ソニー「VAIO type X Living」
〜最強のリビングルームPC



 Intelのポール・オッテリーニ社長が、2004年のInternational CESで提唱した、リビング向けの薄型PC“Entertainment PC”構想だが、これまでシャープが液晶ディスプレイとのセット製品を出したぐらいで、リビングに置かれているTVと組み合わせて本格的に利用する製品は出てこなかった。

 しかし、以前の記事でも触れたように、PCで言うところの高解像度(1,366×768ドットや1,920×1,080ドット)液晶パネルを採用した、いわゆるHDTVが普及してきており、PCとの親和性は高まりつつある。Intelが推進するViivテクノロジもプログラムが始まったことで、PCをリビングに置きたい、というニーズは今後も徐々に高まっていくだろう。

VAIO type X Living

 今回ソニーが発売した「VAIO type X Living」は、まさにそうしたニーズに応える製品だ。しかも、衝撃的なのは、アナログRGBやDVIといった、いわゆるPCディスプレイ用インターフェイスはなく、ディスプレイ出力はHDMIとD端子のみという、リビングにある大画面TVに接続することを前提とした製品なのだ。

 本機は発表時には4月発売とされていたが、1月中に出荷が繰り上がり、入手可能な状態になっている。

 なお、レビューに利用した個体は限りなく製品に近いものを利用したが、一部実際に出荷されるバージョンとは異なる場合があることをあらかじめお断りしておく。


●リビングの大画面TVにつなげて利用する

 本製品のデザインは、昔で言えば横置きのデスクトップPCタイプ、今風の言い方をするのであればEntertainment PC(ePC)と呼ばれるカテゴリの製品だ。しかし、デザインそのものはPCというよりも、AV機器というテイストになっている。

 本体の大きさは430×400×129mm(幅×奥行き×高さ)となっている。ちなみに、筆者宅で利用しているヤマハのAVアンプ(DSP-AX1500)が435×433.5×171mm(同)となっているので、AVアンプが入るようなAVラックであれば十分に収めることが可能だ。実際、AVラックに入れてみたが、全く違和感なく収めることができるし、デザインが黒とシルバーを基調とした落ち着いたものになっているので、見た目の点でもなじんでいる。

 そしてもう1つデザイン上の特徴と言えるのは、同時に発表された8チューナのHDDレコーダ“Xビデオステーション”と共通したデザインとなっていることだ。このため、Xビデオステーションを重ねておいても違和感がない。どちらかと言えば、Xビデオステーションの方が本製品に合わせている印象で、Xビデオステーションの前面には蓋がついているように見えるが、実際には蓋ではなく単なるデザイン上のアクセントになっている。これは本製品と共通のデザインを採用したためだろう。

 本製品がAV機器テイストであるのは、なにもデザインだけではない。ディスプレイへの出力もAV機器と同等のものとなっている。というのも、本製品にはいわゆるPC用ディスプレイへの出力端子は用意されていないからだ。一般的なPCでは、アナログRGB(15ピン)やDVI-I/DなどのPCディスプレイ用の出力を備えている。ところが、本製品ではそれらは全くなく、用意されているのはD端子とHDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子だけで、これらはHDDレコーダなどのAV機器に一般的に用意されているものだ。

 なぜ、これらの端子しか用意されていないのかと言うと、それは本製品がHDTVに接続することを前提に考えられているからだ。

筆者宅のリビングのAVラックに入れてみたところ。全く違和感なくなじんでいる 本製品に用意されているHDMI端子。High-Definition Multimedia nterface Specification Version 1.1に準拠した仕様となっている 本製品に用意されているD4端子。アナログRGBやDVI-DなどPCでおなじみの出力は用意されていない

●1080i、720pというHDTVフォーマットの解像度での接続

 本製品はD端子にせよ、HDMI端子にせよ、どちらの手段でHDTVに接続したとしても、基本的には1080i(1,920×1,080ドット)、720p(1,280×720ドット)、480p/480i(720×480ドット)の、いわゆるHDTV向けの解像度にしか設定することができない。つまり、本製品からHDTVはPC用のディスプレイとしてではなく、あくまでAV用のディスプレイとして見えているということになる。

