大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

大阪の主婦を活用し、業界最速でプリンタ修理
~キヤノンS&Sのコンスーマリペアセンターを訪問



 キヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)は、コンシューマ向けインクジェットプリンタ「PIXUS」シリーズの西日本地区の修理拠点「コンスーマリペアセンター」を運営している。

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループにおいて、ビジネスソリューションおよびITソリューション事業領域を担う同社が、コンシューマ機器の修理事業に乗り出すのは異例ともいえるが、2012年1月の稼働後、修理品質に対してグループトップクラスの評価を得るなど、早くも成果を出している。

 「その原動力になっているのは、地元の主婦のパワー」とキヤノンS&Sの芦澤光二社長。サービス事業推進本部コンスーマリペアセンター・住田政彦部長も、「パートで働く主婦たちの知恵と意欲が、高い品質での修理を実現している」と異口同音に語る。

 大阪府寝屋川市のコンスーマリペアセンターを訪れ、キヤノン製プリンタの修理現場の様子を追った。

●BCPの観点から西日本地区に修理拠点を開設

 キヤノンS&Sが運営するコンスーマリペアセンターは、大阪府寝屋川市にある。京阪寝屋川市駅から車で約10分の場所にあるヤマト運輸北大阪主管支店の中に位置し、周りは住宅街。ヤマト運輸の大規模物流拠点としても異例の場所にあるといえる。

 コンスーマリペアセンターが担当しているのは、PIXUSブランドのプリンタの修理。北陸3県を含む静岡県以西のエリアにおいて、ヤマダ電機をはじめとする量販店店頭で受け付けた修理と、キヤノンS&Sの拠点窓口で受け付けた修理を担当している。

 もともとキヤノン製プリンタの修理拠点は、茨城県岩井市と茨城県土浦市の2カ所の体制だった。

 坂東市の修理拠点は、複写機の再生・修理などを行なうキヤノンエコロジーインダストリー(旧・日本タイプライター岩井工場)によるものであり、また土浦市の修理拠点は、カメラの修理などを行なっていたキヤノンMJ関東サポートセンターが展開しているもの。茨城県つくば市にパーツ倉庫があることも2つの修理拠点にとっては効率的だといえるが、生い立ちからみれば、茨城県内に2つの修理拠点が存在したのは偶然の結果だった。

 そのほかにも、全国約20カ所に認定された地域修理店があるが、いずれも小規模の修理受託を行なっている。

 キヤノンS&Sが2012年1月から運営しているコンスーマリペアセンターは、これまで茨城県の2つの修理拠点で請け負っていた、西日本地区から発生するプリンタの修理を担当する拠点として開設したものだ。

キヤノンシステムアンドサポート サービス事業推進本部コンスーマリペアセンター・住田政彦部長

 「修理に関わる物流コストの削減と、BCP(事業継続計画)の観点から、コンスーマリペアセンターを開設した」と語るのは、キヤノンS&S サービス事業推進本部コンスーマリペアセンター・住田政彦部長。「ガソリン費用の高騰や、東日本大震災の影響がその背景にある」と語る。

 西日本地区から茨城県への輸送費を削減できるというのは大きなメリットだが、その一方で、ガソリン費用の高騰によって、低料金での輸送が可能な夜間の貨物便輸送を取りやめる航空会社が出るなど、輸送費用が上昇する傾向にあったことも見逃せない要素だ。単純計算で輸送費を削減できるというよりも、こうした昨今の物流事情が影響していることが見逃せない。

 また、東日本大震災では、茨城県の修理拠点がいずれも震度6強の地震に見舞われ、特に土浦市の修理拠点では5日間に渡って業務が停止するなどの被害が出た点も、西日本地域への拠点開設につながっている。

 「土浦市の修理拠点では、震災時に約1,000台の修理機があったが、キャスターがついた作業台を採用していたことが幸いして、これが揺れを吸収。落下などの実害があったのは数台。だが、BCPの観点から、東日本一極化の体制を見直すべきだろうとの意見が出ていた」。

 キヤノンMJグループでは、修理拠点の開設に向けて動き出したが、そのときに手をあげたのが、キヤノンS&Sであった。「キヤノンS&Sとしても新規事業への取り組みを模索していた時期であったのが大きな理由」と住田部長は語る。

 キヤノンS&Sは、キヤノングループにおいて、ビジネスソリューションおよびITソリューション事業領域を担う会社。コンシューマ機器の修理事業に乗り出すのは異例ともいえるが、「複写機をはじめとする保守ノウハウは蓄積している。コンシューマ製品とはモノが違うが、厳しい品質が求められるビジネスソリューションの保守ノウハウを活かすことができる」という判断も働いたという。

