NTTドコモの携帯電話端末D505iは、多くの新しい特徴を備えているが、ここではデジタルカメラとしての能力をレポートする。ごく一部の機能に限定したレポートなので、通常の端末としての機能については僚誌「ケータイWatch」を参照されたい。 ●123万画素相当、メモリースティックDuo対応のデジカメ D505iを買った。色はシェイドブラックと称する黒で、機種変更価格は34,800円だった。これの前にP503iにしたときとほぼ同じ金額だ。 D505iにした理由は、普段持ち歩くデジカメとして使えないかと思ったからだ。現状では散歩のときはサイバーショットU10を持ち歩いているが、ポケットに入れ忘れてしまうことも多いし、持ち物が1つ減ればありがたい。 PCが中心の生活なので、携帯電話による画像メールには興味がなく、これまでカメラ付き携帯は見送っていた。しかし、D505iは単体のデジカメとして使えそうな仕様を備えている。 CCDは有効63万画素のスーパーCCDハニカム。画像の解像度は最大1,280×960ピクセル(123万画素相当)で、メモリースティックDuoに直接出力できる。また、「ヨコ撮りスタイル」と称する構造で、閉じた状態でもヒンジ部分のレンズが露出しており、普通のデジタルカメラに近い持ち方で撮影できる。 カメラ付きケータイ独特の端末を開いた縦位置の撮影スタイルには、違和感を覚えていたので、この形はありがたい。 なお、色を黒にしたのは、ショーケースや電車の運転席を撮る際に、ガラスへの映り込みを少しでも防ぎたかったからだ。不人気色だったらしく、ドコモショップでは一番在庫が多かった。 ●基本操作は簡単 購入したD505iには、16MBのメモリースティックDuoと、メモリースティックDuoアダプタが付属していた。16MBとは小さいようだが、スーパーファインモード時で、640×480ピクセル(VGA)で約120枚、1,280×960ピクセル(SXGA)で約30枚撮影できる。 通常の撮影時は、端末本体の右側面が上になるように持つ。本体を右手でしっかり握れるので、安定した感じだ。レンズが左端になるので、左手は指が映り込まないように本体脇に添える。ストラップ用の穴も左端になるので、右手にかける人は長めのストラップを用意した方がいい。 この状態で撮影者側を向いているサブ液晶が、ファインダーとなる。サブ液晶は160×120ドット1.1型65,536色表示TFD液晶だが、液晶の小さいサイバーショットU10に慣れているので、ファインダーとして十分に使えた。 この状態ですぐに撮れるわけではなく、待ち受け状態の端末のサイドボタンBを長押しすると、カメラモードが起動する。起動時間は2秒弱だ。撮影が終わったら、サイドボタンBを2秒以上長押しすると、カメラモードが終了する。 サイドボタンBは、横長で大きめのサイズなので、シャッターボタンとしても違和感が少ない。ただし、カメラモードの起動/終了スイッチと兼用のためか、撮影されるのはボタンを押した時点ではなく、離した時点となるようだ。 レンズは単焦点だが、自分撮りを念頭に置いているためか、かなり広角だ。35mm換算で30mm相当ぐらいと思われる。 デジタルズームが用意されているが、ズーム倍率は解像度によって異なり、VGAでは2倍、SXGAでは使用できない。ズームはサイドボタンB(シャッター)横のサイドボタンAで切り替えられる。なお、最短撮影距離は約30cmなので、名刺のコピー時などはデジタルズームを併用した方が結果が良かった。 また、フラッシュがない代わりにサイドボタンAを長押しすることで、補助光(コンパクトライト)が点灯する。撮影時の設定状態はサブ液晶横のリアボタンを押すと表示される。
