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日本エイサー「Iconia W4-820」

〜プロセッサと液晶を強化した8型Windowsタブレット

日本エイサー「Iconia W4-820」
発売中

価格:オープンプライス

 日本エイサーは、8型液晶搭載のWindows 8.1タブレット「Iconia W4-820」を12月13日より発売した。世界初の8.1型液晶搭載Windows 8タブレットとして登場した「Iconia W3」の後継モデルで、主にプロセッサと液晶が強化されている。価格はオープンプライスで、実売価格はOffice Personal 2013プリインストールの「Iconia W4-820/FP」が42,800円前後、Office Home and Business 2013プリインストールの「Iconia W4-820/FH」が47,800円前後。

薄く軽くなり携帯性が向上

 7月に発売されたIconia W3-810(以下、W3-810)は、8.1型液晶を採用することで、片手で軽々持てる小型軽量筐体を実現し、Windowsタブレットの新たな可能性を示す製品として話題を集めた。ただ、プロセッサ性能の低さによる動作の重さや、視野角の狭い液晶など、いくつか不満があった。それに対し、新たに登場したIconia W4-820(以下、W4-820)は、W3-810の不満点の多くが解消されている。

 まず、プロセッサがBay Trail-TことAtom Z3740に強化。CPUコアが4コアになるとともに、アーキテクチャも一新され、処理能力が大幅に向上。ベンチマークテストの結果は後ほど紹介するが、W3-810では、WordやExcelなど比較的処理の軽いOfficeアプリでも起動がやや遅かったり、動作の重さを感じる場面があったのに対し、W4-820では多くのアプリで動作の重を感じる場面が解消され、快適に利用できるようになったことがはっきりと実感できる。また、Atom Z3740では内蔵GPUも強化されており、W3-810では起動すらままならなかった3Dゲームも起動できるようになった。さすがに重量級の3Dゲームを快適にプレイできるとまではいかないが、ブラウザゲームなど、カジュアルゲームならほぼ問題なくプレイ可能になった。

 本体の大まかなデザインは従来モデルを踏襲してはいるが、W4-820は薄く軽くなっている。サイズは218.9×134.9×10.8mm(幅×奥行き×高さ)と、フットプリントはW3-810とほぼ同じだが、高さが0.6mmと、わずかではあるが薄くなった。重量は公称で415gと、W3-810より85gほど軽くなっている。実測では422gだったが、手に持つとかなり軽くなったという印象を受ける。8型液晶搭載Windows 8.1タブレットとしては、先にレノボから登場した「Miix 2 8」が高さ8.35mm、重量350gと、より薄く軽いが、W4-820も十分に薄型軽量で、携帯性はW3-810からかなり向上したと考えていい。

 筐体色は、側面がホワイト、底面がシルバーだったW3-810と異なり、側面から底面までガンメタリックで統一。底面にヘアライン処理が施されていることも合わせ、従来モデルよりも質感が向上している。

本体デザインは、従来モデルのW3-810を踏襲しており、正面からの見た目はほぼ同等となっている
側面から背面にかけての筐体カラーがガンメタリックで統一され、背面にはヘアラインしょっりが施され質感が向上している
フットプリントは218.9×134.9mm(幅×奥行き)と、従来モデルとほぼ同じ。競合となる8型液晶搭載Windows 8.1タブレット「Miix 2 8」(右)と比べると、幅、奥行きともやや大きい
下部側面。従来モデルは側面がホワイトだったが、W4-820は裏面と同じガンメタリックとなっている
高さは10.8mmと、Miix 2 8(右)と比べ2.45mmほど厚い
左側面。裏面はフラットで、鞄のすき間などへの収納性に優れる
上部側面
右側面
重量は公称で415gなのに対し、実測では422gと公称より7g重かった
7型タブレットと比べると大きく、やや大きい筆者の手でも片手で持つのがやっとだが、それほど重いとは感じなかった

広視野角IPSの採用で表示品質が改善

 液晶も、従来モデルから大きく進化した部分だ。サイズは8型とW3-810からわずかに小さくなっているが、表示解像度はW3-810と同じ1,280×800ドットで、サイズも表示解像度もほとんど変わっていないと言える。しかし、パネルの方式がW3-810のTN方式からIPS方式となったことで、視野角が大幅に改善。W3-810では見る角度が少し変わるだけで色合いなどが大きく変わっていたのに対し、W4-820ではどの角度から見ても色合いの変化が少なくなった。また、W3-810では、粒子状のざらつきが目に付く点も気になっていたが、それも解消されている。光沢液晶のため、外光の映り込みは気になるが、発色は鮮やかで、表示品質は十分に満足できる。

