やじうまミニレビュー

AirPods 5のノイキャン、耳をふさがずエアコン音がほぼ消失。これは新基準になる

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Apple「AirPods 5」。今回試したのはワイヤレス充電ケース付きモデルだ

 前世代のノイズキャンセリング搭載モデルと比べて、最大1.5倍の雑音を除去するという。Appleが9月18日に発売した「AirPods 5」は、オープンイヤー型ながらアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載した完全ワイヤレスイヤフォンで、価格は2万3,800円から。 カナル型と違って耳栓のような遮音効果を持たない構造で、実際にどこまで騒音を抑えられるのかを実機で試した。

 ANCに加え、音質や会話感知、動画撮影用マイクとしての使い勝手も確認した。

全モデルがANC搭載、ワイヤレス充電ケース付きモデルは2万7,800円

 AirPods 5は、標準モデルが2万3,800円、ワイヤレス充電ケース付きモデルが2万7,800円。従来のAirPods 4はANCの有無でモデルが分けられていたが、AirPods 5では両モデルともANCに対応している。

 音質やANC性能は共通だが、ワイヤレス充電ケース付きモデルのみ、イヤフォンの軸を上下にスワイプすることによる音量調節機能に対応。また、ANC有効時の連続再生時間も標準モデルの最大4時間に対し、最大5時間と長くなっている。

 AirPods 5は耳を密閉しないオープンイヤー型。片耳の重量は公称4.3g(実測約4.34g)で、充電ケースは実測34.62gだった。本体は圧迫感の少ない装着感が売り、充電ケースはズボンの前ポケットに入れても違和感のない携帯性が売りである。

片耳約4.3gの本体と、ポケットに収まる充電ケース
充電ケースを開いた状態。イヤフォンは磁力で固定されている
ケース底面にはUSB Type-C端子と、「探す」機能などで利用するスピーカーを搭載
イヤフォン本体。耳を密閉しないオープンイヤー型を採用。カナル型のように押し込むことでの固定感には乏しいが、耳穴の疲れが少ない
手のひらに乗せた状態。コンパクトで軽量だが、そのぶん風で飛ばされないように注意したい
イヤフォン1つの実測重量は約4.34g

オープンイヤー型なのにエアコンの音をほぼ無効化できた

 冒頭で触れたように、メーカーは最大1.5倍の雑音除去をうたっている。しかし筆者は正直なところ、オープンイヤー型だけに過度な期待は持っていなかった。

 ところが、実際に使ってみるとそのANC性能は想像以上。 約1.5m離れた場所にあるエアコンの動作音が、ANCを有効にするとほぼ消えてしまう。 しかもおもしろいことに、エアコンの音に隠れていた別の音が聞こえてきた。おそらくデスクトップPCのファンの音だと思われる。

 カナル型イヤフォンは、イヤーチップで耳を密閉することだけでも遮音効果を得られる。一方、AirPods 5は耳を密閉せずに強力なANCを利用可能。耳への圧迫感が少ないので、長時間装着しても疲れにくそうだ。強力なノイキャン性能と快適な装着感を両立しているのは大きなメリットである。

 音質もいい。今回試聴したのは相対性理論の「天地創造SOS」。冒頭でボーカルのやくしまるえつこさんが息を吸う音まで生々しく聞こえ、まるでそばで歌っているかのように感じられた。

 また、ボーカルは後頭部付近、楽器は左右の異なる場所に定位しているように聞こえる。ボーカルと楽器の音が明確に分離しており、 過去に試したオープンイヤー型イヤフォンの中でも、特に音質がよい と感じた。

 なお、ANCのオンとオフで音質も聞き比べたが、筆者の耳には音色、音量、定位の違いはまったく感じられなかった。音楽のボリュームを少し上げると、ANCがオンなのかオフなのか判別できないほどだった。ノイキャンは強いが音がイマイチ……ということはないというのが筆者の率直な感想だ。