出力フォーマットは、TVで一般的に利用されている720pや1080iといった解像度が使用される。PCでおなじみの1,024×768ドットといった選択肢は標準では表示されない D端子で接続している場合には出力形式をD1〜D4の範囲内で選択することができた

 普通、これらのAV用の出力でHDTVに入力した時は、やや四隅が削られる。というのも、TV信号は端の信号がない部分を画面に映さないようにするために、実際の信号よりも中央だけを表示して端を表示しないようにするオーバースキャンと呼ばれる設定になっているからだ。TVの場合、端が映らなくてもあまり問題ない(むしろ端が映ってしまう方が困る)のだが、Windowsデスクトップの場合、端が映らないと、“スタート”ボタンや時計などが表示されず、困ってしまう。

 そこで、本製品ではオーバースキャン表示を修正するツールで対応している。本製品はGPUにNVIDIAのGeForce 6200 with TurboCacheを採用しているが、本製品に導入されているNVIDIAのドライバには“HDTV Overscan 補正”と呼ばれる補正ツールが用意されており、これを利用して解像度を画面の中央に来るように調整しアンダースキャン設定にすることで、HDTVにもWindowsデスクトップを正しく表示できる。

 なお、最近のHDTVにはDVI-DのPC入力が用意されており、本製品のHDMI端子からHDMI-DVI変換ケーブルなどを利用して接続したい、というニーズもあるだろう。保証された使い方ではないが、実際にそうした設定をすることも一応は可能だ。例えば、筆者宅の液晶TV(シャープ AQUOS LC-32GD1)にはDVI-Iポートが用意されており、DVI-Dでの入力はPCフォーマットとAVフォーマットの両方の設定が可能だ。本製品を接続した場合、どちらでも表示が可能だった。

 ただし、PCフォーマットで接続した場合には、EDIDの問題からか最大で1,024×768ドットでしか表示することができなかった。本製品のNVIDIAドライバには、リファレンスドライバなどに用意されているアドバンスドモード(解像度などを細かく設定するツール)が用意されておらず、より詳細な解像度の設定はできなかった。基本的にPCフォーマットでの表示はできるものの、あまり意味はないと考えておいた方がいいだろう。

TVに接続した場合は、そのままではオーバースキャン表示になってしまうので、付属するNVIDIAの設定ツールを利用してアンダースキャン設定を行なう

●フルHDではないTVの場合にはアップデータの適用が必須

 画面の解像度は1080i、ないしは720pのどちらかのアンダースキャン設定にして利用することになる。だが、出荷時状態には720pのモードは使えないと考えた方がよい。というのも、解像度を720pやそのアンダースキャンに設定した場合、後述するデジタル放送の受信ソフトウェアである“Station TV Digital for VAIO”が起動しないのだ。

 1080iではきちんと起動するし、同じようにStation TV Digital for VAIOがインストールされている「VAIO type V」のデジタル放送対応モデルでは1,360×768ドットという解像度できちんと起動できていることを考えると、Station TV Digital for VAIOは最低でも縦方向の解像度が768ドットないと起動できないのだろう。

 ここで気になるのは、フルHD(1,920×1,080ドット)のパネルを採用していないHDTVとの組み合わせだ。実際筆者宅にあったシャープのAQUOSは1,366×768ドットという、現在売れ筋の液晶TVやプラズマTVで採用されているパネルで、1080iの映像を表示するとダウンスキャンコンバートされてしまうのだ。それでも動画を見ている場合には、あまり問題を感じない。いやむしろ動画の場合には、TV側の設定も動画に適した設定になっているので、PCとして入力した場合に比べてよりAV的な表示になる。

