やじうまミニレビュー

まだ手で議事録書いてるの?要約もToDoもAI任せの「iFLYTEK P1 Pro」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
iFLYTEK P1 Pro

 会議や取材の録音データを聞き返しながら手作業で書き起こすのは、時間も手間もかかる仕事だ。そこから議事録やタスクを作成するとなれば、1日仕事になってしまうだろう。

 今回紹介する「iFLYTEK AIボイスレコーダー P1 Pro」(以下、P1 Pro)は、クリアな音声録音からリアルタイムの文字起こし、AIによる自動要約・議事録作成、さらには多言語の同時通訳までをこなせるプロ仕様のAIボイスレコーダーだ。その実力を検証したい。

3基のマイクとタッチ画面を搭載したハイエンド機

 「iFLYTEK」は、1999年に設立された、中国では代表的といってもいいAI企業だ。2020年1月には日本法人の「iFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONS」を設立している。

 iFLYTEK製品は、音声認識や自然言語処理、音声合成の分野で世界的に高い評価を受けている。筆者自身、クラウドファンディングで手書きノートも取れる「AINOTE Air 2」に出資して以来、その音声認識精度の高さに惚れ込み、「AINOTE 2」や「iFLYTEK S6」、ウェアラブル型の「AIWATCH」などを次々と購入して日々の取材で愛用している。

 今回取り上げるP1 Proは、同社のAIボイスレコーダーの中でもプロフェッショナルユースに対応したスティック型のハイエンドモデルで、実売価格は2万9,800円と比較的安価である。

 アルミ合金製のスリムな筐体は質感が良く、質量は約55gと軽量で持ち運びやすい。従来の一般的なICレコーダーと並べてみてもコンパクトで、少し太い万年筆のようでもある。

従来のICレコーダーとの比較。万年筆というより、チョークホルダーに近いサイズ感だ
手に持つといかにコンパクトかが分かる

 ハードウェア面での大きな特徴は、プロ仕様のマイクシステムだろう。

 本体上部には指向性マイクを1基、さらに周囲360度の音を集める全指向性マイクを2基搭載しており、最大10m離れた話者の声でもクリアに捉えるとする。

マイク部アップ。指向性マイクと全指向性マイクの位置

 96kHz/24bitのハイレゾ録音にも対応している。容量を食うため、ひんぱんに使うわけにはいかない。それでも、複数の取材対象者がいて、誰かが話している最中に別の人も話してしまうような、声が重なる場面でも、一人ひとりの声を聞き分けやすくなる。AIがうまく文字起こしできなかったとしても、自分の耳で聞いて、それぞれが何を言っているかを判別することができるだろう。

通常なら1時間80MB程度のところ、ハイレゾ録音では45分で2GBもの容量を食う。スマートフォンへ転送するのにも時間がかかるので、「ここぞ」という場合にのみ使いたい

 また、キータイプ音や服の擦れる音などから切り離した声のみをクリアに録音するためのAIノイズリダクションにも対応している。

 本体正面には3.2型のAMOLEDタッチディスプレイを搭載している。全指向性録音、指向性録音をタッチ操作で行なえるほか、録音ファイルの確認やBluetooth接続設定、タイマー録音やシステム言語、現在時刻設定などをスマートフォンを介さずに行なえる。画面ロックパスワード機能も備えているので、万が一紛失したとしても、中身を見られる(聞かれる)ことを防げるだろう。

タッチディスプレイで、操作したり設定を変更したりすることができる
画面ロックパスワードの設定も行なえる。製品説明サイトでは「パスワード」と書かれているが、数字4桁のPINコードである

 録音の開始/終了はタッチ操作だけでなく、本体側面の物理ボタンでも行なえる。

 短押しでインタビューやセミナーなど特定の話者がいる場合に向いている「指向性モード」、2秒の長押しで全員が話に参加する会議などに向いている「全指向性モード」で録音がスタートする。画面を表示させることなく、即座に操作できるのがありがたい。

録音ボタン。その下にあるのは「タグ」ボタンで、「ここぞ!」という場面で短押しすれば重要な箇所をマークできる。録音中の一時停止は録音ボタンを短押し、終了して保存する場合は長押しするだけだ

 機能面では、日本語や英語、中国語など11言語でのリアルタイム文字起こしに加え、翻訳機能(同時通訳)も搭載している。ただし本機能を使うには、専用アプリ「Deepting」との連携が必要だ。あらかじめスマートフォンにインストールしておきたいが、Google PlayやApp Storeで「iFLYTEK」というワードで検索してもなぜかヒットしない点だけ留意しよう。

Google Play(左)とApp Store(右)で「iFLYTEK」で検索してもヒットしない

文字起こしから議事録作成、翻訳機能まで試してみた

 ここからは、実際にP1 Proを使ってみた感想を2つのパターンで紹介しよう。

パターン1: 文字起こしからの要約や議事録作成

 まずは本領である文字起こしとAI要約だ。ちょうど、このレビュー原稿を用意する段階で、発表会イベントがあったので、試すことにした。質疑応答のコーナーもあるとのことで、全指向性モードで録音をした。