 また、住田部長自身は、かつてキヤノンMJで、コンシューマ製品の保守事業に長年携わっていた経験がある。加えて、社長の芦澤光二氏は、現在も、キヤノンMJのビジネスソリューション担当副社長を兼務しているが、同事業を担当する以前は、長年に渡り、コンシューマ事業担当役員として、PIXUSへのブランド変更や、現在主流となっているボックス型形状のデザイン化などを陣頭指揮。キヤノンをプリンタ市場におけるトップシェアメーカーに導いた実績の持ち主だ。筆者の憶測ではあるが、人的な観点からも、コンシューマ製品の保守体制確立を指揮できる環境が整っていたとみることもできる。

●圧倒的な短期間での修理を実現
2011年12月に行なわれた開所式の様子

 採用説明会は2011年10月に行なっていたが、2011年秋のタイ洪水被害の影響で、キヤノンのプリンタ生産に遅れが出たため、そちらの対策を優先。結果として、コンスーマリペアセンターの開設は当初計画から遅れたものの、2011年12月には開所式を行ない、2012年1月から稼働。現在、約7カ月を経過した。

 その間、驚くべきことが起こっている。キヤノンMJグループの各サービス拠点と比較しても、トップクラスの顧客満足度をあげているのだ。

 修理を行ったユーザーからのアンケート結果によると、満足度に関する5段階評価では、他の修理拠点では平均で4点前後であったものが、コンスーマリペアセンターでは、これを上回る実績を達成。ほとんどの月で首位を獲得しているのだ。

 特に評価が高いのが、短い修理期間である。

 量販店に持ち込まれた修理するプリンタは、キヤノンS&Sがヤマト運輸の配送ルートを活用して回収。この際に、ヤマト運輸と共同開発した梱包箱を用意して回収する。他社には専用梱包箱がない点では差別化の1つとなっている。

 コンスーマリペアセンターでは、量販店の店頭で修理を受け付けてから修理が完了するまでに7日以内の返却率が7割を突破。平均日数でも6.8日という実績を達成している。

 一般的に、量販店への持ち込み修理品の場合、修理日数は平均10日前後。これに比べると圧倒的に早いことがわかる。

 「平均6.8日という実績をもとにすれば、量販店がユーザーに対して、キヤノンのプリンタに関しては、修理が完了するまで1週間以内という説明を行なうことができる」というわけだ。

 また、センターでの修理受付から出庫までが平均3日を切っており、見積もり回答や休日を含んでも、この短期間化を実現しているのは異例ともいえる。2012年7月実績では、2.88日を達成しているという。

 「同じ修理代金であれば、短期間に戻ってきた方がお客様の満足度が高いのは当然のこと。修理品質の向上とともに、短納期にはこれからもこだわっていきたい」と住田部長は語る。

●ヤマト運輸の主管拠点を利用するメリットとは?

 なぜ、こうした高い評価と短納期化を実現しているのだろうか。

 実は、コンスーマリペアセンターには、2つの大きな特徴がある。

 1つは、拠点を開設した場所が、ヤマト運輸の物流倉庫内であるという点だ。コンスーマリペアセンターは、大阪府寝屋川市のヤマト運輸北大阪主管支店の中にある。ここは、大阪に3つある主管拠点の1つで、24時間365日体制で稼働している拠点である。1フロア1,500坪の3層構造となっており、北大阪エリアに配送される荷物は、まずはここに集約され、各営業所に送られた後、各家庭や企業などに配送されることになる。

 このヤマト運輸のインフラを、フルに活用しているのがコンスーマリペアセンターの大きな特徴となるのだ。

 一般的に、運送会社から修理拠点に荷物が配送されてくるのは午前10時前後になる。そこから開梱作業を行ない、受付手続きなどを行なうと、修理作業の体制が整うのは正午近くなる。

 しかし、コンスーマリペアセンターの場合、主管拠点であることから、早朝には荷物が届いており、すぐに開梱作業を行なうことができる。しかも、それらの作業はヤマト運輸側で行なうという仕組みになっているのだ。

 実際には午前7時から午前9時までの間に開梱の作業を行ない、午前9時のコンスーマリペアセンターの稼働時間までには、1日平均100台程度のプリンタが、修理作業をすぐに開始できる状態になっているのだ。