 タッチパネルは、従来同様5点マルチタッチに対応する静電容量方式タッチパネルを採用。タッチパネルの感度は十分に優れ、軽快な操作が可能だ。加えて、タッチパネルと液晶モジュールの間にできる空間を埋める「Zero Air Gap」と呼ばれる技術の採用によって、乱反射が抑えられ、直射日光下でも見やすいという。実際に野外で使ってみたが、確かに直射日光が当たる場所でも視認性が大きく低下することがなく、快適な視認性が確認できた。これも、従来モデルに対する大きな優位点と言える。

液晶はサイズが8型とわずかに小さくなってはいるが、表示解像度は1,280×800ドットと同じだ
パネルの種類がIPS方式となったことで、視野角が上下左右とも170度と広くなり、どの角度から見ても色合いの変化が少なくなった
表面は光沢処理のため外光の映り込みは気になるが、標準的な表示品質で十分満足できる

Windows 8.1となり使い勝手が向上

Windows 8.1ではスナップ機能などの表示解像度の制限がなくなり、1,280×800ドットの液晶でもスナップなどWindows 8.1の機能を最大限活用できるようになった

 W4-820を使ってみて、従来モデルより使いやすくなったと感じるのは、プロセッサや液晶の強化による処理能力や視認性の向上といった部分も大きな要因だが、OSがWindows 8.1になったという点も大きく影響している。

 W3-810で採用されていたWindows 8では、画面を2分割してストアアプリを2個同時に表示したり、ストアアプリとデスクトップを同時に表示して利用するスナップ機能を利用するには、表示解像度が1,366×768ドット以上必要だった。しかしW3-810の液晶表示解像度は1,280×800ドットと、その条件を満たしておらず、スナップ機能が利用できなかった。

 それに対し、W4-820ではOSがWindows 8.1となった。Windows 8.1では、スナップ機能に対する表示解像度の制限がなくなり、1,280×800ドットのW4-820でも利用可能となった。加えてWindows 8.1ではスナップ時の表示サイズの変更が可能になった。

 Windows 8.1の登場により、8型液晶を搭載するWindowsタブレットが続々登場しているのは、Bay Trail-Tの登場で十分な性能が引き出せるようになったこともあるが、Windows 8.1でスナップ機能をほぼフルに活用できるようになったことも、大きく影響していると言っていいだろう。

USB経由での充電が可能に

 W4-820には、Office Personal 2013プリインストールの「Iconia W4-820/FP」と、Office Home and Business 2013プリインストールの「Iconia W4-820/FH」の2モデルをラインナップしているが、ハードウェアの仕様はどちらも同じとなっている。

 プロセッサは、先に紹介したように、Atom Z3740を採用し、メインメモリは標準で2GB(LPDDR3-1066)搭載する。内蔵ストレージは64GBのeMMC。海外では32GBモデルの用意もあるが、日本ではラインナップしていない。

 無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 4.0を標準搭載。センサー類は、ジャイロスコープ、照度センサー、加速度センサー、電子コンパスを搭載。GPSは搭載しないが、機能は充実している。

 側面のポート類は、下部側面にMicro USB 2.0ポートとヘッドフォン/マイク共用ジャック、右側面にMicro HDMI出力とmicroSDカードスロットを備える。8型Windows 8.1タブレットでは映像出力端子を備えない機種が多い中、しっかりMicro HDMI出力を備えている点は嬉しい。また、縦位置でのみの対応で、音質も突出しているわけではないが、ステレオスピーカーを搭載する点も競合製品に対する優位点の1つだ。

 また、W3-810ではバッテリの充電は電源コネクタに付属のACアダプタを接続しなければ行なえなかったのに対し、W4-820ではMicro USB端子で充電できるようになった。

右側面には、Micro SDカードスロット、Micro HDMI出力を備える。Micro HDMI出力で映像出力が可能なのは競合製品に対する優位点。また、音量ボタンもある
上部側面には、電源ボタンを配置
下部側面には、Micro USB 2.0ポートとヘッドフォン/マイク共用ジャックを用意
裏面には500万画素のメインカメラを搭載
液晶面にも200万画素のカメラを搭載
液晶横のWindowsボタンは物理ボタンとなっている
製品には、ACアダプタ、USBケーブル、USBホストケーブルが付属
内蔵バッテリの充電はMicro USBポート経由となり、付属のUSBケーブルとACアダプタを接続して行なう。汎用のUSB ACアダプタやPCのUSBポート経由での充電も可能だ
USBホストケーブルを利用すれば、USB周辺機器も利用できる

性能、バッテリ駆動時間ともに十分満足できる

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.2.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」の5種類。比較として、レノボの「Miix 2 8」、富士通の「ARROWS Tab QH55/M」、「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」の結果も加えてある。

