買い物山脈

Loox S80CとThinkPad X31を同時に買ったわけ


品名富士通 FMV LOOX S80C
購入価格139,800円(税別・大容量バッテリ含まず)
購入日2003年5月28日
使用期間約4日
品名IBM ThinkPad X31(2672D9J)
購入価格254,000円(税別・拡張バッテリ含まず)
購入日2003年5月29日
使用期間約1週間

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。

●そんなに変か? 大原のノート選び

 この辺とかこの辺のライターに「大原さんの選び方は変だから」だの「さすが大原さん」だのといつも馬鹿にされているような気がしないでもない筆者のノート選び。ここ数年で言うと、パナソニック「Let's note CF-S22J8」、「Let's note CF-B5R」、カシオ「CASSIOPEA FIVA MPC-206VL」といった機種をメインに使っており、これとは別に自宅で、IBM「ThinkPad 755CD」、「ThinkPad 570」なんて機種も使っていたりする。ほかにテスト用に、NECLaVie L LL300/1A」なんてのもあったりする。

Let's note CF-S22J8 Let's note CF-B5R CASSIOPEA FIVA MPC-206VL
ThinkPad 755CD ThinkPad 570 LaVie L LL300/1A

 さて、実のところThinkPadは友人から安く譲ってもらった(その友人が上位機種に買い換えたときに、安く譲り受けた。確かThinkPad 755CDは呑み代1回負担。ThinkPad 570は拡張ベイ類フル装備+340MBのmicrodrive込みで7万円くらいだった)もので、用途も居間でのインターネットアクセス専用。最初はThinkPad 755CDを使っており、次いでThinkPad 570に切り替えた。

 ただ、今では居間マシンはVIA C3/800MHzベースのEdenマシン+液晶ディスプレイに切り替わっており、ThinkPadはどちらも現役ではない(捨てるには惜しいスペックなので、そのうちFreeBSDかLinuxでも入れてサーバーに仕上げようと思っている)。一方LaVieは無線LAN環境のテストとかがメインの、いわば実験用マシンとしてしか使われておらず、今ではスペックも低いので、そのうち誰かに売り払って新しい製品に買い換えないといけなそうな感じだ。

 というわけで、これら3台はモバイルというよりは限りなくデスクノートの扱いなので、まぁいわゆるモバイルマシンは最初に挙げた3台ということになる。「何でS22」と言えば、答えは「トラックボールだから」。何しろ最初に買ったモバイルマシンはIBMのThinkPad 220(どうでもいいが、ココでThinkPad 220が出てこないのはどーいうことか?)。

 このThinkPad 220で本を一冊書き上げたくらいに入れ込んでいたし、(当時だからDOS環境での利用ではあったが)マウス代わりにトラックボールを愛用した筆者としては、「当然ノートはトラックボール」である。実際S22は非常に使い勝手が良く、編集部に持参しては原稿を書いたりチェックをしたりするのに愛用した。

 で、モバイルマシンは一般的に、愛用すればする程、壊れるまでの期間が加速度的に短縮される。S22もまずバッテリが死に(これは新品に交換して対処)、HDDがクラッシュした(バルクのHDDを購入して交換)あたりまでは良かったが、内部の充電回路が逝ってしまったらしく、バッテリに充電できなくなったあたりでかなりヤバい感じになってきた。丁度液晶のバックライトもかなりおかしな雰囲気になってきたので、これは買いなおしたほうが早いという結論に達し、2000年6月に登場したてのCF-B5Rを即座に買うことにした。

 B5Rもまたトラックボールのタッチが非常に秀逸だった。実際筆者はマウスを使わずにトラックボールだけでPhotoshopを使っての写真のレタッチだトリミングだができた程で、サイズ的にも(当時としては)手ごろで、バランスの取れた性能だった。この頃から海外取材も増えてきたが、CF-B5Rを持ち歩くことに最初は不満がなかった。

