.biz
ASUS、企業での端末管理を無料導入できる7/10型タブレット「ZenPad for Business」
~リモートでの一括管理やKIOSKモードも搭載
2016年6月16日 16:15
ASUSは16日、法人向けAndroidタブレットの7型「ZenPad for Business 7.0」と10型「ZenPad for Business 10」の2製品を発売した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は順に21,384円、28,944円。代理店のテックウインド株式会社とシネックスインフォテックなどを通して購入でき、6月下旬より出荷予定となっている。
両製品ともユーザーの一斉管理や利用機能の厳選するなどの端末管理を行なうMDM(Mobile Device Management)に対応しており、これはASUS独自の「ADAM」(エイダム : ASUS Device Admin Management)として提供される。
ASUSのAndroidタブレット/スマートフォンと言えば、独自デザインの「ZenUI」を特徴としているが、本製品はビジネス向けに特化すべく、純正のAndroid OSに近い状態でソフトウェアを構成。そのため、“ほぼピュア”なAndroidタブレットとなっており、システムインテグレーターや独立系ソフトウェアベンダが利用しやすいように作られている。
ZenPad for Business 7.0(LTE) | ZenPad for Business 7.0(Wi-Fi) | ZenPad for Business 10 | |
---|---|---|---|
OS | Android 5.1.1 | Android 5.0.2 | |
CPU | Snapdragon 210 | Atom x3-C3200 | |
GPU | Adreno 304 | Mali-450MP4 | |
メモリ | 2GB | ||
ストレージ | 16GB | ||
ディスプレイ | 7型WXGA(1,280×800ドット) IPSタッチ液晶、Gorilla Glass | 10.1型WXGA IPSタッチ液晶、Gorilla Glass | |
カメラ | 200万画素前面/ 500万画素背面カメラ | 30万画素前面/ 500万画素背面カメラ | 200万画素前面/ 500万画素背面カメラ |
LTE | バンド1/3/8/9/18/19/26/41 | 非対応 | |
無線LAN | IEEE 802.11b/g/n | ||
Bluetooth | Bluetooth 4.0 | ||
インターフェイス | Micro USB、USB(オプション用ポゴピン)、MicroSIM、microSD、音声入出力 | Micro USB、USB(オプション用ポゴピン)、microSD、音声入出力 | Micro USB、microSD、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 (Wi-Fi利用時) | 約8.25時間 | 約8時間 | |
バッテリ容量 | 3,450mAh | 4,890mAh | |
サイズ | 110.9×189×8.7mm(幅×奥行き×高さ) | 251.6×172×7.9~8.9mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約272g | 約510g |
ASUSはこれらの新しいタブレットのリリースに伴い、記者発表会を開催。ADAMを使用したシステムの紹介も兼ねて説明が行なわれた。
ASUS独自の「ADAM」で低コストにMDMを導入できる
ASUSは2011年より国内で個人と法人向けにAndroidタブレットの販売を始めており、2015年度のBCNランキングによれば、個人向けのタブレットの販売台数は1位であり、法人向けも着実にシェアを伸ばしているという。
MDMサービスを展開している企業はいくつもあるが、ASUSではこれを自社で展開することによって導入の手間の省略や低コストをウリとする。会場にいたASUSの説明員に聞いたところでは、MDMサービスを展開している会社に端末のキッティング(導入作業)を依頼すると、1台あたり5万円ほどのコストがかかるという。ZenPad for Business 7.0/10には最初からMDM機能の「ADAM」がインストールされており、基本的に無料で導入できるというわけだ。
ただし、複数の端末を一括で管理するには別途有料の「ADAM Webコンソール」を導入する必要がある。こちらのサービスは今秋に開始予定とのことで、他社のMDMサービスよりもかなり価格を抑えて展開するという。少数端末であれば、クライアントからのみ制御する無償の「ADAM Client」を使い、大量の端末を一挙に管理するなら「ADAM Webコンソール」するという選択肢が用意されている。
ASUS JAPAN システムビジネス部 テクニカルプロダクトマネージャーの大村一郎氏はADAMの特徴として、「効率化の向上」、「安心・信頼の向上」、「費用・時間の大幅削減」の3つを挙げる。
1つ目の「効率化の向上」は前の段で触れたADAM Webコンソールを利用した場合の話で、管理者はWebブラウザを通して管理モードに入り、リモートで各端末を制御できる。クライアント側に特別なアプリのインストールや設定は必要なく、即座に使えるという。
ADAM Webコンソールは営業部Aと営業部Bのように部署ごとに管理するグルーピングができ、Aにある端末だけ設定を変えるといった柔軟な使い方ができる。ADAM Webコンソールからは、リアルタイムで端末の動作状況を確認でき、どのような操作を行なっているかログを取れる。不要なアプリがインストールされていれば、リモートで削除できるし、そもそもインストールできないように管理者が設定を変えられる。
そして、ユーザーが端末を紛失した場合は、即座にリモートでロック、初期化するなど、セキュリティを確保できるようになっており、この点は2つ目の「安心・信頼の向上」に繋がっている。ロック画面上に「警察に届けてください」といったメッセージを表示させたり、デスクトップのキャプチャ、カメラの撮影、強制終了も行なえる。
「費用・時間の大幅削減」に関しても前述の通り、クライアント側にはMDMがプリインストールされており、導入および初期化を行なうための費用と時間がかからない。端末の設定をプロファイルとして書き出すこともでき、ADAM Webコンソールを契約していなくても、手動操作で別の端末に同じ設定を適用可能。もちろん、ADAM Webコンソール使えば、より時間を短縮できる。
ZenPad for Businessには、タブレットを専用端末として使用できるようにする「KIOSKモード」も搭載されている。タブレットをデジタルサイネージや外食店のメニュー端末、電子カルテ、在庫管理システム、デジタル教科書などとして利用するために特定のアプリのみが動作する専用端末にすることができる。こちらもADAMが提供する機能の1つであり、容易に管理・設定が行なえるようになっている。
ASUS JAPAN システムビジネス部 コーポレート事業部 営業1課 法人タブレット・スマートフォン製品担当のEdward Guan氏によると、法人ユーザーから寄せられたMDMに関する意見として、費用がかさんでしまうことが大きな懸念点として挙げられているという。
例えば、運用している端末を何らかの理由で初期化した場合、再度キッティングを行なう必要があるが、この時にまた費用がかかってしまう。また、KIOSKモードを導入する場合、MDMメーカーからAPIの提供を受ける必要があるなど、時間と手間がかかってしまう問題があるからだ。
ASUSはMDMを利用する顧客に自社の端末でのみ完結するシステムを低コストで提供し、コンシューマと同様に法人タブレット市場の拡大を図っていく構えだ。