平澤寿康の周辺機器レビュー

マイクロンジャパン「Crucial MX200/BX100」

〜ハイエンド仕様とコスパ重視の2モデルが登場

 マイクロンジャパンは、CrucialブランドのSSD新モデル「Crucial MX200」と「Crucial BX100」の2モデルを発売した。MX200は、従来の「Crucial M550」の後継として位置付けられたハイエンドモデルで、速度や耐久性を追求した製品。また、人気の高い「Crucial MX100」同様に、高コストパフォーマンスを追求した製品だ。今回、双方の1TBモデル(2.5インチモデル)を試用する機会を得たので、製品の仕様や速度をチェックしていく。

マイクロンジャパン 「Crucial MX200」(左)と「Crucial BX100」(右)

Crucial MX200

 Crucial MX200は、Crucial M550の後継となるCrucialブランドのSSDハイエンドモデルとして位置付けられる製品だ。形状は、厚さ7mmの2.5インチドライブタイプに加えて、mSATA、M.2対応モデルもラインナップ。M.2タイプでは、M.2 Type 2260とM.2 Type 2280の2形状が用意される。容量は2.5インチタイプが250GB、500GB、1TBの3種類、mSATAとM.2は250GBと500GBの2種類が用意される。

 アクセス速度は、シーケンシャルリードがM550の550MB/Secに対し555MB/Secとわずかながら向上。また、4Kランダムアクセス速度は、M550がリード95,000IOPS、ライト85,000IOPSだったのに対し、リード100,000IOPS、ライト87,000IOPSに向上している。

 MX200では、新たに「Dynamic Write Acceleration」という技術が採用されている。これは、搭載するNANDフラッシュメモリの一部をSLC方式でアクセスするキャッシュとして利用する技術で、特にランダムアクセス速度の向上に寄与している。MX200で容量の違いによる速度差がなくなり、全製品で同等のアクセス速度が発揮されるようになったのは、このDynamic Write Accelerationの採用が大きな要因と言える。なお、2.5インチタイプの500GBモデルと1TBモデルはDynamic Write Accelerationを搭載しないが、同等のアクセス速度を実現している。

 また、信頼性は平均故障間隔(MTTF)は全モデル150万時間、総書き込みバイト数(TBW)は250GBモデルが80TB、500GBモデルが160TB、1TBモデルが320TBとされている。特に大容量モデルのTBW値が非常に大きくなっており、長期間安全に利用したい場合に魅力だ。なお、保証期間は3年間となる。MX200シリーズの詳しい仕様は表1にまとめた通りだ。

Crucial M550後継となるCrusialブランドの新ハイエンドSSD「Crucial MX200」
今回は2.5インチモデルを試用したが、mSATAタイプやM.2タイプも用意される
2.5インチモデルは高さ7mmとなる
接続インターフェイスはSATA 6Gbps
パッケージには高さ2.5mmのスペーサが付属し、高さ9.5mmにも対応可能
表1:Crusial MX200のスペック
形状 7mm厚2.5インチタイプ mSATA M.2
容量 250GB 500GB 1TB 250GB 500GB 250GB 500GB
接続インターフェイス SATA 6Gbps
シーケンシャルリード 555MB/Sec
シーケンシャルライト 500MB/Sec
4Kランダムリード(QD32) 100,000IOPS
4Kランダムライト(QD32) 87,000IOPS
平均故障間隔(MTTF) 150万時
総書き込みバイト数(TBW) 80TB 160TB 320TB 80TB 160TB 80TB 160TB
Dynamic Write Acceleration

 MX200で採用しているSSDコントローラは、M550に搭載されていたものと同じMarvell製の「88SS9189」だ。速度や信頼性の向上は、先ほどのDynamic Write Acceleration技術の採用や、独自ファームウェアのチューニングによって実現している。NANDフラッシュメモリは、製造プロセス16nmのMicron製MLC NANDフラッシュメモリを採用。今回試用している1TBモデルでは、「NW662」(Partナンバーは「MT29F512G08CKCCBH7-10:C」)という型番のNANDフラッシュメモリチップを基板表裏に8チップずつ、合計16チップ搭載していた。また、DRAMキャッシュ容量は非公開だが、基板上には表裏にキャッシュ用と思われるMicron製のDRAMチップが搭載されている。チップの型番は「D9RLT」(Partナンバーは「MT42L256M16D1GU-18 WT:A」)で、基板表裏に1チップずつ、合計2チップ搭載していた。