【お詫びと訂正】初出時にパネルの解像度を1,360×768ドットとしておりましたが、1,366×768ドットと訂正させていただきます。

 気になるのはWindowsのデスクトップを表示したときなど、細かい文字を表示した時だ。この場合には、文字がややつぶれ気味になってしまうし、そもそもインタレース表示であるので、全体的に画面がちらつき、正直に言って非常に見づらい。フルHDパネルのTVを持っている人はまだまだ少なく、ユーザーのほとんどは1,366×768ドットや1,280×768ドットなど表示に対応した液晶パネルを使用しているだろう。

 そうしたフルHDパネルではないHDTVの場合、ソニーが本製品の発売後に公開したStation TV Digital for VAIOのアップデータ(「StationTV Digital for VAIO Ver.2.1」アップグレードプログラム )を適用することで、状況は大きく改善される。このアップデータを適用すると、Station TV Digital for VAIOが720pやそのアンダースキャン状態においても起動することが出来るようになる。

 これにより、1,366×768ドットなどのフルHDではないパネルを採用したTVでも、文字がつぶれるという事態を回避することができる。また、出力もインタレースではなく、プログレッシブ表示になるため、ちらつきなどもなく利用することができる。Dot by Dotで表示している場合に比べると、やや文字などがつぶれ気味にはなるが、それでも十分許容範囲内だろう。

●デジタル放送コンテンツを他の部屋で楽しめる

 本製品に採用されているデジタル放送受信ボードは、ピクセラの「PIX-DTTV/P1W」というボードで、ソニーのVAIO type Vや富士通の「FMV DESKPOWER」シリーズなどで採用されているものと同じ製品を搭載している。受信可能なデジタル放送は地上/BS/110度CSの3種類で、アンテナ入力は地上波用とBS/CS用が用意されている。視聴は、通常のライブ試聴のほか、タイムシフト視聴も可能になっている(起動時にライブかタイムシフトにするかは、設定で選択できる)。

 デジタル放送の機能は一通りサポートされており、EPG、データ放送といった標準的な機能のほか、ペイパービューなどの機能も利用できる。このため、リモコンにはデジタル放送受信が可能なTVではおなじみの色つきボタンも用意されている。1つだけサポートされていない機能は、AACによるマルチチャネル出力で、これは2チャネルにダウンコンバートされて出力されることになる。

 録画機能に関しては、リモコンの録画ボタンで行なえるほか、EPGから目的の番組を選択して行なうことも可能だ。録画されたコンテンツはPIX-DTTV/P1Wに搭載されている権利処理LSIを利用して、暗号化されてHDDに格納されているため、録画した番組はコピーできない。また、NECや富士通のPCで実現されている録画コンテンツのムーブ機能は実装されていない。同じボードを搭載している富士通のPCでできているのに、ソニーのPCではできないのはやや不可解だ。ただ、富士通のPCでのムーブはDVD-RAMにしかできないのだが、本製品はDVD±RWドライブしか搭載していないため、そのあたりに理由があるのかもしれない。

本体の背面。デジタルチューナボードは最も上にあり、入力端子は地上波とBS/CSの2つが用意されている Station TV Digital for VAIOのEPG画面 録画した番組はこのように表示される。ムーブ機能は備えていないので、録画した番組は削除するかHDDに残しておくしか選べない

 逆に他社のPCでは実現されていない機能として、ホームネットワークへの出力が挙げられる。ソニーから発売されている新しいルームリンク(VGP-MR200)を利用することで、本製品で録画したデジタル放送のコンテンツを家庭内のほかの部屋から閲覧可能だ。録画したコンテンツがHDDを圧迫するという問題は解決できないものの、コンテンツを別の部屋で楽しみたいという問題はホームネットワークを利用することで解決できる。

 なお、本製品には標準で無線LAN(IEEE 802.11g)の機能を有しており、ソフトウェアアクセスポイントも標準で導入されている。このソフトウェアを有効にすることで、PCを無線LANアクセスポイントとすることも可能で、手軽にホームネットワークを構築できる。