 もっとも、海外取材の機会が増えるとちょっと不満も出てくる。最大のものは、バッテリ寿命の短さ。公称3時間半だが、実際は2時間を切るくらい。プレスルームなど電源がちゃんと用意されているところならばともかく、会場に一日缶詰といったケースではちょっと辛い。また、1.53Kgという重さと、ほぼB5フルサイズという大きさも次第に邪魔臭くなってきた。加えて、海外取材が多くなると「もう1台」がどうしても欲しくなる。というよりも「もう1台」ないと怖い、というのが正確な所だ。

 実際、昨年6月のCOMPUTEX取材の際、到着翌日にいきなりCF-B5RのHDDがクラッシュ。MPC-206VLだけで1週間を乗り切ったのはいいが、帰国後2週間ほどで今度はMPC-206VLのHDDがクラッシュするという、割ときわどい目にも遭ったりした。また昨年のCOMDEXのこと、某WebZine編集部員が持参したノートPCの液晶がいきなり壊れて使い物にならず、結局プレスルームに置かれたマシンでムリヤリ原稿を書いて送るという綱渡りを強いられたなんて話を聞くにつけ、「最低でも2台のノートは必要」なのが鉄則になってきている。こうした観点でもう1台マシンが欲しい、と探した結果見つかったのがFIVA-206VLである。

 選んだポイントは、

・液晶が800×600ピクセルある(画像のレタッチを考えると、同時期に出ていたVAIO C1の様な1,024×480ピクセルは耐えられない。最低、縦600ピクセルが欲しかった)
・軽い(標準バッテリで990g。大容量バッテリ込みでも1.1Kgちょいで、ほかに並ぶものがなかった)
・長時間利用ができる(無線LANなどを使わなければ、実利用で6時間位までなんとか行けた。標準バッテリ+拡張バッテリ各1本で、成田からサンフランシスコまで何とか持ったほどだ)
・TrackPoint採用(ThinkPad 570などで慣れていたので、トラックボールほどではないにせよ使い勝手に不満はなかった)
・CFスロット装備(NTT DoCoMoのPALDIO 611Sをそのまま装着できる。また、その後カメラをE-20に切り替えたため、メモリカードもコンパクトフラッシュとなり丁度良かった。ちなみにその前はC-2100UZを使っていたので、SmartMediaであった)

 というあたりである。CPUはCrusoe TM5600/600MHzとあまり高速ではないが、主な用途(メール/Webのチェックと、プレスルームなどでの原稿書き。たまに写真のレタッチ)には十分耐える。Windows Meが気持ち悪かったのと、HDD容量がやや不満気味だったので、HDDを40GBに換装、Windows 2000を入れて不満はほぼ解消。支障なく使っていた。こうなると、

普段の持ち歩き:MPC-206VL
ホテルでのメイン+非常時の持ち歩き:CF-B5R

 という役割分担ができ、このパターンで以後2年近くを乗り切ることになった。

 同時期に他のライターはThinkPad S30だのXシリーズだのを入手して使っていたから、「何でFIVAなんか使っているんだ?」という疑問が出たようで、それが「大原は変なノートが好き」という発想になったようだが、筆者からすれば別にCF-B5RもMPC-206VLも問題なく使えている限り、無理に製品を交換するメリットはない。「一度買ったら壊れるまで使う」という単純なルールなのである。

 ついでに、ちょっと「大原バッグ」の補足もしておこう。この辺で勝手に命名されてしまったストローラタイプのバッグ、大元は某I社広報Nさんを見習ったものだったりするが、最大の理由は「E-20が重過ぎる」からである。E-20自体は1,050gなのだが、これにフラッシュパワーバッテリホルダ、リチウムポリマ電池まで組み合わせると総重量は約2Kgを超え、しかも(レンズ一体式なので)物凄く嵩張る。

 一時期は底が広めのカメラ用バックパックを使っていたのだが、バイクで移動の場合はともかく都内の満員電車では邪魔なことこの上ない。しかも、職業柄肩こりが酷く、E-20一式にノートPC・資料を背負って1日歩き回ると、翌日は使い物にならないほどの肩こりに襲われる。

 ここで「どうせ満員電車で邪魔になるなら、ストローラタイプでいいじゃん。邪魔なことはバックパックと変わらないし、肩こりが軽減される筈だし」という発想の転換をしたわけだ。もっとも、これで重量の制限がなくなるかと言うと、さにあらず。日本の公共交通機関や街路がバリアフリーからかなり遠いところにあるのはご存知の通りで、少なくない箇所で結局ストローラバッグを背負う羽目になっており、従ってやはり軽ければ軽いほどいいことに変わりはない。


●で、なんでいきなりノートを買い換えるのか?

