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ビル・ゲイツ氏基調講演レポート
Windows Vistaを中心にデモ

1月4日(現地時間) 開催



Microsoft会長兼チーフアーキテクトのビル・ゲイツ氏

 CES開幕日の前日には、いつもMicrosoftのビル・ゲイツ会長兼チーフアーキテクトのスピーチがある。CESとしての正式な基調講演は翌日の午前中なのだが、前日の夜は必ずビル・ゲイツ氏が行なうことになっている。

 今回のビル・ゲイツ氏のスピーチのテーマは、大きく3つ。Windows Vista、Windows Mobile(WindowsCE)そしてXbox 360である。

 かつてのSPOT(MSN Direct)のような、まったく新しいものを見せたわけではなかったが、さまざまな製品が登場し、ネタ的には充実していた。


●Microsoftが見せる近未来のコンピューティング

今回の話題は、PC(Vista)、Windows MobileとXbox 360

 いきなり舞台の端に登場したゲイツ氏は、Microsoftの研究所やショールームなどで見せている近未来のコンピュータの姿(というよりはWindowsの使われ方)をデモしながら、舞台中央に進んでいく。

 最初は、大きな壁面型のディスプレイである。これはタッチパネルにもなっていて、手で操作することができる。イメージ的には、巨大なTablet PCのようなもの。家庭での利用を想定したデモで、ニュース動画を見たり、家族の居場所を表示したりといった使い方ができる。

 次に進むと、机の上に大きな半透明の板が3枚立ててある。ちょうど三面鏡を開いたような感じである。この板がディスプレイになっている。これは、オフィスや自宅の書斎など、仕事をするような環境のデモ。そばにあるTablet PCの表示も、ディスプレイの一部で、そこから指定した情報を机側のディスプレイで動作しているソフトウェアに送ることができる。こうした機能を使ったビデオ会議などを行なって見せた。


家庭用の壁面ディスプレイ。壁面ディスプレイには、タッチパネルが組み込まれていて、指先で操作が可能。ニュース映像などのメディア再生や家族の居場所を表示するなどのアプリケーションが考えられるという

オフィス向け超ワイドディスプレイ。オフィスや在宅勤務など、仕事用のディスプレイは、大きなリアプロジェクション方式の3面ディスプレイ。手元にあるTablet PCとも連動している。オンライン会議をしながら、同時にさまざまな情報を表示する。以前は、液晶モニタを3つ並べただけだったが、リアプロ方式になって継ぎ目がわかりにくくなっている

 その次は、空港のラウンジという設定。携帯電話(もちろん、WindowsMobileを搭載したスマートフォン)を机の上に置くと、Bluetoothなどで所有者を判定、ネットワーク接続してメッセージを机の上に投射する。

 机は実際にはカメラでモニタされていて、携帯電話の位置を見て、そこからマンガの吹き出しのようにメッセージを表示する。持ち歩くハードウェアとしては携帯電話だけだが、どこかにあるサーバーがメッセージ表示などの処理をしてくれて、フルスクリーンで作業できるというのがポイント。机には、指紋認証デバイスがあり、本人確認した上でメッセージを机の上に表示する。また、予定表情報などから、飛行機の出発時刻なども表示される。

 カメラは、机の上に置かれた名刺なども認識する。そのため、カードを携帯電話の表示部分に置くだけで、自分の住所録へ名刺の情報を追加させることもできる。

空港のラウンジでは、携帯電話をテーブルに置くと、カメラがそれを認識、Bluetoothで接続し、ユーザー認証の上、メールなどを表示できる 机の上に置いた名刺を認識する 認識した名刺を携帯電話の表示領域に置くことで、住所録に項目が追加される

 やり方や画面などは違うが、これは、これまでMicrosoftがくり返しデモを行なってきた「Digital WorkStyle」や「LifeStyle」の姿である。空港でのデモは、.NET My Services(Hailstome)さえ思い出させる。.NETやVistaといったMicrosoftのソフトウェアは、いまやこうした世界を実現するための道具なのである。細かい点は違っているが、目標はそれほど変化していないのである。

 こうした世界の実現に対して、ビル・ゲイツ氏は、「Cross-Device Approach」が重要だという。CPUやOSが違うさまざまなデバイス、それらを使ってサービスを実現するさまざまな企業、その境界を越えてデバイスやサービスを連携させるものがMicrosoftのソフトウェアであり、同社の「Live」サービスであるとした。

●Vista最新版を一般にデモ

 話は、今年末に出荷予定のWindows Vistaに移った。Gates氏は「以前には見せたことがないWindows Vista」を見せると言い、VistaのプロダクツマネージャーAaron Woodman氏にデモンストレーションを行なわせた。

 デモに使われたVistaは、スタートボタンのデザインなどが変更されたもの。スタートボタン自体は円にWindowsマークが書かれたものになっている。もっとも、これは、VistaのCTP(Comunity Technical Preview)で開発者向けに公開されているものと同じ。「見せたことがない」とはちと言い過ぎだが、このバージョンをイベントで一般に公開するのは初めてではある。

 また、ウィンドウを3次元表示して選択することができるVistaのデモ機能(と昨年のPDCでは説明を受けた)には、いつの間にか「フリップ3D」という名前が付けられていた。どうも正式な機能になったようである。

 また、開発中の「Microsoft Flight Simulator」や、Vistaでデジタル写真をいかに簡単に管理できるか、大量の写真があってもスムーズに動作するのかといったデモが行なわれた。

