後藤弘茂のWeekly海外ニュース

ノート選びは8時間駆動重量と高奥サイズ
〜後藤流ノートPC購入術入門




●ノートPC選びの鍵となる8時間駆動重量

 「8時間駆動重量」が、ノートPCを買う場合のポイントだ。つまり、そのノートPCを8時間バッテリ駆動するために必要な重量がどれだけになるか。例えば、8時間駆動にバッテリ2本が必要なら、ノートPC本体+バッテリ2本の重量が8時間駆動重量になる。まず、購入前に、8時間駆動重量と性能&機能の比較をする。

 ゴトウはフリーランスなので、いったん外出したら大抵の場合、8時間以上自分のオフィスに戻らない。そして、その間中、歩いている時以外は、ほぼ常時ノートPCを開けている。また、飛行機で米国西海岸まで飛ぶ場合も7〜8時間程度の仕事時間が取れる。そのため、ノートPCにはベーシックに8時間駆動を求めている。実際にはバッファ(余裕)を見るので8時間プラスアルファで9時間程度が目安となる。

ThinkPad X31
 で、今回のPentium M(Banias:バニアス)では何を買ったかというと、IBMの「ThinkPad X31」(これまではX22)だ。8時間駆動重量が2kgを切ると見積もった。もっとも、実際には、今回は選択肢が多くなかったので、それほど比較はしていない。

 X31は、HDDを60GBに載せ替え、この間のATIテクノロジーズジャパンの発表会から実戦投入した。以前は、実戦投入前に2回、バッテリをフル充電→カラをやっていた。今はそれほど神経質ではないので、1回カラにしてフル充電しただけで投入。先週の「Intel Developer Forum(IDF)-J」でも、X31で通した。

 X31では6セルバッテリで4時間以上持つ。そうすると、本体重量1.64kgプラスバッテリ1本0.32kgで合計1.96kgが、8時間駆動重量となる。バッテリ2本をプラスしたX22の8時間駆動重量が2.2kg弱だったので約0.2kg軽くなった。

 しかし、微妙なのは、見えにくい場所でかなり輝度を上げて、しかも比較的電力を食う使い方(音楽やインタビュー録音の再生や無線通信)をしていると、ぎりぎり4時間を切るケースが出てくること。なので、X31では8時間駆動重量を2段階に分けた。取材メモや打合せメモ程度の時は予備バッテリ1本(1.96kg)、ガンガン原稿を書く必要がある時は2本(2.28kg)というわけだ。実際には、予備1本でほぼ問題はないが、安心のためもう1本というわけだ。これは、ゴトウの使用パターンに合わせた体感実測値なので、正確ではないし、他の人の目安にはおそらくならない。

 実は、メインのノートPCは、8時間駆動重量が2.2kg前後で、過去5年間変わらずに来ている。'98年に買ったDynabook SS 3010の8時間駆動重量(予備バッテリ3本)から、ほぼ同じレンジだった。これまでは、8時間駆動重量が2.2kgレンジを超えないことを目安にノートPCを買っていた。今後は、2kg以内を目安にする方向でいる。

 もっとも、現在はさらにその上の「12時間駆動重量」という目安も設けている。これは、午前中から出て夜中に帰るようなケースでは12時間に達するからだ。また、海外取材でも、家を出て列車に乗ったり、飛行機待ちをしている時間を含めると12時間必要になる。X31ではバッテリを予備バッテリ2本で、ヘビーな使い方をしなければ12時間駆動になる。2.28kgで、X22+3本予備バッテリの2.5kg弱より軽くなった。

●高奥サイズがもうひとつの制約

“大原バッグ”の例
 もっとも、重量自体は、実はそれほど重要なファクターではなくなりつつある。それは“大原バッグ”を導入したからだ。大原バッグというのは、キャスター付きのストローラタイプのバッグのこと。なぜ大原バッグと呼ぶかというと、ライター大原雄介氏が業界ライターの中でいち早く導入したから。ゴトウは、大原バッグという呼び名を流行らせようとしているが、残念なことに、いまひとつ浸透していない(当の大原氏が嫌がっている)。ちなみに、NVIDIAのシンガポールの女性スタッフからは、シンガポールの中学生みたいと言われた。