 さて、今回まず考えたのはFIVAの代替である。というのは、Ethernetポートの接触がどんどん悪化しており、普通にEthernetケーブルを挿しただけでは認識してくれず、手で下からテンションを掛けないとうまく通信してくれないという状況になったからだ。

 今年2月のIDFの取材の頃からその傾向が少し出ていたが、4月に入って急速に悪化。最近ではほとんど使えなくなっており、やむなく無線LANカードを装着して凌いでいる始末。ま、いざとなればEthernetカードをカードスロットに突っ込めば対処できるのだが、ちょっとスマートでないというか、ほかにも壊れかかっているところがあるので、いいかげん買い替えかな、という気はしていた(*1)。

 一応秋葉原などには程度の良い中古のFIVAが比較的安く(8万円程度)出回っているので、これを買ってHDDを入れ替えても良いのだが、「8万円払って今と変わらない程度なら、もう少し払って不満の少ない最新の製品を狙ったほうがいいや」という気になったわけだ。ちなみに不満とは、

・やっぱり遅い:ネットワークブラウズにだいぶ待ったりするのは、まぁCrusoeマシンに共通のことなのである程度覚悟はしているが、もうちょい高速だと嬉しい
・USBが1ポートしかない:USBマウスを使うと、ほかに何もつなげないのは、結構不便。結局携帯型のセルフパワーUSB Hubを持ち歩く羽目になっている
・無線LANが非内蔵:もっぱらIDF(Intel Developer Forum)でだが、無線LANが内蔵されている方が便利。今はPCカードで使っているが、SmartMedia Adapterと併用できない(*2)

 というあたり。ついでに言えば、もうちょい画面が広いと嬉しいな……というあたりだろうか。

(*1)修理に出そう、なんてことは毛頭考えてないあたりが少し変わっているかもしれないが、とっくに保証期限も切れてるし、HDDも勝手に交換しているので、バックアップの手間や費用を考えると馬鹿馬鹿しいというのが正直なところ。何より代替品がないので、修理に出してしまうと戻ってくるまでの間が困る、という事情もある。
(*2)ボイスレコーダーとしてOlympusのDS-1を使っており、未だにSmartMediaとは縁が切れない。

 一応そんなわけで、実はCentrinoマシンにはかなり期待していたのである。というか、Ultra Low VoltageのPentium-M搭載マシンに焦点を絞って、真剣に購入を考えていた。候補となったのは、富士通「LOOX T90D」、「T60D」、ソニー「VAIO TR」、パナソニック「CF-R2」あたりである。ほかにも超低電圧版モバイルPentium-Mを搭載したマシンはいくつかあるが、これらは持ち歩きに適したサイズとは言いがたいので候補から外した。また、ビクター「MP-XP3710」も、今なら最有力候補なのだが、何しろ発表されたのが遅く、しかも発売が7月だから待っていられなかった。またソニーのVAIO Uシリーズは、流石にタッチタイプできる限界を超える小ささで、しかもポインタの感触はあまり筆者好みではなかったので、自動的に選から漏れてしまった。

 さて、この3製品を店頭で延々と触りまくって来たのだが、

・富士通 LOOX T90D/T60D:大きさもさることながら、とにかく重過ぎる。ドライブを外しても1.4kgオーバーというのは、普通に持ち歩ける限界を超えている。サイズもかなり大きめで、論外。ポインタがタッチパッドというのも(自分にとって)大きなデメリットの1つ。