 この結果、午前中に、量販店に修理見積もりの情報を伝達することができ、すぐにユーザーから修理可否の返答をもらえることにつながっている。

 「他社の場合は、午後になってから、量販店側に見積もりに関する情報を伝えることになり、結果として回答が遅れることになる。午前中に量販店に連絡をすれば、日中働いているユーザーの場合には、昼休み時間帯などに連絡をすることが可能。修理の可否の回答を早く得られれば、すぐに修理を開始することができる。納期の短縮化につながり、拠点内に置いておく保留中のプリンタの台数も削減できる」。

 実際、約2割の修理品が到着した当日中に見積もり回答を得ており、翌日までに3分の2の修理品に対して回答が得られているという。これが納期短縮の大きな要素である。

 また、修理が完了したプリンタを配送する際にも、午後9時までに出荷すれば、翌朝には店舗に到着させることができる。これも主管支店内に修理拠点を置いている効果の1つだ。

 さらに、修理に使用する部品は、通常3日分を在庫しているが、特殊なものに関しては、つくばの部品倉庫から取り寄せる必要がある。この際にも、午後5時までに発注し、主管支店止めと指示すれば、午前7時30分には到着する。これも主管拠点ならではの特徴だ。

 ここに短納期を実現できる理由がある。

●地元の主婦を戦力化する修理拠点

 もう1つの特徴は、パート社員が主力になって、コンスーマリペアセンターが運用されている点にある。しかも、そのほとんどが地元の主婦である。住田部長は、「センター開設前から、主婦を戦力として活用することを考えていた」と語る。

 現在、81人のパート社員が勤務するが、そのうち男性は3人。ほとんどが寝屋川市内の主婦だという。

 「主婦を戦力化することを考えたのは、仕事に対する姿勢が真摯であること、子育てを経験して世の中の常識を持っていること、修理業務という非対面型のサービスにおいてお客様の気持ちになって作業をしてくれることを期待したから」だという。また、「プリンタの修理では2台以上のプリンタを同時に作業することが求められる。電源を入れてから稼働するまでに時間がかかること、プリントヘッドを馴染ませたり、プリントアウトする確認作業などにも時間がかかることから、その待ち時間を有効に活用するためにも複数のプリンタを作業しなくてはならない。洗濯をしながら、料理をするといったように、日常からマルチな作業を行なっている主婦の感覚も活かしたかった」と続ける。

 そこで、主婦を採用しやすい環境にも配慮した。

 「主婦は働きたいと思っていても、なかなか条件が合わないというケースが多い。午前9時から午後3時までの勤務時間としていることもその1つ」とする。午後3時に終われば、子供の送り迎えが可能であり、家事の時間も確保できる。

 実は、住田部長は、キヤノンMJ時代から、ヤマト運輸との連携を模索する中で、この北大阪主管拠点の活用を視野に入れていた。「住宅地にあるという特殊な環境を活用して、主婦を戦力化することができる。この立地であれば、主婦が自転車で通える環境を作れると考えていた」とする。

 キヤノンMJでは、ビジネスソリューション製品の物流倉庫を、大阪市南港に持っているが、この拠点を利用したのであれば、これだけの数の主婦を短期間に集めることは難しかっただろう。

日本一のサービスを目指すのがセンター開設以来の目標だ

 「主婦が高いモチベーションを持って作業に当たっている。日本一の顧客満足度を目指すという意識が、パート社員たちの間に浸透している。非対面のサポートであるからこそ、相手の身になった文章で修理レポートを送付すること、修理品として入ってきた時よりもきれいな形で、できれば新品と見間違うほどのきれいさで返却しようという気持ちが、このセンターにはある。それが高い顧客満足度につながっているのではないか」と、自己分析する。

 プリンタの設定情報も、初期化するのではなく、以前の状況に戻して返却するという配慮も行なっている。これは、修理から戻ってきたプリンタをPCにつないでも、そのままでは動かないといった問題を無くすための対策でもある。

 また、ROM情報を確認して、モノクロ印字が多いのか、写真印刷が多いのかといったことや、これまでにどの程度の枚数を印字しているのかといった情報を確認して、それぞれの利用を想定した上での修理も行なっているという。

●会話を禁止しない異例の修理現場

 主婦を活用するという点で、住田部長は特別な配慮をしている。それは作業中の会話を禁止しないという点だ。

 取材で午前9時前にコンスーマリペアセンターを訪れたが、始業前ということもあり、主婦同士の会話が弾んでいた光景を目の当たりにした。しかし、作業開始後も、その雰囲気はあまり変わらなかった。

 「これでも今日は静かな方」と住田部長は笑うが、これまでいくつも修理拠点や生産拠点を取材してきた経験からいえば、この賑やかさは異例中の異例ともいえる状況だ。

 「時には、近所のスーパーの安売り情報を話していることもあるが、主婦はちゃんと手が動いている」と住田部長は意に介さない。むしろ、私語や会話を禁止することで、お互いの情報交換ができなくなることの方が問題だと語る。

