大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

いま、新生VAIOのすべてを語ろう!【前編】

〜関取社長、赤羽副社長インタビュー

 2014年7月1日にVAIO株式会社がスタートしてから約1カ月半が経過した。設立会見以降、一般ユーザーを対象にした受注開始に始まり、社内では生産体制および検査体制、販売体制の確立に奔走。8月4日には、VAIOブランド第1号機の出荷式を経て、8月7日には法人向け受注の開始とともに、同日にはソニーマーケティングが販売価格引き下げを急遽発表。そして、8月8日には店頭展示を開始し、いよいよ本格的に事業をスタートすることになった。まさに怒濤の1カ月半だったと言えよう。

 VAIO株式会社のスタートから1カ月半はどんなことに取り組んだのか、そして、今後、VAIO株式会社はどう発展していくのか。同社の関取高行社長と赤羽良介副社長にざっくばらんに語ってもらった。今回は前編として、VAIO株式会社設立までの経緯や、VAIOが目指す「本質+α」の意味、そして設立からの約1カ月半の取り組みについて聞いた。

VAIO株式会社の関取高行社長(右)と赤羽良介副社長(左)

VAIO株式会社に自動的に移ったわけではない

――VAIO株式会社設立から約50日を経過しました。どんな1カ月半でしたか。

関取氏:一言で言えば、「大会社とはこういうものなんだ」ということを社員全員が感じましたね(笑)。ソニーという大きな会社の中にいたからこそ経験しないで済んでいたことがこんなにあったのかと。スタート時には、経理、人事、総務といった部門の作業が増えるということは感じていましたが、作業量の多さは予想外でした。

 しかも、7月1日の新聞広告でVAIO株式会社は240人の社員になり「小さなPCメーカー」になったと自分たちで宣言したわけですが、まわりは小さな会社とは見てくれません(笑)。まさに扱いは大企業と一緒。契約も全てゼロからやらなくてはならない。準備会社スタートからの数カ月間は、あっという間に過ぎてしまったというのが実感です。

赤羽氏:契約などについては、準備会社の時点から、1つ1つ進めていったわけですが、7月1日にVAIO株式会社になって、初めて契約が完了するというものも多いわけです。それでもその作業の多さには驚きました。多くの取引先の方々にもご配慮をいただき、またその一方でご迷惑をおかけしたところもありましたが、なんとか設立、出荷、店頭展示にたどり着いたといったところです。

関取氏:まさに、未体験ゾーンでしたね(笑)。全てがリセットされ、契約作業や交渉作業などに追いまくられ、さらに、そうした作業が、設計部門の人たちにも波及しました。240人という社員数では、全ての業務の専門職が揃っているわけではありません。中には、いきなり知的財産の勉強を始めて、その分野の管理の仕事を始めた社員もいます。全社員が「多能工」を超えるような経験や、「不眠不休」とも言える経験をしたのではないでしょうか。全ての社員が、この数カ月はあっという間に過ぎたと感じているはずですよ。

 外から見ると、ソニー株式会社からVAIO株式会社に、自動的にPC事業が移管されたように見えるかもしれませんが、実は、自動的に移管したものは1つもありません。社員の1人1人が幅広く仕事をカバーしなくては、会社というのは成り立たない。そうしたことを、直近までソニーという大会社にいた240人が初めて経験したのではないでしょうか。

赤羽氏:「苦しい」とか、「楽しい」とかいうよりも、とにかく「必死」でしたね(笑)。それが準備会社をスタートしてからの数カ月間を表現する最適な言葉だと言えます。

関取氏:社員全員が「1度は潰れた会社」という意識を持っているはずです。私も、社員も、その言葉は口には出しませんが、それだけの危機感がある。そうした中で、新会社がスタートしています。

集中することで生まれた「本質+α」

――社員に対してはどんなことを言ってきたのですか。

関取氏:1つ挙げるとすれば、「集中」するということです。ただ、集中するといっても、どうすればいいかのか分からない人が多いのも確かです。私だって、「集中しろ」と言われたって、なにに集中すればいいのか分からない。そこで、「やらないことを決めよう」と社内に向けて提案しました。私の経験からも、100%一杯いっぱいで仕事をすると、決していいものができない。その結果、集中できずに、あっちをやったり、こっちをやったり。結局、生産性は50%ぐらいにまで落ちてしまう。ただ、90%ぐらいにしておくと、余力ができますから、発想にも広がりが生まれますし、アイデアも出てくる。それによって、120%ぐらいにまで生産性を上げられる場合もあります。