・ソニー VAIO TR:一見軽そうに見えて、標準バッテリ込みでほぼ1.4kgだから、LOOX T90Dと余り変わらない。サイズもほとんどLOOX T90D並である。Motion Eyeやメモリースティックスロットなど、「筆者にはまるで必要ない」機能満載なのも評価が下がるポイント。タッチパッドなのも残念である。

・パナソニック CF-R2:サイズ的にはFIVAというよりもCF-B5Rの代替といった感じではあるので、「もう少し小さくなればいいのに」とは思うが、軽い割に剛性感があるのは○。ところが、パナソニックご自慢のホイールパッド、筆者には生理的にダメだった。とにかく感触が気持ち悪い。恐らく30分も我慢して使っていればそれなりに慣れるのではないかと思うが、間違いなく筆者はその前に(ノートごと)使うのをやめる。SDメモリーカードスロットのみというのもあまり嬉しくないし、相変わらず大容量バッテリ類が用意されておらず、バッテリ駆動時間がJEIDAで5時間とほかの製品より大幅に少ないことも気になるポイント。恐らく普通に使うには、スペアバッテリが2つ必要になる。ところが、バッテリ充電キットなどは用意されていないので、海外取材中にはバッテリの充電が間に合わない可能性がある。

というわけで、結局3製品ともFIVAの代替にはならないことがはっきりした。特にLOOX T90Dに関しては事前の期待が高かっただけに、かなり失望したのが正直なところである。


●結果として、またもやCrusoeマシンに

 まぁもっとも、これは仕方ないのかもしれない。この辺でも触れられている通り、今のトレンドは2スピンドルに移りつつあり、1スピンドルの小型軽量は既にトレンドから外れつつある様だからだ。

 そうは言ってもとりあえず代替機が必要なことに変わりはない。あちこちの店を廻っていろいろ見ていて、ヒットしたのが富士通のLOOX S80Cである。どうヒットしたかと言うと、

・軽く、小さい(231×149.5×26.5mm/890g。ちなみにMPC-206VLは223×197×21.2mm/990g。ちょっと幅は広いがこれは許容範囲)
・多少高速(Crusoe TM5800/800MHz)
・液晶が大きい(1,024×600ピクセル)
・無線LANを内蔵し、しかもスイッチでOn/Offが容易
・USBを2ポート装備する。
・TrackPointを装備
・内蔵バッテリパックLを使うと、公称8.8時間の電池寿命

 ということで、一応MPC-206VLで感じていた不満がカバーされることになる。一応欠点として、

【写真1】新旧両機種を並べて。LOOX S80Cに大容量バッテリを使うと、ヒンジまでの奥行きはほぼ同等。もっともMPC-206VLは、ヒンジの後ろに大容量バッテリがあるので、実際の奥行きはMPC-206VLの方がある。幅はほぼ同等で、LANカードが突き出してない分LOOX S80Cの方が好ましいかも
・CFスロットが無い(これはUSBカードリーダを持ち歩くことで解消。無線LAN内蔵のため、PCカードスロットが空くので、PHSはここを使えば良い)
・IEEE 1394端子が無い(たまーに、HDDのバックアップに使っていたが、まぁ頻度は少ないので無くてもそれほど困らない。必要ならPCカードスロットにIEEE 1394カードを装着してもいいし)
・内蔵メモリが256MB固定(MPC-206VLの場合、公式には128MB+128MBが最大容量だが、512MBのPC133 SO-DIMMを挿したらあっさり認識して640MBで動作してくれた。が、S80CはそもそもSO-DIMMスロットが無いので、こういうことはできない。まぁこれはあきらめることにした)
・Windows XP Home Editionがインストールされている(筆者宅ではNTドメインを使っている関係で、Professional Editionでないと動作しない。結局、Professional Editionの正規パッケージを、アップグレードの形でインストール。また出費が(T-T))

