今からでも間に合う!“実践的”DVDビデオ入門 |
●映像出力は何をつなげばいいか
DVDビデオの魅力の1つはその高画質だろう。では、高画質を活かすためには、どういった方法でプレーヤーとテレビなどを接続すればよいのだろうか?
現在のDVDプレーヤーのほとんどには、ビデオ端子(コンポジット)、S端子、コンポーネント端子の3種類が装備されている。さらに、プレイステーション2では、ソニー製テレビ(ビデオモニタ)の一部機種に搭載しているAVマルチ端子(アナログRGB)にも接続可能だ。また、東芝の「SD-1200」、「MED300AS」にはD端子が搭載されている。
とりあえず、難しい話しを抜きにして、それらを画質の高い順に並べると以下のようになる。
コンポジット < S端子 << コンポーネントビデオ = D端子 ≒ AVマルチ(アナログRGB) |
【コンポジット】 | 【S端子】 | 【コンポーネントビデオ】 |
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いわゆるビデオ入力。最近のほとんどのテレビ(ビデオモニタ)に搭載されているので、一番お手軽な接続方法。 ただし、輝度成分と2つの色差成分、同期信号、カラーバースト信号などを全て1つに合成しているので、画質的には不利だ |
S端子は2回路分の4ピンのミニDINを使用し、輝度信号と色信号の2つに分けて伝送する。 輝度信号と色信号を別にしているため、コンポジットに比べると画質はいい |
DVDのコンポーネント出力は緑色のコネクタがY、青色がCb、赤色がCrとなっているが、現状ではY、Pb、Prという表記も混在している。実際にはどちらからどちらの端子につないでも問題なく映るようだ。 ちなみに、いまのところ通常のDVDビデオがY、Cb、Cr、プログレッシブ対応がY、Pb、Prと表記されているプレーヤーが多い |
【D端子】 | 【AVマルチ】 |
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D端子は、主に2000年秋から始まるBSデジタル放送のチューナーを接続するための端子として用意されている。しかし、コンポーネントにも対応しているため、2千円程度で販売されている変換ケーブルで相互に接続が可能だ | プレイステーションまたは、プレイステーション2と、ソニーのテレビ(ビデオモニタ)を接続する専用コネクタ。水平同期周波数15kHz、複合同期のアナログRGBと、ステレオ音声が含まれている。 |
□参考
コンポジット/コンポーネント/S-Video(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980603/key32.htm#composite
●アスペクト比はどれを選択すればいいのか
DVDビデオの特徴として、マルチアスペクト比のサポートがある。テレビでは標準的な4:3のほか、16:9のワイド画面を収録することができる。
テレビで放映される16:9の映画などでは、4:3画面の上下に余白を入れて放送し、それをワイドテレビ側で上下方向に引き伸ばして表示している。そのため、上下方向の解像度は4:3放送に比べて落ちることになる。しかし、DVDビデオの16:9は、横方向に圧縮したスクイーズ形式で記録されているため、4:3の解像度を使い切ることができる。スクイーズ形式をワイドテレビで表示する時には、横方向を展開して表示されるので、映像ソースの縦横比が守られることになる。
しかし、スタンダードテレビ(4:3)で、スクイーズ画面をそのまま表示すると、横方向に圧縮された細長い画面となってしまう。このため、スクイーズで記録されたタイトルをスタンダードテレビで視聴する場合には、表示モードを切り替えてやらないと、正しい縦横比の表示にはならない。
表示モードで最も一般的なのが、左右を画面いっぱいに映して上下に余白を入れる「レターボックス」だ。このモードでは縦横比が正しく、全ての映像が表示されることになるが、上下に余白が入り、表示面積が小さくなってしまうというデメリットがある。このデメリットを解消するのが「パンスキャン」だ。しかし、パンスキャンは左右を切ることで、画面いっぱいに縦横比を正しく表示するので、どうしても左右に表示されない部分がでてくる。そのため、プレーヤーによっては、表示領域を手動で操作できるようになっている。ただし、制作者の意図していない表示になるため、切り替えができないにようになっている(信号が入っていない)タイトルも多い。
なお、最近の機器にはS端子にS1端子、S2端子と表記されていることがある。これは、S端子を拡張してアスペクト比判別信号を加えたもの。S1ではスクイーズ判別信号、S2ではさらに4:3のレターボックス判別信号が含まれている。これらに対応した機器同士(DVDプレーヤーとテレビなど)を接続することで、アスペクト比を自動設定することができる。
ワイドテレビ 【16:9】 |
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スタンダードテレビ 【16:9】 | スタンダードテレビ 【レターボックス】 | スタンダードテレビ 【パンスキャン】 |
□参考
レターボックス/パンスキャン(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000316/key112.htm#LB_PS
●プログレッシブとは何か
現在、国内の地上波で使われているNTSC信号は、1ラインおきに2回の走査で1フレームを描くインタレース方式が採用されている。奇数ライン262.5本の画面と、偶数ライン262.5本の画面を毎秒60枚のフィールドを更新することで、525本の走査線からなる毎秒30枚のフレームを作り出している。そのため、実際の画面は60秒に一回、すだれ上の画面が表示されていることになり、大画面に表示すると粗さが目立つほか、動きの速い映像には追従できないという弱点がある。
これを解決するのがプログレッシブ方式で、525本の走査線を一気にスキャンし、毎秒60枚フレームを描く。つまり、パソコン界ではノンインタレース方式と呼ばれているものと同じ。ちなみに、家電でも一時期ノンインタレース方式という表記も使用されていたが、現在ではプログレッシブ方式で統一されているようだ。
DVDビデオは、ソースがビデオなら30フレーム/秒(インタレース)、映画などのフィルムなら24フレーム/秒(ノンインタレース)で記録されている(フィルムでもDVD収録時に30フレーム/秒に変換しているものもある)。通常、30フレーム/秒(インタレース)で記録されているものは、そのまま再生されるが、24フレーム/秒(ノンインタレース)で記録されているものは、1コマ目を2フィールド、2コマ目を3フィールドというように割り当てていき、インタレースの30フレーム/秒に変換する。これを2-3プルダウン方式テレシネ(テレビシネマ)変換と呼んでいる。
ここからプログレッシブの60フレーム/秒にするためには、フレーム数を2倍に増やす必要がある。この方法には色々な種類があり、最も単純なのは、フレームバッファに偶数フィールド、奇数フィールドを書き込み、525本×30枚の映像を作り、それを2回づつ表示して525本×60枚の映像にする方法だ。
しかし、この方法では解像度は上がるものの、同じ画面が2回表示されることになるため、動きのある画像では違和感が生じる。そのためプレーヤーメーカー各社は、24コマ/秒のフィルムがソースの場合、コマ数の違いを換算して元のフィルムの動きに近づけたり、30フレーム/秒のソースでは前後のフィールドを見て動き補間を行なって、滑らかな映像を作り出したりしている。現在、これらの補間技術は、各社が独自の工夫を凝らしている。
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なお、DVDでプログレッシブ再生を実現するには対応プレーヤーと、対応モニタが必要となる。現在のところ、プログレッシブ再生対応のプレーヤーは、中級機以上に限られている。しかし、プレイステーション2では、 将来的にファームウェアのアップデートにより、プログレッシブへの対応が予定されており、今後対抗のために低価格機でも対応が進みそうだ。
ちなみに、パソコン上でDVD-ROMを使って再生(ソフトウェア、ハードウェアデコーダとも)すると、ほとんどの場合ノンインタレース(プログレッシブ)表示となる。
□参考
ラインダブラー(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000310/key111.htm#ld
(2000年3月22日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]