 私自身、いろいろなことを考えすぎて、頭の中が一杯になってしまうことが多いんですよ。ただ、その中から、なにが「筋」なのかということを捉えることにしています。筋を決めると、なにをやるべきかが見えてくるわけです。

――VAIO株式会社においての「筋」とはなんですか。

関取氏:PCの基本を忘れてはならないということ、そしてVAIOの強みはなにかということを忘れてはならない、ということではないでしょうか。それが我々がいう「本質+α」ということになります。また、ビジネスという観点で見れば、日本国内に市場を絞り込む、あるいはBtoBの領域にVAIOらしく攻め込んでいくということも、我々のPC事業にとっての「筋」ということになります。これを基に考えると、我々のターゲットが自ずと絞り込まれてくる。

 最初のターゲットユーザーは、従来からのVAIOのロイヤルカスタマーであり、ビジネスパーソンということになる。すると、それに合った販路や商品、サービスを作って行かなくてはならない。一本筋というのは、リスクがあるが、今のVAIOが置かれた立場を考えると、絞り込むということは大変重要な戦略になってきます。単純に物事を考え、やらないことを決め、筋を見極めて、絞り込んでいけば、残るのは本質といえる「やるべきこと」だけ。タマネギの芯と一緒です(笑)。

関取社長は、7月1日の会見で「本質+α」を打ち出した

――「本質+α」という言葉は、いつ頃から決めていたのですか。

関取氏:6月上旬には決めていました。ただ、その前から「単純」という言葉を使って、その方向感だけは打ち出していましたし、個人的には2月ぐらいからそんなことを考え始めていました。試行錯誤した結果、6月から、初めて「本質+α」という言葉を使い始めたといった感じでしょうか。ただ、言葉は変わりましたが、最初の考えとは全くブレていません。

赤羽氏:「本質+α」については、かなり早い段階から2人で話をしていましたよ。関取さんとは、1日中、一緒にいるという日が続いていましたからね(笑)。もちろん話題は、この「本質+α」という考え方についてだけではなく、さまざまな課題の解決策についても、かなり議論をしました。

関取氏:15日連続で赤羽さんと飲んでいた、ということもあったかなぁ(笑)。

「本質」の意味、「+α」の意味

――VAIOが目指す「+α」とは具体的にはなにを指しますか。

関取氏:PCの本質という点では、PCが道具として必要とされる要素を追求すること、そして、本質だけではVAIOの個性が出てこない。そこを表現する言葉として、「+α」という意味があるわけです。例えば、「+α」の部分にはVAIOならではのデザインが含まれるでしょう。しかし、よくよく考えてみると、デザインはPCとしての本質の部分に含まれる要素でもあるわけです。

 では、我々がいう「+α」とはなにか。本質に含まれる要素の中で、「ここはかなり違うね」、あるいは「尖っちゃっているね」と言われるようなもの、言い換えれば「個性」といえるようなものが「+α」となる。本質を忘れた「+α」こそあってはいけないと思っています。際立つ本質こそが、我々が目指す「+α」なのです。そして、これも我々だけが、「+α」だと思っているだけでは意味がない。外からも、きちっと「+α」として評価していただけるものでなくてはなりません。

本質+αの考え方を示したPOPを店頭展示でも採用

なぜ、ソニーのVAIO事業は赤字に陥ったのか?