 カメラのシャッター音などは入っていたものの、登壇者の声も質問者の声もしっかり集音していた。質問者がワイヤレスマイクの尾部を下げ過ぎたか、あるいは手のひらなどで送信部を遮ってしまったのか、スピーカーからの音声が途切れる場面があったものの、驚くことに、P1 Proのマイクはその間の音声も集音していた。

 録音データさえ明瞭であれば、あとはアプリの仕事である。最新バージョンにアップデートしておいた専用アプリDeeptingへ録音データを転送し、文字起こしをしたところ、精度は体感で98%以上と高かった。

 アプリと連携した状態で、アプリ側から録音操作を行なうこともできる。右下に表示されている分かりやすいマイクのボタンを押すだけなので簡単である。

分かりやすいマイクボタン

 スピーカー設備のないイベントなどで、ボイスレコーダーを話者のすぐ近くに置いておくことがあるが、これならリモートで録音を開始できる。

 また、アプリから録音を開始した場合、リアルタイム文字起こしを確認できるのも良い。

 なお、リアルタイム文字起こしが表示されていても、それは不完全なものなので、精度の高い文字起こしを得たいのであれば、「今すぐ文字起こし」の表示をタップして文字起こしすることをオススメする。

リアルタイム文字起こしは、ローカル処理のため“なんとなく何を話したのかを追うことができる”程度の精度だが、改めて文字起こしをすればクラウドでのAI処理が走り、精度の高い文字起こし結果を得られる

 処理が完了すると、全文の文字起こしに加え、要約や議事録、さらにはアクションアイテム(ToDo)までAI生成される。いずれのテキストデータもコピー可能だ。そのままGoogleドキュメントや、GeminiなどのAIツールに貼り付けて、参照したり、原稿作成のソースにしたりできるため、執筆時間を大幅に短縮できるようになった。

AIにより自動生成された要約と議事録。あんなに短いテキストから、よくもまぁ、これだけ長い議事録を作成できるものだ、と毎度感心する

パターン2: リアルタイム翻訳

 もう1つの目玉が、11言語に対応するリアルタイム翻訳/同時通訳機能だ。iFLYTEKは翻訳分野でも高い技術力を持っており、海外企業の発表会やインタビューなどで威力を発揮しそうだ。

 録音をアプリで開始するところまでは、通常のリアルタイム文字起こしと同じだが、「日本語」と表示されているところを「英語(またはほかの言語)」、翻訳を「日本語(または母語)」に設定する。

ここでは初期段階で「日本語」となっているが、ほかの言語に設定してあっても同様に操作する。話されている言語を「文字起こし」で、翻訳したい言語を「翻訳」から選ぶ

 すると、アプリウィンドウが上下に分かれ、上部には原語の文字起こしが、下部には翻訳されたテキストが表示される。

 今回は、著名人によるプレゼンテーションを主催・配信している「TED」の英語による講演を試すことにした。

TEDの1講演で試した

 話者の言葉が非常に明瞭だったこともあり、リアルタイム文字起こしは正確に行なわれていたが、残念ながら、翻訳では不自然なところが散見された。とはいえ、聞き取れない、あるいは知らない単語を知っている言葉にしてくれるので、大まかに意味を汲み取れるのは意義がある。

 録音後は、リアルタイム文字起こしをしていたときと同様、「今すぐ文字起こし」をタップするとまずは原語を文字起こしし、ついで正確な訳文を生成してくれる。ここで生成された翻訳文は精度が高いだけでなく、自然である。「その場では大意を掴み、後から原文と照らし合わせて正確なニュアンスを確認する」といった使い方ができるため、記録デバイスとして非常に優秀だと感じた。

録音後にクラウドにアップロードして原語を文字起こしする。その後、自動的に対訳が挿入された

タイパを求めるなら買う価値あり

 最後にコスト面と注意点に触れておこう。リアルタイム処理やAI要約にはインターネット接続が必要なため、外出先ではスマートフォンの通信量を消費する。

 また、本体価格の2万9,800円に加え、文字起こし時間に応じたプラン設定がある。購入者特典の「Starter」プランでは、毎月300分までの文字起こしが無料で付帯する。

 それ以上の文字起こしをしたいのであれば、月額2,000円(年額1万4,000円)で月1,800分まで使える「Pro」プランを契約する方が良いだろう。ただし、12月31日までに購入してアクティベートすれば、毎月300分のStarterプラン+毎月1,800分のProプランを3カ月利用できる特典が付帯する。時折、このようなキャンペーンを開催しているので、購入前にチェックしておきたい。

 初期投資やランニングコストはかかるものの、着信や通知で録音が止まるスマートフォンのリスクを回避し、高精度な文字起こしと要約で作業時間を劇的に減らせるメリットは大きい。特に筆者のようなフリーランスにとって、文字起こしに費やしていた数時間を別の仕事に充てられるのは収入に直結するため、十分に元が取れる投資だと感じる。日々の議事録作成や多言語のやり取りに追われている人に、ぜひ試してみてほしいアイテムだ。