 あたりが挙げられるが、一応どの問題も解決しているので、基本的にはこれでOKである。

 この製品、今年の春モデルであるが、現時点でも継続販売されているために、基本的には現行商品である。ただ、現行とは言ってもあまり人気はないようで、秋葉原の主要ショップではどこも在庫切れ。結局某量販店で店頭展示品を5,000円引きで購入してきたが、店頭で色々酷使されたのか、何故かEthernetポートの動作がおかしい。結局翌日サポートに連絡してPickup、約10日ほどで修理されて戻ってきた。

 今のところ快調で、バッテリパックLと組み合わせてかなり元気に動作している。気になる性能差だが、(MPC-206VLと並べて使うと)多少高速化されていることはわかるものの、超低電圧版Centrinoとかとは比較にならない遅さではある。まぁ、そこまでのスピードを求めているわけではないので、これはこれで良いかとは思っているのだが(写真1)。


●ついでにX31まで

 さて、これで問題は解決したか……と思いきや、次なる問題が。LOOXのインストール途中で、ちょっとCF-B5Rをいじっているときのこと。ちょっとしたミス(どんなミスかは書きたくない:-))でいきなりCF-B5Rにとどめをさしてしまった。

 今回は完全に筆者のミスで、恐らくロジックボードが逝ってしまったので修理にもえらく手間と金が掛かりそう。ついでに言えば、そろそろバックライトが赤くなり始めていたなんて問題もあるし、既に購入して3年近い。こんなに急いで買いなおすつもりは無かったが、まぁ頃合であることも事実。ただ、またもや海外取材が近いこともあって、さっさと購入してセットアップしないと間に合わない恐れがある。と言うことで、慌てて代替機の確保を行なう必要が出てきた。

 選択条件は、

・トラックボールもしくはトラックポイント装備
・XGA以上の液晶
・1スピンドルでOK
・LOOXほどではないにせよ、小さく軽いこと
・拡張バッテリが用意されていること
・流石にもうPentium IIIは嫌だ

・Windows 2000 Professionalが選べるといいなぁ
・無線LANが内蔵だといいなぁ
・メモリが一杯積めるといいなぁ

【写真2】もう、Woods Canada(http://www.woodscanada.com/)の製品リストには載っていない。買ったのは確か'97年のことだが、その時点で商品が廃盤で最後の在庫処分とか言っていた様な。アウトドア向けで結構がっしりしていて、重宝している
 といったおまけがつく。最初の条件は、これはもう必須なことで、筆者としては譲れない。2番目も、主な用途がホテルで原稿を書くことなので、やはり必須としたいところだ。3番目は、別に2スピンドルは嫌だというわけではないが、そのために大きくなるのは好ましくない。大体、ROMドライブを使うことはほとんど無いのが実情である。一応携帯型のUSB CD-ROMは1台持ってゆくが、使うのはセミナー資料を受け取ったそのときだけなのが普通。しかも用途は「CD-ROMの中身をHDDにコピーする」だけだったりするから、2スピンドルの必然性はほとんど無い。次の2つの条件は、いざというときにはLOOXの代わりに持ち歩く可能性があることに起因する。特に「小さく」に関しては明快な基準があって、筆者の使っているWoods Canadaのウェストバッグ(写真2)に入ることが望ましい。経験上、これより大きなものは、結構難儀するからだ。最後の条件は趣味の世界であるが、Intelの製品ラインナップからモバイルPentium III-Mが消えつつある現状で、敢えてモバイルPentium III-Mを選ぶのもどうか、と思えるからだ。

 で、この条件で探すと、最近流行の薄型A4ファイルサイズは全滅する。ウェストバッグに入りきらないからだ。正直言うと、またトラックボールを選ぼうか、真剣に悩んだ。松下はまだビジネス向けに、Let's note Pro A3(CF-A3)をラインナップしており、一応MyLets倶楽部ではかろうじて在庫があるらしいので入手は可能である。サイズも255×220.5×28.9mm/1.47Kgで、CF-B5R(255×206×33.4mm/1.53Kg)より多少奥行きがあるが、これは許容範囲内。Windows 2000 Professionalモデルは既に完売してしまったようだが、Windows XP Professionalでもまぁやむなしとは思えた。が、メモリが最大256MBなのと、拡張バッテリが用意されていないこと、何より超低電圧版モバイルPentium III-M 800MHzというのはやはり購入を躊躇わせるものがある。

