平澤寿康の周辺機器レビュー

日立グローバルストレージテクノロジーズ「Deskstar 7K3000」
〜SATA 6Gbps対応の3TB HDD




日立グローバルストレージテクノロジーズ「Deskstar 7K3000 0S03088」

 日立グローバルストレージテクノロジーズが発売する、容量3TBの3.5インチHDD。昨年11月に、バルク品として登場した「HDS723030ALA640」に続き、今年頭にはパッケージ品の「Deskstar 7K3000 0S03088」が登場。また、0S03088用として、Windows XP環境下で3TBの容量をフルに活用できるツールが用意されている点も、特徴の1つとなっている。そこで今回は、このHDS723030ALA640を取り上げ、パフォーマンスや、ツール利用時の挙動などをチェックしていこう。
●回転数7,200rpm、インターフェイスはSATA 6Gbpsに対応

 容量3TBの3.5インチHDDとして、Western Digitalの「WD30EZRS」に続いて登場した、日立グローバルストレージテクノロジーズ(以下、HGST)の「HDS723030ALA640」。2011年1月には、パッケージ製品となる「Deskstar 7K3000 0S03088」が発売となった。HDS723030ALA640はバルク品としての販売であるのに対し、Deskstar 7K3000 0S03088は、化粧箱に入ったパッケージ品だが、ドライブ自体は双方とも全く同じ物となっている。

 ではまず、HDS723030ALA640のハード面の仕様をチェックしていこう。

 HDS723030ALA640は、HGST製HDDの中で、デスクトップPCおよびPCサーバーをターゲットとするDeskstarシリーズに属する3.5インチHDDだ。ディスク回転速度は7,200rpmと、先に登場したWestern DigitalのWD30EZRSよりも高速。そして、HDS723030ALA640は、600GBプラッタを5枚搭載することで3TBの容量を実現している。750GBプラッタを4枚利用するWD30EZRSと比較し、プラッタ容量では劣っているものの、ディスクの回転速度が高速(WD30EZRSのディスク回転速度は5,400rpm前後、正確な回転数は非公開)なため、データ転送速度はHDS723030ALA640のほうが有利となる。

 スペックシートでは、シーケンシャルアクセス速度が162MB/secとされており、回転速度7,200rpmの3.5インチHDDとしてトップクラスの速度が実現されている。キャッシュ容量は64MBと、下位モデルとなる7K2000の32MBの2倍の量を搭載。接続インターフェイスも、SATA 6Gbpsに対応しており、こちらも従来モデルより強化されている。

外見は、従来のHGST製3.5インチHDDと若干異なっている サイズは、もちろん通常の3.5インチHDDと全く同じ
高さ、側面のネジ穴なども、通常の3.5インチHDD同様だ 接続インターフェイスは、SATA 6Gbpsを採用している

●512Bセクタ採用で、Windows XP環境でもパフォーマンスが低下せず

 WD30EZRSでは、物理セクタサイズが4KBとなる、いわゆるBigSector(Western Diditalは「Advanced Format Technology」と呼んでいる)が採用されている。これには、Windows XP環境でBigSector対応HDDを利用した場合、確保したパーティションの開始位置となる部分の論理セクタと物理セクタにズレが生じ、アクセス速度が大きく低下する場合があるという問題がある。そのため、BigSector対応HDDをWindows XPで利用する場合には、ツールを利用したり、ジャンパピンで動作モードを変更するなどしてWindows XP環境に対応させる必要があるというように、利用時に若干手間がかかる。

 それに対しHDS723030ALA640では、容量3TBを実現しながら、物理セクタは従来同様512byteとしている。ただ、3TB HDDを利用するには、OSが「GUIDパーティションテーブル」(GPT)をサポートしている必要があり、GPTをサポートしないWindows XPでは、いくら物理セクタが512byteのため速度の低下が起こらないとしても、正常な利用はできない。事実、HGSTは表に示すように、HDS723030ALA640をWindows XPでは起動ドライブとしてもデータドライブとしても非対応としている。

【表1】HDS723030ALA640がサポートするOS

Windows 7 64bit Windows 7 32bit Windows Vista 64bit Windows Vista 32bit Windows XP 32bit Mac OS X 10.6以降 Linux
ブートドライブ サポート 非サポート サポート 非サポート 非サポート サポート サポート
データドライブ サポート サポート サポート サポート 非サポート サポート サポート

 とはいえ、HGSTは、後述するように、Windows XPでHDS723030ALA640をデータドライブとして活用できるようにするツールを公開している。正式にはWindows XPでの利用は非対応だが、そういったツールを用意していることから、事実上Windows XPでの利用も考慮された製品と考えていいだろう。

 ちなみに、利用時には、GPT対応OSが必須となるだけでなく、起動ドライブとして利用する場合には、UEFI対応マザーボードが必須となる(一部OS除く)点は、WD30EZRSと全く同じだ。

【表2】ブートドライブ利用時の制限
OS側の要件 ハードウェア側の要件
・GPTをサポートしている
・GPTからのシステムブートをサポートしている
・UEFI起動をサポートするマザーボード
・UEFI起動をサポートするSATAコントローラ
対応OS
Windows Vista 64bit
Windows 7 64bit
Mac OS X 10.6以降
Linux

