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ASUS、企業での端末管理を無料導入できる7/10型タブレット「ZenPad for Business」

~リモートでの一括管理やKIOSKモードも搭載

「ZenPad for Business 7.0」(左)と、「ZenPad for Business 10」

 ASUSは16日、法人向けAndroidタブレットの7型「ZenPad for Business 7.0」と10型「ZenPad for Business 10」の2製品を発売した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は順に21,384円、28,944円。代理店のテックウインド株式会社とシネックスインフォテックなどを通して購入でき、6月下旬より出荷予定となっている。

 両製品ともユーザーの一斉管理や利用機能の厳選するなどの端末管理を行なうMDM(Mobile Device Management)に対応しており、これはASUS独自の「ADAM」(エイダム : ASUS Device Admin Management)として提供される。

 ASUSのAndroidタブレット/スマートフォンと言えば、独自デザインの「ZenUI」を特徴としているが、本製品はビジネス向けに特化すべく、純正のAndroid OSに近い状態でソフトウェアを構成。そのため、“ほぼピュア”なAndroidタブレットとなっており、システムインテグレーターや独立系ソフトウェアベンダが利用しやすいように作られている。

【表】仕様
ZenPad for Business 7.0(LTE)ZenPad for Business 7.0(Wi-Fi)ZenPad for Business 10
OSAndroid 5.1.1Android 5.0.2
CPUSnapdragon 210Atom x3-C3200
GPUAdreno 304Mali-450MP4
メモリ2GB
ストレージ16GB
ディスプレイ7型WXGA(1,280×800ドット)
IPSタッチ液晶、Gorilla Glass
10.1型WXGA
IPSタッチ液晶、Gorilla Glass
カメラ200万画素前面/
500万画素背面カメラ
30万画素前面/
500万画素背面カメラ
200万画素前面/
500万画素背面カメラ
LTEバンド1/3/8/9/18/19/26/41非対応
無線LANIEEE 802.11b/g/n
BluetoothBluetooth 4.0
インターフェイスMicro USB、USB(オプション用ポゴピン)、MicroSIM、microSD、音声入出力Micro USB、USB(オプション用ポゴピン)、microSD、音声入出力Micro USB、microSD、音声入出力
バッテリ駆動時間
(Wi-Fi利用時)
約8.25時間約8時間
バッテリ容量3,450mAh4,890mAh
サイズ110.9×189×8.7mm(幅×奥行き×高さ)251.6×172×7.9~8.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量約272g約510g
7型のZenPad for Business 7.0には、通話ができるLTE対応版も用意されている

 ASUSはこれらの新しいタブレットのリリースに伴い、記者発表会を開催。ADAMを使用したシステムの紹介も兼ねて説明が行なわれた。

ASUS独自の「ADAM」で低コストにMDMを導入できる

 ASUSは2011年より国内で個人と法人向けにAndroidタブレットの販売を始めており、2015年度のBCNランキングによれば、個人向けのタブレットの販売台数は1位であり、法人向けも着実にシェアを伸ばしているという。

 MDMサービスを展開している企業はいくつもあるが、ASUSではこれを自社で展開することによって導入の手間の省略や低コストをウリとする。会場にいたASUSの説明員に聞いたところでは、MDMサービスを展開している会社に端末のキッティング(導入作業)を依頼すると、1台あたり5万円ほどのコストがかかるという。ZenPad for Business 7.0/10には最初からMDM機能の「ADAM」がインストールされており、基本的に無料で導入できるというわけだ。

 ただし、複数の端末を一括で管理するには別途有料の「ADAM Webコンソール」を導入する必要がある。こちらのサービスは今秋に開始予定とのことで、他社のMDMサービスよりもかなり価格を抑えて展開するという。少数端末であれば、クライアントからのみ制御する無償の「ADAM Client」を使い、大量の端末を一挙に管理するなら「ADAM Webコンソール」するという選択肢が用意されている。