 修理に関してわからないことがあれば、すぐにお互いに情報交換ができる環境を作ることが、修理品質を高めることができると考えているのだ。実際、作業現場をみると、1人が行なっている作業を、別の人がサポートするといったシーンが随所でみられていた。

 「単一のものを作る生産拠点とは異なり、修理の内容は千差万別。場合によっては、難しい作業や、大変な労力を伴う修理を担当することもある。その際には、別の人がサポートするといったことが柔軟に行なえる環境が出来上がっている」。

 コンスーマリペアセンターでは、1人が1日に修理する台数のノルマは設けていない。3台という目安はあるが、それは必達目標ではない。

 「台数目標をクリアする修理拠点ではなく、しっかりと修理することが目的の修理拠点。大変な作業をして1台しかできなかった人がいたら、次は私が代わってそれを担当するといったような雰囲気がある」という点も、高い品質の維持につながっているのだろう。

 初期メンバーは採用決定から稼働まで時間があったことから、その間、2カ月半に及ぶ教育を実施。新たな採用したパート社員に対しては、約2週間の基礎教育を行なうが、現場に入ってからもお互いに技術を高めあうことができる環境が出来上がっている。

●主婦が日本一働きたい職場に

 稼働以来、何度かコンスーマリペアセンターを訪れたキヤノンS&Sの芦澤社長は、「日本一働きたい職場が寝屋川にあると思った」と語る。

 実際、当初は50人でスタートしたが、これまでに辞めたのはわずか5人。理由は妊娠や病気などの事情によるものだ。さらに、現在の81人体制から、10月には100人体制へと規模を拡大するが、開設前の採用説明会以降、1度も募集はかけていない。つまり、働いている主婦の口コミだけで採用が広がっているのだ。

 「地元のママさんバレーボールチームを、丸ごと紹介しますという声も出ているほど。主婦が働きやすい環境だからこそ、口コミで採用が広がっている」というわけだ。

 コンスーマリペアセンターならではのルールもユニークだ。先に触れたように会話禁止のルールがないことに加えて、修理作業をするスペースも、3つのグループに分かれた範囲内であれば、自由に選べる。作業に利用する道具も、100円ショップの小物などを利用したアイデアが続々と採用されており、そのノウハウが共有されている。

 そして、今日は気合いを入れて作業をしたい場合には、「Challenge Revolution」と刺繍された黒いポロシャツを着るというアピールを行なうこともできる。その際、周りの人からその理由を問うことは禁止だ。そして、この「勝負ポロシャツ」は、芦澤社長からパート社員全員に贈られたものだという。

●黒字化を強く意識する修理拠点の強み
2012年7月には単月黒字化を達成して記念パーティーを開催

 2012年5月、コンスーマリペアセンターは初めて単月黒字化を達成した。

 「修理拠点は、コストセンターという意識が強く、黒字化にこだわるといったことがこれまではなかった。だが、コンスーマリペアセンターでは、黒字化にこだわった。黒字化することこそが、高い品質を提供し続けることができる、という視点に立った初めての取り組みともいえる」と住田部長は語る。

 一般的に業績が悪化すると、サポート体制の見直しが始まる。これまで無料で提供していたサポート窓口が有料化されるなどの動きがその最たるものだ。修理拠点については、あまりこうした見直しが表面化されないことが多いが、人員削減などの手だてが打たれるのは常套手段である。

 「黒字化することで、さらに品質を高めることができる。8月までは設備への先行投資分があるため黒字化は厳しいが、9月以降は確実に黒字化を維持したい。そうした観点からも、コンスーマリペアセンターの発展へとつなげていきたい」と、住田部長は今後の黒字化維持に意欲をみせる。

 コンスーマリペアセンターでは、現在、月2,000台のプリンタを修理している。これを2012年末には、4,000台の規模に拡大する。現在、170坪の作業スペースも、約300坪に拡張する予定だ。「今後は、レーザープリンタを含め、ビジネス向け製品を加えた保守体制へと拡張することで、西日本地区における拠点展開も進めていきたい」とする。

 また、ヤマト運輸との協業強化によって、新たな梱包箱を開発し、作業を効率化するといった取り組みにも着手している。実際、マッチ箱形式の新たな梱包箱を開発し、この運用を開始したばかりだ。

 このように、この約半年間で築き上げたコンスーマリペアセンターの高い評価を、キヤノンMJグループ全体に広がることで、キヤノン製品全体の修理品質を高めることにもつながりそうである。

