今からでも間に合う!“実践的”DVDビデオ入門 |
●地域コードとは何か
このコードの主目的は、映画の興行権(配給権)を守ることだ。というのも、一般的に映画が最初に公開された地域から、それ以外の地域で公開されるまでにはどうしてもタイムラグが生じる。このタイムラグの長さは映画によりまちまちだが、例えば北米から半年して、日本で公開されるとすると、その時点ではすでに北米でDVDビデオが発売されている可能性が高い。日本での封切り前に、このDVDビデオが見られてしまうと、結果的に日本での興行成績が落ちてしまう――。
このようなことを防ぐために考え出されたのが、地域コードだ。そのため、日本のプレーヤー(リージョンコード2)で再生できるのは、リージョンコード2を含んでいるか、リージョンフリー(オール)のタイトルということになる。
ただし、この制限は一部のDVDプレーヤーでは、改造を施すことで解除できることもある。また、もともとリージョンフリーのプレーヤーが販売されていたり、プレイステーション2で裏技的に制限を回避する方法が発見されていたりもする。しかし、一部のタイトルでは、ディスク側に、プレーヤー側が適切なリージョンであるかをチェックするコマンドが入っているものもある(smart discs)。こういったディスクでは、ディスクに合わせたコードをプレーヤー側が設定する必要があるので、リージョンフリー(リージョン0)のプレーヤーで再生することはできない。
日本での状況に絞って考えると、いくら封切りより(あるいは日本でのDVD販売より)早く見られるからといって、日本語の字幕も入っていないDVDをあえて購入する人はあまり多くないだろう。また逆に、どうしても日本以外の地域のDVDを見たいという人は、何らかの方法で対応したプレーヤーを入手するだろうから、地域コードの制限があることで、どれほど興行権(利益)を守れるかは疑問だ。それに、DVDビデオで鑑賞するのと、映画館で鑑賞するのでは、同じタイトルであっても、まったく異なる体験である限り、DVDで見たからといって、映画館で見なくてもいいということになるとは思えない。これらのことを考えると、あまりにもエンドユーザーを無視した、制作者(配給者)側の論理だけで設定された制限で、不当な不自由をエンドユーザーに強いているように感じる。
プレイステーション2で裏技(?)が発見されたことをきっかけにして、リージョンコードがほんとに必要かどうかも含めて、エンドユーザーの意見も取り入れる形で再度議論されること期待したい。
ちなみに、日本とヨーロッパは、リージョンコードが同じなので、国内のDVDプレーヤーでヨーロッパのDVDが再生できそうだが、それはできない。というのも、放送方式が日本がNTSC、ヨーロッパがPALと異なっているため、リージョンコードがなくても、国内DVDプレーヤー(NTSC)でヨーロッパのDVD(PAL)を再生できないからだ。
□関連記事
【3月10日】MP3再生が可能なリージョンフリーDVDプレーヤー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000310/dvd.htm
●片面1層、片面2層、両面とは何か
DVDは、0.6mmのディスクを2枚貼り合わせた構造になっており、それぞれのディスクに最大2層作ることができる。その組み合わせにより、以下の4通りのバリエーションがあることになる。
片面1層(DVD-5) | 4.7GB |
片面2層(DVD-9) | 8.5GB |
両面1層(DVD-10) | 9.4GB |
両面2層(DVD-18) | 17GB |
実際の両面ディスクの使われ方は、片面にスクイーズ版(16:9)、もう片面にスタンダード版(4:3)を収録するというものが多い。しかし、まれに1本の映画が、両面にまたがって収録されているものもあるようだ。この場合、映画の途中でディスクをひっくり返す必要があり、作品に入り込んでいるとかなり興ざめになってしまう。
また、片面2層の場合でも途中で層が切り変わる時に、DVDプレーヤーやタイトルによって、シームレスに移行せず動画が一瞬止まってしまうことがある。
□参考
DVD-ROM(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980127/key15.htm#dvd-rom
●コピープロテクションについて
DVDビデオのコピープロテクションは、マクロビジョン、CGMS(Copy Generation Management System)、CSS(Content Scrambling System)、DTCP(Digital Transmission Content Protection、5C、5C DTCPとも)の4つの形態がある。いずれも、必須ではないので、まったくコピープロテクションされていないコンテンツも存在するが、そのコンテンツがどのコピープロテクションを使用されているかという情報が公開されていることはまずない。
この4つのプロテクションの中で、通常の使用時にも問題となるのがマクロビジョンだ。マクロビジョンは、これまでのVHSのセルビデオ、レンタルビデオなどでも使用されており、録画側のビデオデッキのAGC(Automatic Gain Control)を誤動作させることにより、出力ソースを正常に録画できないようにする。現在市販されている民生用のビデオデッキや、PC用のキャプチャカードのほとんどに搭載されている。
DVDビデオではコンポジットと、S端子でこの信号が混入されるので、DVDプレーヤーをビデオデッキを介してモニタに接続すると、ビデオデッキ側のAGCが誤動作して、正常な画面が見れなくなる可能性がある。この場合は、DVDプレーヤーを直接モニタに接続しなくてはならない。
マクロビジョン以外の3つを簡単にまとめると以下のようになる。
□参考
CSS(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980303/key20.htm#CSS
マクロビジョン(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991202/key100.htm#Macrovision
CGMS(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991202/key100.htm#CGMS
5C(鈴木直美のキーワード)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990401/key71.htm#5C
(2000年3月24日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]