●Hitachi GPT Disk ManagerでXPでも3TBフルに利用可能

 HDS723030ALA640は、基本的にはWindows XP環境での利用はサポートされていない。しかし、先ほども紹介したように、Windows XP環境で3TBの容量をフルに活用できるようにするツールを公開している。そのツールは、「Hitachi GPT Disk Manager」と呼ばれるツールで、Windows XP環境でGPTを独自にサポートさせるものだ。利用方法は、Hitachi GPT Disk Managerをインストール後にツールを起動し、そのツール上からHDS723030ALA640にパーティションを確保すればよい。Hitachi GPT Disk Managerは、こちらで公開されている。

 Hitachi GPT Disk Managerと同様のツールとして、ASUSTeK Computerが、Windows XP環境でも3TBのHDDを全容量利用できるようにするツール「ASUS Disk Unlocker」を公開しているが、ASUS Disk Unlockerでは3TB HDDの全容量を1パーティションとして確保して利用できるわけではなく、認識できない領域を、疑似的に別の物理ドライブとしてマウントすることで、利用できるようにするというものだった。それに対しHitachi GPT Disk Managerは、3TB全容量を1パーティションで確保し利用できる。この点が非常に大きな特徴だ。

 実際に、Windows XP Professional環境にHitachi GPT Disk Managerを導入し、HDS723030ALA640を取り付けて試してみたところ、確かに3TB全領域を1パーティションとして確保し、全く問題なく利用できた。

 ただし、Hitachi GPT Disk Managerは、データドライブとして利用する場合のみ利用可能で、ブートドライブとしての利用には対応していない。試しに、にWindows XP Professionalをインストールした状態でHitachi GPT Disk Managerをインストールしてみたところ、OSが起動できなくなってしまった。既存のWindows XP環境に、HDS723030ALA640を追加してデータドライブとして利用する場合には全く問題ないが、同製品にWindows XPを導入して利用することは不可能という点は、あらかじめ頭に入れておく必要があるだろう。また、当然だが、Hitachi GPT Disk ManagerはHGST製HDDでのみ利用可能で、他社の3TB HDDでは利用できない。

Windows XPでもHDS723030ALA640を全容量利用可能にする、「Hitachi GPT Disk Manager」を、Webで配布している Windows XPでHDS723030ALA640を利用した場合、他の3TB HDD同様、そのままでは746.52TBしか認識しない Windows XP環境に、HDS723030ALA640を2台目以降のデータドライブとして接続し、Hitachi GPT Disk Managerを起動
HDS723030ALA640を選択し、GPTディスクに変換 HDS723030ALA640の全容量を指定してパーティションを作成 このように、Windows XP環境でも3TB全容量を1ドライブとして利用できるようになる。ただし、このツールはデータドライブとして利用する場合のみ利用でき、起動ドライブには利用不可能

●シーケンシャルアクセスで160MB/secと、非常に高速

 では、アクセス速度をチェックしていこう。まず、Windows 7 Ultimate 32bitの環境に、HDS723030ALA640を2台目のデータドライブとして取り付け、全容量をGPTパーティションとして確保した状態で、CrystalDiskMark 3.0を利用して速度をチェックしてみた。また、比較としてWD30EZRSの結果も加えてある。テスト環境は、下に示したとおりだ。

 結果を見ると、HDS723030ALA640はシーケンシャルアクセス時にリード・ライトとも160MB/s前後のアクセス速度が記録された。これは、回転速度が7,200rpmの3.5インチHDDとしてトップクラスの速度だ。ディスク回転速度に差があるとはいえ、WD30EZRSに対して30MB/sec以上高速で、容量だけでなくアクセス速度も妥協したくないなら、HDS723030ALA640の方がかなり有利となる。

 次に、Windows XP環境での速度もチェックしてみた。こちらのテスト環境は、OSブート用HDD以外は先ほどと同じで、OSはWindows XP Professionalを利用、Hitachi GPT Disk Managerをインストールし、HDS723030ALA640を2台目のデータドライブとして3TB全容量を1パーティションとして確保した状態で検証した。すると、こちらもWindows 7環境とほぼ同等の速度が記録された。しかも、ランダムアクセス速度もほとんど低下しておらず、Windows XP環境でもドライブのパフォーマンスがフルに発揮されていることがわかる。これは、HDS723030ALA640が512Bセクタを採用しているからだが、この点からも、Windows XP環境での利用は非サポートながら、ほぼ問題なく利用できると言ってよさそうだ。

・テストPCの環境
CPU:Core i5-750
マザーボード:Intel DP55KG
メモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
グラフィックカード:Radeon HD 5770(MSI R5770 Hawk)
HDD:Western Digital WD3200AAKS(OS導入用、Windows XPではWD5000AAKSを利用)
OS:Windows 7 Ultimate 32bit

・テスト結果

Windows 7 Ultimate環境での結果 Windows 7 Ultimate環境での、WD30EZRSの結果 Windows XP Professional環境での結果

 Deskstar 7K3000は、登場当初こそ、2TB HDDに対して販売価格が高く、なかなか手が出しづらかったものの、現在では1万5千円前後と価格が下がってきており、購入しやすくなりつつある。もちろん、他の3TB HDD同様、利用環境に制限があるのは事実で、特に起動ドライブとして利用しようと考えている場合には、利用OSやハードウェア環境に縛られてしまう。しかし、データドライブとして利用するのであれば、そういった制約はかなり緩和されているため、他の3TB HDDよりも利用しやすいのは間違いない。加えて、アクセス速度がかなり高速という点も魅力で、現在市販されている3TB HDDの中で最もオススメできる製品だ。

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(2011年 2月 15日)

[Text by 平澤 寿康]