●デュアルチューナを利用してアナログ放送を2番組同時録画可能

 もちろん、デジタル放送だけでなく、アナログ放送も受信でき、ソニーの10フィートUI「Do VAIO」を利用してアナログ放送の受信/録画が可能だ。アナログ放送のチューナはソニー独自のボードで、コーデックにはViXSの「XCode2L」を採用したデュアルチューナカードとなっており、同時に2つの番組を録画、ないしは受信可能だ。

 録画フォーマットはMPEG-2で、画質モードは、高画質/標準/長時間の3つのモードが用意されている。ビットレートは下記のようになっている。

【表】VAIO type X Livingの録画ビットレート
高画質MPEG-2720×480ドット8Mbps
標準720×480ドット4Mbps
長時間352×480ドット2.5Mbps

 アナログチューナは3次元Y/C分離、ノイズリダクション、ゴーストリデューサ、TBCといった高画質機能を内蔵しており、高画質にアナログ放送を録画できる。

●Internet Explorerをリモコンで操作する

 本製品のもう1つのユニークなポイントは、リモコンでWebブラウジングが可能になっていることだろう。

 具体的にはリモコンのVAIOボタンを押してInternet Explorerを起動すると、リモコンで操作を可能にするアドインソフトを組み込んだ状態で、Internet Explorerが起動する。その後はリモコンの十字キー、ツールボタン、数字キーなどを組み合わせてInternet Explorerのさまざまな操作が可能になる。

 例えば、あるWebサイトを閲覧したい時には、ツールボタンを押し、ツールバーを表示させ、表示されたボタンからURL入力ボタンを押すか、数字キーの“11”を押すことで、URL入力ボックスを呼び出すことができる(URLがお気に入りに登録されている場合には、メニューからお気に入りの表示ボタンを押すことも可能)。表示されたURL入力ボックスには、数字キーを利用して携帯電話のような感覚でURLを入力することが可能だ。その時にガイドが画面上に表示されるので、特に迷うことはないだろう。

 リモコンでのWeb閲覧は、実際これまでにはないオペレーションで、慣れるまでにはそれなりの時間はかかるだろう。正直に言って筆者も何度か試してみたが、慣れるまでは1時間ぐらいはかかったし、時々「キーボードのほうが早い」と思って結局キーボードを引っ張り出してくるということがあったのは事実だ(つまり、どうしてもキーボードでの操作に比べて時間がかかる、ということだ)。しかし、一度慣れてしまえば、それなりの時間でリモコンだけでブラウジングすることができた。

 もう1つ特筆しておきたいのは、ブラウジングしているWebサイトのズームができることだろう。リモコンのツールボタンを押してズームすると、Webサイトの表示部分がズームされて表示される。本製品はHDTVのような大画面に接続して利用することが前提だが、そうしたシーンではかなりTVに近づかないとWebブラウザの小さい文字を判別することは難しい。そうしたシーンでも、この機能を利用することで、画面をズームできるので、人間が画面に近づいていく必要はない。

 こうした機能を利用することで、リモコンだけでそれなりに快適にWebブラウジングすることができる。お菓子でもかじりながらTVを見ていて、ふと思い立ってWebで調べものをしたいという時など、手軽にできるこの機能はかなり重宝するだろう。

本製品に付属のリモコン。デジタル放送特有の色ボタンが用意されているのが特徴。VAIOボタンでアプリケーションランチャーを呼び出せる VAIOボタンで呼び出されるランチャー。ここからInternet Explorerを選択する ブラウザとリモコン用のメニューが表示されているところ。すべての操作はリモコンで行なうことができる
文字入力の画面。表示されるガイドを利用して数字キーで文字を入力する。720pの画面ではやや下側が切れて表示されてしまう 1.5倍(左)と3倍表示(右)させたところ。このように、ブラウザの画面自体をズームすることができるので、人間がTVに寄っていく必要はない。これらの操作もすべてリモコンで可能