VAIO株式会社の関取高行社長

――そもそもソニーが、PC事業を売却しなくてはならなくなった要因はなんでしょうか。

赤羽氏:やはり、集中できていなかった、ということに尽きるのではないでしょうか。PC事業は、ボリュームを追求することが優位に働くのは確かです。ソニーのPC事業もそれを指向していた時期がありました。その1つの取り組みとして、海外展開を広く進めていたのですが、それぞれの市場を1つ1つ見てみると、当然、求められる機能や価格帯が違います。極端に言うと、人気となる色も違うわけです。

 では、ニーズに応えるためにそれぞれに対応していこうとなると、自ずと筐体数が増え、SKUが増えるということになる。これではなかなか競争力が発揮できなくなる。それを解決するにはどうするかというと、次には、どこの国でも受けそうなバランスを取った平均点の製品を出そうという話になる。

関取氏:いろいろなことをやった結果、平均点の製品だけという悪い循環に入ったのは事実ですね。こうしたことは、さまざまなメーカーで起こっていることなんですよ。だんだんエッジが立たない商品ばかりになっていく。ただ、やっている人たちは、妥協して作っているなんて全く思っていない。世界で勝つためにこれを作っている。それも正しい事実なのです。

赤羽氏:しかし、VAIOに対しては、平均点のものを求めている人なんていないと思うのです。しかし、それが分かっていながらも、成長を追求するあまり、平均点のものを作り始めてしまった。これが反省点だといえます。

関取氏:ソニー時代を振り返ると、PC事業部門の社員はみんな頑張っていました。120%で頑張っている。赤字の時にも頑張っている。それなのに成績は50点に留まるということもあった。それは、どこかでなにかが共有できていなかったり、孤軍奮闘しなくてはならない状況が生まれていたのではないかと思うのです。あるいはベクトルがあっていない、力が発揮できないようなボトルネックが生まれていたということがあったのかもしれません。

7月1日はすべてが「リセット」された日

――2014年2月に、ソニーがPC事業を売却することを発表し、その後、新会社でVAIO事業が再スタートしたわけですが、この間、どんなことを感じましたか。

関取氏:私自身、ソニーのPC事業に関わってきたものとして、これでVAIOをなくしていいのかという強い想いがありました。VAIOを残すためには、しっかりと再生させてなくてはならない。そうした想いから、社長という職務を引き受けました。

 私はアイデアマンでもなく、発明家でもなく、そして、技術に詳しいわけでも、ガジェットに詳しいわけでもない。きちっと管理すること、筋を追うということに私の役割がある。だから、知らないことは知らないというし、細かいことは任せる。ただし、「筋」をしっかりと追うことはきっちりとやっていく。そう考えています。

赤羽氏:私がPC事業の売却の話を聞いたときには、言葉では表現できないぐらいのショックを受けました。ただ、次もVAIOを買いたいというお客様が絶対にいる。そうした人たちの期待に応えたい。そんな想いがありました。

 そして、前向きに捉えれば、PC事業は消滅するのではなくて、新たな形でスタートすることができる。これまでさまざまな国や地域、幅広いターゲットを対象に展開していたものから、地域やターゲットを絞り込んで、深く刺さり込む商品ができるようになる。そこをやってみたい。そうしたチャンスができたと考えました。

――7月1日の新会社のスタート日は、どんな気持ちで迎えましたか。

関取氏:晴れ晴れとした気持ちというよりも、社外、社内に向けて、しっかりと「伝える」ということに対する使命感が大きかったですね。7月1日午前9時からは、安曇野で入社式を行ない、それが終わって新幹線に飛び乗って、12時30分に東京に到着。リハーサルを経て、午後3時から都内で設立記者会見を行ないました。1日には、安曇野の本社で入社式をやることは絶対に変えられない。しかし、対外的なお披露目となる設立記者会見も1日にやりたい。それでこうしたスケジュールになったのです。

 ただ、私にとっても、社員にとっても共通しているのは、この日が全て「リセット」される日であることでした。それまでの準備も、なんだかんだといってもソニーの環境の中でやっていたわけです。ソニーの法務部門や総務部門にも、新会社のスタートに向けて多くの協力をしていただいたわけですが、この日をきっかけにしてそうしたものが一切なくなる。そして、本当に自分たちだけで歩き出さなくてはならない。それが7月1日でした。

 私たちはこの日、新聞に広告を出しました。その前日夕方に、私は社員に向けて「これは変わった広告だが、みんながリセットするという気持ちを表したこと、そして、この広告を通じて、その意味を家族に伝えてほしい」というメールを出しました。

 そして、記者会見の内容もちょっと変わったものだったいえます。新製品発表をするわけではありませんし、戦略論を語ることもしませんでした。伝えたかったメッセージは、唯一、「リセット」するということだったのです。