ZenPad for BusinessはMDM機能の「ADAM」を標準搭載したAndroidタブレット
AOSP(Android Open Source Project)としてカスタマイズしやすいため、SI(システムインテグレーター)やISV(独立系ソフトウェアベンダー)が利用しやすいという
ASUS JAPANのシステムビジネス部 テクニカルプロダクトマネージャーを務める大村一郎氏

 ASUS JAPAN システムビジネス部 テクニカルプロダクトマネージャーの大村一郎氏はADAMの特徴として、「効率化の向上」、「安心・信頼の向上」、「費用・時間の大幅削減」の3つを挙げる。

 1つ目の「効率化の向上」は前の段で触れたADAM Webコンソールを利用した場合の話で、管理者はWebブラウザを通して管理モードに入り、リモートで各端末を制御できる。クライアント側に特別なアプリのインストールや設定は必要なく、即座に使えるという。

 ADAM Webコンソールは営業部Aと営業部Bのように部署ごとに管理するグルーピングができ、Aにある端末だけ設定を変えるといった柔軟な使い方ができる。ADAM Webコンソールからは、リアルタイムで端末の動作状況を確認でき、どのような操作を行なっているかログを取れる。不要なアプリがインストールされていれば、リモートで削除できるし、そもそもインストールできないように管理者が設定を変えられる。

 そして、ユーザーが端末を紛失した場合は、即座にリモートでロック、初期化するなど、セキュリティを確保できるようになっており、この点は2つ目の「安心・信頼の向上」に繋がっている。ロック画面上に「警察に届けてください」といったメッセージを表示させたり、デスクトップのキャプチャ、カメラの撮影、強制終了も行なえる。

 「費用・時間の大幅削減」に関しても前述の通り、クライアント側にはMDMがプリインストールされており、導入および初期化を行なうための費用と時間がかからない。端末の設定をプロファイルとして書き出すこともでき、ADAM Webコンソールを契約していなくても、手動操作で別の端末に同じ設定を適用可能。もちろん、ADAM Webコンソール使えば、より時間を短縮できる。

ADAMの3つの特徴
MDMはクライアント端末単体なら無料の「ADAM Client」を、一元管理をするなら有料の「ADAM Webコンソール」が提供される
ADAM Webコンソールでは複数の端末を一元管理できる
ADAM Webコンソールはグループ分けの管理が可能
ADAM Clientの画面
ADAM Webコンソールの画面

 ZenPad for Businessには、タブレットを専用端末として使用できるようにする「KIOSKモード」も搭載されている。タブレットをデジタルサイネージや外食店のメニュー端末、電子カルテ、在庫管理システム、デジタル教科書などとして利用するために特定のアプリのみが動作する専用端末にすることができる。こちらもADAMが提供する機能の1つであり、容易に管理・設定が行なえるようになっている。

株式会社アイズが提供しているZenPad for Businessを利用したKIOSKモードのソリューション。端末ごとにICでユーザーを管理し、ICによってUIや設定が変わる仕組みを使っている
ASUS JAPANでシステムビジネス部 コーポレート事業部 営業1課 法人タブレット・スマートフォン製品担当を務めるEdward Guan氏

 ASUS JAPAN システムビジネス部 コーポレート事業部 営業1課 法人タブレット・スマートフォン製品担当のEdward Guan氏によると、法人ユーザーから寄せられたMDMに関する意見として、費用がかさんでしまうことが大きな懸念点として挙げられているという。

 例えば、運用している端末を何らかの理由で初期化した場合、再度キッティングを行なう必要があるが、この時にまた費用がかかってしまう。また、KIOSKモードを導入する場合、MDMメーカーからAPIの提供を受ける必要があるなど、時間と手間がかかってしまう問題があるからだ。

 ASUSはMDMを利用する顧客に自社の端末でのみ完結するシステムを低コストで提供し、コンシューマと同様に法人タブレット市場の拡大を図っていく構えだ。

「ZenPad for Business 10」(左)と、「ZenPad for Business 7.0」
ZenPad for Business 7.0の正面
裏面
上面
左側面
右側面
底面
ZenPad for Business 10の正面
裏面
上面
左側面
右側面
底面