 大原バッグを使うことで、重量の制約はかなり減った。つまり、『持ち運べる重量が制約されることで、機能性が制約される』ことが少なくなりつつある。どっかで聞いたことがあるドグマ……。そう、TDP(Thermal Design Power:熱設計消費電力)が制約されることで、機能性が制約されるのはいけないという、インテルイズムだ。IntelノートPCを使うには、じつにピッタリの組み合わせかもしれない。

 しかし、ノートPCでは、ゴトウの場合、もうひとつ重要なファクタがある。それは「高さ+奥行き(高奥)サイズ」だ。“高奥サイズ”は、ノートPCがどれだけ狭いところで開けるかの目安。ゴトウの体感では、この値が400mm以下だと飛行機のエコノミー席でも問題なく開ける、450mmまでも大体開けるが、450mm以上だと機種によってかなり不便がある。ちなみに、X31は476mm程度なので、エコノミーで余裕を持って開ける機種や航空会社は限られる。また、混み合う電車の席で開くといった場合も、高奥サイズ450mm以上は限界に近い。

 ちなみに、高奥サイズが500mm近いか超える場合には、完全に購入の選択から外している。実際には、この制約から買うノートPCは絞り込まれている。8時間駆動重量などをチェックするのは、その後の話だ。

バイオC1 MRX
 こうした事情から、現状ではメインのノートPC以外にもうひとつ、サブのノートPCも使っている。現在はソニーの「バイオC1 MRX」。C1 MRXは高奥サイズが332mmなので、ほぼどんな環境でも開ける。ゴトウの場合、“飛行機が着くまでに原稿を仕上げないとやばい”というケースがしばしば(ほぼ毎回)ある。混み合う電車の中で“取材が始まるまでに原稿を送らないとまずい”というケースもかなり多い。そうすると、高奥サイズ400mm以下のノートPCが欠かせない。

 サブのノートPCの場合、12時間駆動重量を目安にしている。C1シリーズの場合、6セルバッテリ2本に3セル1本で12時間駆動重量としている。合計で約1.86kgで、Xシリーズより明確にアドバンテージがある。「ミニマム駆動重量」の低さも、サブのノートPCに求めている点だ。これは、最低限駆動するための重量で、C1シリーズはこれが1kgを切る。このスペックが重要なのはプライベート時だ。

 プライベートでノートPCを持ち歩く時、例えば、子どもとディズニーランドに遊びに行く時とかは、PCはたまに開くだけでそんなに長時間使わない。そうすると、ひたすらミニマム駆動重量を軽くしたくなるため、1kg以下は必須となる。もちろん、ノートPCを持ち歩かなければいいという意見もある。

 また、海外取材ではバックアップを含めて2台のノートPCが必要になる。そのため、2台目としてできるだけ軽いノートPCが欲しいという事情もある。

 ちなみに、このクラスのノートPCでは「片手保持安定性」も一応チェックはしている。つまり、片手で扱えるかどうか。じつのところ、満員列車の中で立って原稿を書かなければならないという羽目に陥ったことも1回や2回ではない。本当は、そういう場面のために、立ったままでも原稿が書ける「VAIO U」クラスがあった方がいいかもしれない。

●いくらでも欲しいHDD

 その他のノートPCの購入のキーポイントとしては「HDD換装性」がある。簡単にHDDを入れ替えにくい、または熱の点で換装に不安があるものはパスしがちだ。これは、HDDだけは大きくする必要があるためだ。HDD容量が必要なのは、データを持ち歩くから。メインのデスクトップPCには資料類が約80GB程度ある。この中で約40GBをノートPCとの間で同期させている。資料のデータ量は急増している。これは、写真のJPEG、スキャンした紙資料のJPEG、インタビューの録音音声が増えているからだ。

 また、資料だけでなく、MP3ファイルもHDD必要容量を押し上げている要因のひとつだ。これは、原稿を書くのに音楽が欠かせないからで、ノートPCにはよく聴く3,000曲程度を64kbpsに圧縮して5GB程度入れてある。クラシックロック('60年代あたりのロック)、プログレッシブロック、ゲームミュージック、'70年代パンク&ニューウエイブあたり。ちなみに、この原稿はゲーム「Panzer Dragoon」シリーズの音楽(このところXboxで「Panzer Dragoon Orta」をやっている)を聞きながら書いている。いずれにせよ、現状ではノートPCに最低で60GB HDDが必要となっている。