VAIO株式会社が7月1日の新聞広告に掲載した内容

――記者会見では、関取社長は、かなりゆっくりとした口調で話をしていたのが印象的でしたが。

関取氏:それは特に意識はしていなかったのですが、気持ちを込めて伝えたかったということはありましたね。具体的な製品を発表するわけではなく、考え方中心になりますから。そこでゆっくりとした口調になったのかもしれません。

――7月1日に合わせて新調したものはありますか。

関取氏:VAIOでは、理性を示す「青」と、VAIOが培ってきた感性を示す「紫」とを組み合わせた「勝色(かちいろ)」が、コーポレートカラーです。本質が理性、そして、+αが紫と言い換えることもできます。その両方を持ったのがVAIOであると。勝色には、そうした意味を込めています。

 それに合わせて、勝色のスーツとネクタイを新調して、会見に臨みました。参加した役員、社員も勝色に近い格好で参加しましたが、なかなか勝色のスーツがないんですよ。藍色よりももうちょっと深みのある色でないといけない。そうなると見つけるのが大変で……。それでも、なんとか見つけることはできたのですが、結果として予想外の出費になってしまったことが反省材料ですね(笑)。

勝色のスーツとネクタイで会見に登壇した関取社長

全てが新たな仕組みで出荷された継続モデル

――8月4日には安曇野の本社で出荷式を行ないましたね。これはどんな気持ちで迎えましたか。

関取氏:7月1日の出荷式は、会社を設立してなんとかスタートラインにこぎ着けたという苦労がありましたが、出荷式は「安曇野FINISH」というモノづくりの観点からスタートラインにたどり着いた、という苦労の集大成でしたね。

 現場での不眠不休の努力、そしてODMの努力があって、この日を迎えたわけです。「安曇野FINISH」と謳う限りは、それを実現するものでなくてはならない。そのプライドを持って、製品を出そうという努力の結果が、8月4日の出荷式に繋がっています。まぁ、「ほっとした」という感じはないですね。

赤羽氏:7月1日の会社設立は、「やっと一歩を踏み出せたな」、「ここまできたな」という感じでした。そして、そこから1カ月で商品を出すということは、事業売却が発表された2月以降、ずっと考えてきたことでした。出荷式を迎えて、本当にモノが出せたという点では、また別の感慨がありましたね。

 商品を出すために、新たな商品化プロジェクトをスタートさせて、ソニーのプロセスやシステムに頼らずに生産、出荷するための仕組みを新たに構築し、その上で、商品を出荷することができました。その一連の取り組みにおいては、今までのやり方が通用しない、あるいは新たな仕組みに移行しなくてはならないという苦労も伴いました。

 今回発売したPCはソニー時代からの継承商品ですから、外から見ると、あまり代わり映えがしないように見えるかもしれません。しかし、社内からすれば、これまでとは全く違う仕組みで、全く違う商品として投入したとも言えるわけです。

 また、設計は設計、調達は調達といったように、それぞれに与えられた仕事するのではこの短期間に出荷にこぎ着けることはできません。早期に出荷体制を構築するために、設計が調達まで首をつっこんだり、製造や品質保証と密に連携したりといったことが増えています。こうした取り組みによって、さまざまな困難を乗り越えた結果が、8月4日の出荷式に繋がっているのです。

関取氏:全てが新たな仕組みの中で生まれているのが今回の商品です。そこに、「安曇野FINISH」と呼ぶ、新たなVAIOならではのこだわりが活きているわけです。

8月4日の安曇野での出荷式の様子

「安曇野FINISH」とは何か?

VAIO株式会社の赤羽良介副社長

――ただ、「安曇野FINISH」という新しいメッセージは、その意味が伝わりにくい部分もあります。品質なのか、仕組みなのか。そもそも「安曇野FINISH」とは、何を意味していますか。

関取氏:私は「安曇野FINISH」には、2つの意味を込めています。1つは、日本のお客様は品質には厳しい。そのために、安曇野でワンストップ体制で全てのPCを検査し、品質において確かなものを提供していくというものです。これは「モノづくり」として当然求められる価値を、しっかりと提供していくということに繋がります。

