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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第101回:11月29日~12月3日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


11月30日

■■アイ・オー・データ、長時間録画が可能なDVキャプチャカードなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991130/iodata.htm

参照型AVI形式(reference AVI file)(reference AVI file)

 AVIファイルの容量制限を回避するために、実データを他のファイルに格納し、それを参照するためのインデックス情報で構成したAVIファイル。

 AVI(Audio Video Interleaved)は、Microsoftが開発した動画を扱うためのファイルフォーマットで、様々なデータを格納するためのRIFF(Resource Interchange File Format)というファイルフォーマットが、そのベースとなっている。RIFFは、ファイルの中に自分自身のサイズを示す32bitの値を格納しているため、4GB(2の32乗バイト)がファイルサイズの上限となる(※1)。さらに、マルチメディアエンジンの仕様上、扱えるファイルは、16bitのシステムでは1GB、32bitのシステムでは2GBに制限される。2GBは、DVカメラで撮影したビデオデータでは9分半程度に相当するサイズで、これ以上の長さを扱う場合には、データを複数のファイルに分割しなければならない。

 参照型AVIは、これをAVIファイルの仕様に沿った形で行なうもので、巨大な実データ部分をAVI本体から外部のファイルに移し、本体のデータには、それを参照するインデックス情報を格納する(※2)。システムやユーザー側からは、コンパクトなAVIファイル本体を操作しているように見えるが、実際はインストールされたドライバが実データを処理していく仕掛けになっている。

(※1)FATファイルシステムもまた、ファイルサイズを32bitで扱っているため、1ファイルの上限は4GBまでとなる。64bitで扱うWindows NTのNTFSの場合には、ファイルシステムによる実質的なサイズ制限は無い。

(※2)どのように分割され、どのようなインデックスを持つのかは、提供されるドライバに依存する。ちなみにDVDも、インデックス+データ本体という同じような構成になっており、こちらは最大1GBでデータが分割される。

【参考】
□AVI(Audio Video Interleaved)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980930/key48.htm#AVI_file


12月1日

■■元麻布春男の週刊PCホットライン
  SCSIホストアダプタは必要か?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991201/hot70.htm

Fast SCSI/Ultra SCSI
ファーストスカジー/ウルトラスカジー

 8bitバスで10MB/秒(Fast)、20MB/秒(Ultra)の同期転送を行なうSCSIプロトコルの呼び名。

 SCSI(Small Computer System Interface)は、米Shugartが開発したSASI(Shugart Associates System Interface)というハードディスクインターフェイスをもとに、ANSIで標準化された汎用インターフェイスである。'86年にANSI(American National Standards Institute)の承認を受けた最初の規格では、REQ(Request)とACK(Acknowledge)の2本の信号線を使って、1バイトずつタイミングを確認しあいながら転送する非同期転送モード(※1)と、予めタイミングクロックと応答を待たずに先送りできるクロック数を決めておき、その範囲内で連続転送を行なう同期転送モード(オプション)をサポート。非同期で約1.5MB/秒、同期で5MB/秒の転送速度を実現する。

 Fast SCSI(規格上の名称はFast-10)は、同期転送時のタイミングクロックを、オリジナルの200ナノ秒(※1)から100ナノ秒に短縮。最大転送速度を10MB/秒にアップした規格で、'94年にリリースされたSCSI-2に盛り込まれている(Wide SCSIと呼ばれる16bitバスも規定)。Ultra SCSI(Fast-20)は、タイミングをさらに半分に短縮し20MB/秒を実現。SCSI-3のオプション規格として'96年にANSI規格がリリースされている。

 このSCSI-3から、SCSIは単一のインターフェイス規格ではなく、IEEE-1394やFibre Channel、SAA(Serial Storage Architecture )などの様々な物理層とプロトコル、コマンドセットを総括した呼び名となり、従来のSCSIはSPI(SCSI Parallel Interface)に継承。承認待ちのSPI-2では、タイミングをさらに半分にしたUltra2 SCSI(Fast-40)が、策定中のSPI-3では、Ultra2の両エッジでデータを転送するUltra3 SCSI(Fast-80)も規定されている。

