■新春特別企画■

AMUAMUのアキバの楽屋から

1999年のパソコン市場はどうなる?

~メーカー先取り情報で秋葉原パソコン市場を予想!~


秋葉原 ■ 大予想をしてみよう

 パソコン市場はどんどん変わっていきます。市場の競争もさらに激化しています。メーカー間の競争と共に流通そしてショップの間における競争も激化し、どんどん変わっています。'98年は予想以上のスピードで市場が変わっていきました。'99年はもっと流れが速くなっていき、ユーザーもショップもついていくのが大変になると思います。そんなパソコン市場と秋葉原市場を占い、少しでも皆さんの指標になればと思い、今年の市場動向の大予想をしてみたいと思います。
 あくまでも筆者の独断と経験によるものなので、外れるかもしれませんし、外れても責任は持ちません(笑)。ただし、予想内容の元はメーカー各社のロードマップ等を参考にしていますので、かなり近いものになると思うのですが……果たしてどうなるかは、今年の年末に振り返ってからのお楽しみ。


■ CPU ■
AMDのさらなる躍進!? Intelを追い抜く日も近い!

 CPUのロードマップや新製品動向は、後藤 弘茂氏が「Weekly海外ニュース」で詳細に取り上げていますから、割愛しますが'99年のCPU市場は、さらに歴史的な1年になる……筆者はそう思っています。

 なぜなら筆者はAMDがさらに躍進し、Intelを追い抜く日も来ると思っているからです。'99年前半に投入するだろうといわれているAMD K7プロセッサとAMD K6-3プロセッサの2ライン体制は、その圧倒的なパワーと価格により市場を席巻すると思われます。Intelは'99年後半に出るといわれる600MHz以上のクロックを誇るCoppermineがいかに早く出せるかにかかってくるでしょう。ただし秋葉原の市場、そしてパソコン市場においてAMDがさらに躍進するほうがずっと面白い状況になりますし、それを市場が望んでいるような気がします。もしかしたら、AMDに対抗するためIntelのCPUは一気に700MHzまで突入する可能性もあります。

 そうそう、忘れちゃいけないCyrixの動向にも今年は要注意でしょう。National Semiconductorに買収されて混乱していた体制や開発状況も安定し、急激に製品の開発ペースが上がってくる可能性があります。Cyrixの人気急上昇の可能性も捨てきれません。


■ メモリ ■
標準搭載512MBの時代と旧商品の消滅

 メモリは高速なバスをサポートするため、いろいろな新製品が出そうです。PC-100の2倍の速度でデータを転送する「DDR(Double DataRate) SDRAM」や将来性の高い「Rambus Memory(通常Direct Rambus、RDRAM)」等が登場し、混沌としてくる可能性があります。しかしながら、'99年もSD-RAMが市場の中心であることに変わりはないでしょう。
 SD-RAMの現在のボリュームゾーンは128MBです。現状では128MBもあれば通常の使用環境では十分ですが、'99年には256MB、そして512MBのモジュールが中心となる可能性があります。メモリメーカーは現在の64MB/128MBの製品(64Mbit Chip使用)から高価格/高付加価値の256MB(256/128Mbit使用)、512MB(256Mbit使用)製品へ生産を変えていくと思われます。パソコンの標準搭載は128MBが当たり前どころか、256MBや512MB搭載へ変わっていく可能性が高いのです。

 ところで、新製品や大容量のメモリより注意してほしいのは古いパソコンに搭載されている昔からのFastPageDRAMやEDO-DRAMを使用した72pin SIMMの環境です。急激に市場から消えつつあり、ショップも手に入れにくい状況になっています。去年の後半には、品不足から急激な値段上昇があり価格が跳ね上がりました。需要はまだまだずっと先まであるのでメーカーによっては生産を続けると思われますが、価格はさらに上昇するでしょう。必要な人は早めの購入を考えたほうが良いかもしれません。秋葉原のショップでも取り扱いショップ数は急激に減少しています。ちなみに3.3V Chipを使用しているものは互換性が低く、古いパソコンでは動かない場合もあるので要注意です。


■ HDD ■
20GB~30GB時代に突入

 HDDの技術はGMRという新しいヘッドに移行していく年です。GMRヘッドになり、大容量化はさらに急速に進んでいくと思われます。普通のパソコンに搭載されるHDDの中心は20GB前後になり、30GBまで行くかもしれません。現時点では秋葉原に20GB以上のHDDは登場していませんが、近々登場します。またHDDの回転数は徐々に7,200回転が中心となります。IDE HDDでも7,200回転が主流になります。インターフェイスは、80pinのケーブルを使用するUltraDMA/66(UltraATA/66)が主流となるでしょう。ちなみにUltraDMA/66が中心となるのは春以降と思われます。

 しかし、実際に20GBとか30GBのHDDを必要としているかと考えると、必要ないような気がします。今でも、3.2GBや2.1GBを欲しい人はたくさんいるようで、お店でも「2.1GBのHDDはないのか」とよく聞かれます。まだまだ、このぐらいで十分なんですよね。でも、HDDメーカー各社のロードマップを見ると4.3GBが最低ラインになっているようです。今年は4.3GBも手に入りずらい状況になる可能性は高いかもしれません。


