PC短評

キーボードより静か!アルミ筐体の王道ミニPC「AOOSTAR MACO H255」を試した

AOOSTAR 「MACO H255」

 ディスプレイ内蔵ミニPCやNASキットなど、ユニークなミニPCを送り出しているAOOSTAR。今回はそのAOOSTARが発売する、王道ミニPC「MACO H255」を紹介する。メモリ24GB/内蔵ストレージ1TBの仕様で、Amazonでの価格は10万3,120円。

スタイリッシュな王道ミニPC

 まず本体外観から見ていこう。

 筐体は、数多くあるミニPCの中でもかなりスタイリッシュな部類という印象。その要因が、底面や背面部分を除き、アルミニウム合金製のボディを採用している点だ。そのうえで、アルミニウムには全体にサンドブラスト加工を施しており、金属感を保ちつつシックな印象だ。そして、上部や側面は凹凸のない平面で、角はなだらかなカーブとなっている。

 このデザインは、どこかで見たことのあるミニPCのようだな、と感じる人も多いかもしれない。実際、どこかで見たことのあるミニPCのデザインに瓜二つで、おそらくそのミニPCからインスパイアされたものと思われる。まあそのあたりはともかく、スタイリッシュでシックな筐体となっていることは間違いなく、デスクに置いてもいい感じの存在感を放ってくれる。少なくとも、プラスチックボディのミニPCとは一線を画す仕上がりといっていいだろう。

 サイズは実測で約150×131×54mmと、ミニPCとして標準的なサイズ。デスク上のディスプレイ下部にも問題なく設置できる。重量は実測で728.5gだった。

 製品パッケージには本体以外に、専用ACアダプタ(出力120W)と電源ケーブル、HDMIケーブル、増設SSD用のヒートシンクが同梱されていた。

本体正面
左側面
背面
右側面
本体上部。背面側を除く外装部にはアルミニウム合金を採用。サンドブラスト加工が施されシンプルでシックな筐体となっている
底面。底面や背面は樹脂製となっている
製品には、ACアダプタ、電源ケーブル、HDMIケーブル、増設SSD用ヒートシンクが付属する

中国向けRyzen APU、Ryzen 7 H 255を採用

 続いてスペックだ。プロセッサはAMD製Ryzen APU「Ryzen 7 H 255」を採用している。このプロセッサは、アーキテクチャがZen 4(4nm)のRyzen 200シリーズ(Hawk Point)に属する中国向けモデル。8コア16スレッド処理対応、基本クロック3.8GHz、ブースト時最大4.9GHz対応。内蔵グラフィックス機能は、RDNA3アーキテクチャ、12コア2.6GHzのRadeon 780Mとなる。なお、中国向けモデルということでNPUは非搭載となっている。

 試用機では、メモリはDDR5-5600を24GB、内蔵ストレージは容量1TBのPCIe 4.0 SSDを搭載。内部には2基のSO-DIMMスロットを備えるが、Crucial製のDDR5-5600 24GBモジュール「CT24G56C46S5.M8C1」を1枚のみ装着していた。搭載SSDは、HUAWEI製の「eKitStor Xtreme 200E」。内部にはM.2スロットの空きが1本あるため、SSDの増設も可能だ。

本体内部。メインメモリ用SO-DIMMスロットは2基用意するも、標準でメモリモジュールは1枚のみ装着。中央部にはSSD用のM.2スロットの空きが1本あるため、SSDの増設が可能
メモリはCrucial製DDR5-5600 24GBモジュール「CT24G56C46S5.M8C1」を搭載していた
SSDは、容量1TBのHUAWEI製PCIe 4.0 SSD「eKitStor Xtreme 200E」を搭載していた

 ポート類は比較的豊富に用意。正面に3.5mm音声入出力、USB 3.2 Gen 2 2基、USB4、背面にUSB4、2.5Gigabit Ethernet 2基、HDMI、DisplayPort、USB 3.2 Gen 1、USB 2.0をそれぞれ配置。また、左側面にはOCuLinkポートが用意されており、高性能ビデオカードの増設も可能となっている。