【SCSIバスインターフェイスと接続台数/ケーブル長】
通称転送速度バス幅バスインターフェイス(接続数/ケーブル長)
Single EndedHVDLVD
SCSI-15MB/秒8bit8台/6m8台/25m8台/12m(※A)
Fast SCSI10MB/秒8bit8台/3m8台/25m8台/12m(※A)
Fast Wide SCSI20MB/秒16bit6台/3m16台/25m16台/12m(※A)
Ultra SCSI20MB/秒8bit8台/1.5m8台/25m8台/12m(※A)または4台/3m
Ultra Wide SCSI40MB/秒16bit8台/1.5m16台/25m16台/12m(※A)または4台/3m
Ultra2 SCSI40MB/秒8bit-(※B)8台/25m8台/12m
Ultra2 Wide SCSI80MB/秒16bit-(※B)16台/25m16台/12m
Ultra3 SCSI160MB/秒16bit-(※B)16台/25m16台/12m
Single Ended(シングルエンド)
 オリジナルの不平衡インターフェイス(一般に使われいている普及タイプ)
HVD(High Voltage Differential)
 オリジナルの平衡インターフェイス
LVD(Low Voltage Differential)
 SPI-2で追加された低電圧型の平衡インターフェイス(最近登場したタイプ)

(※A)旧規格にLVDの規定はないが、モードとして利用可能
(※B)利用不可

(※1)非同期転送モードはSCSIの標準モードになっており、このモードでメッセージをやり取りした後、必要に応じて高速な転送モードに切り替えてデータを転送する。

(※2)10の-9乗(10億分の1)の単位をナノ(nano)という。200ナノ秒のタイミングで8bit単位のフル転送を行なうと、毎秒5,000,000バイトの転送が行なえる計算になり、一般には5MB/秒と表記される。PCでお馴染みの1,024(2の10乗)単位で表記した場合には、4.7MB/秒となる。


■■一ヶ谷兼乃のデジタルde GO! GO!
  ~ お勧めのルータ「MN128-SOHO Slotin」 前編 ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991201/dgogo07.htm

NTP(Network Time Protocol)
エヌティーピー

 RFC1305で規定される、ネットワークを介してシステムの時計の同期をとるためのプロトコル。

 手近な時計や時報などを参照してPCの時計を合わせる作業は、もっともオーソドックスな時刻同期の方法である。これと同じことを、ネットワークで接続されたシステム間で行なうためのプロトコルがいくつか標準化されている。

 相手のシステムから時刻情報を取得するプロトコルとして、Time Protocol(RFC868)がある。Time Protocolが、クライアントの要求に応じて、1900年1月1日午前0時0分0秒を起点としたUTC(※1)を秒数で返すだけのシンプルなものであるのに対し、NTPでは、リクエストや応答を送受信する際のタイムスタンプなども盛り込まれており、ネットワークの遅延を考慮した補正が行なえる。時刻を表す値も、64bitの固定小数点(秒数の整数部と分数部にそれぞれ32bit[※2])が使われており、より精度の高いものとなっている。

 NTP自体は、インターネット上の大掛かりな時刻同期を実現するための様々な機能が盛り込まれた、複雑なプロトコルになっており(特にサーバーの場合)、その簡易版としてSNTP(Simple Network Time Protocol[RFC2030])も提供されている(※3)

