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パナソニック、2kgを切る本体重量、従来比3割の軽量/薄型化を達成した新タフブックを解説

タフブック「CF-20」に水をかけるデモ

 パナソニック株式会社は21日、法人向け堅牢PCのタフブックから10.1型の2in1「CF-20」シリーズを発表。それに伴い、都内で製品説明会を開催し、最新モデルの特徴などについて解説を行なった。

 CF-20の価格はオープンプライスで、税別店頭予想価格は30万円弱からの見込み。発売は2016年3月下旬を予定。主な仕様などに関しては別記事を参考のこと。

新製品投入で事業のさらなる成長を目指す

パナソニック AVCネットワークス社 常務 ITプロダクツ事業部で事業部長を務める坂元寬明氏

 CF-20は2013年1月に登場したCF-19の後継モデルとなり、Wi-Fiモデルに加え、LTE対応モデルを用意したほか、薄型化と軽量化を果たした。パナソニック AVCネットワークス社の坂元寬明氏はCF-20について、「軽く、薄く、より使いやすくをコンセプトに開発した」と述べ、ノートPC(クラムシェル)、タブレット、コンバーチブルの1台3役の使い方ができることから、日本ではこれからの東京オリンピックの開催などに向けて建設業界で相当な引き合いがあるだろうと強い自信を見せた。

前モデルの「CF-19」
CF-19の厚み

 パナソニックのタフブックはグローバルでの累計出荷台数が400万台を超えており、この点に関して坂元氏は、タフブックがB2Bに集中特化させて事業成長を果たしてきたことを説明。グローバルでの欧米でのシェアが65%に上っており、警察関係、病院、車業界などにおいて圧倒的な支持を得ているとし、堅牢ノートPC市場においては実質パナソニックがマーケットリーダーとなっており、2019年までに年率20%の成長率を目指すと語った。

タフブックの導入事例
1台3役の機能を備えたCF-20
車載利用
屋外での利用
タフブックの地域別出荷台数の割合。欧米諸国での利用率が高い
タフブックのラインナップ
タフブック全体で2019年までに年成長率20%を目指す

“ダブルフック”によるロック機構やシリコンの防水パッキンを採用

パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部で、TOUGHBOOK CF-20プロジェクトリーダーを務める安政馨氏

 続いてCF-20の説明には、ITプロダクツ事業部の安政馨が登壇し、CF-20の開発背景から新機構まで、その特徴を解説した。

 タフブックが使われるような過酷な現場では、ノートPCとタブレットの2台持ちを解消したいという要望が以前よりあったとのことで、それに応える形でCF-20を企画し、堅牢タイプの着脱式PCとして開発したという。また、タブレットモードだけでなく、画面と本体(キーボード側)は合体させたままで画面部分を180度回転させて「コンバーチブルモード」に移行できるようにし、さまざまな現場に対応可能な汎用性の高さも備えている。

 安政氏は、タフブックシリーズから着脱式のノートPCを作るにあたり、画面装着時に外れにくくなおかつ着脱もしやすいように、一般的な着脱式PCとは異なる着脱機構を採用したことを説明。「ダブルフック着脱機構」と名付けられたこの方式では、レバー操作で固定フックを回転させてロックするようになっており、普通は一方向のロックのみとなっているところを、さらに1方向加えることで強固にしている。また、どの方向からでも落下の衝撃に耐えられるようになっているという。

タブレット固定部分の金具

 前モデルのCF-19との違いとしては、厚みが49mmから33.5mmに薄型化、重量が2.3kgから1.76kgに軽量化され、持ち運び用のノートPCとしても使い勝手が向上したことを挙げた。薄型化を可能にしたのは防水パッキンの改良によるもので、CF-19ではウレタン素材を使っていたのに対し、CF-20ではシリコンを採用。これによって42%の薄型化を達成できた。製作には高い工作精度を要求されるとのことだが、国内で培ってきた技術により、この課題を突破できたとしている。

 このほか、CF-20は防塵のIP6X、防滴のIPX5、-10℃~50℃環境での耐温、MIL-STD-810Gの耐振動、90cm落下試験を通っていることも説明し、会場では実際にその防滴性能と耐落下/衝撃性能を実演してみせる場面も用意。落下試験の通過は最近のノートPCではそれほど珍しくはないが、CF-20にバケツから水をかけるデモには見応えがあり、CF-20の耐水性を証明してみせた。

タフブック「CF-20」にバケツから直接水をかける耐水デモ
タフブック「CF-20」を90cmの高さから落とす落下耐性のデモ

 タフブックでは顧客の使い方に応じたカスタマイズも行なっており、メモリとストレージの増設、バーコードリーダやGPU機能の搭載が可能。さらに、海水仕様にするといった特注カスタマイズもできるとのことで、これにはコストとの兼ね合いで導入を検討してもらうことになるそうだ。タフブックの開発や生産は全て日本の神戸工場で行なわれており、これにより多品種少量生産でも細かいカスタマイズを可能にしている。実際に1台からのカスタマイズに対応しているとのことだ。

過酷な現場におけるノートPCへの要望
CF-20は、「ノートPC」、「タブレット」、「コンバーチブル」の3つの使い方に対応
CF-20の7点の特徴
世界初の堅牢タイプのデタッチャブルPC
CF-20に向いている現場
IP65の防塵防滴性能を備える
前モデルのCF-19から約3割薄型/軽量化。厚みは33.5mm、重量は1.76kgになった
防水パッキンはウレタンからシリコンに変更された。薄型化できたのはこの恩恵が大きい
各種インターフェイス
手袋をしていてもタッチ操作可能。また、ペン使用時は手が当たっていてもペンが優先される
CPUにはCore m5-6Y57を搭載し、通常バッテリ装着時は約8時間駆動、拡張バッテリでは約16時間動作する
液晶ディスプレイの輝度は2~800cd/平方mと幅広い。高輝度の方が屋外で見やすいが、現場によっては暗い方が好まれることもあるという
顧客の要望に合わせて柔軟にカスタマイズできることも強みとする。CF-20は神戸工場で開発・生産している

実機を写真で見る

 以下、会場に展示されていたCF-20の実機写真を掲載している。

「CF-20」
タッチパッド
キーボードレイアウト
取り外してのタブレット使用時
タブレット側の接触端子部分
キーボード側の接触端子部分
取っ手を使っての利用
取っ手持ちの背面側
取っ手は背面から引き出す
CF-20の右側面
右側面のアップ
左側面
左側面のアップ
各インターフェイスにある蓋は横にスライドさせることでアクセスできる
タブレット側にあるボタン類
バッテリは蓋を取り外してアクセス可能
デジタイザペンは側面にはめ込める仕様
デジタイザペンの右クリックボタン
タブレットを固定する土台部分
本体前面の角には凹みがあり、ディスプレイ側にある凸と合わさる構造
本体の蓋を閉じた。前面にもロック機構がある
ロックした状態
説明会にはタフブックのイメージキャラクタを務めるラグビーチーム「パナソニックのラグビーチーム、パナソニック ワイルドナイツ」も登場。CF-20に実際にタックルして堅牢さを証明する場面も

(中村 真司)