MX200の基盤表。コントローラはMarvell製の「88SS9189」、NANDフラッシュメモリはMicron製16nm MLC NANDフラッシュメモリチップ「NW662」を8個搭載。キャッシュ用メモリ「D9RLT」も搭載されている
裏面には、MLC NANDフラッシュメモリチップ「NW662」8個とキャッシュ用メモリ「D9RLT」を搭載する

Crucial BX100

 2014年6月に登場した「Crucial MX100」は、上位モデルに匹敵する性能を実現しつつ安価な価格で販売され、高コストパフォーマンスSSDとして非常に高い人気を集めた。今回新たに登場した「Crucial BX100」も、MX100同様にコストパフォーマンスを追求した製品となっている。実売価格は120GBモデルが9,000円前後、250GBモデルが14,000円前後、500GBモデルが26,000円前後、1TBモデルが52,000円前後。円安によるPCパーツの価格が軒並み上昇している中で、登場直後からこれだけ安価な価格で販売されるのは魅力だ。

 アクセス速度は表2にまとめた通りで、シーケンシャルリードは全容量535MB/Sec。シーケンシャルライトは容量により異なるが、185MB/Sec〜450MB/Secとなる。シーケンシャルリードはMX100にわずかに負けているが、シーケンシャルライトに関しては低容量モデルでMX100を上回っている。また、4Kランダムアクセス性能はリード87,000〜90,000IOPS、ライト43,000〜70,000IOPS。こちらも低容量モデルではMX100を上回っている。ただ、大容量モデルではMX100に負けており、スペックだけを見るとやや見劣りすると感じる。ただ、後ほど紹介するようにベンチマークのスコアは悪くなく、実利用時の体感はほぼ差がないと言えそうだ。

 信頼性は、平均故障間隔(MTTF)が150万時間、総書き込みバイト数(TBW)が72TBと、MX100と同等。保証期間も3年と同じだ。

Crucial M550後継となるCrusialブランドの新ハイエンドSSD「Crucial MX200」
今回は2.5インチモデルを試用したが、mSATAタイプやM.2タイプも用意される
2.5インチモデルは高さ7mmとなる
Crucial M550後継となるCrusialブランドの新ハイエンドSSD「Crucial MX200」
今回は2.5インチモデルを試用したが、mSATAタイプやM.2タイプも用意される
表2:Crucial BX100のスペック
容量 Crucial BX100 Crucial MX100
120GB 250MB 500MB 1TB 128GB 256GB 512GB
接続インターフェイス SATA 6Gbps
シーケンシャルリード 535MB/Sec 550MB/Sec
シーケンシャルライト 185MB/Sec 370MB/Sec 450MB/Sec 150MB/Sec 330MB/Sec 500MB/Sec
4Kランダムリード(QD32) 87,000IOPS 90,000IOPS 80,000IOPS 85,000IOPS 90,000IOPS
4Kランダムライト(QD32) 43,000IOPS 70,000IOPS 40,000IOPS 70,000IOPS 75,000IOPS
平均故障間隔(MTTF) 150万時間
総書き込みバイト数(TBW) 72TB

 ところで、BX100ではSSDコントローラとしてSilicon Motion製の「SM2246EN」を採用している点も大きな特徴だ。これまでCrucialブランドのSSDでは広くMarvell製コントローラが採用されてきたが、Silicon Motion製コントローラが採用されるのはBX100が初。Silicon Motion製コントローラは低価格SSDでの採用例が多く、高コストパフォーマンスラインの製品であるBX100での採用にも納得だ。それでいて、Crusial独自のファームウェアによるチューニングで、Marvell製コントローラ採用SSDと遜色のない性能が引き出されている点も魅力。

 採用するNANDフラッシュメモリは、MX200と同じ製造プロセス16nmのMicron製MLC NANDフラッシュメモリとなる。実際に今回試用した1TBモデルに搭載されていたNANDフラッシュメモリチップも、MX200と全く同じ「NW662」で、基板表裏に8チップずつ、計16チップを搭載。MX200同様、搭載DRAMキャッシュ容量は非公開だが、基板にはキャッシュメモリ用と思われるMicron製DRAMチップ「D9QLJ」(Partナンバー「MT41K256M16HA-125 M:E」)が表裏に1チップずつ計2チップ搭載されていた。

CrucialブランドのSSDとして初となるSilicon Motion製コントローラ「SM2246EN」を採用。NANDフラッシュメモリチップはMX200と同じMicron製16nm MLC NAND「NW662」を8個、キャッシュ用メモリチップは「D9QLJ」を搭載する
裏面にもMicron製16nm MLC NAND「NW662」を8個と、キャッシュ用メモリチップ「D9QLJ」を搭載