キヤノンS&Sの芦澤光二社長は何度もコンスーマリペアセンターを訪問しているキヤノンMJの川崎正己社長もコンスーマリペアセンターを訪れている

 では、コンスーマリペアセンターでの修理作業の様子を写真で追ってみよう。

●コンスーマリペアセンター
コンスーマリペアセンターはヤマト運輸の物流拠点の中にある大阪府寝屋川市のヤマト運輸の北大阪主管支店の中に拠点がある
この奥にコンスーマリペアセンターがある午前9時の始業時には朝礼とともに、全員でラジオ体操を行なう
運び込まれた修理するプリンタ。専用の梱包箱に入れられている梱包箱はヤマト運輸と共同で開発。修理するプリンタの梱包が効率的に行なえるようになっている入荷したプリンタはヤマト運輸側で開梱する
ヤマト運輸の社員が傷などをチェックして修理カルテに書き込む付属品やインク残量なども細かくチェックする書き込まれる修理カルテ
修理カルテと本体がセットにされて作業台に乗せられる修理作業中に本体に傷が付かないようにフィルムを貼るキャスターがついた作業台は修理専用に作られたもの。100台の作業台があり、これがあらゆる工程で利用される。
開梱、チェックの作業が終わると、ここからキヤノンS&Sの作業。まずは受付処理を行なう内部での進捗は独自のRepair management systemで管理される工程では受付書やカルテが添付されて行なわれる。作業終了後もカルテは長期間保存される
専用プログラムを使い故障診断行なう。1台あたり約8分で終了故障診断が終わると修理料金を販売店に連絡。その間保留となる
故障診断が完了した時点で部品の引き当てが行なわれる。在庫は約3日分ある保留中のプリンタについても、修理部品はすべてセットされており、すぐに作業が開始できる修理開始の許諾を得て、いよいよ修理工程に投入される
修理するプリンタ、カルテ、修理用部品が1つの作業台に乗せられる修理工程では作業台の上で行なわれる
プリンタの修理作業の様子作業は3グループに分かれて行なわれており、グループ内のエリアならばどこで作業をしてもいい
1人の作業者は2台持ちながら作業を行なう。1台は電源を入れて準備したり、故障を再現するといった段階インク漏れが内部に広がっているケースも少なくないお互いに助け合いながら作業を進める様子があちこちでみられた
解体の手順などは専用のマニュアルで確認する共通に使う道具と、個人ごとに使う道具は分かれてカートを用意。100円ショップから入手したものも多いという。ここにも主婦のアイデアが生かされている
部品取り用のプリンタ。着荷不良などの未使用品を利用している作業者は5色のポロシャツから3着を選んで着用。黒の「Challenge Revolution」の文字が入ったポロシャツは特別な日に着用するという内部の部品を洗浄する洗浄室は隔離した格好となっている
新品のようにして戻すというコンセプトを具現化する取り組みの1つノズルから発射される水による超音波洗浄を行なう。驚くほどきれいになる洗浄後の水にはインク液が混じるため、タンクに貯めて廃棄処理する
主婦が自転車に乗る際などに見かけるサンバイザー。これで洗浄時に飛び散るインクが顔にかかるのを防ぐことができる洗浄後に乾燥を行なう棚。右下にあるふとん乾燥機の熱を利用して乾燥させる洗浄されたスポンジのパーツ
修理が完了したプリンタは外観の清掃を行なう。細かい部分まで丁寧に行なうのも主婦ならではのもの続いて最終検査工程。1人が8台の検査を同時に担当。最大24台の検査が可能
検査工程における指示書。これに従って検査する検査が完了したプリンタ。完成と書かれた棚に置かれることになる
修理が完了すると、それにあわせて修理レポートや伝票を発行する修理したプリンタに同梱される修理レポート
梱包作業は再びヤマト運輸側で行なわれることになるまずは資料をすべて確認する専用箱に梱包される修理済みのプリンタ
修理レポートなどとともに梱包されるヤマト運輸により販売店に配送されることになるそのままヤマト運輸のトラックに載せられて量販店に配送する

●新開発のマッチ箱タイプの梱包箱
新たに開発したプリンタ専用梱包箱まずはプリンタにビニールをかぶせる。下の部分まではくるまないテープでビニールを固定する
下の部分にはエアーキャップがあるエアーキャプを縦方向に巻く付属品ケースを上に載せ、横方向から閉じる
反対方向と固定する飛び出した部分を折るマッチ箱のようにして本体部を外ケースに挿入
入れたら指で穴を押して内部を固定する最後に書類を差し込んで完成