716未計測1598未計測
1280×720ドット 高品質(ノートPC)7921031未計測1894未計測
1280×720ドット 標準品質(デスクトップPC)11581445未計測3350未計測
1280×720ドット 標準品質(ノートPC)10671448未計測3279未計測
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP59.5399.943.4710099.97
HP100100100100100
SP/LP10010010010099.97
LLP99.9710099.97100100
DP(CPU負荷)3153314212
HP(CPU負荷)242431346
SP/LP(CPU負荷)261619284
LLP(CPU負荷)20618273
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード91.91MB/s487.2MB/s80.52MB/s513.8MB/s481.2MB/s
シーケンシャルライト36.76MB/s156.4MB/s34.60MB/s455.1MB/s139.3MB/s
512Kランダムリード86.19MB/s366.9MB/s78.11MB/s454.6MB/s419.4MB/s
512Kランダムライト32.79MB/s142.3MB/s29.31MB/s444.9MB/s140.7MB/s
4Kランダムリード12.57MB/s20.53MB/s9.542MB/s24.57MB/s33.36MB/s
4Kランダムライト5.095MB/s54.06MB/s2.498MB/s56.09MB/s99.30MB/s
BBench
標準バッテリ9時間43分6時間13分7時間38分19時間16分8時間5分
標準バッテリ+シートバッテリなしなし14時間27分なし未計測

 結果は上の表に示した通りであり、前世代のAtom Z2760を搭載したElitePad 900に比べて、PCMark05のCPU Scoreは約1.74倍にも向上している。さすがにCore i7やCore i5には及ばないが、Coreアーキテクチャ採用のPentium 3560Yとは互角のスコアであり、タブレットとしては十分なパフォーマンスと言えるだろう。

 グラフィックス性能についても、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは、Atom Z2760の3倍以上に達しており、大きく性能が向上していることがわかる。ストレージ性能についても、CrystalDiskMarkの結果は、Atom Z2760を搭載したElitePad 900に比べると、1割程度高速だ。ただし、SATA経由で接続されているSSDに比べると性能はかなり低く、シーケンシャルリード速度は2.5インチHDD程度であり、シーケンシャルライト速度は2.5インチHDDの半分以下だ。

 しかし、実際の操作感はなかなか良好であり、特にWindowsストアアプリの動作は軽快であった。これまでのAtom搭載Windowsタブレットでは、デスクトップアプリを利用する際など、速度に不満を感じることがあったが、Miix 2 8では、そうした不満をほとんど感じることはなかった。

8型Windowsタブレットとしての完成度は高い

 Miix 2 8は、世界最軽量を実現した8型Windows 8.1タブレットであり、筐体の薄さもトップクラスだ。それでいて、実測で10時間近くのバッテリ駆動時間を実現していることも魅力だ。

 Microsoft Office Personal 2013がプリインストールされている32GBモデルの実売価格は42,800円前後、Microsoft Office Home and Businessがプリインストールされている64GBモデルの実売価格は47,800円前後であり、コストパフォーマンスも優れている。値段だけを比べると、Androidタブレットの方が安いが、普段PCで使っているアプリケーションをそのまま利用できるWindows 8.1タブレットは、やはり便利だ。

 バッテリ駆動時間も長く、各社から登場した8型Windows 8.1タブレットの中でも、トップクラスの完成度を誇る製品だ。今までのAtomの弱点であるパフォーマンスの低さも、Atom Z3740では大きく改善されており、普段PCで使い慣れているアプリをタブレットでも使いたいという人に特にお勧めしたい。

(石井 英男)