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脱GPUが加速、OracleもGoogle製TPUを選択

Google Cloudが4月に発表したTPU 8iとTPU 8t(4月のGoogle Cloud Nextで撮影)

 Oracleは、10月25日から10月28日に同社の年次イベント「Oracle AI World 2026」を米ラスベガスで開催している。この中で、ハイパースケール級のクラウドサービス事業となるOCI(Oracle Cloud Infrastructure)が、Google開発のAIアクセラレータであるTPU(Tensor Processing Unit)を採用したことが明らかになった。

GPUコストが大きな課題に。AIアクセラレータに注目が集まる

Google Cloudの基板に搭載されているTPU 8t(4月のGoogle Cloud Nextで撮影)

 現在Oracleが開催しているOracle AI World 2026では、フロンティアAIモデルを採用した新しいサービスなどが発表されている。

 フロンティアAIモデルの普及に伴い、OracleなどのCSP(Cloud Service Provider: クラウドサービス事業者)やSaaS事業者にとって、それを利用したサービスが次々と提供されている現状は、コスト上昇の要因となっている。

 というのも、フロンティアAIモデルが推論時に消費するトークンが文字通りうなぎ登りに増えており、それに伴って、CPUやGPUといった演算装置を増強しなければいけないからだ。

 CPUやGPUを導入する際には、2つのコストを考慮する必要がある。1つは導入時の初期導入コストで、GPUのラック(たとえばVera Rubin NVL72やGB300 NVL72など)を購入する価格であり、もう1つがランニングコストだ。具体的には電気代やデータセンターを運営するのに必要なコスト(冷却用の工業用水のコストなど)になる。

 演算器を強化すれば、初期導入コストが積み上がり、同時にランニングコストも増えていく。それによりクラウドサービス事業者がSaaSを提供していくうえでのコストが跳ね上がり、従来の価格モデルでは運用するのが難しくなりつつある。

 たとえば、フロンティアAIモデルがベースの「Copilot Cowork」や「Autopilot」は従量制課金で提供されており、SaaSベンダーにとってフロンティアAIモデルでサービスを提供することは、GPUも含めてコストとのにらみ合いになっている。

 そんな中、MicrosoftはGPUの代替になり得るAIアクセラレータ「Maia 300」を2027年から順次投入していくと先日発表。ほかにも、GoogleのTPU、AWSのTrainiumといったAIアクセラレータがGPUの代替として、特に推論時のトークンコストを下げる手法の1つとして注目を集めている。

NVIDIAやAMDのGPUに続き、Google TPUが選択可能になったOCI

Google TPU 8t(4月のGoogle Cloud Nextで撮影)

 OCIは特定のプロセッサベンダーには依存しないという戦略をとっており、どのプロセッサベンダーとも対等に付き合っている。

 実際、OCIはNVIDIA GPUだけでなく、その代替といえるAMD Instinctの採用に積極的に取り組んできた。AMDのAIデータセンター向けGPU「Instinct MI350」などのInstinctシリーズを、ハイパースケール級のCSPとしていち早く採用したのがその代表例だ。

 今回Oracleが発表したのは、そうしたOCIのAI演算向けプロセッサの選択肢に、GoogleのTPUが加わるということだ。GoogleのTPUは、GPUに比べて低い初期コストと高い電力効率が特徴で、ランニングコストも抑えることが可能だという。

 NVIDIAやGoogleは具体的な価格やコストモデルを明らかにしていないため検証のしようはないが、その可能性は高いと考えられている。OCIがTPUを推論に採用することで、フロンティアAIモデルの推論時のトークンコストを下げられると考えられる。

 Googleはこれまで自社のクラウドサービス事業だけでTPUを活用してきたが、TPUの外販は自社の開発コストを下げることにつながる。半導体は「規模の経済」であり、出荷数が増えれば増えるほど開発コストは下がり、利益率が上がるからだ。

Google TPU 8i(4月のGoogle Cloud Nextで撮影)

 なお、Googleは2026年4月に開催したGoogle Cloud Nextにおいて、第8世代のTPU 8tとTPU 8iの2つの製品を発表している。記事執筆時点ではどの世代のTPUがOCIに導入されるか不明だが、当然その2つも導入のターゲットになるだろう。Oracleによれば、2027年に提供が開始され、顧客ニーズに応じて今後数年にわたり導入規模が拡大されていく予定だ。