なお、撮影直後に端末を開くと、メイン液晶に最後に撮影した画像が表示される。メイン液晶は240×320ドット2.2型のTFD液晶で、表示色数も262,144色と多いので、画像をすぐに確認したいときは、端末を開けばいい。保存中であれば、ここでキャンセルすることもできる。 D505iは、画像を記録する場所としてメモリースティックDuoと本体メモリを選べる。本体メモリは、メモリースティックDuoよりも高速に記録できるが、容量が限られる(説明書の記述によれば、VGAのスーパーファインで約30枚。16MBのメモリースティックDuoでは約120枚となっている)。そのせいか、本体メモリにはSXGAでの記録もできない。 だが、メモリースティックDuoの場合、撮影データの記録が極めて遅くなる。SXGAで約13秒、VGAで約7秒かかる。連続してカットを押さえるというような撮り方には向いていない。 ただし、一定の間隔で、数枚の画像を撮影し、1つの画像にする「連続撮影」というモードは用意される。VGAでは4枚の画像が撮影できるが、SXGAではこのモードは使用できない。なお、動画撮影はできない。 撮影速度のことを考えると本体メモリに保存したいところだが、メモリがいっぱいになるたびにいちいちメモリースティックDuoに画像をコピーするのも、やはり時間がかかって面倒だ。だから普段は、メモリースティックDuoへ記録するようにしている。 バッテリーは、かなり頻繁にカメラモードを使う状態で、3時間に100枚ほど撮影すると切れた。 ●撮影時の調節は面倒 D505iは撮影時に画像の明るさ/コントラスト/シャープネス/ホワイトバランス/撮影モードが設定できる。ただし、設定にはD505iを開く必要があり、閉じたままの状態で撮影していると、開けて設定し、再度構え直すことになりもどかしい。また、カメラモードを終了すると、設定値は初期化されてしまう。 ホワイトバランスは、オート/室内/室外の3種類。撮影モードは、ノーマル/美白/日焼け/夜景/文字/モノクロ/セピア/ネガポジ/絵画の9種類が用意される。 いまのところ室内での撮影が少なく、手動でホワイトバランスを設定する必要は感じていない。また撮影モードで、使用頻度が高そうなのは、夜景とモノクロぐらいだろうか。セルフタイマーもあるが、三脚穴がないので、どこかに置いて使うしかないだろう。 ●シャドーが暗くなりがちな画像 2日半、屋外を中心に使い、150枚ほど、いろいろなものを撮ってみた。残念ながら快晴はなく、明るいながらも曇天続きだった。 一番気になるのは、シャドウ部分が黒く沈みがちなこと。明るい部分や中間部は普通に撮れているのに、少し暗い部分がすぐに真っ黒になってしまう。やけに隈取りのくっきりした絵という印象だ。逆に、白い花なども色調が飛んでしまいがちだ。 これらは、撮影時に明るさを調整することで多少避けられるが、設定を覚えてくれないので毎回設定する必要があり、たぶんやめてしまうと思う。 また、最初はSXGAモードで使っていたが、結局、記録時間の長さと、デジタルズームの有無で、標準の設定はVGAモードにしてしまった。 このサイズでは、プリントアウトする際に、L判用紙では解像度が足りないが、半分ならなんとか我慢できる。使用しているキヤノンBJ 895PDの付属ユーティリティを使って、L判用紙に2枚分打ち出すことにした。 逆にいえば、きちんと設定を行なって撮影をし、書き込み時間の長さを我慢すれば、これまでの携帯電話では不可能だった絵が撮れる。
●ターゲットが違う携帯電話のデジカメ機能 デジカメとしてのD505iの実力は、トイカメラとサイバーショットU10との中間ぐらいに位置する感じだ。 D505iは、画素数的には単体のデジカメに匹敵する能力があるが、たぶん、設計者が目指している方向が違うのだという気がする。絵作りのターゲットが、自分撮りを中心にした、人の顔を大きく入る近接した距離のショットなのではないかと思う。また、撮った画像を見るのも、携帯電話のメイン液晶が想定されているのだろう。 今回のような大きい画素数で、PCの画面で見るような用途は、可能であるというだけで、それが一番のターゲットではないのだ。 自分撮りを試してみたり、待ち受け画面用に小さい画素数の絵を撮って、かなりよく写るので、それに気づいた。これはこれで楽しい世界だということもわかりはじめたところだ。 PCを前提に考えると、これ一台では心許ないが、いつでも持ち歩いていてシャッターチャンスが増えるメリットを考えれば、価格相応かなあと思っている。
□NTTドコモのホームページ (2003年5月26日) [Text by date@impress.co.jp]
【PC Watchホームページ】
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