シーケンシャルリードはBX100が高速

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、「CrystalDiskMark 3.0.3b」、「AS SSD Benchmark v1.7.4739.38088」、「ATTO Disk Benchmark v2.47」の3種類だ。テスト環境は下に示した通りだ。なお、同じ環境でテストを行った旧モデルのMX100やM550の結果はこちらに掲載しているので参考にしてもらいたい。

テスト環境
CPU Core i7-4770K
マザーボード Intel DZ87KLT-75K
メモリー DDR3-1600 4GB×2
システム用ストレージ Samsung SSD 840 PRO 256GB
OS Windows 8.1 Pro Update(64bit)

 まず、CrystakDiskMarkの結果を見ると、MX200はシーケンシャルリードが503.4MB/Sec、シーケンシャルライトが497.1MB/Secと、公称のアクセス速度には及ばなかったが、従来のM550を上回る速度が発揮されている。また、ランダムアクセス速度もかなり速く、実利用時の快適度はかなり優れると言えそうだ。

 それに対しBX100の結果は、シーケンシャルリードが547.3MB/Secと、MX200を上回るスコアを記録。そればかりか公称値も上回っている。シーケンシャルライトも462.2MB/Secと公称値を上回っており、BX100の性能の高さがうかがえる。ランダムアクセス速度に関しては、さすがにMX200には及ばないが、それでも十分に高速で、体感速度も申し分ないだろう。今回は1TBモデルを試用したため、低容量モデルでは速度が低下するはずだが、それでもコストパフォーマンスはMX100に負けず非常に優れると言っていいだろう。

CrystalDiskMark 1,000MB
MX200
BX100
CrystalDiskMark 1,000MB 0Fill
MX200
BX100
CrystalDiskMark 4,000MB
MX200
BX100
CrystalDiskMark 4,000MB 0Fill
MX200
BX100

 次に、AS SSD Benchmarkの結果だ。BX100のスコアはCrystakDiskMarkの結果よりもやや低く、公称値を下回る結果となってはいるが、シーケンシャルリードがMX200の結果を上回るなど、おおむねCrystakDiskMarkの結果に沿ったものとなっている。ランダムアクセス速度に関してはMX200が上回っており、このあたりはハイエンドモデルらしい結果と言える。

AS SSD Benchmark
MX200
BX100
AS SSD Benchmark Copy Benchmark
MX200
BX100
AS SSD Benchmark Compression Benchmark
MX200
BX100

 最後にATTO Disk Benchmarkの結果だ。こちらも、シーケンシャルリードではBX100の方が高速で、最大で559MB/Secほどと、公称値を大きく上回る結果が得られた。シーケンシャルライトは、450MB/Sec前後と公称値とほぼ同等。MX200の結果は、シーケンシャルリードが最大520MB/Sec前後と、公称値には届いていないが、シーケンシャルライトは490MB/Secを上回っており、ほぼ公称値どおりとなった。こちらの結果からも、BX100の速さが際立って見える。

ATTO Disk Benchmark
MX200
BX100

コスパ重視ならBX100だが、信頼性重視でMX200がお勧め

 Crucialブランドの新SSD 2製品は、それぞれに異なる特徴のある製品に仕上がっている。ハイエンドモデルとなるMX200は、従来モデルのM550を上回るアクセス速度を実現。特にランダムアクセス速度の向上により快適度が高まるとともに、容量の違いによる速度差もなく、常に快適なアクセス速度が発揮される。加えて、総書き込みバイト数が大幅に増やされ、優れた信頼性を実現する製品となっている。

 それに対しBX100は、コストパフォーマンスを追求したモデルだ。公称のアクセス速度はMX200や従来のMX100を下回る部分もあるが、ベンチマークではMX200を大きく凌駕する速度が発揮されるなど、上位モデル顔負けの速度が発揮される。低容量モデルではアクセス速度が低下するものの、それを補うだけの安価な価格も魅力。

 そのため、価格はやや高くとも性能や信頼性を重視するならMX200、とにかくコストパフォーマンスを追求したいならBX100が魅力となるだろう。ただ、信頼性に優れる点や、低容量モデルでも高速な速度が発揮されるMX200の方が、トータルではお勧めと言える。特に、大容量モデルを選択する場合には、保存データの保護という観点から、信頼性重視のMX200を強くお勧めしたい。

(平澤 寿康)