ANCを含む4つのリスニングモード
リスニングモードは「オフ」「外部音取り込み」「適応型」「ノイズキャンセリング」から選択できる

会話感知は便利。ただし小声では反応しにくい

 AirPods 5には、話し始めると再生音量を下げ、周囲の声を聞き取りやすくする「会話感知」機能も用意されている。

 しかし、実際に試したところ、小さな声で独り言を話す程度では反応してくれなかった。一方、短い言葉であっても大きな声なら反応する。どうやら、 フレーズの長さよりも声量が反応に影響している ようだ。

 レスポンスとしては、「おはようございます」と話しかけると、最後の「ます」あたりで会話感知が働いた。自分から話しかけて相手の返事を聞くという用途であれば、十分に実用的な反応速度だ。ただ、筆者は普段あまり声を張らないので(蚊の鳴くような声とたまに言われる)、もう少し小さな声でも反応してほしいところ。反応の感度を調整できる設定があれば、さらに使いやすいだろう。

会話感知はコントロールセンターで切り替え
会話感知はコントロールセンターからオン、オフを切り替えられる

AirPods 5を動画撮影用のワイヤレスマイクとして使ってみた

 AirPods 5はスタジオ品質のオーディオ録音にも対応している。そこで、iPhoneの動画撮影用マイクとして使ってみた。

 注意したいのは、AirPods 5を装着しただけでは、カメラの録音マイクが自動的に切り替わらないこと。少なくとも初回利用時に、コントロールセンターのカメラコントロールから、入力元としてAirPodsを指定する必要がある。

 今回は、iPhone内蔵マイク、AirPods 5の標準モード、AirPods 5で「声を分離」を有効にした状態の3パターンで動画を撮影し、収録した音声を比較してみた。

 まず、いずれのパターンでも声自体の音質には大きな違いを感じなかった。しかし、 「声を分離」を有効にすると、無言部分の環境音がほぼ完全に消える。

 実際に録音終了間際の無言部分(22から24秒)の平均音声レベルを計測すると、標準モードでは約-64.5dBFSだったのに対し、「声を分離」では約-94.4dBFSまで低下。一方、発話部分の平均音声レベルはそれぞれ約-29.2dBFS、約-29.0dBFSとほぼ同じだった。

 ただし、環境音が消えることで、音声だけを聞いた際には少し違和感がある。もっとも、別に撮影した映像にナレーションを重ねるような使い方であれば、この特性を生かせそうだ。

 AirPods 5はiPhoneから離れた位置でも自分の声を収録でき、周囲の環境音も抑えられる。動画撮影用のワイヤレスマイクとしても使えるのは便利だ。

カメラのマイク入力をAirPodsに切り替え
カメラコントロールでマイクの入力元にAirPodsを選択。「声を分離」などのマイクモードも利用できる

 なお、AirPods 5は、Apple Intelligenceに対応したiPhoneと組み合わせることでライブ翻訳も利用できる。ただし、ライブ翻訳や一部の録音機能は、従来の対応AirPodsでも利用可能だ。対応モデルや利用条件については、Appleのサポートページで確認してほしい。

ライブ翻訳は言語データを事前にダウンロード
ライブ翻訳の設定画面。日本語と英語の言語データはダウンロード済み

強力なANCと快適な装着感を両立したAirPods 5

 AirPods 5で最も驚いたのは、やはりANCの性能だ。耳を密閉しないのに、これほど周囲の騒音を抑えられるとは思っていなかった。音質もよく、ワイヤレスマイクとしても活用できる。ライブ翻訳など、iPhoneと組み合わせて使える機能も豊富だ。

 2万3,800円からという価格も考えると、他社製イヤフォンを購入する際の「物差し」に利用したい。少なくとも筆者にとっては、 今後オープンイヤー型イヤフォンを評価する際のリファレンスモデル となりそうだ。