 結果を見ると、競合製品となるMiix 2 8と比べて所々でスコアに若干の優劣が見られるものの、ほぼ同等のスコアとなっていることがわかる。W4-820とMiix 2 8はスペックがほぼ同じで、これは順当な結果と考えていいだろう。ちなみに、上位プロセッサを搭載するARROWS Tab QH55/Mよりもスコアが上回っている部分がいくつか見られるが、これはARROWS Tab QH55/Mが防水防塵対応のため、内部に熱がこもりやすく、ベンチマークテスト実行中にプロセッサの動作クロックが落ちる場面が多かったためと思われる。


Iconia W4 Miix 2 8 ARROWS Tab QH55/M ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J
CPU Atom Z3740(1.33GHz) Atom Z3740(1.33GHz) Atom Z3770(1.46GHz) Atom Z2760(1.50GHz)
チップセット
ビデオチップ Intel HD Graphics Intel HD Graphics Intel HD Graphics Intel GMA
メモリ LPDDR3-1066 2GB LPDDR3-1066 2GB LPDDR3-1066 4GB PC2-8500 LPDDR2 SDRAM 2GB
ストレージ 64GB SSD 64GB SSD 64GB SSD 64GB eMMC
OS Windows 8.1 Windows 8.1 Windows 8.1 Windows 8
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 2505 2486 2518 1413
Lightweight score 1414 2269 1430 944
Productivity score 1042 1829 1090 607
Entertainment score 1704 1748 1670 1022
Creativity score 4495 4406 4501 2857
Computation score 5903 5568 6141 3281
System storage score 3783 3766 3700 2947
Raw system storage score 1316 1289 1213 735
PCMark Vantage Build 1.2.0
PCMark Suite 5351 4821 4935 2238
Memories Suite 2852 2822 2915 1039
TV and Movies Suite N/A N/A N/A N/A
Gaming Suite 4271 3920 2800 1864
Music Suite 5358 5807 6379 3045
Communications Suite 6307 6172 6166 1596
Productivity Suite 5360 5314 4174 2607
HDD Test Suite 13337 11212 11470 6153
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A N/A N/A N/A
CPU Score 3793 3791 4687 2134
Memory Score 2916 2836 3267 2092
Graphics Score N/A N/A 1203 N/A
HDD Score 12258 13606 10360 6488
3DMark Professional Edition v1.2.250 3DMark Professional Edition v1.1.0
Ice Storm 14774 15013 10451 2431
Graphics Score 14509 14797 10000 2880
Physics Score 15778 15822 12415 1574
Ice Storm Extreme 8971 9746 6227 N/A
Graphics Score 8002 8788 5457 N/A
Physics Score 15574 15765 12303 N/A
3DMark06 Build 1.2.0 1901
3DMark Score 2037 2082 1712 455
SM2.0 Score 675 693 574 173
HDR/SM3.0 Score 808 825 653 146
CPU Score 1841 1857 2005 964

 次にバッテリ駆動時間だ。Iconia W4-820には容量4,960mAhのリチウムポリマバッテリを内蔵しており、公称のバッテリ駆動時間はビデオ再生時で約10時間とされている。Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約10時間26分と、公称を若干超える駆動時間を確認した。従来モデルのW3-810では、同条件で約8時間35分だったため、従来モデルよりも2時間近く駆動時間が延びている。1日外出先で利用する場合でも、バッテリ残量を気にする必要はほぼないと考えていいだろう。なお、同じ条件で計測したMiix 2 8の駆動時間は約10時間45分と、20分ほどMiix 2 8の方が長かったが、ほぼ同レベルと考えていい。

完成度が高く広くおすすめできる

 W4-820は、従来モデルのW3-810の不満点の多くが解消され、Windowsタブレットとしての大幅に魅力が向上している。競合の8型Windows 8.1タブレットが先行して登場しているが、Micro HDMI出力を備えるなど、仕様面での優位点もある。軽さや薄さでは上を行く製品も存在するが、トータルの完成度は十分に優れており、広くおすすめできる製品だ。

 競合製品も含め、この冬登場した8型Windows 8.1タブレットはどれも完成度が高く、甲乙付けがたい。それだけ製品間の差が少ないということでもある。しかも、価格の差も少ない。それだけに、実際の製品選びではどの製品にすればいいか迷うのも事実だ。となると、細かな仕様面の違いが製品選択の大きなポイントとなってくる。W4-820では、Micro HDMI出力を備えたり、液晶横のWindowsボタンが物理ボタンとなっている点などが、競合製品との差別化になるだろう。

(平澤 寿康)