 無線機能は、Wi-Fi 6準拠の無線LANとBluetooth 5.2に対応。無線LANモジュールはIntelの「AX200NGW」を搭載していた。

 面白いのが、本体天板の電源ボタンに指紋認証センサーを内蔵している点。セキュリティ性を高めつつWindowsログオンを容易にするのはもちろん、パスキー対応サービス利用時にも活用できるという意味でもありがたい。

 OSはWindows 11 Proがプリインストールされていた。

正面に3.5mm音声入出力、USB 3.2 Gen 2 2基、USB4を配置
背面に電源コネクタ、USB4、2.5Gigabit Ethernet 2基、HDMI、DisplayPort、USB 3.2 Gen 1、USB 2.0を配置
左側面にOCuLinkポートがあり、外付けでビデオカードの増設が可能
上部電源ボタンは指紋認証センサー一体型

メモリがシングルチャネルの影響かスコアが伸びていない

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、PCMark 10、Cinebench 2026、3DMark、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーベンチマークの4種類だ。

 PCMark 10の結果を見ると、全体的にスコアが伸び悩んでいるといった印象。特に、Digital Content CreationやPhoto Editing Score、Rendering and Visualization Score、Video Editing Scoreなどはもっと高いスコアが得られていいはず。おそらくこれは、搭載メモリモジュールが1枚のみでシングルチャネルとなっていることが影響していると考えられる。

PCMark 10の結果

 3DMarkやFF XIVベンチマークの結果を見ても同様だ。内蔵GPUの性能が最大限引き出せておらず、思ったほどスコアが伸びていないという印象。内蔵GPUは、搭載メモリがシングルチャネルかデュアルチャネルかでパフォーマンスが大きく変わるため、影響が大きくなっていると考えられる。

 このところのメモリ価格上昇のあおりで、ミニPCでもメモリモジュールを1枚しか搭載しない製品が増えており、本製品も同様。コスト的に難しいことは分かるためしかたがないものの、少々残念ではある。

3DMarkの結果その1
3DMarkの結果その2
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシーベンチマークの結果

 それに対し、Cinebench 2026は、そもそもメモリ依存度が低いベンチマークテストということもあり、結果もプロセッサのパフォーマンスがしっかり引き出せているという印象。スコアは十分に優れており、パフォーマンスは申し分ないと感じる。

Cinebench 2026の結果

 ところで、ベンチマークテストを通して感じたのは、冷却ファンの静かさだ。プロセッサに大きな負荷がかかるCinebench 2026や3DMark実行時には、空冷ファンの動作音が耳に届くものの、うるさいと感じるほどではなく、キーボードの打鍵音よりも静かだ。そして、低負荷時にはほぼ動作音が聞こえないほどで、静音性はかなり優れている。ミニPCの中にはファンの動作音がかなりうるさいものも存在するが、本製品に関してはその心配は無用だ。

NPUなしが気にならないならアリ

 このようにMACO H255は、中国向けプロセッサのRyzen 7 H 255ということで、Ryzen 200シリーズのRyzen 7でありながらNPU非搭載となっている。全体的なパフォーマンスは申し分ないが、NPUが必要という人にとっては、そこが弱点となる可能性はある。

 また、メモリモジュールを1枚しか搭載しないため、標準仕様ではプロセッサのパフォーマンスを最大限引き出せていない点も気になる部分。

 とはいえ、メモリに関してはあとから増設することで強化できること、メモリ1枚でもミドルレンジクラスのPCとして必要十分なパフォーマンスは発揮できていることから、そこまで大きな不満はない。

 Amazonでの価格は10万3,120円と10万円を超えるが、メモリやSSDの価格高騰を考えると、コストパフォーマンスは申し分ないといっていいだろう。本体デザインやパフォーマンス、拡張性など大きな欠点は見あたらず、必要十分な性能備えるコスパに優れるミニPCを探している人にお勧めだ。