●Xビデオステーションとの組み合わせで最強の録画環境を実現可能

 もう1つ本製品で特筆すべきことは、ソニーが2005年10月に発売して話題を呼んだXビデオステーション(VGX-XV80S/XV40S)と組み合わせて利用することで、より使い勝手が向上することだ。

 本製品にXビデオステーションの付属ソフトウェア(XVアプリケーション)をインストールすると、本製品のリモコンを利用して「XVブラウザ」と「XVプレイヤー」という2つのソフトウェアを起動することが可能になる。

リモコンのVAIOボタンから、XVブラウザやXVプレイヤーが起動できる。Xビデオステーションと組み合わせることで最強の録画環境が完成

 具体的にはリモコンのVAIOボタンを押すことで、XVブラウザとXVプレイヤーの2つが表示され、選択することで起動することができる。なお、終了も可能で、その場合は再度リモコンのVAIOボタンからランチャーメニューを表示させ、終了させたいアプリケーションを選べば、そのアプリケーションを終了させることができる。あとは、XVブラウザを利用したい番組を選択すれば、XVプレイヤーにより再生が開始される(あらかじめXVプレイヤーは全画面で再生が開始されるように設定しておくと使い勝手がよい)。

 このように、Xビデオステーションと組み合わせて利用することで、本製品は1週間アナログ放送8チャネル録画+デジタル放送1チャネル+アナログ2チャネルという強力な録画環境を実現することになる。これがあれば、例えば普段はXビデオステーションを利用してアナログ放送を1週間丸ごと録画し、1週間以上残しておきたかったり、最終的にDVDに焼いたり別のフォーマットにトランスコードして保存しておきたい番組は本製品に内蔵のアナログチューナーを利用して8Mbpsの高画質ビットレートで録画し、ハイビジョンで楽しみたい番組はデジタル放送チューナを利用して録画するという使い方が可能だ。現時点ではまさに最強の“録画環境”と言っていいのではないだろうか。

●40dBを切る静粛性を実現した静音設計

 PCとしての仕様は、CPUにPentium D 820(2.8GHz)、チップセットにIntel 945G、GPUにNVIDIA GeForce 6200 with TurboCacheを採用するなど、メーカー製PCとしてはミッドレンジに属する構成となっている。なお、本製品はソニースタイル専売モデルとなっており、メモリやHDD、デジタルチューナの有無などはユーザーが自由に選べるようになっている。

 メモリはDDR2-533が採用されており、標準で1GB(512MB×2)ないしは512MB(256MB×2)という構成になっている。メモリスロットは、4スロット用意されており、標準では2スロットが利用された状態で出荷されることになる。

 HDDは1TB(500GB×2)ないしは512GB(256GB×2)という構成から選択することができる。出荷時には本製品で採用しているサウスブリッジのICH7RのRAID機能を利用して、RAID 0(ストライピング)に設定されて出荷される。なお、本製品の3.5インチベイは3つ用意されており、HDDは最大で3台まで搭載することができる。このため、ユーザー側で3台目のHDDを用意すれば、RAID 5に設定して利用することも可能だ。

 本製品のように、リビングにおいてホームサーバーのように利用する場合、データの保護はかなり重要なウェイトを占めるだろう。せっかく撮った家族の写真がHDDのクラッシュで消えてしまうといった事態は可能な限り避けたい。だが、それもRAID 5構成にすることで、HDD 1台だけの場合よりはデータが生き残る可能性が格段に高くなる。そうした意味で、本製品がRAID 5を利用できることは評価していいだろう。なお、本製品のリカバリDVD自体もIntelのRAIDに対応しており、リカバリ時に別途FDDが必要とかそういうことはないので安心して欲しい(一般的にはRAIDの場合、OSのインストール時にFDが必要になることが多い)。