 ではほかにどんな選択肢があるかというと、IBMのThinkPad X31となる。というか、最初の条件を掲げた時点で、選択肢はCF-A3かX31しか無かったともいえる。サイズ的には273×223×24.9mm/1.64Kgで、Let's Noteより一回り大きくなってしまうが、ウェストバッグにもギリギリ入り、拡張バッテリも当然あり、そのほかの条件も殆ど満たしている(写真3)。

 重量がかなり増えてしまったのはマイナスポイントだが、持ち歩きは非常時のみと割り切れば許容できる範囲だ。結局X31のPentium M 1.30GHzモデルにメモリ1GB/HDD 40GB/802.11bワイヤレス/Windows 2000 Proという構成に拡張バッテリを加えてIBMダイレクトにオーダーを掛けたのが5月29日。納期が最大15営業日とか出ていてちょっと間に合うか心配だったが、6月7日には全部受け取ることができた。

 流石にPentium M 1.30GHzの威力で、体感性能でもCF-B5Rを大きく上回っている。メモリも1GBもあると、Photoshopでかなりの枚数の写真を開いてもストレスは少なく、ホテルで一気に写真整理をする、なんてときには威力を発揮しそうだ(写真4)。

 ということで、明日からEmbedded Processor Forumの取材で渡米するわけだが、LOOXとX31で乗り切れそうな気が「今は」している。問題があったら、またレポートすることにしたい。

【写真3】拡張バッテリ下側にすると、ご覧の様に何とか収まる。もっともこの状態で持ち運ぶのはかなり危険なので、実際には拡張バッテリを外し、何かクッション材のケースに入れて持ち歩くことになるだろうが 【写真4】こうして並べてみると、見事なまでの凸凹コンビという感じである。というか、X31でけーよ、というか


●余談

 今年の3月にCentrinoの発表会が赤坂ブリッツであったときに、嬉しそうに「今回展示されてるマシン、大原さん買わないよね?(^^)」と聞きに来た「ロードマップがライフワークのライター」とか、IDFのプレスルームで「大原さんがThinkPad買わないのは別にあたりまえで、買ったらニュースになりますよ」と放言しくさった「奥さんよりシリコンに欲情するライター」とか、それに同意した「モバイルにウェイトトレーニングの要素を求めるライター」とか、色々変態が多いこの業界。

 まぁ筆者の好みがマイノリティなのは否定しないが、所詮テクニカルフリーランスライターなんぞをやっている時点でマイノリティなのは間違いない(当人達は激しく否定するかもしれないが、上述の変態ライターどもも勿論マイノリティに属していると筆者は断言する)わけで、マジョリティは2スピンドルなのはわかりますから、多少高くても我慢するので、マイノリティのために1スピンドルの携行性に優れたマシンを出しつづけてください>メーカー各社ご担当者殿。特にパナソニックさんには、ぜひともトラックボールの超低電圧版Centrinoマシンを熱望しておきたい。出してもらえたら、X31売って買います。あ、ただメモリは1GB積めるようにしといてくださいね。

 てなわけで、何でこんな原稿を(それも編集部に頼まれてもいないのに)いきなり書いたかというと、上述の変態ロードマップライターがわざわざメールで、「大原さんがX31というのをWatch編集部で話したら、みんな大受けしていた。『だめだよ、大原さんがそんな王道マシンを使っちゃ』とか『これでX31ももうだめだよね』とか(笑)、みんなが大原さんをどう見ていたかよくわかる。絶対まっとうなマシンを買わない人と思ってたのね」とご丁寧に知らせてくれたからで(笑)、そこまでウケてくれるのならばちゃんと経緯を説明すべきだろう、と。まぁ、普通の選択とは申しません。はい。

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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0415/kaigai01.htm

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(2003年6月16日)

[Text by 大原雄介]


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