レノボ・ジャパンから登場した「Lenovo 3000 C100 Notebook」は、レノボ・グループが全世界に向けて展開するLenovoブランドの第1弾となる製品だ。 レノボといえば、IBMのPC部門を買い取り、ThinkPadシリーズの開発/販売を行なっていることで有名だが、今回発表されたLenovoブランドの製品は、主に大企業ユーザーをターゲットにしているThinkPadシリーズとは異なり、SOHO市場をターゲットにしていることが特徴だ。 Lenovo 3000 C100 Notebook(以下Lenovo 3000 C100)は、LenovoブランドのA4ノートPCで、ThinkPadシリーズに比べて、ラインナップがシンプルで低価格なことが特徴だ。Lenovo 3000 C100には、CPUやHDD容量、光学ドライブなどの違いによって、3つのモデルが用意されている。今回試用したのは最上位の「0761-2LJ」で、CPUとしてPentium M 740(1.73GHz)を搭載する。 筐体は、オーソドックスなデザインである。ボディカラーはシルバーとブラックを基調にし、光学ドライブイジェクトボタンやPCカードイジェクトボタンなどのアクセントカラーとしてオレンジが効果的に使われている。ThinkPadシリーズに比べると、質感は見劣りするが、ボディの作り自体はしっかりしている。 CPUには、Pentium M 740(1.73GHz)を、チップセットには、グラフィックス統合型のIntel 915GM Expressを搭載。Core Duoが登場した今となっては、CPU、チップセットともに旧世代となるが、通常のアプリケーションを使うには、十分なパフォーマンスを持つ。メモリは標準で512MB装備している。DDR2対応SO-DIMMスロットを2基搭載しており、最大2GBまで増設が可能だ。ただし、SO-DIMMスロットの空きは1つなので、2GBまで増設する場合は、標準で装着されている512MBを取り外す必要がある。 HDD容量は100GBと余裕がある。光学ドライブとして、DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R DL対応)を搭載するなど、スペック的にも不満はない。
●キーボードの配列はThinkPadシリーズとは異なる 液晶ディスプレイとして、1,024×768ドット表示対応(XGA)15型液晶を搭載。光沢タイプの液晶ではなく、ノングレアタイプの液晶であり、鮮やかさには欠けるが、長時間使っていても目の疲れが少ない。キーボードはThinkPadシリーズでおなじみの7列キーボードではなく、一般的な6列キーボードを採用している。大柄なノートPCなので、キーピッチやキーストロークには余裕がある。 ThinkPadシリーズは、キーボードにこだわっていることで定評があるが、Lenovo 3000 C100でも、ThinkPadシリーズのキーボードの開発ノウハウが活かされているという。ただし、ThinkPadシリーズと(もちろん機種によっても異なるが)、全く同等のキータッチを実現しているわけではないようだ。ただ、最近のノートPCは、全体的にキータッチが改善されており、Lenovo 3000 C100のキーボードも不満があるわけではない。ポインティングデバイスには、タッチパッドを採用。このあたりも、TrackPointにこだわるThinkPadシリーズとは、別ブランドの製品であることがよくわかる。
●各種機能を呼び出せる「Lenovo Careポータル」を搭載 Lenovo 3000 C100では、キーボード上部に、電源ボタンのほかに、Lenovo Careボタンとミュートボタンが用意されていることが特徴だ。Lenovo Careボタンを押すと、各種機能を呼び出すためのメニュー「Lenovo Careポータル」が起動する。Lenovo Careポータルは、「クイック・リンク」、「リソース・センター」、「メッセージ・センター」の3つの機能から構成されている。 クイック・リンクでは、マルチメディア機能やヘルプファイルなどの機能を呼び出すことができ、任意のプログラムを登録することも可能だ。リソース・センターでは、ネットワークの設定や切り替えを行なう「Access Conncetions」やデータの保護と復元を行なう「Rescue and Recovery」などの機能を呼び出すことができる。 また、メッセージ・センターでは、レノボからのアップデート情報やサポート関連メッセージを表示することが可能だ。Lenovo Careポータルは、ThinkPadシリーズのThinkVantegeテクノロジーに似ているが、機能はThinkVantegeのほうが充実している。
●無線LANスイッチも装備 USB 2.0×4、IEEE 1394(4ピン)、外部ディスプレイ、Sビデオ出力、LAN、モデムなど、インターフェースも搭載している。カードスロットとしては、PCカードスロットとマルチカードリーダ(SDメモリーカード/MMC/メモリースティック対応)を装備。ただし、PCカードスロットのフタがダミーカード方式なのと、マルチカードリーダにメモリカードを挿入した際に、はみ出し部分が大きいことが気になった。IEEE 802.11a/b/g対応無線LAN機能を搭載しており、左側面に無線LANスイッチが用意されているのも便利だ。 また、USB経由で接続する専用オプション「Lenovo USBポートリプリケーター」が用意されていることも面白い。Lenovo USBポートリプリケーターは、USB 2.0×4や外部ディスプレイ出力、LANなどのポートを装備している。
HDDはパック式であり、交換も容易だ。ただし、ThinkPad X60/T60などとは異なり、衝撃を吸収するためのショックアブソーバーは装着されていない。
バッテリは14.4V、4,300mAhの8セル仕様で、公称3.3時間のバッテリ駆動が可能だ。バッテリ駆動時間はそれほど長くはないが、携帯性重視のモバイルノートPCではないので、特に問題にはならないだろう。ACアダプタがコンパクトで軽いことも評価できる。
●基本性能は十分であり、コストパフォーマンスは高い 参考のために、いくつかベンチマークテストを行なってみた。ベンチマークプログラムとして、これまで利用してきたMoblieMark 2002、SYSmark 2002、3DMark03に加えて、今回からPCMark05やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も追加した。 MobileMark 2002は、バッテリ駆動時のパフォーマンスとバッテリ駆動時間を計測するベンチマークであり、SYSmark 2002は、PCのトータルパフォーマンスを計測するベンチマークである。また、PCMark05は、各コンポーネントのパフォーマンスを計測し、3DMark03やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3は、3D描画性能を計測する。MobileMark 2002については、電源プロパティの設定を「ポータブル/ラップトップ」にし、それ以外のベンチマークについては、電源プロパティの設定を「常にオン」で計測した。 結果は下の表にまとめたとおりである。比較用に以前計測したThinkPad Z60tやLaVie RX LR700/CDの結果も併せて載せている。 MobileMark 2002のスコアは、Perfomance rating、Battery life ratingともに優秀である。SYSmark2002についても、同じPentium M 740を搭載したLaVie RX LR700/CDを上回っている。ただし、グラフィックス統合型チップセットを採用しているため、3D描画性能はあまり高くはない。
【表】ベンチマーク結果
●買い得感のあるバリューノート Lenovo 3000 C100は、Lenovoブランド初のノートPCだが、特別な機能を搭載しているわけではなく、非常にオーソドックスな製品だ。正直、ThinkPadシリーズと比べると、質感や機能面で見劣りする部分があることは否めない。しかし、SOHO市場で使うのなら、性能的には十分だ。今回試用した最上位モデル(0761-2LJ)の直販価格は136,500円と安く、デルやエプソンダイレクトなどの直販系ノートPCと比べても、買い得感がある。コストパフォーマンス重視でノートPCを選ぶのなら、有力な選択肢となるだろう。 □レノボ・ジャパンのホームページ (2006年3月29日) [Reported by 石井英男]
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