今回は、2006 International CESの会場と周辺で見かけたPDAと関連情報をお届けする。 ●Windows Mobile 5.0が大半を占める CESで見た新製品と思えるPDAは、ほとんどがWindows Mobile 5.0。しかも、9割方が携帯電話機能を統合したスマートフォンだった。 やはり、電話と一体になってこそ便利ということなのだろうし、携帯電話を取り込まない限り、単体PDAとしてはビジネスが苦しいのだと思われる。 ビル・ゲイツ会長の基調講演レポートでも少し触れたのだが、あのPalm(旧PalmOne)までもがWindows Mobile 5.0を採用し、Windows MobileがPDA界をほぼ席巻したという感じである。来場者などの携帯電話を見てみたが、PalmのTreoの普及率は高そうだ。それがWindows Mobile 5.0を採用してしまったのだから、もはや不動の位置といってもいいのかもしれない。 会場内でみかけたPDA/スマートフォンの中で目立ったのは、MotorolaのWindows Mobile 5.0搭載スマートフォン「Motorola Q」。小さなキーボードやジョグシャトルを持ち、かなり薄型。プロトタイプがMicrosoftのブースなどに展示されていた。 もう1つは、iMateの「Jasjar」。台湾HTCが開発した「Universal」という機種がベースになったOEM機である。大きさは、シャープの「W-Zero3」ぐらいで、「Zaurus」のように回転式の液晶部を持ち、スレートタイプとクラムシェルタイプを切り替えて利用できる。こちらも、Windows Mobile 5.0を採用している。プレス向けイベントには、iMateも出展しており、特別製の赤い機種も展示されていた。なんと、この機種、GSMだけでなく、W-CDMA(EU圏ではUMTSと言う)にも対応している。認定さえ取得してくれれば、日本国内でも使えるはずである。また、さらに無線LANとBluetoothも搭載している。 そのWindows Mobile 5.0だが、以前のバージョンのようにSmartPhone EditionとPocketPC Editionといったそれぞれの違いはなぜか表記されず、スマートフォンもPocketPCもみなWindows Mobile 5.0と表記されている。 ブースでMicrosoftの説明員に聞いたところ、OEMに対しての契約としては、SmartPhoneとPocketPCの区別はあるとのこと。内容的には、GSM携帯電話関連のモジュールや電話アプリケーションなどが含まれるかどうかの違いだという。ただ、以前のバージョンのように、GUIという点では違いはなく、統一的な名称になっているのだという。PocketPCでも、ソフトキーと呼ばれる2つのキーが必須になったため、基本的な操作は、すべて本体のハードウェアボタンで行なえるようになっている。 OEMメーカーの選択肢として、Windowsのようなスタートメニューが出る方式と、画面全部にアイコンが並ぶメニューのどちらかが選択できる。選択は必ずしも画面の解像度で決まるのではなく、携帯電話的な操作を提供するのか、既存のPCやこれまでのPocket PCなどと親和性のある操作を提供するのかで決めるらしい。ただし、メニュー形式の表示は、タッチパネルとの組合せが想定されていて、スタイラスで直接ポイントして指定できるというメリットがある。逆に全画面を使う表示では、タッチパネルは必要なく、カーソルキーで選択するようになる。 一応、低解像度であっても、スタートメニューのような表示ができる。このときには、過去に起動したアプリケーションのリストは、メニューのトップにアイコン形式で表示する。ちょうど前回紹介したウィルコムのW-Zero3を横向き表示にすると、この形式になる。
●NOKIA 770 Internet Tablet
Windows Mobile全盛の中で、1つだけ違っていたのが、NOKIAの770という機種。携帯電話機メーカーの製品でありながら、なんとスマートフォンではなく、Bluetooth/無線LAN内蔵の純粋なPDAなのである。しかも、OSにはLinuxを採用し、独自だがオープンソースのGUIシステムを持っている。まあ、NOKIA版のLinux Zaurusって感じだが、液晶の解像度が高く、横長の板のようなデザイン。 価格は米国で399.99ドル。CompUSAとFry's Electronicsで扱っているのだという。幸いなことにラスベガスにもFry's Electronicsがあるので、急遽、タクシーを飛ばして買いに行くことにした。 NOKIA 770は、CPUにARM系のOMAP1710(TI)、250MHzを採用。RAM 64MB、フラッシュメモリ128MBで、うち64MB程度がユーザー領域として利用できる。液晶は、800×480ドットと横方向の解像度がPDAにしてはかなり高い。また、バッテリは、スタンバイ状態で1週間ほど持ち、連続したブラウズだと3時間ぐらい動作できる。外部記憶は、RS-MMCでしかもデュアルボルテージタイプ(64MBのものが1つ付属する)。RS-MMCは、MMCをコンパクトにしたもので、国内ではボーダフォンの携帯電話「702NK」(これもNOKIA製)が採用している。 メールとWebブラウズ(+RSS)といった使い方+αなら、高解像度ということもあって、割とストレスなく利用できそう。ただし、日本語はいまのところ利用できない。表示は、X-Widnow System(X11)ベースなので、再構築すればなんとかなりそうな気もする。 USBインターフェイスを持っているが、これはRS-MMCをPC側からアクセスするためのもの。770内蔵のフラッシュメモリ領域は、アクセスができない。また、PCからUSBのマスストレージシステムに見えるため、特にドライバは必要ない。その他にはシステムのアップデートなどに使うようだ。 出張先なので、とりあえずこれぐらいにして、帰国したら別途レポートしたい。
□NOKIA「770 Internet Tablet」の製品情報 (2006年1月10日)
[Text by 塩田紳二]
【PC Watchホームページ】
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