WindowsVistaのデモ。基本的には12月に公開されたCTP版と同じようだ。大量の写真を管理しても十分な速度で動作する点をアピールした

 さらに、Windows Mediaについて、MicrosoftとMTVとの提携が発表された。登場したのは、MTVの社長であるVan Toffler氏。MicrosoftとMTVが共同して行なうのは「URGE」と呼ばれる音楽サービスである。これは、Windows Media Playerからのみアクセス可能なサービスで、(自動生成ではなく)人が編集したプレイリスト、CD品質のインターネットラジオなどのサービスで、もちろん、音楽を買うこともできる。

 そのデモとして、Toffler氏が、ミュージシャンであるJustin Timberlakeを検索するように頼んだ後、本人が登場した。

MicrosoftがMTVと組み、Windows Media Playerで提供する「URGE Music Service」。CD音質のインターネットラジオや手作りのプレイリストなども提供される 舞台に登場したJustin Timberlake。元インシンク('N Sync)のメンバーでもある

●WindowsMobileとWindows Live

 次の話題は、Windows Mobile。ビル・ゲイツ氏が取り出したのは、昨年Palmが発売したWindows Mobile 5.0搭載のスマートフォン。Gates氏は、その発表会にも出席してスピーチするなど、思い入れは強そうだ。それもそのはず、Pocket PCのライバルであるPalmが、Windows Mobileを採用したのだから。

 さらに、新しい製品として、Windows Live Messengerと連携可能な機能を搭載した家庭用コードレス電話を紹介した。これは、Philipsとユニデンが製品を出荷する予定。アナログ回線に接続するコードレス電話だが、USBインターフェイスを持ち、PCと接続することで、Windows Live Messengerを介して音声通話を行なうことができる。

 また、電話帳にはMessengerのコンタクトリストも表示され、直接通話先が指定できる。2つのソフトキーを持つなどWindows Mobileに似たユーザーインターフェイスを持っている。

 Windows Liveは、VistaとともにMicrosoftがユーザー向けに開始するオンラインのサービス。現在β版が公開中である。また、Windows Live Messnegerは、現在のWindows/MSN Messengerの後継となるチャットサービス。クライアントは、現在βテスト中で.NET技術を使って開発されている。

Philipsとユニデンが発売するWindows Live Messenger対応コードレスホン。電話回線に接続して電話機になるとともに、USBでPCと接続してWindows Live Messengerサービスを使ったVoIPができる。また、電話機の液晶ディスプレイで、Live Messengerに登録したメンバーを選択して通話を開始することも可能だという。今年春には発売予定 ゲイツ氏はMedia Centerにとって、Intelは重要な会社の1つだと述べ、その例としてViivを紹介した。最近になってようやくViivを正しく発音できるようになったのだというが、発音は「バイブ」と聞こえた

 さらに、Windows Mediaを採用したPortable Media Center(PMC)として東芝のGigabeatを見せた。現在のGigabeatの後継機種で、ユーザーインターフェイスは、Windows Media Center Editionと同じスタイルになっている。このPMCやVistaに含まれるMedia Centerの機能も、Windows Liveと連動できるようになっている。

東芝の次期Gigabeat音楽プレーヤーは、WindowsMobileを採用したPortable Media Center(PMC)マシンになる。十字のインターフェイスは現在のものを継承しているが、ユーザーインターフェイスは、MediaCenterと同じスタイルになる 途中で東芝のHD DVDプレーヤーをデモ。コンテンツをコピーするMagaged Copyの機能をデモしてみせた。先ほどのGigabeatのPMC化といい、東芝とMicrosoftの親密な関係を想像させる

●ゲイツ対バルマーのボクシング

 最後は、Xbox 360である。ビル・ゲイツ氏とスティーブ・バルマー氏がボクシングゲーム(EAのFight Night Round3)で対戦。しかも、米国のボクシング中継で著名な解説者(Al Bernstein氏)まで登場し、2人のゲームを解説した。

 このゲーム、KOが決まると、パンチが当たった瞬間を別の始点からリプレイする。マウスピースが飛び出し、血の混じった唾が飛ぶ様はかなりリアル(ちょっとやりすぎな印象もあるが)。

 デモは、Xbox 360を使ってのXBOX Liveなど。映画Mission Impossible 3のゲームや予告編のダウンロードができるMarketPlaceなどを見せた。

ゲイツ対バルマーの殴り合い。間に立つのはESPNなどで有名なボクシング解説者 Xbox 360からXBOX Live MarketPlaceをアクセス。トム・クルーズのMission Impossible 3のゲームなどが入手できる

 東芝のHD DVDプレーヤーやIntelのViiv、Windows Liveを紹介するなど、アイテムとしてはいろいろとあったが、それぞれは話題的には小さい。また、スピーチ冒頭で行なったデモと、今回見せた製品や技術の間にはまだ距離があり、道未だに険しという感じもした。

 いずれにしても、今年の目玉はWindows Vistaであり、かなりの時間が割かれていた。Microsoftにとっても、PC向けのOSは依然として最重要の製品であることは間違いない。各種のアイテム類を生かすためにも、Vistaという中心は必要なのだ。

 今年のPC業界の浮沈は、ひとえにWindows Vistaのスケジュールにかかっていることを感じさせられた基調講演だった。

□2006 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□基調講演の速記録(英文)
http://www.microsoft.com/billgates/speeches/2006/01-04CES.asp
□International CES 基調講演一覧(英文)
http://www.cesweb.org/attendees/conferences/keynotes.asp
□関連記事
【2005年1月7日】【CES】ビル・ゲイツ氏 基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0107/ces02.htm

(2006年1月6日)

[Reported by 塩田紳二]

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