 意外と重視していないのは、CPUパフォーマンスと無線LAN。CPU性能は、低電圧版Pentium IIIだときついが、Pentium M 1.3GHzで十分以上だ。これは、そんなにCPUパワーが必要になる使い方(ゲームとか)をしていないからで、完全にユーセージモデルに依存している。次に欲しいのは、クロックの向上よりもむしろHyper-Threadingだろう。無線LANも、じつはカンファレンスの時以外はほとんど使わない。自宅ではマッサージチェアで仕事する時以外は無線LANは使わない。そのため、ダイバシティアンテナかどうかをケアする程度だ。

●CPUロードマップと購入ロードマップが連動

 PCの購入計画を立てるに当たって今後2年の「購入ロードマップ」を立てている。メインのノートPCの購入サイクルは3〜4四半期に1台。古いマシンは、一緒に仕事をしているライターの後藤貴子に回すか、まだきれいな場合には売却する。基本的にバッテリやオプションへの投資を活かすために、同じシリーズで2〜3世代継続する。例えば、これまで使っていたThinkPad X2xシリーズは3代、X20(2000年)→X22(2001年)→X22(2002年)とマイグレートした。

 X2xとX3xではドライブ以外の資産は継承できない。そのため、X31へのバッテリやドッキングベイ(ウルトラベース)などの投資を活かすために、おそらくあと1〜2世代はX3xを買うことになる。ちなみに、これまでも、ThinkPad 220('93年)→ThinkPad 220('94年)、ThinkPad 560('96年)→ThinkPad 560('97年)、Dynabook SS 3010('98年)→Dynabook SS 3020('99年)とほぼ1年置きに2世代連続で同型機種で来ている。実際には、この合間に買ったマシンもある。

 サブのノートPCは基本は4〜6四半期に1回買い替えるパターンで、これまでは「VAIO C1 VSX」(2001年)→「VAIO C1 MRX」(2002年)と来た(それ以前は、ミニマム駆動重量が1kg以下で高奥サイズ約430mmのDynabook SS 3xxxシリーズで兼用していた)。

 頻繁に買い替えているように見えるが、計算上どうしても必要だ。メインのノートPCは、後藤貴子分も含めて2台がフルに使える必要がある。各PCの寿命が8四半期とすると、最低でも4四半期に1台買わないと間に合わない計算になる。サブのノートPCは交代したマシンを売却することで投資の負担を減らしている。ちなみに、ゴトウは製品レビューをやらないため、メーカーからマシンを長期に借りるという機会はほぼない。

 購入ロードマップは、CPUのロードマップから逆算して立てる。今回は、もちろんPentium Mに合わせていた。必然的に、次が「Dothan(ドタン)」で、おそらく、その次が「Jonah(ヨナ)」になる。来年になるとCPUパワーがもう少し欲しくなるだろうから、Dothanへの移行はリーズナブルだ。DothanノートPCは投資の保護のために、現在のX3xシリーズの可能性が高い。

 しかし、Jonahの時点では、チップセットもPCI Express版「Alviso(アルビソ)」になるため、プラットフォームも変える必要が出てくる。Jonahの時点で、再び、どのメーカーのどのシリーズにするか考えることになる。CPUはHyper-Threading、チップセットはPCI Express x16、OSは「Longhorn(ロングホーン)」をにらむことになる。

 問題はサブのノートPCの方で、こちらはまだロードマップが立っていない。このクラスでは、CPU性能より高奥サイズとHDD換装性(または初期搭載の容量)を問題としている。この手の機種は、クセがあるモデルが多いので、選択は難しい。CPUがサンタクララ(Transmeta)設計とイスラエル(Intel)設計のどちらになるかは、まだわからない。

 というあたりが、ゴトウのノートPC購入パターンだ。突然こんなレポートを書いたのは、“購入ポリシーが変”だから書くようにと編集部から言われたから。ゴトウとしては、ごくふつーのユーザーのごくふつーの選択という気がしていたのだが……。

 世の中には、「ノートPC選びは恋人選びと同じ」という、“メカフェチ”ライターも多いが、ゴトウはその手ではない。しいて言うなら、データフェチで、ノートPCはそれを使うための道具に過ぎない。つまり、PCを使う分には、ごく“ふつー”のユーザーだ。

□ThinkPad X31製品情報
http://www-6.ibm.com/jp/pc/thinkpad/tpx3133/tpx3133a.html
□バイオC1 MRX製品情報
http://www.sony.jp/products/Consumer/PCOM/PCG-C1MRX/

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(2003年4月15日)

[Reported by 後藤 弘茂(Hiroshige Goto)]


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