赤羽氏:全ての製品について、電源を投入し、キーボードの動作確認などを行なっています。さらにこれまではODMで行なっていたOSインストールなどの最終アセンブリも、安曇野で開始しました。これらの取り組みによって、着荷不良率を下げるといった具体的な数値目標も掲げています。

 そして、この取り組みの成果は、そのままODMに対して、すぐにフィードバックできますから、製造現場での品質まで高めることに繋がります。もともと、ODMでも検査をしてから出荷をしていたのですが、これを安曇野でもダブルチェックすることで、安曇野ならではの品質でPCを出荷することができますし、最終アセンブリについても、ビルドを変えたい、壁紙を変えたいという企業ユーザーの細かいニーズなどにも柔軟に対応できます。

関取氏:もう1つは、安曇野FINISHとして、安曇野のモノづくりの拠点を活用して、何か付加価値を付けられないのかといったことを考えています。これは、「安曇野」をブランディングできないか、といった取り組みの1つとも言えます。

 我々がまず対象にしているのは日本市場ですから、グローバル展開するよりも「安曇野」の価値が、より伝えやすいのではないかと思っています。単なる工業製品としてではなく、その価値を提供したい。いわば生産拠点から「コトづくり」ができないかと考えています。例えば、企業から一括受注した際のキッティングを安曇野で受けたり、天板やパームレスト部にはVAIOのロゴ以外にもほかの文字やロゴを刻印したりといったように、これまでできなかった注文にも対応できます。これまではソニーのロゴ管理のルールの上で展開していたわけですが、新会社ではそれがなくなるからです。パームレストに大きく自分の会社の社名を入れたいという場合にも、これまではできませんでしたが、新会社では対応できるといった柔軟性が生まれます。

 我々がお客様に対して「こきゃく」と語る場合には、「顧客」ではなく、「個客」と表現しています。つまり、1人1人のお客様に対して、「モノ」と「コト」を提供していきたい。お客様は1人1人求めるものが違うわけですからね。

 例えば、VAIO Zが好きな人、VAIO type Pが好きな人、VAIO type Uが好きな人などさまざまです。これをまとめてVAIOらしさという表現がされていました。しかし、今の時点でこれらの全てをラインナップすることは不可能です。そのため、個客に向けて“モノ”の提案はまだ難しいですが、“コト”から提案することはできます。モノづくり現場からも「個客」に対する提案を行なっていきたいと思っています。それがこれまでのVAIOにはない、新たな価値になります。

――安曇野では、修理も開始することになりますね。

関取氏:VAIO株式会社では、お客様からの問い合わせについても安曇野からコントロールしますし、修理に関しても全量を安曇野で行なうようにします。これまでは、外注を含めて全国各地の修理拠点で修理をしていましたが、これを、安曇野にいる専門の修理担当者が「おもてなしの心」を持って、迅速に対応することになります。

赤羽氏:最大の強みは、問題解析のスピードが格段に上がるということです。そして、ここで理解した課題を、設計や開発といった上流へとフィードバックすることもできます。

関取氏:北海道や九州のお客様にとっては、物流の問題もあって少し時間がかかることがあるかもしれませんが、現場ではすぐに作業にかかれますし、丁寧に、確実に修理をする体制を構築します。先日、ある案件を元にシミュレーションをしてみたのですが、従来の体制では1週間程度かかるものが、物流を除けば、わずか1日で対応できるということが分かりました。これを実際のサービスの中で実証していきたいと思っています。

赤羽氏:安曇野FINISHや安曇野での修理を実現することで、品質には徹底してこだわれる体制が構築できました。ここまでVAIOが品質にこだわるのは、PCの本質と言える部分に深く関わっていくものだからです。

 VAIOを生産性、創造性のための道具として使う人に、最大のアウトプットを目指してもらいたい。その際に、その作業を妨げたり、中断させてはいけません。これはPCメーカーとしての基本です。万が一、故障した場合にも迅速に対応し、生産性、創造性への影響を最小限にする。これも大切なことです。さらに、これまで力を注いでこなかったBtoBのところに踏み出すという点でも、品質という点ではさらに重視していかなくてはなりません。小さい会社ですから、品質問題が起きた場合の経営に与えるインパクトは大きい。その点は強く自覚しています。

安曇野FINISHの考え方

(大河原 克行)