本体の蓋を開けたところ。AVアンプ程度の筐体にコンパクトに収められている印象だ。CPUは黒い蓋がされている巨大ヒートシンクの下にある。このヒートシンクを2つの8cmファンをゆっくり回して冷やすので、Pentium D搭載製品としては静粛性が実現されている メモリスロットは4つ用意されており、標準では2つが使用されている HDDのベイは最大で3つ入る設計になっており、ユーザーが購入後にRAID 5にすることも可能だ(写真は3つめのHDDを入れてみたところ、標準では2つとなっている)

 オーディオは「VAIO type R」などにも採用されているソニーの「Sound Reality」で、ドルビーデジタルライブに対応しているので、WMA Professional 9による5.1チャネルオーディオなどのマルチ出力音声や2チャネル音声をドルビーデジタルの5.1チャネルにリアルタイムエンコードしてアンプに出力することが可能になっている。

 キーボードやポインティングデバイス(パッドタイプ)は、VAIO type Vと同じくワイヤレスになっている。キーボードにはFeliCaリーダも内蔵されており、付属のアプリケーションを利用して「Suica」などFeliCaベースのICカードの残高確認などが可能だ。

 なお、CPUに熱設計消費電力で95WにもなるPentium D 820を採用していることで、静粛性が不安という人もいると思うが、本製品に関してはその心配はない。本製品では、超巨大ヒートシンクを採用し、そこに口径が大きめのファンをゆっくり回すことで放熱するという、静音化の王道を行く手法がとられているため、Pentium Dを搭載した製品としては非常に静かになっている。実際、2005年末のXbox 360の記事でも触れたのだが、本製品はWindowsアイドル時で35.2dBと40dBを切る静粛性を実現している。もちろん全く動作音がしないということはないが、普段は動いていても気がつかないぐらいだろう。

拡張カード周辺。緑のボードがデジタルTVチューナカードで、その下がアナログTVチューナカード。右側の青いボードがビデオカード 付属のワイヤレスキーボード兼ポインティングデバイス。2.4GHzが利用されており、4〜5m離れても操作可能だった デバイスマネージャの表示

●Xビデオステーションと同時購入で最強環境

 以上のように本製品は、HDTV接続を前提としたHDMIおよびD端子のみという、PCとしては割り切ったビデオ出力、デジタル放送のチューナ、リモコンによるWebブラウジングといった、リビングに置くことを前提にした設計が施されており、まさに“リビングPC”の称号にふさわしいものとなっている。

 ただ、強調したいのは、もちろん普通のPCとしても利用できるので、他の一般的なアプリケーションもキーボードやパッドを利用して操作することも可能だ。つまり、本製品は、2アナログ+1デジタルのHDD/DVDレコーダとPCが一体になった製品と言える。本製品はデジタルチューナー入りモデルの安価な構成で239,800円となっており、2アナログ+1デジタルのHDD/DVDレコーダと比べて決して高いというわけではない。そこにPCの機能が入ってくるのだから、お買い得だと言ってもいいだろう。

 さらに、Xビデオステーションを同時に購入できれば、2アナログ+1デジタルに8アナログを1週間録画という機能を追加することができる。この構成になれば、1週間フル録画しつつ、残しておきたい番組は本製品のアナログ2チューナで高画質モードで録画し、ハイビジョンの番組はデジタルチューナで録画するという使い方が可能になる。そうした最強環境を作りたいユーザーであれば、本製品とXビデオステーションの同時購入を検討してみるといいだろう。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□VAIO type X Livingの製品情報
http://www.vaio.sony.co.jp/Products/VGX-XL70S/
□関連記事
【2005年10月6日】【Hothot】史上最強!! PCユーザーのためのHDDレコーダ
〜ソニーのXビデオステーションを試す
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1006/hotrev274.htm
【2005年10月4日】ソニー、リビングルームPC「VAIO type X Living」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1004/sony1.htm
【2004年12月13日】【笠原】HDTVとPCのよい関係
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1213/ubiq88.htm

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(2006年2月3日)

[Reported by 笠原一輝]


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