(※1)Universal Time Coordinated(協定世界時)は、現在用いられている標準時のこと。時刻の基準として広く知られているものにGMT(Greenwich Mean Time~グリニッジ標準時)がある。GMTは、ロンドンの旧グリニッジ天文台を通る子午線上の平均太陽時から求められたところから一般にこう呼ばれている(135度の子午線が基準となる日本標準時[JST]はこれを9時間進めたもの)。すなわち、天文学的な時刻のことで、正式にはUT(Universal Time~世界時)という。現在は、時間の国際的な基準として、セシウム原子の振動数を元にした原始時計が採用されている。原始時は、1958年1月1日0時0分0秒のUTに合わせてスタートしたのだが、両者の間には僅かな誤差があり、これが次第に積算されてしまう。そこで、1972年に、UTとの誤差を修正したUTCがスタート。この時点での誤差10秒が修正され、以後、UTとの誤差が0.9秒を超えないように、1月1日もしくは7月1日(日本時間の午前9時)の直前に1秒を加算する閏秒が設けられる。すなわち、原始時を基準にUTとの誤差を補正したのがUTCで、これが、現在使われている時刻である。

(※2)32bitは符号付整数として扱うので、2,147,483,647秒までカウントした2036年に0に戻る。

(※3)他の2つと異なり、SNTPは、STANDARD(標準)ではなくINFORMATIONAL(情報提供)という扱いである。

□Network Time Protocol(RFC1305)
ftp://ftp.nic.ad.jp/rfc/rfc1305.txt
□Time Protocol(RFC868)
ftp://ftp.nic.ad.jp/rfc/rfc868.txt
□Simple Network Time Protocol(RFC2030)
ftp://ftp.nic.ad.jp/rfc/rfc2030.txt


V.110
ブイヒャクジュウ

 ITU-TのVシリーズインターフェイスを持つ端末を、ISDN回線に接続するための規格。

 ITU-TのVシリーズは、アナログ回線に接続するモデム関連の勧告に付けられたシリーズ名で、PCの場合には、シリアルポートがここでいう「Vシリーズインターフェイス」に相当する(V.24、V.28)。一方のISDNに関連する勧告は、Iシリーズにまとめられており、ISDN機器を接続する6ピンのモジュラージャックが付いたインターフェイス(I.430)は、「Iインターフェイス」あるいは「S/T点」と呼ばれる。このIインターフェイスに、異なるインターフェイスのデバイスを接続するための仲介装置をTA(Terminal Adapter)という。V.110は、このTAのための規格で、600bps~56kbpsのVシリーズインターフェイスを持つ端末が、ISDN回線を使って通信できるように、信号の変換や、通信速度、通信手順などのプロトコル変換を行なう。

 同様の規格には、プロトコルの異なるV.120というITU-T勧告もあるが、国内のISP(Internet Service Provider)が提供していた初期のISDN回線では、もっぱらこのV.110が使われていた。現在は、V.110プロトコルは使わずに、Iインターフェイスに直結するデバイスと同じ状態で通信を行なうタイプのTAが主流となっており、V.110対応のアクセスポイントを持たない、あるいは廃止するISPも多い。一般には、V.110を使うタイプを非同期、ISDNネイティブなタイプを同期と呼んで区別している。

□ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication
Standardization Sector~国際電気通信連合電気通信標準化部門)
http://www.itu.int/ITU-T/
【参考】
□S/T点
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971028/key4.htm#s/t_ten
□TA(Terminal Adapter)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980723/key39.htm#TA


12月3日

■■AKIBA PC Hotline! HotHotレビュー by Ubiq Computing
  ~820はニッチか、メインストリームか?~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991203/hotrev36.htm

RAS信号、CAS信号(Row Address Strobe、Column Address Strobe)

 メモリにアクセスする際に使用する、アドレスを指定するタイミング信号。
 PCのメインメモリに使われているDRAMは、アドレスを行アドレスと列アドレスの2回に分けて指定する方式(マルチプレックスアドレス)が採られている。RAS信号とCAS信号は、行アドレスと列アドレスを取得するタイミングを知らせるための信号で、それぞれの信号の立下りで、アドレス信号からそれぞれのアドレスが取得されるようになっている。具体的には、行アドレスを出力してRAS信号を下げ、次に列アドレスを出力してCAS信号を下げると、特定のメモリアドレスにアクセスできるようになる。

[Text by 鈴木直美]


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