■ デスクトップパソコン ■
5万円以下の超激安パソコン登場

 今年、登場するパソコンの中で新たに大きな流れを作るのが、5万円以下の価格が実現する低価格なパソコンです。昨年は10万円を切るパソコンが一部で大人気を博したようですが、これが今年はさらに加速し5万円でフルセットも夢ではなくなるかもしれません。さらに10万円を切るノートパソコンも登場する可能性があります。もちろん低価格になる分、機能や拡張性、将来性などは切り捨てられてしまいますが、パソコン市場の裾野を広げることは間違いないと思われます。これらの低価格パソコンを実現するCPUとして注目されているのは、Cyrixの統合チップやPC-on-a-Chipです。これらを使って、劇的に安いパソコンが秋葉原の店頭に登場する日も近いと思われます。あるメーカーの技術者は、パソコン本体を250ドル以下にするのは可能だと力強く言っていました。

 筆者はDOS/Vがまだそれほど市場に出ていない頃に、秋葉原のパソコンショップで限定販売された1万円パソコンを徹夜で並んで買って、NEC PC-98の世界からDOS/Vの世界に入りました(当時、超貧乏だったんです[笑])。果たして1万円でパソコンが買える時代が来るのでしょうか? '99年はそれに大きく近づく年になりそうです。


■ ノートパソコン ■
更なる小型化とホワイトブランドノートパソコンの登場

 ノートパソコンはさらに小型化、薄型化すると同時にMobile Celeron等の登場により安価かつ高性能になるでしょう。実際の所、どこまで薄型化するのか興味のそそられるところです。それと同時に、台湾製の薄型ノートがどこまで日本市場で受け入れらるかも気になります。台湾メーカーの製品も技術がどんどん日本に追いついてきていて、薄型化・小型化も進んでいます。日本の大手メーカーでも台湾製をOEMで自社製パソコンとして販売するメーカーが増えていると、台湾のノートパソコンメーカーからよく聞きます。

 また今年はホワイトブランドと呼ばれる、メーカー名やブランド名を消した状態で出荷されるノートパソコンが増えると思われます。台湾メーカーだけでなく、国内の日本メーカー製のホワイトブランドが市場に出回ってくるという噂も聞きます。ホワイトブランドのノートパソコンがどこまで市場を賑わすか、気になるところです。


■ CD-R/CD-ROM/DVD ■
CD-ROMからDVD-ROMへ

 今のパソコンは全てと言っていいほど、CD-ROMドライブが搭載されています。'99年はこれがDVD-ROMドライブへ取って代わると予想します。DVD-ROMドライブは製造するメーカーも増えてきており、価格もどんどん下落しています。DVDタイトルのレンタルも開始しました。年内にはDVD-ROMドライブの値段がCD-ROMドライブにさらに近づき、ほとんど変わらなくなってくるでしょう。それに伴い、メーカー製パソコン、ショップブランドパソコンともにDVD-ROMドライブが標準搭載になるはずです。もちろんDVD再生ソフトの標準添付が当たり前になります。CPUのパワーアップが高品質なDVD再生を安価なソフト再生で実現しているのです。CD-ROMドライブの高速化競争にもユーザーが少し飽きはじめたというのも、原因の一つになっているかもしれません。しかし、前述の低価格パソコンをターゲットにしたCD-ROMドライブは残っていくと思われます。


■ リムーバブルメディア ■
どれが一番人気になるかは価格次第

 リムーバブルメディアは混沌としていますが、相変わらずCD-R/RW人気は衰えないでしょう。しかし、さらなる大幅な価格下落があるような気がします。今後のCD-R/RWの特徴としては個性を強調していき、価格が非常に安い、高速度書きこみ対応(8倍速以上)、新しい機能がついている(CD-TEXT対応等)等いろいろな方向性を持った製品が増えると思われます。また書きこみソフトの進化にも要注目です。

 新たに登場する注目のメディアは、2月には登場しそうな「GIGAMO(1.3GB MOドライブ)」でしょうか。従来のMOと互換性を保ちながら1.3GBまで容量アップします。MOドライブは、比較的リムーバブルメディアの中では高速であり、日本においては圧倒的な普及率を誇っていることから、ヒットは間違いないと思われます。メディアも結構安いようです。

 その他のリムーバブルメディアとして注目の商品は、DVD-RAMがあります。これは今後どのように値段が下がってくるかによって変わってくるでしょう。価格が下落し、4万を切るような価格帯になると、一気に普及する可能性もあります。HDDが大容量化してくるところからも、DVD-RAMのような5GBぐらいのメディアは必要とされてくるでしょう。 その他のリムーバブルメディアは果たしてどういう展開を見せてくるのかも興味深いところです。


■ 秋葉原のショップの'99年動向を予想

 秋葉原には毎年、新しいショップがオープンします。逆に閉店していくショップもあります。日本は不況です。パソコン市場にも秋葉原にも不況の風が吹いています。今年の秋葉原は果たしてどのようになるのでしょうか? ショップ間の価格競争はさらに劇化していき、利益の低下が起きていくでしょう。そうなると体力(資本力)のないショップはついていくのが厳しくなります。いろいろなショップは個性を振り絞り、他のショップとの差別化をさらに図ってくるでしょう。今年は、ただ安いだけでは売れない時代になると思われます。サービスの質や、サポート体制、ショップへの安心感など多くの要素が重要になってくると思われます。

 今年もいくつかのショップが閉店するようなこともあるかもしれません。大きなショップも小さなショップも油断はできない状況です。1年後に秋葉原マップのショップの数などがどう変化するか、全く予想できない一年になりそうです。

□AMUAMUのアキバの楽屋から
~'98 年末スペシャルバージョン 1998年の秋葉原ショップ事情を振りかえって~ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981224/akiba.htm
□AMUAMUの「アキバの楽屋から」バックナンバーページ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/akiba.htm

('99年1月12日)

[Text by AMUAMU]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp